有価証券報告書-第20期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/19 16:28
【資料】
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【項目】
134項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
AIの進化による大量なデータの高速処理ニーズの加速や製造業等での高精度な自動化技術の進歩などにより、産業の基幹電子部材であり先端テクノロジーである半導体レーザ技術の有用性はますます高まってきております。当社は「人の可能性を照らせ。」という経営理念のもと、重点施策として下記の5点を掲げております。
● 業界をリードする新製品の開発と安定量産化
● 納期遵守による顧客満足度の向上
● 顧客要求を充足する信頼性の確立
● 製品検査レベルでの品質向上
● 従業員の継続的スキル向上
当社の属する「半導体レーザ」および「半導体レーザ応用製品」の業界は、着実にアプリケーションが拡大しており、世界的に半導体レーザの新製品、高性能製品やその応用製品に対する市場ニーズが高まっています。当社はバイオメディカル、精密加工、半導体製造などの領域でグローバルに顧客の強い支持を得ており、顧客への製品提供と新製品開発を進め、着実に市場に浸透しています。今後もこれらの半導体レーザおよび半導体レーザ応用製品に加えて、量子ドットなどの当社独自の製品の性能向上と新製品開発を進め、新しい市場へ参入いたします。これらの成長する市場の中でシェアを獲得するために以下のような経営戦略を立案し、推進しております。
Ⅰ.経営計画
① 中期経営計画
2024年11月に中期経営計画を策定し、2027年3月期の全社黒字化達成に向けて「ベースライン計画」と「成長可能性の追求」を行う事業プランを公表しました。この計画に基づき、レーザデバイス事業では、DFBレーザ、小型可視レーザ、高出力レーザをベースライン計画として売上高を毎年20~25%成長させると共に粗利率を45%に上げる計画とし、また量子ドットを成長可能性の追求としてコンピュータ光回路、次世代自動車、高度医療、人工衛星等での用途に向けた研究開発用の需要の獲得を想定しています。またレーザ・オプティカルソリューション事業では「RETISSA ON HAND」の販売、他社開発視覚支援製品に対するコア部品供給又は技術ライセンス、他社開発ディスプレイ型視覚支援新製品販売をベースライン計画とし、またスマートグラス(XRグラス)、ビジョンヘルスケア(医療応用)を成長可能性の追求として他社との提携等によって将来の成長可能性を確保しつつ足元の負担を軽減し、これらによってレーザ・オプティカルソリューション事業を2027年3月期に黒字化する計画としています。
中期経営計画の1期目となる2025年3月期は、レーザデバイス事業部、レーザ・オプティカルソリューション事業部の売上高およびセグメント利益は、中期経営計画に掲げた目標を達成しました。中期経営計画の2期目となる2026年3月期は、売上高は中期経営計画比104%、業績予想比99%となり利益は中期経営計画及び業績予想を大幅に上回りました。
② 2027年3月期の業績予想
2027年3月期は、レーザデバイス事業部は売上高およびセグメント利益の拡大を行い、また視覚情報デバイス事業部は組織名称をレーザ・オプティカルソリューション事業と変更して事業構造の転換を行い、XRグラス向け光学ディスプレイユニットの開発、産業用途向け光学モジュール・光学ユニットの開発販売、民生機器の網膜投影機器の販売等に再編し、売上高拡大とセグメント利益の収益化を進め、中期経営計画の目標である2027年3月期の全社黒字化に向けて取組む予定です。業績予想に就きましては開示資料にて公表しております。
Ⅱ.経営全般
① ファブレス製造
自社内においては半導体レーザの最も要となるデバイス設計、結晶成長と完成品の評価のみを行い、それ以外の工程は協力会社の生産ラインにて行っております。このため、生産設備保有による固定費や資金流出が抑えられるとともに、需要の変動に柔軟に対応した生産を行うことが可能となり、低コストで顧客満足度の高い生産体制を実現しております。
② 幅広い波長領域のレーザの開発、量産化
