有価証券報告書-第13期(2025/04/01-2026/03/31)
3.戦略
(1)シナリオ分析の進捗
当社グループでは、気候変動が事業活動に与える影響を適切に把握し、事業の持続可能性を確保するとともに、持続可能な社会の実現に貢献するため、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づき、シナリオ分析を実施しています。直近の分析は2025年度に実施し、原則3年ごとに見直しを行う方針です。シナリオ分析では、異なる気候変動の進行状況を想定した複数のシナリオを採用し、当社グループ全体のバリューチェーンを対象に、2030年(中期)、2050年(長期)を前提として実施しました。なお、当社グループでは、以下の2つのシナリオを用いて分析を行いました。
(1.5℃シナリオ)
気温上昇を1.5℃以内に抑えるための厳格な脱炭素政策や技術革新が進展する世界を想定。
・SSP1-1.9:持続可能な発展を基盤とし、産業革命以前から2100年にかけての気温上昇を1.5℃以内に抑えるための気候政策を導入し、2050年にカーボンニュートラルを実現するシナリオ。
・NZE(Net Zero Emissions by 2050 Scenario):地球の気温上昇を1.5℃に抑え、エネルギー関連の持続可能な開発目標を達成するためのシナリオ。
(4℃シナリオ)
気候変動対策が不十分であり、気温上昇が4℃に達する世界を想定。
・SSP5-8.5:化石燃料依存の経済発展を続け、気候政策が導入されず、2100年に気温上昇が4℃以上となるシナリオ。
・STEPS(Stated Policies Scenario):2021年までに発表された各国の政策公約に基づき、エネルギー起因の排出量が一部減少するものの、産業由来の排出量が増加し、排出量が現行水準にとどまるシナリオ。
(発生時期の定義)
・短期:1~2年(年次の事業計画サイクル)
・中期:3~5年(中期経営計画の対象期間、SBT Near-term目標に概ね対応)
・長期:6年以上(2040年カーボンニュートラル目標、2050年ネットゼロ目標に向けた対応)
(財務影響度の定義)
・影響度 大:重要な追加投資を要する可能性がある水準
・影響度 中:既存の対応策の範囲内で管理可能だが、継続的な注視が必要な水準
・影響度 小:事業への影響が限定的な水準
当社グループはヘルスケア・ライフサイエンス領域の事業を通じて、気候変動に伴う機会は以下の観点から事業成長に寄与する可能性があると認識しています。
・環境配慮型製品の競争力強化:省エネ性能の高い医療機器・分析機器は、特に環境規制の厳しい欧州市場において顧客の選定基準として重要性が高まっており、製品差別化の要素となっています。
・操業効率の改善:省エネ投資やエネルギーマネジメントの高度化は、GHG削減と同時にコスト競争力の強化にも寄与します。
当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を適切に管理し、中長期的に事業の持続可能性を確保するとともに、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。2026年度より実施するマテリアリティの見直しを踏まえ、シナリオ分析の前提条件及び財務影響評価の精緻化、気候変動リスクの全社リスク管理への統合、並びに経営戦略との連動の強化を進めていく方針です。また、同年度に新設した環境分科会を通じて、気候関連施策のモニタリングと対応策の実効性向上を図ってまいります。
当社グループの気候変動への取り組みの詳細は当社ウェブサイトをご参照ください。
https://www.phchd.com/jp/sustainability/environment/climate
(1)シナリオ分析の進捗
当社グループでは、気候変動が事業活動に与える影響を適切に把握し、事業の持続可能性を確保するとともに、持続可能な社会の実現に貢献するため、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づき、シナリオ分析を実施しています。直近の分析は2025年度に実施し、原則3年ごとに見直しを行う方針です。シナリオ分析では、異なる気候変動の進行状況を想定した複数のシナリオを採用し、当社グループ全体のバリューチェーンを対象に、2030年(中期)、2050年(長期)を前提として実施しました。なお、当社グループでは、以下の2つのシナリオを用いて分析を行いました。
(1.5℃シナリオ)
気温上昇を1.5℃以内に抑えるための厳格な脱炭素政策や技術革新が進展する世界を想定。
・SSP1-1.9:持続可能な発展を基盤とし、産業革命以前から2100年にかけての気温上昇を1.5℃以内に抑えるための気候政策を導入し、2050年にカーボンニュートラルを実現するシナリオ。
・NZE(Net Zero Emissions by 2050 Scenario):地球の気温上昇を1.5℃に抑え、エネルギー関連の持続可能な開発目標を達成するためのシナリオ。
(4℃シナリオ)
気候変動対策が不十分であり、気温上昇が4℃に達する世界を想定。
・SSP5-8.5:化石燃料依存の経済発展を続け、気候政策が導入されず、2100年に気温上昇が4℃以上となるシナリオ。
