有価証券報告書-第5期(2025/07/01-2026/06/30)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果もあり、全体として緩やかな回復基調で推移しました。一方で、緊迫する中東情勢の影響による原油をはじめとする資源価格の動向や、レアアース等の供給不安定化は、景気を下押しする懸念要因となっております。さらに、金融資本市場の変動による影響にも十分留意する必要があり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループが属する建設コンサルタント業界及び地質調査業界の経営環境におきましては、老朽化した社会資本の維持・改修や、激甚化・頻発化する自然災害への対応に加え、建設生産・管理システムの変化や環境への配慮等、建設コンサルタントが果たすべき役割は年々変化・拡大しております。一方で、少子・高齢化等による担い手不足は深刻な課題となっております。
このような環境の下、自然災害への対応や社会資本の老朽化対策等、防災・減災、国土強靭化のための喫緊の課題に対処し、質の高い社会資本ストックを次世代に引き継ぐとともに、持続可能な社会構築を目指すことがより一層求められております。
中期経営計画2026(2023年7月から2026年6月まで)の最終年度となった当連結会計年度におきましては、基本目標として設定した「サステナビリティ社会の実現に向けた対応、DXの推進」、「マーケットリーダーの地位強化・新たなマーケットリーダーの創出」、「多様な働き方の実現と人材価値の最大化」、「持続的成長を実現するためのグループガバナンス体制の強化」に対する諸施策の取り組みを継続し、経営統合の総仕上げを実施してまいりました。これまで、当社連結子会社である大日本ダイヤコンサルタント株式会社において、DXに関する全社的な戦略を構築・推進する社長直轄の部署として、DX戦略推進部を新設したほか、旧大日本コンサルタントと旧ダイヤコンサルタントの融合に向けて、基幹システムの統合や拠点事務所のネットワークの統合等を進めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度における当社グループ全体の業績は、受注高は394億1千9百万円(前連結会計年度比106.0%)、受注残高は214億2千2百万円(同106.8%)、売上高は380億6千4百万円(同102.9%)となりました。一方で利益面におきましては、当社連結子会社である大日本ダイヤコンサルタント株式会社が実施した複数の橋梁耐震補強設計業務において、期末に設計の一部に誤りが判明し、完成業務補償引当金繰入額を計上したため、営業利益は14億6千5百万円(同54.0%)、経常利益は14億5千7百万円(同53.8%)、最終の親会社株主に帰属する当期純利益は9億4千5百万円(同49.2%)となり、前連結会計年度に比べ増収減益となりました。また、当社グループは継続的に企業価値の向上を図るため、株主資本利益率(ROE)10%以上を安定的に達成できることを目標に掲げておりますが、当連結会計年度におきましては、株主資本利益率(ROE)は5.8%となり、目標を達成することができませんでした。
なお、当社グループのセグメントは、総合建設コンサルタント事業のみの単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べて22億8千1百万円増加(前連結会計年度は14億7千5百万円増加)し、278億3千6百万円(前連結会計年度は255億5千4百万円)となりました。主な変動は、受取手形及び売掛金の増加8億4百万円、投資有価証券の増加3億1百万円、退職給付に係る資産の増加18億2千8百万円、現金及び預金の減少2億9千3百万円、契約資産の減少1億6千1百万円であります。
負債合計は、前連結会計年度末と比べて6億1千4百万円増加(前連結会計年度は5億3千7百万円減少)し、106億7千万円(前連結会計年度は100億5千5百万円)となりました。主な内容は、完成業務補償引当金の増加7億8千6百万円、繰延税金負債の増加4億4千8百万円、業務未払金の減少3億円、未払法人税等の減少1億7百万円、長期借入金の減少2億3千4百万円であります。
純資産合計は、前連結会計年度末と比べて16億6千7百万円増加(前連結会計年度は20億1千2百万円増加)し、171億6千5百万円(前連結会計年度は154億9千8百万円)となりました。主な変動は、剰余金の配当6億5千2百万円、親会社株主に帰属する当期純利益9億4千5百万円、その他有価証券評価差額金の増加2億1千7百万円、退職給付に係る調整累計額の増加10億8千5百万円によるものであります。
これらの結果、当社グループの自己資本比率は61.7%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて2億9千3百万円減少し、26億5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動におけるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金純額は、10億3千2百万円(前連結会計年度は獲得した資金30億2千9百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益14億5千2百万円に、減価償却費4億5千2百万円の非資金費用のほか、売上債権の増加額8億2百万円、契約資産の減少額1億6千1百万円、仕入債務の減少額3億円、契約負債の減少額9千3百万円、法人税等の支払額7億8千万円によるものであります。
