訂正有価証券届出書(新規公開時)

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2022/12/07 17:00
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3.重要な会計方針
連結財務諸表の作成において当社グループが採用した重要な会計方針は以下のとおりであります。会計方針は、連結財務諸表に表示されているすべての期間において、IFRSの新設又は改訂に伴う影響を除き、首尾一貫して適用しております。
(1) 連結の基礎
当社は、ケイマン諸島籍の法人であるAnyMind Group Limited(以下、「AHC」という。)の完全子会社として、2019年12月26日に設立されました。当社の設立当時、AHCを最終親会社とする当該企業グループは、AHC設立時よりIFRSを適用し、同社を報告企業とするIFRSに基づく連結財務諸表を作成していました。その後、当社グループは、2020年5月15日にグループ組織再編成を実施した結果、当社が当該企業グループの最終親会社及び報告企業となり、IFRSに基づく連結財務諸表を作成しております。
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。当社グループは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、当該企業に対するパワーによりそのリターンに影響を及ぼす能力を有している場合には、当社グループは投資先を支配していると判断し、子会社に含めております。通常、投資先企業の議決権の過半数を所有することで、投資先を支配することとなります。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失した日までの間、連結財務諸表に含めております。当社と子会社の期末日が異なる場合、当該子会社は連結財務諸表の作成目的で、別途当社グループの決算日と同日の財務諸表を作成しております。当社及び子会社は、類似の状況における同様の取引及び事象に関し、統一した会計方針を用いて作成しております。当社グループ内の債権債務残高、取引高並びに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
子会社に対する持分の変動については、支配が継続する場合には、資本取引として会計処理し、非支配持分の修正額と対価の公正価値との差額は、当社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識しております。
支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得又は損失は純損益として認識しております。
子会社の非支配持分は、当社グループの持分とは別個に識別しております。子会社の損益及びその他の包括利益の各構成要素については、非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者と非支配持分に帰属させております。
(2) 企業結合
IFRS第3号「企業結合」に基づき、取得法を用いて会計処理しております。企業結合において移転した対価は公正価値で測定しております。当該公正価値は当社グループが移転した資産、当社グループに発生した被取得企業の旧所有者に対する負債及び当社グループが発行した資本性金融商品の企業結合日における公正価値の合計額として計算しております。
取得関連コストは、企業結合を行うために取得企業において発生した費用であり、仲介者手数料、助言、法律、会計、評価など専門家に支払う費用又はコンサルティング費用、内部の買収部門の維持コストなどの一般管理費、負債性証券及び資本性証券の発行登録費用を含みます。取得関連コストは、負債性証券又は資本性証券の発行費用を除き、サービスの提供を受け、これらの費用が発生した期間において費用処理しております。
企業結合が発生した期末日までに企業結合の当初の会計処理が完了しない場合、未完了の項目については暫定的な金額で報告しております。それらが判明していた場合には取得日に認識された金額に影響を与えたと考えられる、取得日に存在していた事実や状況に関して得た新しい情報を反映するために、暫定的な金額を測定期間(最長で1年間)の間に遡及的に修正しております。
取得日において識別可能な資産及び負債は、以下を除き、取得日における公正価値で測定しております。
・IAS第12号「法人所得税」に従って測定される繰延税金資産又は繰延税金負債
・IAS第19号「従業員給付」に従って測定される従業員給付契約に関連する資産又は負債
・IFRS第2号「株式に基づく報酬」に従って測定される被取得企業の株式報酬契約に関する負債
移転した企業結合の対価、被取得企業の非支配持分の金額及び以前に保有していた被取得企業の持分の取得日における公正価値との合計額が、識別可能な資産及び負債の公正価値の純額を超過する場合は、連結財政状態計算書においてのれんとして計上しております。反対に下回る場合には、直ちに連結損益計算書において純損益として計上しております。当社グループは、非支配持分を公正価値で測定するか、又は認識した識別可能な純資産に対する非支配持分の比例割合で測定するかについて、個々の企業結合取引毎に選択しております。