・STEPS(Stated Policies Scenario):2021年までに発表された各国の政策公約に基づき、エネルギー起因の排出量が一部減少するものの、産業由来の排出量が増加し、排出量が現行水準にとどまるシナリオ。
(発生時期の定義)
・短期:1~2年(年次の事業計画サイクル)
・中期:3~5年(中期経営計画の対象期間、SBT Near-term目標に概ね対応)
・長期:6年以上(2040年カーボンニュートラル目標、2050年ネットゼロ目標に向けた対応)
(財務影響度の定義)
・影響度 大:重要な追加投資を要する可能性がある水準
・影響度 中:既存の対応策の範囲内で管理可能だが、継続的な注視が必要な水準
・影響度 小:事業への影響が限定的な水準
| 移行リスク | 発生時期 | 1.5℃ | 4℃ | 対応策 | |
| 政策・法規制 | 炭素税による製造コスト増加 | 中期 | 大 | 小 | SBT目標達成ロードマップの実行(Scope 1+2削減施策の推進、再生可能エネルギー導入、省エネ投資の優先順位付け、拠点別排出量・コスト影響の把握) |
| 脱炭素施策(省エネ製品開発等)への取り組み施策による設備投資コスト増加 | 中期 | 大 | 小 | ||
| 技術 | 新たな技術を取り入れるためのR&Dコスト/設備投資コスト増加 | 中期~長期 | 中 | 小 | LCA(CFP)・製品別GHGデータの把握、省エネ性能の製品開発 |
| 市場 | 脱炭素移行が遅れた際の自社製品の売上減少 | 短期~中期 | 中 | 小 | 顧客からのGHG・人権・環境データ要請への対応体制整備、セールス部門との連携強化 |
| 評判 | 気候変動対策が不十分なことによる顧客・投資家からの評判低下 | 短期~中期 | 大 | 小 | 開示高度化、SBT認証取得後の進捗管理、外部評価結果を踏まえた改善アクションの継続 |
| 物理リスク | 発生時期 | 1.5℃ | 4℃ | 対応策 | |
| 慢性 | 高温日の増加による労働環境の悪化に伴った生産効率低下 | 短期~中期 | 小 | 大 | 労働安全衛生対策、空調・作業環境改善、BCP強化 |
| 急性 | 自然災害による工場の生産停止や、サプライチェーン分断に伴う原料調達先変更・コスト増 | 中期~長期 | 中 | 大 | サプライチェーン管理の強化、BCP強化 |
| 高温下での大規模な感染症発生リスクの高まり等による、発症地点からの原料供給停止や自社工場の稼働停止 | 中期~長期 | 小 | 大 | パンデミック対応を含むBCP強化、在宅・遠隔対応を含む業務継続体制の整備 | |
| 機会 | 発生時期 | 1.5℃ | 4℃ | 対応策 | |
| 製品・サービス | 自社の環境配慮製品への需要増による売り上げ拡大 | 中期~長期 | 中 | 小 | 省エネ性能・環境負荷低減を製品価値として整理、顧客向け説明資料への反映、製品別環境データの整備、外部認証の取得 |
| 市場 | 環境対応が評価され、欧州・米国を中心に顧客からの選定機会が増加 | 短期~中期 | 中 | 小 | ESG評価・開示の継続的改善、顧客の環境要件への対応力強化、営業部門との連携による環境価値の訴求 |
| 資源の効率性 | 省エネ・廃棄物削減・資源効率改善によりコストが低減 | 短期~中期 | 中 | 小 | 拠点別の省エネ活動推進、エネルギーマネジメントの高度化、廃棄物削減施策の推進 |
| 強靭性 | レジリエンス強化による販売量維持・増加 | 中期~長期 | 中 | 中 | BCP強化、主要拠点・サプライチェーンのリスク評価と対応 |
| 評判・資本市場 | 気候変動対応・ESG開示の高度化により、投資家・顧客からの信頼が向上 | 短期~中期 | 中 | 中 | SBT進捗の継続開示、ESG評価機関への対応強化、投資家エンゲージメントの充実 |
当社グループはヘルスケア・ライフサイエンス領域の事業を通じて、気候変動に伴う機会は以下の観点から事業成長に寄与する可能性があると認識しています。
・環境配慮型製品の競争力強化:省エネ性能の高い医療機器・分析機器は、特に環境規制の厳しい欧州市場において顧客の選定基準として重要性が高まっており、製品差別化の要素となっています。
・操業効率の改善:省エネ投資やエネルギーマネジメントの高度化は、GHG削減と同時にコスト競争力の強化にも寄与します。
当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を適切に管理し、中長期的に事業の持続可能性を確保するとともに、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進してまいります。2026年度より実施するマテリアリティの見直しを踏まえ、シナリオ分析の前提条件及び財務影響評価の精緻化、気候変動リスクの全社リスク管理への統合、並びに経営戦略との連動の強化を進めていく方針です。また、同年度に新設した環境分科会を通じて、気候関連施策のモニタリングと対応策の実効性向上を図ってまいります。
当社グループの気候変動への取り組みの詳細は当社ウェブサイトをご参照ください。
https://www.phchd.com/jp/sustainability/environment/climate