有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/05/16 15:00
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166項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)新型コロナウイルス感染症の影響について
新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、経済活動の制約が長期化することで、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
「不動産開発・販売事業」において、戸建住宅及びマンション建設に係る資材や住宅設備の調達について、生産地である海外諸国のロックダウンや物流の停滞等が長期化した場合、工事の遅延や引渡しの遅れにつながる可能性があります。当社ではこれまでのところ、早期の資材確保や代替品への切り替えにより引渡しの遅延等は回避できていますが、引き続き国際的なサプライチェーンの動向に注視が必要であると考えています。
「不動産開発・賃貸事業」において、緊急事態宣言等に基づく各テナントの営業制限等による減収への対応として、賃料減免の実施や、あるいはテナント撤退による空室率上昇の可能性がございます。当社グループでは、コロナ対策の影響が顕著な都市部での商業施設やホテル用地等を保有しておらず、生活密着型の沿道商業施設や住居系の収益不動産を中心としていることから、これまでのところ経営に重要な影響を受けるに至っていないと捉えておりますが、当面は各不動産の稼働状況を注視しつつ、稼働率を維持するために迅速な施策を講じてまいります。
(2)経済情勢の変動について
当社グループの事業は、景気、個人消費、金利、地価・不動産需要、各種税制及び補助制度等の動向により影響を受けております。景気の急速な悪化や個人消費の冷え込み、大幅な金利上昇、不動産需給の悪化、住宅税制の変更等が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
特に、新型コロナウイルス感染症による経済活動の縮小が長引き、景気全体が著しく悪化した場合には、一般顧客層の住宅購入意欲の低下や出店施策変更による賃貸需要の減退、賃料低下等が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)土地の仕入について
当社グループの事業は、賃貸又は分譲販売に用いる優良な土地を取得することが重要であり、取引事業者や金融機関等からの情報に基づき、不動産毎の立地、周辺環境、価格、顧客ニーズ等を踏まえた事業化・商品化を検討し、収益性等を考慮の上で新規取得を行っております。
今後において、良質な不動産情報入手が困難となる場合や地価上昇その他の要因により収益性確保が可能な不動産が減少した場合及び、その他何らかの要因により取得が困難となった場合、当社グループの事業展開の制約要因となり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)原材料・資材価格等の変動について
当社グループの事業展開においては、戸建建築及びマンション等の建築において、木材・鉄材・セメント等の各種原材料・資材等を使用しております。それらの仕入価格は市場価格の変動により影響を受けており、今後において、原材料市況や需給、為替等の変動により仕入価格が高騰した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
特に、海外での新築住宅需要の急増や商流の変動により、新築住宅建築に必要な材木価格が上昇傾向にあります。仕様見直しや代替品確保等による企業努力で吸収できないコスト増加分については、建築請負による販売利益の圧縮や営業計画の変更が必要となる可能性があります。
(5)外注企業の活用について
当社グループの各事業においては、開発用地のプランニング、開発許可申請、造成工事にかかる設計施工等について外注企業を活用しております。また、「不動産開発・販売事業」においては、戸建建築等に際して、自社にて設計業務及び管理者(監理技術者・主任技術者)配置による施工管理業務を行うほか、施工工事等は外注企業を活用しており、「マンション事業」においては、設計から施工までの各工程について外注により対応しております。当社グループの事業運営において、外注活用の重要性は高いことから、外注企業の確保及び育成に努めております。
今後の事業展開において、外注企業にかかる十分なリソース確保が困難となった場合には、当社グループの事業拡大の制約要因となる可能性があるほか、外注企業の経営不振や請負契約の不履行、設計・施工上の不具合の発生やその他予期せぬ事象が発生した場合には、工事等の中断又は大幅な遅延、建設コストの上昇等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)瑕疵担保について
戸建建築及び分譲マンションについては、宅地建物取引業法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき、売主に対して物件引渡後10年間にかかる瑕疵担保責任が課せられております。
当社グループは、開発、分譲及び販売等を行う不動産にかかる品質管理を徹底しており、土壌汚染、使用建材、耐火・耐震性能及び施工品質等について、自社及び第三者機関の検査等を含むチェック体制を構築しております。