支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しております。非支配持分の修正額と支払対価又は受取対価の公正価値との差額を、資本剰余金に直接認識しており、当該取引からのれんは認識しておりません。
共通支配下における企業結合取引、すなわち、全ての結合企業又は結合事業が最終的に企業結合の前後で同じ当事者によって支配され、その支配が一時的ではない企業結合取引については、帳簿価額に基づき会計処理しております。結合による対価が被結合企業の資産及び負債の帳簿価額と異なる場合は、資本剰余金で調整しております。
(3) 外貨換算
① 機能通貨及び表示通貨
当社グループの各企業の財務諸表は、それぞれの機能通貨で作成しております。当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示しております。
② 外貨建取引
外貨建取引は、取引日における為替レートで当社グループ各社の機能通貨に換算しております。期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に換算しております。公正価値で測定される外貨建非貨幣性資産及び負債は、公正価値の測定日における為替レートで機能通貨に換算しております。
これら取引の決済から生じる為替差額並びに外貨建貨幣性資産及び負債を期末日の為替レートで換算することによって生じる為替差額は、純損益で認識しております。
③ 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レート、収益及び費用については、その期間の平均為替レートを用いて日本円に換算しております。但し、当該平均為替レートが取引日における為替レートの累積的影響の合理的な概算値といえない場合には、取引日の為替レートで換算しております。
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額は、その他の包括利益で認識しております。在外営業活動体の持分全体の処分及び支配又は重要な影響力の喪失を伴う持分の一部処分につき、当該換算差額は、処分損益の一部として純損益に振り替えております。
(4) 金融商品
① 金融資産
金融資産は、当社グループが当該金融商品の契約当事者となった日に当初認識しております。また、通常方法により購入した金融資産については、取引日基準を適用しております。その他の金融資産は、契約条項の当事者となった日(取引日基準)に当初認識しております。当初認識時において、金融資産は償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
すべての金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定される区分に分類される場合を除き、公正価値に、直接関連する取引コストを加算した金額で当初測定しております。
(a) 償却原価で測定する金融資産
以下の要件をともに満たす金融資産を、償却原価で測定する金融資産として分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために金融資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産について、当初認識後は実効金利法による償却原価で測定しております。
(b) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
以下の要件をともに満たす場合、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する(FVTOCI)負債性金融資産に分類しております。
・契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の双方によって目的が達成される事業モデルに基づいて、金融
資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定
の日に生じる。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る公正価値の変動額は、減損利得又は減損損失及び為替差損益を除き、当該金融資産の認識の中止が行われるまで、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識の中止が行われる場合、過去に認識したその他の包括利益は純損益に振り替えております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
資本性金融資産については、当初認識時に公正価値で測定し、その変動を純損益ではなくその他の包括利益で認識するという取消不能な選択を行っている場合に、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する(FVTOCI)資本性金融資産に分類しております。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産に係る公正価値の変動額は、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識の中止が行われる場合、又は公正価値が著しく下落した場合、過去に認識したその他の包括利益は利益剰余金に直接振り替えております。なお、当該金融資産からの配当金については純損益として認識しております。
