有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/09/07 15:00
【資料】
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【項目】
142項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。本項目を含む、本書における当社グループに関連する見通し、計画、目標等の将来に関する記述は、当社グループが現在入手している情報に基づき本書提出日時点における予測等を基礎としてなされたものであり、実際の内容は、記載内容と大きく異なる可能性があります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、企業理念である「CSR&イノベーション」のもと、「クラウド事業及び「HRM&HLプラットフォーム」を通じて人と時間とテクノロジーのより良い関係を求め「働き方改革&健康経営」及び「国民のヘルスアップ」を支援することで社会貢献(CSR)します。」を基本方針として、HRM(Human Resource Management)&HL(ヘルス×ライフ)プラットフォーム分野において、顧客満足度向上を最優先に、人と時間とテクノロジーのより良い関係を求めたソフトウエアパッケージの製造・販売とそのパッケージ機能をインターネット経由でサービス提供する(クラウドサービス)ことで、顧客企業のニーズに応え業績向上に貢献し、「顧客、従業員、株主、取引先、地域社会」の全てのステークホルダーに信頼される企業を目指しております。
また、イノベーション(技術革新)を常に行い、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を図っていくことを経営の基本方針としております。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上・利益の成長、顧客満足度の向上に取り組みながら企業価値の最大化を目指すため、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高営業利益率、クラウドサービスの利用者数(契約ライセンス数)及び当該クラウドサービスの解約率を掲げております。売上増加の重要な要素となるクラウドサービスの利用者数を増加させ、また顧客満足度を向上させることで当該契約に対する解約率の低減を図り、結果として売上高営業利益率の高い成長を目指してまいります。
(3) 中長期的な経営戦略
当社グループは、継続して成長し続けるために、クラウド事業を成長ドライバーにリカーリングレベニューを拡大することを基本戦略とし、以下のとおり、HRM&HLプラットフォームを通じた新たな価値創造を行ってまいります。
①リカーリングレベニューの継続強化
クラウドサービス、プレミアムサポートによるリカーリングレベニューの販売拡大
②「ヘルス×ライフ」機能強化による「勤次郎Enterprise」利用顧客向け新製品・サービスでの顧客獲得
働き方改革ソリューションと健康管理ソリューションデータの統合BigDataの分析とAI(人工知能)活用による新製品・サービスの開発と提供(統合データサービス)
③「ヘルス×ライフ」導入大手企業への統合ERP「勤次郎Enterprise」の後継製品「Universal-K(コードネーム)」展開
④コンシューマービジネス(BtoC)での収益拡大
(4) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
今後の労働市場を展望すると、少子高齢化時代による労働人口の減少が続く中で、各業界とも女性労働者の増加、パートタイマー・派遣社員等の活用、外国人労働者の活用等、労働力確保のための手段は多様化する傾向にあります。一方で、2019年4月の「働き方改革関連法」の施行により、雇用する企業は、労働行政による「サービス残業」、「過重労働」に対する指導強化への対応、長時間労働者への健康指導等、より一層きめ細やかな労務管理が求められております。さらに、人材有効活用、就業情報の有効活用、リアルタイムな人時生産性(従業員1人の1時間当たりの生産性)の追求等、就業管理に付随する機能に対するニーズも増加していくものと考えられます。