今後において、当社グループが供給する不動産について、販売・引渡し後に上記事項を含む何らかの瑕疵が判明した場合、当社グループに対する信頼性低下や損害賠償請求の発生等により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)賃貸用不動産にかかる稼働率について
当社グループが展開する不動産賃貸においては、商業施設やオフィスビルにおける主要テナント企業の出店戦略変更等に伴う退去や、入居者獲得競争の激化等により、賃貸用不動産にかかる稼働率に低下が生じる可能性があります。また、代替テナント等の確保のため賃料引下げが必要となる場合もあり、これら要因による収益性低下が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)大型開発案件について
当社グループは、着手から販売まで数年単位の期間を要する不動産開発を事業の軸としています。
大規模開発には、用地取得等にかかる多額の投資が必要であるほか、開発許可取得、各種関係者の調整や工事等の多くの業務プロセスが必要であります。開発に際し、近隣住民等の反対運動が発生し結果としてプロジェクトの中止や遅延が発生する可能性があるほか、必要とされる許認可の取得や関係者の調整ができない場合は、事業が中止となるリスクを有しております。
著しい販売不振が生じた場合には、販売促進のための費用増加や値引施策の実施等により採算悪化が生じるリスクがあり、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(9)エリア展開について
当社グループの営業地域は、和歌山県を中心とした近畿エリアに集中しております。当該地域において、地域経済の悪化や人口動態に変化が生じた場合又は台風や地震等の大規模災害による影響が発生した場合には、当該エリアにおける不動産市況等に影響が生じ、当社グループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは、当該地域を中心として事業エリア拡大を推進していく方針でありますが、新たな営業エリアにおける競合や事業実績が限定的であること等に起因して、当社グループの想定する事業拡大が実現出来ない可能性があり、営業拠点分散に伴う業務効率の悪化等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)人材の確保について
当社グループの事業は、専門的な知識及び経験に加えて、不動産取引に係るソリューション提供や調整能力、高いコミュニケーション能力を有する人材が重要な要素であります。
今後における事業拡大を図るため、優秀な人材の確保及び育成が必要であると考えておりますが、これらが計画通り進まない場合又は現在在籍する人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業展開に影響が生じ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)法的規制について
当社グループの事業である不動産・建設・介護・飲食・温泉等に関する事業活動において、「宅地建物取引業法」、「建設業法」、「建築基準法」、「都市計画法」、「国土利用計画法」、「借地借家法」、「介護保険法」、「公衆浴場法」、「食品衛生法」及び関連法令等による法的規制を受けており、特に「宅地建物取引業法」に関しては当社の主要な事業活動の前提となっています。
当社グループの事業に関係する許認可は下表のとおりであります。当社グループは、法令遵守に留意した事業展開を行っており、現時点において当該許認可が取消しとなる事由は発生しておりませんが、今後において何らかの理由により、当該許認可が取り消される又はこれらの更新が認められない場合には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに、経営成績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、将来において、当社グループの事業に関連する法規制等が改廃された場合や新たな法規制等が設けられた場合には、事業展開において制約要因となる可能性があります。
許認可の名称事業所名許認可番号等/有効期限取消条項
宅地建物取引業
(免許)
和歌山本店国土交通大臣(2)第8520号
自 2018年10月19日
至 2023年10月18日
宅地建物取引業法 第5条
一般建設業
(許可)
和歌山本店国土交通大臣
許可(般-3)第28183号
自 2021年6月18日
至 2026年6月17日
建設業法 第7条・第8条
特定建設業
(許可)
和歌山本店国土交通大臣
許可(特-3)第28183号
自 2021年6月18日
至 2026年6月17日
建設業法 第15条・第17条
一級建築士事務所
(登録)
和歌山本店和歌山県知事登録 第(リ)136-2号
自 2020年7月3日
至 2025年7月2日
建築士法 第23条の4
大阪本社大阪府知事(イ)第26063号
自 2021年4月16日
至 2026年4月15日
賃貸住宅管理業者
(登録)
和歌山本店国土交通大臣(02)第000417号
自 2021年8月13日
至 2026年8月12日
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律
第23条
小規模不動産特定共同事業事業者
(登録)
和歌山本店和歌山県知事(1)第1号
自 2020年9月2日