(c) 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する(FVTPL)金融資産に分類しております。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産については、当初認識後は公正価値で測定し、その変動を純損益で認識しております。
(d) 金融資産の減損
当社グループは、償却原価又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定される負債性金融資産の減損の認識にあたって、期末日毎に対象となる金融資産又は金融資産グループに当初認識時点からの信用リスクが著しく増大したかどうかに基づき評価しております。当初認識時点から信用リスクが著しく増大していない場合には、12ヶ月の予想信用損失を損失評価引当金として認識しております。一方、当初認識時点から信用リスクの著しい増大があった場合には、残存期間にわたる予想信用損失を損失評価引当金として認識しております。信用リスクが著しく増大しているか否かは、デフォルトリスクの変化に基づいて判断しております。
当社グループの通常の取引より生じる営業債権については、残存期間にわたる予想信用損失を損失評価引当金として認識しております。予想信用損失は、契約に従って企業に支払われるべき契約上のキャッシュ・フローと、企業が受け取ると見込んでいるキャッシュ・フローとの差額を現在価値として測定しております。
当社グループは、ある金融資産の全体又は一部分を回収するという合理的な予想を有していない場合には、金融資産の総額での帳簿価額を直接減額しております。
(e) 認識の中止
当社グループは、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が失効した場合、又は、当該金融資産の所有に係るリスク及び便益を実質的にすべて移転する取引において、金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を移転する場合に、当該金融資産の認識を中止しております。
② 金融負債
金融負債は、取引日に当初認識し、当該金融負債の当初認識時点において、償却原価で測定する金融負債と純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しております。 すべての金融負債は、純損益を通じて公正価値で測定される区分に分類される場合を除き、公正価値から直接起因する取引コストを控除した金額で測定しております。
(a) 償却原価で測定する金融負債
当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しております。
(b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
当社グループが発行している優先株式は、注記「20.その他の金融負債」に記載の優先株式の各権利内容等に照らして、本優先株式の全てを、IFRS上、金融負債に分類しております。各種優先株式は、各権利内容等から、組込デリバティブを含んでおり、当社グループは、IFRS上、組込デリバティブを含む混合契約全体を、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債として指定しております。当初認識後、報告日において、公正価値で測定し、公正価値の変動は純損益として認識しております。なお、公正価値の変動の内、信用リスクの変動に起因する金額は、その他の包括利益として認識しております。
(c) 認識の中止
金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消、又は失効となった場合に、金融負債の認識を中止しております。
③ 金融商品の相殺
金融資産及び金融負債は、当社グループが残高を相殺する法的権利を有し、かつ純額で決済するか又は資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合にのみ、連結財政状態計算書上で相殺し、純額で表示しております。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で測定しております。取得原価は、主として先入先出法に基づいて算定されており、購入原価、加工費、及び棚卸資産の現在の場所と状態に至るまでに発生したすべての費用を含んでおります。正味実現可能価額は通常の事業過程における見積売価から完成までに要する見積原価及び見積販売費用を控除して算定しております。
(7) 有形固定資産
有形固定資産の測定には原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しております。取得原価には、資産の取得に直接付随する費用、将来の解体、除去及び設置場所の原状回復費用を含めております。減価償却費は、償却可能価額を各構成要素の見積耐用年数にわたって、定額法により算定しております。償却可能価額は、資産の取得価額から残存価額を控除して算出しております。
主要な資産項目ごとの見積耐用年数は、以下のとおりです。
・建物附属設備2年~10年
・器具備品2年~5年
・その他2年~10年

なお、減価償却方法、見積耐用年数及び残存価額は、連結会計年度末日毎に見直しを行い、従前の見積りと異なる場合には、これを変更しております。なお、当該変更は、会計上の見積りの変更として会計処理しております。
(8) のれん及び無形資産
① のれん