532nmから1064nm、1310nmまでの幅広い波長領域をカバーする製品をラインナップしております。これにより、通信機器、精密加工装置、生命科学機器、計測センサ機器、ディスプレイ機器等の多様なアプリケーションに対応する製品を開発、量産することが可能となっております。
③ 量子ドットレーザ量産技術のシリコンフォトニクス展開
光通信とインターコネクトに用いられる波長1300nmにおいて、量子ドットレーザの量産技術を有しております。この量子ドットは既存光通信デバイスと比較して高温度動作が可能で極低ノイズ特性を有することからシリコンフォトニクス光源として適しており、シリコンフォトニクスによる高速光デバイスの低コスト化・低消費電力化が期待されます。現時点で、世界のシリコンフォトニクスベンダー各社とシリコン融合量子ドットレーザの共同開発を進めており、光コネクタ、チップ間インターコネクトへの適用が検討されております。また、シリコンフォトニクスと量子ドットデバイスを組み合わせてロボティクス、セキュリティ、自動運転用のLiDAR用光源の共同開発も行っております。
④ モジュールビジネスの展開
バイオメディカル用途を中心に小型可視レーザ単体を販売する際、レーザと組み合わせるドライバは顧客が準備する必要がありました。一方で市場ではセットアップ時間や製品開発期間を短縮したい研究者および検査装置メーカなどにPlug&Playで直ぐに使える製品のニーズが有ることを捉え、ドライバを内蔵した新製品Lantanaを開発し、出荷を開始しました。今後も幅広い市場ニーズを捉えるべくLantanaの波長ラインナップを追加するとともに、モジュール製品の開発を強化する予定です。
⑤ 独自技術のB2B型事業による顧客への価値提供
レーザ・オプティカルソリューション事業では半導体レーザ・光学技術を応用した製品や技術を企業の顧客に提供するB2B型事業の展開を開始いたしました。具体的には、当社独自の網膜投影技術を活かした受託開発(試作品開発)をはじめ、同技術を応用した光学モジュール・光学ユニットを法人向けに提供しております。従来は網膜投影技術を活用した最終製品の製造・販売が中心でしたが、現在は、当社の強みである半導体レーザの顧客基盤を活かし、技術やユニット化された製品を提供するビジネスモデルへと発展させております。これにより、顧客ニーズを的確に製品化し、新たな価値を創造してまいります。
⑥ 事業協力契約による事業拡大
XRグラス分野は、2025年に米国を中心に大きく市場が本格化しており、今後もさらなる高成長が期待される一方、収益化までに数年以上の時間を要することや、グローバル市場への参入に伴う先行投資負担の増大が予想されます。また、これらをB2C向け最終製品として商品化するには、大規模な資金や人的資源、更には量産化・生産管理における高度なスキル・ノウハウが必要となります。
当社は、これまで開発を推進してきた網膜投影技術を用いたXRグラス向け次世代RGB光源モジュールおよび光学エンジンの共同開発、ならびに同技術に関する特許権の一部を、製品化に強みを持つTDK株式会社へ移転いたします。今後は同社と強固なパートナーシップのもとで開発を推進し、拡大するXRグラス市場でのさらなる成長機会の獲得を目指してまいります。
(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的指標等
企業価値を継続的に向上させるためには利益の確保が重要であることから、当社は売上高総利益率を最も重要な経営指標として採用しておりました。今後も売上高総利益率を高めていく方針ではありますが、フリー・キャッシュ・フローの増加に重点を置き、今後はEBITDAを指標といたします。事業別の指標としては、レーザデバイス事業は、これまでは認定顧客数の増加率で管理しておりましたが、各アプリケーションにおいて主要顧客に認定されていることから、今後は顧客内での認定製品の数を増やすことに重点をおき、認定製品数毎年9製品増加を指標といたします。レーザ・オプティカルソリューション事業は、レーザ+MEMSを組み合わせた製品や多波長モジュールなどの光学モジュール・光学ユニット、及び網膜投影機器の認定製品数を指標といたします。なお具体的な数値目標につきまして、今後のマーケティング活動の進捗に応じて設定してまいります。
(3)対処すべき課題
今後の世界経済につきましては、中東情勢による石油由来製品のグローバルでの供給不安や価格高騰、中国が行うレアアース規制の影響などの各地の地政学リスクへの警戒感とともに、先行き不透明な状況が継続するものと予想されますが、当社におきましては、「人の可能性を照らせ。」を念頭に、以下の課題に対する諸施策を講じることで、事業の強化を図ってまいります。
