有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/11/19 15:00
【資料】
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【項目】
143項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「想像以上を、みつけよう。」をコーポレートメッセージとして、ライフスタイル領域において、ユーザー“一人ひとり”の行動を支援するための「行動支援サービス事業」を展開し、世の中の課題解決の実現を目指しております。
(2) 経営戦略等
当社グループは以下を経営戦略とし、提供価値と事業収益の拡大を図っております。
a 行動支援サービス事業(既存領域)の強化拡大
主要サービスである「ニフティ不動産」をはじめとした既存領域において、新たな付加価値を創出し、支援領域とユーザー基盤の拡大を目指してまいります。
①行動支援プラットフォームサービス
主要サービスである「ニフティ不動産」においては大手不動産ポータルとの連携強化、拡大に加え、「引越し」や住宅所有者向けに「リフォーム」「売却」等の提案を行うことにより、「住まい探し」周辺領域へ新たにサービスを広げユーザー及び事業収益の拡大を目指します。
「ニフティ求人」においては、既存の主要領域である「アルバイト」領域に加え、「転職」領域の展開強化により、ユーザー及び事業収益の拡大を図ります。
「ニフティ温泉」においては、既存の主要モデルである「クーポン」での成果報酬型収益に加え、「サンプリング(試供品)」等での広告宣伝型の収益拡大を図ります。
②行動支援ソリューションサービス
「DFO」については、従来の大手・個別中心のクライアント獲得に加え、中小ECサイトや求人企業へもターゲットを拡大し、クライアント及び事業収益の拡大を図ります。
「オンライン内見」については、「ニフティ不動産」による物件情報を起点とした家探しの利便性に加え、オンラインで内見や相談をすることのスタンダード化を図り、新たな「住まいの探し方」の提案を行い、ユーザーの利便性やクライアント収益の拡大を行う予定です。
また、ツール導入の付加価値として、当社グループのアセットである「行動支援プラットフォームサービス」を活用した集客支援も拡大してまいります。
b 新たな領域への展開
新たなライフスタイル領域(EC、結婚、子育て、終活、教育、金融、飲食等)の検討を行い、行動支援サービスの積極的な領域展開を目指します。
当社グループでは、ライフスタイルの新たなニーズを「創る」ことで、これまでのビジネス領域やスキームにとどまることなく、さらなる成長を目指します。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、高い成長性及び企業価値の向上を経営上の重要課題と認識しており、成長性については売上高を、企業価値の向上については営業利益を重視しております。
また、当社グループの売上高を構成する指標はサービス別に下記のとおりであり、行動支援プラットフォームサービスにおいてはユーザー数を、行動支援ソリューションサービスにおいてはクライアント数を重視しております。
行動支援プラットフォームサービス 売上高 = ユーザ―数 × 送客率 × 単価
行動支援ソリューションサービス 売上高 = クライアント数 × 単価
(4) 経営環境
我が国の経済は、政府の各種政策効果の下支えもあり緩やかな回復が続いておりましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、今後の国内外の景気については先行き不透明な状況が続いております。
当社グループは、企業と生活者を結ぶプラットフォームサービスを主軸に運営しており、クライアント企業より、マーケティング支援費用として課金報酬を得ております。これらを内包するものとしてインターネット広告業界の市場規模・市況について記載いたします。
株式会社電通が2021年2月にリリースした「日本の広告費」によると、2020年の広告市場は前年比11.2%減の6兆1,594億円と推計され、2011年以来9年ぶりのマイナス成長となりました。一方で、インターネット広告市場は、前年比5.9%増の2兆2,290億円と、1996年の推定開始以来、一貫して成長を維持しております。
日本国内のGDPが減速する中でも、インターネット広告費への支出は増加を続けており、2019年にテレビメディア広告費を超えて初めて2兆円超えとなりました。デジタルトランスフォーメーションがさらに進み、デジタルを起点にした既存メディアとの統合ソリューションも進化し、2019年は広告業界の転換点となりました。
また、2021年のインターネット広告媒体費総額は昨年から続く新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で見通しづらいものの、前年比7.7%増の1兆8,912億円まで拡大し、継続した成長が続くと予測されております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
インターネット市場は、技術進歩が非常に速く、マーケティング手法やサービス形態は日々進化しております。上記の環境を踏まえ、当社グループは、以下の事項を主要な課題として認識し、事業展開を図る方針であります。
① 行動支援サービス事業の拡大
当社は、ライフスタイル領域において、企業と生活者を結び対価を得る「行動支援プラットフォームサービス」を中心に展開を行うとともに、企業に対する業務支援を行う「行動支援ソリューションサービス」の強化を行っております。
主力の「ニフティ不動産」を中心とした行動支援プラットフォームサービスにおいては、膨大な企業側情報やオリジナル情報を提供するとともに、アプリの展開やユーザーデータに基づく提案を強化することで、ユーザー数や問合せ数・応募数を拡大し、利便性を高めることが、ビジネスの拡大に必要不可欠であると考え、今後もサービスの改善と強化を継続して行ってまいります。
また、「DFO」や「オンライン内見」を含む行動支援ソリューションサービスにおいては、企業向けツールの提供や業務改善支援を行うとともに、付加価値として行動支援プラットフォームサービスとの連携による集客支援を提供することで、導入クライアント数を拡大し、収益増を目指してまいります。
今後のさらなる成長に向けては、業務提携や新サービスの開発等、新領域への積極的な展開を行っていく予定です。
② ユーザー志向の強化
当社のユーザーに対し、サービスの利用情報をもとに、ユーザーニーズに対する、さらなるマッチング精度の向上を実施する予定です。また、ニーズにあわせた新規商材の取り込み、ユーザー特典の展開、サポートやマーケティングのノウハウを活かした積極的コミュニケーションも行ってまいります。
③ システムの安定性の確保
当社のサービスはウェブ上で運営されており、快適な状態でユーザーにサービスを提供するためにはシステムを安定的に稼働させ、問題が発生した場合には適時に解決する必要があると認識しております。
そのため、システムを安定的に稼働させるための人員確保及びシステムリソース拡充に努めてまいります。
④ 情報管理体制の強化
当社は、ユーザーの個人情報やサービスの利用情報を預かっており、その情報管理を強化徹底することは、不可欠であると認識しております。
そのため、方針や規程の制定、社内教育やシステム整備を継続して行ってまいります。
⑤ 人材の確保及び育成
当社は、より一層の事業拡大のため、人材の確保及び育成を重要な課題と認識しております。当社の方針と一致する優秀な人材を確保し、当社の継続的な成長を支える人材を育成すべく採用活動及び研修活動を強化してまいります。
⑥ サービス及び自社の認知度向上
より多くのユーザーに当社サービスを利用していただくためには、ブランド認知の向上による新規ユーザーの獲得が必要であると考えております。また、事業の拡大に向けては、業務提携等による新規取引先との協業の拡大も必要であると考えております。
そのため、サービス及び自社の認知度向上やブランディング強化によって、より多くのユーザーの獲得とクライアントからの信頼向上を実現し、成長基盤の強化を目指しております。
⑦ 収益源の多様化
当社グループでは、行動支援プラットフォームサービスの主要サービスである「ニフティ不動産」の売上依存度が高くなっております。より安定した成長の実現のためには、「ニフティ不動産」以外の行動支援プラットフォームサービスや行動支援ソリューションサービスの領域拡大と売上分散によるリスクヘッジ等の対応が重要であると考えております。