当初認識時におけるのれんの測定方法は、注記「3.重要な会計方針 (2) 」に記載しております。当初認識後ののれんについては、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で計上しております。のれんの償却は行わず、連結会計年度末日及び減損の兆候を識別した時に、減損テストを実施しております。減損損失の測定方法は「3.重要な会計方針 (10)」に記載しております。
② 無形資産
無形資産は、原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。
企業結合により取得した無形資産は、当初認識時にのれんとは区分して認識し、取得日の公正価値で測定しております。
耐用年数を確定できる無形資産は、それぞれの見積耐用年数にわたって定額法により償却しております。耐用年数を確定できない無形資産は償却を行わず、耐用年数が明らかになるまで連結会計年度末日に減損テストを行っております。減損損失の測定方法は「3.重要な会計方針 (10)」に記載しております。
主要な資産項目ごとの見積耐用年数は、以下のとおりです。
・ソフトウエア5年
・顧客関連資産5年~10年
・その他5年~10年

なお、減価償却方法及び見積耐用年数は、連結会計年度末日毎に見直しを行い、必要に応じて見積りを変更しております。
③ 研究開発費
研究関連支出は、発生時に費用認識しております。開発関連支出は、IAS第38号「無形資産」における資産計上の要件を満たす開発費用を除き、その支出額はすべて発生した期の費用として認識しております。なお、研究関連支出と開発関連支出が明確に区分できない場合には、研究関連支出として発生時に費用認識しております。
(9) リース
借手としてのリース
当社グループは、主として、不動産にかかるリースをしております。当社グループの不動産リースの一部の契約には延長オプション及び解約オプションが含まれております。延長オプションは、リース期間が延長されることが合理的に確実な場合に限り、リース期間に含めております。
契約の開始時に、契約がリースであるか又は契約にリースが含まれているかについて、契約の実質に基づき判断しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該取引はリースとしております。
リースは、リース資産が当社グループによって利用可能となる時点で、使用権資産及び対応する負債として認識されます。各リース料の支払は、負債の返済分と財務費用に配分されます。財務費用は、各期間において負債残高に対して一定の期間利子率となるように、リース期間にわたり損益として費用処理しております。使用権資産は、資産の耐用年数及びリース期間のいずれか短い方の期間にわたり定額法で減価償却をしております。
リースから生じる資産及び負債は、現在価値で当初測定しております。リース負債は、以下のリース料の正味現在価値を含みます。
・固定リース料から受け取ったリース・インセンティブを控除した金額
・変動リース料のうち、指数又はレートに応じて決まる金額
・残価保証に基づいて借手が支払うと見込まれる金額
・購入オプションを借手が行使することが合理的に確実である場合の当該オプションの行使価格
・リースの解約に対するペナルティの支払額(リース期間が借手によるリース解約オプションの行使を反映している場合)
リース料は、リースの計算利子率(当該利子率が容易に算定できる場合)又は当社グループの追加借入利子率を用いて割り引いております。
使用権資産は、以下で構成される取得原価で測定しております。
・リース負債の当初測定の金額
・開始日以前に支払ったリース料から受け取ったリース・インセンティブを控除した金額
・当初直接コスト
・原状回復費用
短期リース及び少額資産のリースに関連するリース料は、定額法に基づき、費用として認識されます。短期リースとは、リース期間が12ヶ月以内のリースです。少額資産は、例えば、少額の事務所備品などの資産で構成されます。
リース負債の金額や期間等の見直しは、契約内容の変更時に都度見直しを行っております。
リース負債が再測定された場合には、リース負債の再測定の金額を使用権資産の修正として認識しております。
(10) 非金融資産の減損
棚卸資産及び繰延税金資産を除く当社グループの非金融資産の帳簿価額は、連結会計年度末日毎に減損の兆候の有無を判断し、減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っております。のれん及び耐用年数を確定できない又は未だ使用可能ではない無形資産については、回収可能価額を連結会計年度末日及び減損の兆候を識別した時に見積もっております。
資産又は資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分費用控除後の公正価値のうち、いずれか大きい方の金額としております。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスク等を反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いております。資金生成単位については、継続的に使用することにより他の資産又は資産グループのキャッシュ・インフローから、概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループとしております。