(投資活動におけるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金純額は、2億5千9百万円(前連結会計年度は使用した資金5億6百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3億7百万円、無形固定資産の取得による支出4千4百万円によるものであります。
(財務活動におけるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金純額は、10億7千3百万円(前連結会計年度は使用した資金17億4千万円)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出3億3千2百万円、配当金の支払額6億5千1百万円によるものであります。
当社グループの運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金及び銀行借入による調達で賄っております。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、単一の報告セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績につきましては、事業別に記載しております。
イ.生産実績
当社グループでは「生産実績」を定義することが困難なため、「生産実績」は記載しておりません。
ロ.受注実績
当連結会計年度の受注状況を事業別に示すと、次のとおりであります。
| 事業別 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| 建設コンサルタント事業 | 34,348,345 | 104.8 | 19,259,038 | 105.4 |
| 地質調査事業 | 5,071,044 | 114.5 | 2,163,575 | 120.3 |
| 合計 | 39,419,389 | 106.0 | 21,422,614 | 106.8 |
(注) 数量につきましては、業種の特殊性から把握が困難なため記載を省略しております。
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。
| 事業別 | 売上高(千円) | 前年同期比(%) |
| 建設コンサルタント事業 | 33,358,645 | 103.9 |
| 地質調査事業 | 4,705,629 | 96.8 |
| 合計 | 38,064,274 | 102.9 |
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) | 当連結会計年度 (自 2025年7月1日 至 2026年6月30日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 国土交通省 | 12,000,663 | 32.5 | 11,919,754 | 31.3 |
(2) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態及び経営成績に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。
② 経営成績等の状況の分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照ください。
③ 財政状態の状況の分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、成長投資に必要な資金は、事業で生み出す営業キャッシュ・フロー及び手許流動性資金で賄うことを基本とし、それを超える投資規模の場合には、金融市場及び資本市場から調達することも選択肢の一つとし、成長への機会損失とならないよう堅実かつ柔軟な資金調達を行う方針であります。
また、事業の特性上、業務代金の回収時期が3月から5月に集中する傾向があるため、資金需要に応じて運転資金の一部を金融機関からの短期借入金で賄っております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
国内の公共事業を取り巻く環境は堅調に推移していくものと考えられ、今後におきましても一定の受注高、売上高を確保できるものと判断しております。
このような状況の中、新たにスタートする「中期経営計画2029(2026年7月から2029年6月まで)」の初年度となる2027年6月期におきましては、当連結会計年度に判明した連結子会社におけるコンプライアンス違反事案を厳粛に受け止め、全社の最優先課題として再発防止と内部統制の立て直しを図り、基本目標の第一に掲げた「持続的成長を実現するためのグループガバナンスの高度化」に取り組みます。あわせて、「多様な働き方の実現と人材価値の最大化」、「マーケットリーダーの地位強化・新たなマーケットリーダーの創出」、「SXを通じたサステナビリティ社会実現への貢献」に対する諸施策を推進してまいります。具体的には、既存のコア事業を基盤としつつ、2025年2月に策定され、原子力を最大限活用していく方針が示された「エネルギー基本計画」に沿った原子力発電所及び核燃料サイクル関連施設の地質・地盤調査、2022年12月に閣議決定された「防衛力整備計画」に沿った自衛隊施設(建物等)の耐震化・老朽化対策等の計画・設計、さらにはデータセンター建設等に伴う民間アセスメント需要等を成長分野と位置付け、経営資源を重点的に配分することによって受注高、売上高の拡大を見込みます。これらに加えて、脱炭素社会の実現に向けたエネルギー関連事業(洋上風力発電等)や事業マネジメントを成長させるとともに、デジタル技術を活用した業務自動化等の「守りのDX」から、継続的収益を生むSaaSモデル・ストック型ビジネス等の「攻めのDX」への転換を図ることで当社グループの事業領域を広げ、企業理念である「大地と空間、人と社会の可能性を引き出し、未来を拓く」の実現を目指します。