至 2025年9月1日
不動産特定共同事業法第53条
公衆浴場営業
(許可)
株式会社ウェルネス・コート和歌山県指令海保衛第09190003号
公衆浴場法 第7条
訪問介護営業
(許可)
株式会社ウェルネス・コート
自 2019年8月1日
至 2025年7月31日
介護保険法 第77条
海南市介護予防・日常生活支援総合事業営業
(許可)
株式会社ウェルネス・コート
自 2020年4月1日
至 2023年3月31日
介護保険法 第77条
居宅介護支援営業
(許可)
株式会社ウェルネス・コート
自 2020年7月1日
至 2023年6月30日
介護保険法 第77条
介護予防・訪問看護
(指定)
株式会社ウェルネス・コート
自 2019年1月1日
至 2024年12月31日
介護保険法 第77条
地域密着型通所介護営業(許可)株式会社ウェルネス・コート
自 2016年9月1日
至 2022年8月31日
介護保険法 第77条
飲食店営業
(許可)
株式会社ウェルネス・コート4-21-1-01-003(LIC20210000005169)
自 2021年6月15日
至 2027年6月30日
食品衛生法
第55条及び第56条
損害保険代理店
(登録)
和歌山本店AIG損害保険株式会社
損害保険代理店委託登録番号
21661000579
保険業法第280条
民法第653条


(12)個人情報の管理について
当社グループは、事業活動において顧客等の個人情報を取得しており、また、各種契約に際してはその性質上プライバシー性の高い情報を扱っております。当社グループは、個人情報の取り扱いにかかる社内規程及びマニュアルの整備及び運用を実施すること等により厳正な管理を行っておりますが、不測の事態により情報漏洩が発生した場合、信用低下や企業イメージの毀損、また損害賠償請求等により経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)不動産の引渡時期等による業績の変動について
当社グループの「不動産開発・販売事業」及び「マンション事業」においては、不動産売買契約後において顧客に対する引渡をもって売上を計上する引渡基準を採用しております。
当社グループの四半期業績は、不動産引渡しのタイミングにより売上及び利益が変動しており、大型開発案件の有無や各不動産の完成・引渡しの時期により大きく依存しております。当該要因から、四半期ごとの業績については、必ずしも他の四半期業績と同水準にはならず、また、各四半期業績の偏重度合は過年度のそれと同様にならない可能性があります。
また、当社グループの計画に対して、販売活動や建築工事の遅延等に起因して、引渡時期が各決算期末を超える可能性があり、当社グループの通期経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このほか、完成・引渡し不動産の取得価格や販売価格の高低等により、業績が変動する場合、当社グループの通期経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)有利子負債について
当社グループは、販売用不動産及び賃貸用不動産にかかる不動産取得資金について、主に金融機関借入により賄っております。また、事業成長を目的としてこれら投資を継続していることから、当社グループの連結総資産額に占める有利子負債の割合は、2022年3月期第3四半期連結会計期間末時点で66.7%となっております。
当該状況から、今後、金利の急激な上昇が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、金融情勢の急速な変動等の何らかの理由により将来における十分な資金調達が困難となる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)保有資産の減損について
当社グループの保有資産について、棚卸資産においては販売用不動産(仕掛含む)が、固定資産においては賃貸用不動産が、それぞれ多くを占めております。不動産市況の著しい悪化等によりこれら棚卸資産及び固定資産の価値が下落した場合、評価損の計上や減損処理が適用され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)訴訟等について
当社グループの事業においては、不動産売買や賃貸借、土地開発、設計施工その他の各種取引、飲食や介護等にかかる各種サービス提供について、予期せぬトラブルや問題が生じるリスクがあり、その要因が当社グループに起因するか否かに拘らず、紛争等が発生する可能性があります。また、紛争等に対する対応が不適当であった場合等には、風評を含めた信頼性低下や訴訟に発展する可能性があり、場合によっては多額の費用負担が生じる可能性がある等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)大株主に関するリスク
当社の代表取締役社長である山田茂は、当連結会計年度末現在で発行済株式総数の56.14%を保有しており、同氏の資産管理会社であるウィル・アセット株式会社が保有の9.39%と併せて65.52%を保有しております。同氏は、当社の創業者であり代表取締役社長であることから、引き続き安定株主として一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針ですが、将来的に何らかの事情により同氏の当社株式が売却され議決権比率が低下した場合、当社株式の市場価格及び議決権の行使に影響を及ぼす可能性があります。