のれんの資金生成単位又は資金生成単位グループへの配分については、のれんが内部報告目的で管理される単位に基づき決定し、事業セグメントの範囲内となっております。全社資産は独立したキャッシュ・インフローを生み出していないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を算定して判断しております。資金生成単位又は資金生成単位グループの帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、当該資産は回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。資金生成単位又は資金生成単位グループに関連して認識した減損損失は、まずその単位又はグループに配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位又は資金生成単位グループ内におけるその他の資産の帳簿価額の比例割合に応じて減額するように配分しております。
のれんに係る減損損失は、戻入れを行っておりません。のれん以外の非金融資産に係る減損損失は、連結会計年度末日毎に損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を判断しております。減損の戻入れの兆候があり、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、回収可能価額を見直し、減損損失を戻入れます。減損損失については、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として戻入れます。
(11) 引当金
引当金は、過去の事象の結果として、当社グループが、現在の法的又は推定的債務を負っており、当該債務を決 済するために経済的便益の流出が生じる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に認識しております。引当金は、貨幣の時間価値の影響が重要な場合、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間価値及び当該負債に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いて、現在価値に割り引いております。時の経過による引当金の増加は金融費用として認識しております。
資産除去債務については、賃借契約終了時に原状回復義務のある賃借事務所の原状回復費用見込額について、各物件の状況を個別に勘案して資産除去債務を計上しております。
(12) 従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しております。賞与及び有給休暇費用については、それらを支払う法的又は推定的な債務を負っており、信頼性のある見積りが可能な場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
(13) 政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、補助金が受領されることについて合理的な保証が得られた時に認識しております。発生した費用に対する補助金は、費用の発生と同じ報告期間に収益として計上しております。
(14) 資本
当社が発行する資本性金融商品は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しております。
(15) 株式報酬
当社グループは、持分決済型の株式に基づく報酬としてストック・オプション制度を導入しており、役員、従業員及び社外協力者等に付与しております。株式報酬の付与日における公正価値は、付与日から権利が確定するまでの期間にわたり費用として認識し、同額をその他の資本の構成要素の増加として認識しております。付与されたストック・オプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、ブラック・ショールズモデル及びモンテカルロ・シミュレーションを用いて算定しております。
また、当社グループは、当連結会計年度より、当社グループの役員及び従業員等のモチベーションの維持・向上を図るとともに中長期的な企業価値向上へのインセンティブを付与することを目的として、持分決済型の株式報酬制度としての持分譲渡型オプションに係るインセンティブプラン(以下、「本制度」)を採用しております。本制度は、当社グループの役員、従業員等のうち一定の要件を充足するものに対して付与されるポイントに基づき、信託を通じて、当社の普通株式を予め定められた価格にて取得できる権利(譲渡予約権)を交付するインセンティブプランであります。当該ポイントは、当社が定める交付ガイドラインの定めに従い、人事評価期間中の当社グループへの貢献度に応じて付与されるものであり、各役員及び従業員等に交付される譲渡予約権の数は、付与されたポイント数によって定まります。ポイントの公正価値は付与日時点の当社普通株式の公正価値を基礎として測定しております。また、当該制度に関する株式報酬費用は権利確定期間にわたって認識しております。
(16) 収益
当社グループは、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しております。
ステップ1:契約の識別
ステップ2:履行義務の識別
ステップ3:取引価格の算定
ステップ4:履行義務への取引価格の配分
ステップ5:履行義務の充足による収益の認識