① 全社黒字化の達成(2027年3月期)
収益赤字が継続している中、2024年11月に中期経営計画を策定し、2027年3月期において黒字化を達成し、黒字化と成長可能性のバランスを図る事業計画を公表しました。この中期経営計画の2年目にあたる2026年3月期についても初年度にあたる2025年3月期に引き続き、売上高、利益とも計画を達成しております。中期経営計画の最終年度にあたる2027年3月期の全社黒字化に向けて取り組みを進めてまいります。なお2027年3月期の業績予想については2026年6月1日に公表済みとなっております。
② レーザデバイス事業の成長
加工、センサ、バイオメディカル用光源領域では、既存製品の拡販と低コスト化、高付加価値製品の開発、新規アプリケーションへの参入を進め、中長期的に年率10%以上の安定的な事業成長を図ります。当社のコア技術である量子ドットは中長期的な成長ドライバとして、光通信、LiDAR、民生品応用に向けた研究開発を進めてまいります。
③ スマートグラス実現に向けた取り組みの継続・拡大
レーザ・オプティカルソリューション事業の飛躍的成長を実現するためには、多くの方が日常的に使うスマートグラスへの技術採用が欠かせない要素です。共同事業のパートナー企業とともに、アイトラッキング機能の開発、低消費電力化、小型化、高精細化といった要素技術の成熟に向けて取り組むとともに、これまで蓄積した知財・ノウハウの収益化を目指してまいります。
④ 光学モジュール・ユニット領域での取り組み
レーザ・オプティカルソリューション事業のうち光学モジュール・ユニット領域においては、これまでの網膜投影技術、半導体レーザや光学設計技術、生産ノウハウを活かして、顧客の具体的ニーズに応じた製品や機能を提供することにより、新たなサプライチェーンの安定基盤構築を目指してまいります。
⑤ ビジョンサポート領域での取り組み
レーザ・オプティカルソリューション事業のうちビジョンサポート領域においては、新規スマートフォン装着型網膜投影機器の上市を目指し、テストマーケティングを開始いたしました。認知の浸透には相応の時間がかかると考えられますが、レーザ・オプティカルソリューション事業の祖業ともいえるビジョンサポート領域での市場開拓、事業開発を進めてまいります。
⑥ マーケティングと営業体制、新製品開発力の強化
市場・業界・顧客分析、及び分析に基づく戦略的営業活動を継続的に充実させるとともに、従来の定期的な顧客訪問、展示会の有効活用、国内外代理店との密な連携、企業パイプラインの強化と複線化、ウェブサイトの充実、Eコマースサイト活用を継続して、売上増大と利益確保を図ります。また、製品開発、研究開発基盤とマーケティングを連動させ、新製品開発力を強化します。
⑦ 水平分業提携先との協業体制の維持と発展
チップ作製、モジュールアッセンブリ、網膜投影機器生産提携先と、将来ビジョン、年間計画、各案件のスケジュール連携、結果のフィードバック、定期的な訪問、打合せ等を行い、より一層の関係強化を図ります。
⑧ 高品質・安定した製品の供給
高品質、高性能な製品を市場に供給し顧客満足度を継続して向上できるようISOに準拠した製品開発を行っていきます。また、顧客の性能、品質、価格、納期へのご要求に常に耳を傾け、開発・生産・営業が一体となりスピーディーに対応できる体制の継続的改善を行っていきます。
⑨ MBE装置(分子線エピタキシー法による結晶成長装置)の維持管理
当社の技術を支えるMBE装置は事業部の移転に合わせて2026年4月に横浜市戸塚区の新拠点に移設を行い、生産再開に向けた立ち上げをスケジュール通りに進めているところです。また、2027年度には現在の4倍の生産能力を実現できるよう、新規MBE装置を導入する予定となっています。本装置は繊細な管理を必要とするため、日々の修繕において、安定的な運用を行うとともに、新規MBE装置設置後の早期稼働を実現できる体制の構築を図ってまいります。
⑩ 適切なコーポレートガバナンスとIR体制強化
開示書類の早期作成、業務プロセスの改善、内部管理体制の強化を継続的に推進するとともに、株主とのコミュニケーションを強化し、株主満足度の高いIR体制を構築してまいります。

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