有価証券報告書-第14期(2023/01/01-2023/12/31)

【提出】
2024/03/27 10:27
【資料】
PDFをみる
【項目】
132項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2023年1月1日~2023年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナ感染症の流行によって発生したサプライチェーンの混乱がようやく収束した上に、国内外の人流回復による個人向けサービス需要の復活により、緩やかに回復中です。部品制約がなくなって国内生産が拡大した自動車産業を筆頭に製造業は堅調である上、百貨店・宿泊・飲食サービスなどの復活に牽引され、非製造業も好調でした。
このような経済状況の下、当社の主力事業分野の一つである工具、消耗品、修繕部品、文具等の間接材の市場では、製造業における堅調な工場稼働とオフィスや商業施設への人の回帰などにより、安定した成長を持続することができました。もう一つの主力事業分野である国内商業施設向けサービス市場では、ビジネスホテルなどの大型改装が活発となり、年間を通じて活況が続きました。
以上のような環境の下、当社グループの業況は前連結会計年度(以下「前期」)からの好調を持続し、売上高は51,951百万円(前期比17.1%増)、売上総利益は4,828百万円(前期比11.1%増)、販売費及び一般管理費は3,640百万円(前期比10.2%増)、営業利益は1,188百万円(前期比14.0%増)となりました。経常利益は、不要となった無形固定資産の除却損7百万円等を織り込み1,183百万円(前期比19.0%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は850百万円(前期比20.8%増)となりました。
各セグメントの業績は、次のとおりであります。
間接材購買のためのシステム提供と物品販売を行うMRO(Maintenance, Repair & Operations)事業においては、主要顧客である製造業向けでは、輸出採算の改善による工場稼働の増や新規顧客との取引開始により前期以上の成長を持続することができました。サービス業の事業所向けでは、消毒液等の新型コロナ対策商品の販売が減少したもののビル竣工に伴う初期備品のスポット需要を取り込むことで前期比増を維持いたしました。一方、親会社を経由する中小事業所向けの卸販売に関しては、市場での価格競争が激化により、売上は前期比増を維持したものの成長率が低下しました。また、費用では持続的な成長継続のために積極的なITシステム投資を行っていることから、ITシステム関連の費用が増加しました。これらの結果、MRO事業の売上高は37,145百万円(前期比16.4%増)、セグメント利益は636百万円(前期比11.2%増)となりました。
商業施設向けにサービスの提供を行うFM(Facility Management)事業においては、多店舗展開のコンビニエンスストアやファストフード店舗の改装需要は前期水準となりましたが、アフターコロナの人流回復やインバウンド需要の回復を見込んだビジネスホテルなどの大型改装案件が急回復したことで売上が大幅に増加しました。これらの結果、FM事業の売上高は14,726百万円(前期比18.4%増)、セグメント利益は480百万円(前期比16.7%増)となりました。
<その他>その他事業は、当社の子会社であるATC株式会社のソフトウエア事業が中心であり、同社が高度なノウハウを持つMDM(Master Data Management)関連の外販事業の成約案件が増えたことで、売上高は79百万円(前期比81.1%増)、セグメント利益は71百万円(前期比22.9%増)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は14,696百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,784百万円増加いたしました。現金及び預金が272百万円、売掛金及び契約資産が2,028百万円増加し、棚卸資産が491百万円減少したことが主な要因です。固定資産は2,419百万円となり、前連結会計年度末に比べ46百万円増加しました。無形固定資産が89百万円増加し、有形固定資産が49百万円減少したことが主な要因です。これらの結果、総資産は、17,115百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,830百万円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は11,690百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,112百万円増加しました。これは1年内返済予定の長期借入金が84百万円、未払金が70百万円減少しましたが、買掛金が1,035百万円、未払消費税等が171百万円、賞与引当金が30百万円増加したことなどによるものです。固定負債は54百万円となり、前連結会計年度末に比べ57百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が53百万円減少したことによるものです。これらの結果、負債合計は、11,745百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,054百万円増加しました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は5,370百万円となり、前連結会計年度末に比べ775百万円増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益850百万円の計上による増加、剰余金の配当141百万円による減少が主な要因です。これらの結果、自己資本比率は31.4%(前連結会計年度末は30.1%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は4,169百万円となり、前連結会計年度末に比べ272百万円増加いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,224百万円の収入超過となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益1,183百万円、仕入債務の増加1,035百万円、棚卸資産の減少491百万円、未払消費税等の増加171百万円、減価償却費616百万円の収入要因があった一方、売上債権の増加2,026百万円、法人税等の支払額366百万円の支出要因があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、722百万円の支出超過となりました。その主な要因は、当社グループの内製ソフトウエア開発増加に伴う無形固定資産の取得による支出657百万円の支出要因があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、229百万円の支出超過となりました。その主な要因は、株式の発行による収入66百万円の収入要因があった一方、長期借入金の返済による支出137百万円、配当金の支払額141百万円の支出要因があったこと等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。
b 受注実績
当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載をしておりません。
c 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
販売高(百万円)前年同期比(%)
MRO事業37,145116.4
FM事業14,726118.4
報告セグメント計51,871117.0
その他79181.1
合計51,951117.1