当社グループは、主として、マーケティングプラットフォーム、パートナーグロースプラットフォーム及びD2Cプラットフォームの提供を行っております。
(a) マーケティングプラットフォーム
当社グループのマーケティングプラットフォームでは、インフルエンサーマーケティングの推進・管理を行うプラットフォームである「AnyTag」、デジタルマーケティング支援プラットフォームである「AnyDigital」を中心に顧客である広告主に対してサービス提供を行っております。
インフルエンサーマーケティングにおいて、当社グループは、広告主に対し、「AnyTag」の提供を通じて、マーケティング対象の商品・サービスやターゲットとするユーザーに適したインフルエンサーの調査・特定、市場調査、インフルエンサーとの交渉・マーケティング準備、マーケティングを実施する際のリアルタイムでのモニタリング・効果検証といった、広告主のマーケティング活動の包括的な支援をしております。
デジタルマーケティングにおいて、当社グループは、広告主に対し、「AnyDigital」の提供を通じて、当社グループが各国で直接連携するインターネットメディアでの広告媒体と親和性の高い様々な広告フォーマットでの出稿、また、当社グループが連携するゲーム事業者及びパブリッシャーの運営するゲームアプリ上での広告配信を通じて、各メディア及びアプリのユーザーに対して、効果的なターゲティングを行うことによる広告効果の最適化といった、広告主のマーケティング活動の包括的な支援を行っております。
インフルエンサーマーケティング、及びデジタルマーケティングにおける当社グループの履行義務は、顧客である広告主に対し、予め合意した期間にわたってマーケティング活動の包括的な支援サービスを提供することであります。従って、当社グループがサービスを提供するにつれて、広告主はサービスの便益を同時に受け取って消費することから、一定の期間にわたり充足される履行義務であると判断し、売上収益を主としてサービスの提供期間にわたって認識しております。
(b)パートナーグロースプラットフォーム
パートナーグロースは、パブリッシャー・グロースとクリエイター・グロースで構成されております。
当社グループは、インターネットメディアやモバイルアプリを運営するメディア事業者などのパブリッシャーやクリエイターを中心とする当社パートナーに対して、データ分析、収益化支援、ユーザーエンゲージメント向上支援を行っており、また、アドネットワーク会社や動画配信サイト運営者に対して、広告掲載枠や動画コンテンツの提供等を行っております。
具体的にはパブリッシャー向けにはパブリッシャーグロースプラットフォーム「AnyManager」、クリエイター向けにはクリエイターグロースプラットフォーム「AnyCreator」を提供しております。
i) パブリッシャー・グロース
当社グループのパブリッシャー・グロースプラットフォーム「AnyManager」は、メディア事業者が運営するオンライン媒体について、収益一元管理・分析機能の提供、広告在庫枠の管理・運用、メディアパフォーマンスの最適化のための各種ソリューション提供といった包括的なサービスを提供しております。メディア事業者が運営するオンライン媒体上に、アドネットワーク会社が販売する広告を掲載することにより、アドネットワーク会社から広告収益を収受する仕組みになっており、メディア事業者のオンライン媒体上での広告の掲載は、a. 当社グループが所有するアドネットワークのアカウント、若しくはb. メディア事業者が所有するアドネットワークのアカウントを通じて行っております。
a. 当社グループが所有するアドネットワークのアカウントを通じた広告掲載に関しては、当社とメディア事業者及びアドネットワーク会社との間でそれぞれ合意した契約条件等において、当社が、アドネットワーク会社に対して、メディア事業者が運営するオンライン媒体上の広告掲載枠の管理を含む広告掲載枠の提供に対する主たる責任を有しております。また、広告掲載枠の販売価格の設定等につき、当社が一定の裁量権を有しております。当社グループの顧客はアドネットワーク会社であり、当該顧客に対する当社グループの履行義務は、当社グループとアドネットワーク会社との間で合意された各契約条件等に基づき、予め合意した期間にわたって、メディア事業者のオンライン媒体上の広告掲載枠をアドネットワーク会社に提供することであり、本人として取引を行っていると判断しております。当社グループが、顧客に対し予め合意した期間にわたって提供するメディア事業者のオンライン媒体上の広告掲載枠を、顧客が利用するにつれて便益を受け取って消費することから、一定の期間にわたり充足される履行義務であると判断し、顧客から収受する広告収益を広告掲載枠の提供期間にわたって売上収益として認識しております。
b. メディア事業者が所有するアドネットワークのアカウントを通じた広告掲載に関しては、当社は、メディア事業者との間で合意された各契約条件等に基づき、メディア事業者に対し、メディアパフォーマンスの最適化のための各種ソリューション提供といった包括的なコンサルティングサービスを提供しております。従って、当社グループの顧客はメディア事業者であり、当該顧客に対する当社グループの履行義務は、予め合意した期間にわたってマーケティング活動の包括的な支援に関するサービスを提供することであります。従って、当社グループがサービスを提供するにつれて、メディア事業者はサービスの便益を同時に受け取って消費することから、一定の期間にわたり充足される履行義務であると判断し、メディア事業者から収受する対価をサービスの提供期間にわたって売上収益として認識しております。
