有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/10/23 15:00
【資料】
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【項目】
130項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は「インターネットを利用する全ての企業が安心で快適にビジネスを遂行できるよう、日本そして世界へ全力でサービスを提供する。」を経営理念として掲げ、以下の経営方針のもとに事業を推進しております。
a.マネージドセキュリティサービスの範囲拡大
統合型インターネットセキュリティサービスの提供基盤を見直し、業務プロセスや設定作業の自動化を推進し、より効率的なマネージドサービス基盤への刷新を実行することで、サービス提供範囲を拡大します。
b.未来を見据え、お客様の戦略に関与する
従来は当社サービスの販売に主眼を置く営業スタイルでしたが、お客様のニーズを把握し、課題を解決する提案型の営業組織へ転換し、お客様それぞれに必要なサービスを最適なタイミングで提供することを目指します。また、そのための人材育成/強化にも努めてまいります。
c.人材育成強化
未来に向けて、テクノロジーを理解し事業を推進できる人材を育て、多様な人材が各々の力を最大限発揮できることを目指します。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社はIFRSに基づく売上収益及び営業利益を経営目標の達成状況を判断するための客観的な指標としております。
(3)経営環境と経営戦略等
当社がビジネスを展開するセキュリティサービス市場は、昨今のランサムウェア被害に代表されるような、多様化するサイバー攻撃被害を受けて需要が拡大しております。
セキュリティサービス市場は、高度なセキュリティ対策を必要とするものの、自社での運用・管理が困難である企業がセキュリティベンダーへ運用や監視をアウトソーシングする傾向にありサービス利用の拡大に繋がっています。
市場規模としては、2018年度の2,116億円から2023年度には約2,759億円に拡大し、年平均成長率5.5%で推移すると予測されております。(出所:株式会社富士キメラ総研「2019ネットワークセキュリティビジネス調査総覧(市場編)」2019年10月25日発行)
このような市場環境の中、当社のインターネットセキュリティサービス事業は、ネットワークセキュリティの導入から管理、運用・保守までをサービスとしてワンストップで提供し、ユーザーから定額の月額費用(初期費用含む)を徴収するリカーリングレベニューモデルとなっており、安定した収益が稼得できる事業基盤を有しております。今後もセキュリティ環境の変化に呼応したサービス及び製品の充実を図ってまいります。
具体的には、主要サービスである、マネージドセキュリティサービスにつきましては、販売代理店との関係強化と各販売代理店内での当社サービスのシェア拡大、また、中部圏の販売代理店との強化を図るため専任の担当者を置き売上の拡大を目指します。
インターネットセキュリティ機器販売では、新規モデルへの更新を行い、追加機能による単価の増額を図ってまいります。また、特定の販売代理店へ依存することなく、新規販売代理店の開拓を実施し売上拡大を目指します。
さらに、継続的に新規サービス開発を実施することで、一層の収益向上を目指します。
なお、昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動や消費活動停滞により日本経済が減速し、諸産業の事業環境が悪化しております。
新型コロナウイルス感染症により今後の日本の経済活動等は不透明な状況が続いているため、当社の事業環境におけるサプライチェーンや在宅勤務への移行等限定的ではありますが影響を受けております。しかしながら、今後の当社の事業環境への影響の把握や販売代理店の事業活動のために、対面での営業活動を制限されている状況ではありますが密度の高い情報共有等を行い機動的に必要な施策が講じられるように進めてまいります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社が対処すべき課題は以下のとおりです。
a.ガバナンス体制の強化
従来はサービス単位で部門が細かく存在しそれらを機能的に取りまとめる部門が存在しておらず、会社を組織的、効率的に運営していく上で支障がありました。2018年4月より、技術、営業、管理の3本部制へ移行し、各本部に期待される役割と責務を明確化し、迅速に事業を推進するための経営管理体制へと刷新いたしました。また、2019年3月に、監査役会が設置され、独立性の高い社外役員による経営監視が行われる体制を整備いたしました。今後、持続的な成長と企業価値の一層の向上のために、ガバナンス体制の強化を図っていくことが重要であると考えております。
b.人材の育成・確保
ITの技術革新に伴い、情報セキュリティに対するニーズは拡大しておりますが、専門性を有する高度なセキュリティ人材は不足しております。当社は、このような状況に対処するために、従業員の技術力向上に向けVario Master制度(*)の拡充、メンター制度の導入による新卒採用者の長期定着への取り組み、表彰制度の改善などを行い、継続して教育を行い、高度な人材の育成を行ってまいります。
(*)Vario Master制度とは、当社サービス、製品の知識習得度合いをレベル別に判定する制度のことです。
c.業務の効率化
需要が拡大する情報セキュリティ分野において、あらゆる変化を察知し、収益拡大の機会を捉えて実現していくために、当社は、限られたリソースを効率よく活用する必要があります。中期経営計画のもとで、各本部にて業務最適化のための業務プロセスの改善と効率化を図ってまいります。
d.事業領域の拡大
従来は外部からの脅威に対して社内の情報資産を守るセキュリティ対策が中心でしたが、働き方改革をはじめとする労働環境の変化、あらゆる機器がインターネットに繋がるIoT(Internet of Things)の進展により、セキュリティの脅威は社内にも存在するようになりました。このような環境下、企業は情報資産の状況を把握し、セキュリティに問題のある情報機器は接続を遮断、また、対策の必要な端末はセキュリティを施すなど、社内に接続される情報端末のセキュリティ管理も重要性を増しております。
当社は、外部の脅威から社内の通信ネットワークを保護する境界監視から、社内に存在する脅威から社内ネットワークを保護するセキュリティサービスまでを事業領域の対象とし、より安心で安全なインターネット環境を提供できるよう事業領域を拡大してまいります。
e.新型コロナウイルス感染症への取り組み
収束が見通せない状況の新型コロナウイルス感染症により経済活動等は不透明な状況が続くと見込まれています。今後も国内の経済状況や当社取引先の状況にも注視し、迅速に適切な施策を講じることができるようにしてまいります。
さらに当社内におきましては、従業員の感染防止を最優先にしながら、事業継続の確保について日々検討を行い、対処すべきことは機動的に実施しております。
具体的には、従業員に対して緊急事態宣言前から原則在宅勤務への移行、マスク配布、オフィスにおけるアルコール消毒液常備、オフィス入室時の検温など安全の確保を実施しております。従業員の安全を最優先としつつ、事業継続に必要な対応をしてまいります。