また、ヘルスケア分野においては、2015年12月から改正労働安全衛生法によるストレスチェックが義務化されました。上場企業の中から選定・公表される『健康経営銘柄』に加え、新たに大規模法人や中小規模法人に向けては、『健康経営優良法人認定制度』がスタートしております。この「健康経営」は、従業員の健康増進及び活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上につながる新しい企業価値の向上策の一つに取り上げられております。
このような動向を鑑み、当社グループは以下の点を対処すべき課題と認識し、それらの改善に努めながら、今後の事業運営を行っていく方針であります。CSR(企業の社会的責任)と顧客満足度向上は会社の繁栄につながり、ひいては従業員の満足度向上にもつながることから必要不可欠であり、イノベーション(技術革新)力を磨くことにより、コアコンピタンス(競争優位の源泉)の追求と顧客企業の満足度向上につながるよう、課題解決を図ってまいります。
①新製品の開発
当社グループは、統合ERP「勤次郎Enterprise」を中核とするクラウドサービス及びパッケージ販売により顧客企業の拡大を進めております。近年、勤怠管理ソフト市場へ新規参入する企業が増えてきておりますが、当社グループは、「働き方改革&健康経営」のもと、新たなサービス及び製品を顧客企業に提供することで、さらなる成長を果たしていけるものと認識し、統合ERP「勤次郎Enterprise」の後継製品「Universal-K(コードネーム)」の開発を重点課題として取り組んでおります。
「Universal-K(コードネーム)」は、企業経営を支援し、「労働生産性の向上」「ワーク・ライフ・バランスを伴った従業員の健康増進と活力をもって働ける職場づくり」に貢献するため、働き方改革ソリューションと健康管理ソリューションのデータを統合的に活用できるシステムとして、引き続き開発を進めてまいります。
②ヘルスケアシステムの開発
当社グループは、健康管理ソリューションとして「ヘルス×ライフ」を提供しておりますが、2020年3月に「ヘルス×ライフ」を活用した新たなサービスとして「ケリーオンラインサービスサポート」をリリースしております。今後「ヘルス×ライフ」の販売拡大のためには、顧客企業の健康経営と労働生産性向上並びに「BtoC」ビジネスへの展開に向けて、個人の健康管理に資するサービス・機能の強化や新サービスの開発を強化していく必要があると認識しております。従業員の就業・健康データ、日常の活動情報を総合的に分析し、従業員並びに個人の健康管理に活用できるシステム及びサービスの開発を重点課題として取り組んでまいります。
③クラウドサービスのさらなる品質向上
当社グループのクラウドサービスは、自社設備によって提供しております。顧客企業に安心して利用してもらうために高いセキュリティによって顧客企業の個人情報を保護し、かつ設備を安定的に稼働させる必要があります。そのためセキュリティ対策と設備強化が必要と認識しております。ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)及びプライバシーマークの規格に適合するセキュリティ対策を講じるとともに設備投資を行うことで、高品質なサービスの提供に努めてまいります。
④人材の確保と育成
当社グループにおいては、顧客企業の「働き方改革&健康経営」の実現を支援する社会的価値のあるクラウドサービスとパッケージ製品の提供をしており、従業員一人一人が高いモチベーションを維持し、営業・サポート・開発に取り組んでおります。一方では、大きく成長する「働き方改革&健康経営」市場において、当社グループが事業を拡大していくためには人材が最も重要な資源であると認識し、顧客企業のニーズに裏打ちされたサービスと製品を永続的に提供していくための優秀な人材の確保と育成が最重要課題と考えております。優秀な人材の積極的な採用活動と全従業員への集合教育研修及び役員・幹部人材への高度な外部研修を行っておりますが、さらに従業員が能力を最大限に発揮できる環境と職場づくりに努めてまいります。
⑤開発投資・広告宣伝投資等
当社グループの事業のさらなる発展のためには、主力製品である「勤次郎Enterprise」の後継製品「Universal-K(コードネーム)」、「ヘルス×ライフ」の開発・改良のほか、「ヘルス×ライフカルテ」の開発による製品・サービス強化と、顧客創出効果を期待した広告宣伝による販売力強化が必要と認識しております。そのため新サービス・製品の開発投資と広告宣伝投資が必要と考えております。なお、これらの費用は今後の収益のための投資という性質の費用であり、多くは当面の収益には貢献しませんが、早期に回収し収益貢献できるよう、戦略的かつ実効性のある開発投資、広告宣伝を進めてまいります。