ii)クリエイターグロース
当社グループのクリエイターグロースプラットフォーム「AnyCreator」は、主にYouTubeやTikTok等の動画配信サイトにおいて、動画コンテンツの配信を含む、コンテンツを配信するクリエイターの活動やアカウント(YouTubeチャンネル等)のマネジメントを行っております。
動画配信サイトのチャンネル上、動画配信サイト運営者が販売する広告を掲載することにより、動画配信サイト運営者から広告収益を収受する仕組みになっており、動画配信サイトのチャンネルは、a.当社グループが所有権を有するチャンネル、及びb.クリエイターが所有権を有するチャンネルから構成されます。
a.当社グループが所有権を有するチャンネルについては、当社と動画配信サイト運営者及びクリエイターとの間で合意された各契約条件等において、当社グループが当該チャンネルで配信される動画コンテンツの所有権を有し、動画配信サイト運営者に対して、当社グループが、動画チャンネルの適切な運営管理を含む、適切な動画コンテンツを提供する主たる責任を有しております。当社グループの顧客は動画配信サイト運営者であり、当該顧客に対する当社グループの履行義務は、当社グループと動画配信サイト運営者との間で合意された各契約条件等に基づき、動画配信サイト運営者に対して、動画チャンネル上で動画コンテンツを提供することであり、本人として取引を行っていると判断しております。当社グループが、顧客に対し動画チャンネル上で動画コンテンツを提供するにつれて、顧客は便益を同時に受け取って消費することから、動画コンテンツの提供期間にわたり充足される履行義務であると判断し、顧客から収受する広告収益を動画コンテンツの提供期間にわたって売上収益として認識しております。
b.クリエイターが所有権を有するチャンネルについては、当社グループと動画配信サイト運営者及びクリエイターとの間で合意された各契約条件等において、当該チャンネルで配信される動画コンテンツの所有権は、クリエイターが有しており、当社グループは、クリエイターの代理人として、動画チャンネル及び動画コンテンツの管理業務を行っております。当社グループの履行義務は、クリエイターの代理人として、当該管理業務を通じて、動画配信サイト運営者に対して、クリエイターが所有権を有する動画チャンネル上で動画コンテンツを提供することであり、代理人として取引を行っていると判断しております。当社グループが、クリエイターの代理人として、顧客である動画配信サイト運営者に対し動画チャンネル上で動画コンテンツを提供するにつれて、顧客は便益を同時に受け取って消費することから、動画コンテンツの提供期間にわたり充足される履行義務であると判断し、当社グループがクリエイターの代理人として動画配信サイト運営者から収受する広告収益につき、クリエイターとの間で合意した当社に帰属する収益分配率を乗じた純額を、売上収益として認識しております。
上記の動画配信サイト運営者から広告収益を収受する取引の他に、広告主からの依頼に基づき、広告主の商品やサービスに関する動画を動画配信サイトのチャンネルで配信するといったタイアップ広告案件に関するサービスを行っております。
タイアップ広告案件に関するサービスには、広告主に対しマーケティング対象の商品・サービスやターゲットとするユーザーに適した当社グループのクリエイターの選定、交渉・マーケティング準備、マーケティングを実施する際のリアルタイムでのモニタリング・効果検証といった、広告主のマーケティング活動の包括的な支援が含まれます。タイアップ広告案件における当社グループの履行義務は、顧客である広告主に対し、予め合意した期間にわたってマーケティング活動の包括的な支援サービスを提供することであります。従って、当社グループがサービスを提供するにつれて、広告主はサービスの便益を同時に受け取って消費することから、一定の期間にわたり充足される履行義務であると判断し、売上収益を主としてサービスの提供期間にわたって認識しております。
(c) D2Cプラットフォーム
当社グループは、EC及びD2C領域を中心にブランドの設計・企画から、製造支援、ECサイトの構築・運用、マーケティング、在庫管理物流支援に至るまでバリューチェーンの各段階でサービスを提供しております。新しくブランドを立ち上げたいクリエイター向けにはブランド企画からバリューチェーン全体をワンストップで支援しており、既にブランドを有している法人クライアントへはクライアントのニーズに合わせて、製造、ECサイト構築・運営、マーケティング、在庫管理・物流管理等の個別支援、越境コマースにおけるパートナーとしてD2Cプラットフォーム「AnyFactory」「AnyShop」を通じて、包括的な支援サービス等をしております。また、「AnyFactory」において、クリエイターと協働し、当社グループが企画・デザイン・制作した商品の販売及び当社グループの自社D2Cブランドの商品の販売を行っており、これらをD2Cプラットフォームとして総称しております。
D2Cプラットフォーム「AnyFactory」や「AnyShop」を通じた、包括的な支援サービスの提供における顧客はクリエイターあるいは法人クライアントであります。当社グループの履行義務は、当該顧客に対し、予め合意した期間にわたって当該サービスを提供することであり、当社グループがサービスを提供するにつれて、顧客はサービスの便益を同時に受け取って消費することから、一定の期間にわたり充足される履行義務であると判断し、売上収益を主としてサービスの提供期間にわたって認識しております。
また、当社グループが所有権を有する商品の販売に関しては、顧客は主に個人消費者であります。当該商品の販売について、商品の支配が顧客に移転した一時点において、当社の履行義務が充足したと判断し、売上収益を認識しております。
(d) その他
主に当社グループの顧客に対する、採用・採用プロセスを合理化する採用最適化プラットフォームの提供を通じた人事管理のサポートサービスの提供であります。当社グループの履行義務は、顧客に対し、予め合意した一定期間にわたってサービスを提供することであります。当社グループがサービスを提供するにつれて、顧客はサービスの便益を同時に受け取って消費することから、当社グループの履行義務は、サービスの提供期間に渡り充足されるものであると判断し、売上収益をサービスの提供期間にわたって認識しております。また、当社グループは、顧客に対する当該サービス提供に関して、本人として取引を行っております。
(e) 重要な金融要素
請求書が顧客に届いてから1年以内に支払いが行われるため、ファイナンスの要素はないと考えています。
(f) 契約残高
契約資産とは、当社グループが顧客に移転した財・サービスと引き換えに対価を得る権利をいいます。売掛金は、当社グループが対価を得る無条件の権利を有する場合に計上されます。対価を得る権利は、その対価の支払いが必要となる前に、時の経過のみが必要とされる場合には無条件となります。
当社グループが顧客に財又はサービスを移転する前に、顧客が対価を支払うか、又は当社グループが無条件に対価を得る権利を有している場合、当社グループは支払いが行われた時点、又は債権が計上された時点(いずれか早い時点)で契約負債を表示します。契約負債とは、当社グループが顧客から対価を受領した(または対価を支払うべきである)財貨またはサービスを顧客に移転する義務のことです。
(17) 金融収益及び金融費用
金融収益は、主として受取利息、受取配当金、為替差益及び純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動等から構成されております。受取利息は実効金利法により発生時に認識し、受取配当金は配当を受ける権利が確定した時点で認識しております。
金融費用は、主として借入金に対する支払利息、為替差損及び純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動等から構成されております。支払利息は実効金利法により発生時に認識しております。
(18) 法人所得税
法人所得税は、当期税金と繰延税金から構成されております。これらは、企業結合に関連するもの、及び直接資本又はその他の包括利益に認識する項目を除き、純損益として認識しております。
その他の包括利益に認識される項目に関する当期税金及び繰延税金は、その他の包括利益として認識しております。
① 当期税金
当期税金は、税務当局に対する納付又は税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率及び税法は、期末日までに制定又は実質的に制定されたものです。
② 繰延税金
繰延税金は、期末日における資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異等に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しております。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を認識しておりません。
・企業結合以外の取引で、かつ、会計上の利益にも課税所得にも影響を及ぼさない取引における資産又は負債
の当初認識から生じる一時差異
・のれんの当初認識から生じる一時差異
・子会社に対する投資に係る将来減算一時差異のうち、予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高
くない場合、又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が高くない場合
・子会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、一時差異の解消時期をコントロールすることができ、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産及び繰延税金負債は、期末日に施行又は実質的に施行される法律に基づいて、一時差異が解消される時点に適用されると予測される税率を用いて測定しております。
繰延税金資産及び繰延税金負債は、当期税金資産及び当期税金負債を相殺する法的に強制力のある権利を有しており、かつ、同一の納税事業体に課せられている場合又は純額ベースでの決済を行うことを意図している異なる納税事業体に対して、同一の税務当局によって課されている法人所得税に関連するものである場合には相殺しております。
(19) 1株当たり当期利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する純損益を、各連結会計年度中の自己株式を調整した普通株式の期中平均株式数で除して算定しております。
希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果のあるすべての潜在株式の影響を調整して計算しております。