(注)1.その他セグメントはITシステム開発運用部門であり、MRO事業、FM事業とセグメント間の取引がありますが、全額内部消去されるため、ITシステムの外販事業のみの金額を表示しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
当連結会計年度
(自 2023年1月1日
至 2023年12月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
アスクル株式会社7,29316.47,56014.6

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま
す。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 「経営成績等」及び「財政状態」並びに「セグメントごとの経営成績の状況」に関する分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、51,951百万円(前年同期比17.1%増)となりました。
売上高の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、売上の増加に伴い47,123百万円(前年同期比17.7%増)となりました。
この結果、売上総利益は、4,828百万円(前年同期比11.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、3,640百万円(前年同期比10.2%増)となりました。
主な要因は、稼働ソフトウエアの増加に伴う無形固定資産の償却費及びシステム保守・運用費用、売上増加に伴う物流費の増加によります。
この結果、営業利益は、1,188百万円(前年同期比14.0%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度において、営業外収益は3百万円(前年同期比5.8%増)、営業外費用は8百万円(前年同期比84.0%減)発生しました。
主な要因は、無形固定資産の除却損7百万円が発生したことによるものです。
この結果、経常利益は、1,183百万円(前年同期比19.0%増)となりました。
(法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、税金等調整前当期純利益は、1,183百万円(前年同期比19.0%増)となり、税金費用(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)を332百万円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、850百万円(前年同期比20.8%増)となりました。
なお、財政状態の分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b 資本の財源及び資金の流動性
当社グループでは、休前日を除く通常月においては、近年、売掛金と買掛・未払金の残高が、ほぼ拮抗していることから、運転資金需要のうち主なものは、人件費や賃借料といった営業固定費と業務委託費からなるITシステムに係る保守運用費用であり、費目としては販売費及び一般管理費となります。一方、投資を目的とした資金需要は、事業基盤を形成するITシステム、ソフトウエアへの投資であり、費目としては無形固定資産の取得となります。運転資金は、主として自己資金で調達することとしておりますが、ソフトウエアへの投資額が足元で増加していることから、投資については、銀行等からの長期借入金により、投資額の一部を賄っております。
前連結会計年度末における有利子負債残高は214百万円であり、全額が長期借入金ですが、借入期間は平均3年であるため、常に1/3以上の借入額が1年以内に返済予定の借入金となっています。当連結会計年度末の有利子負債残高は76百万円で、1年以内の返済予定額が53百万円と過半を占めており、返済間近の借入額が増加しております。当連結会計年度末における現金及び預金の残高は4,169百万円と余裕がありますが、今後も資金残高及び各キャッシュ・フローの状況を常時もモニタリングし、資本の財源及び資金の流動性の確保に努めてまいります。
③ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通り、当社グループのサービスの普及度を測れる連結売上高と連結営業利益額となります。
連結売上高に関しては、基盤事業であるMRO事業において、中核分野である製造業の大企業向けが順調に伸長している一方、もう一つの基盤事業であるFM事業でも、ビジネスホテルなどの大型改装案件が急回復したことで、順調に伸長し前年比117.1%となりました。
また、連結営業利益額に関しては、前年比114.0%となりました。当社グループでは、人件費やIT関係費等の営業固定費の増加率以上の伸長率で、連結売上高を伸長させることにより、連結営業利益額を増加させることができると考えており、その達成状況を判断するために連結営業利益額を経営指標としています。
連結売上高と連結営業利益の推移及び前年比伸長率
2021年12月期
通期
2022年12月期
通期
2023年12月期通期
連結売上高(百万円)37,94844,38351,951
前年比(%)117.0117.0117.1
連結営業利益(百万円)8641,0421,188
前年比(%)116.6120.6114.0

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しておりますが、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社及び連結子会社は、グループ通算制度を採用しております。繰延税金資産の回収可能性は、グループ通算制度の適用対象会社の事業計画に基づく課税所得を基準として見積っております。繰延税金資産の計上にあたっては、その回収可能性について、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金の解消スケジュール及び将来課税所得の見積り等に基づき判断しております。また、将来課税所得の見積りは将来の事業計画を基礎として、将来獲得しうる課税所得の時期及び金額を合理的に見積り、金額を算定しております。
課税所得の見積りの基礎となる翌期以降の事業計画における主要な仮定は、事業セグメントごとかつ得意先別に集計した売上高と売上総利益率の予測であります。
売上高の予測は、過去の売上実績や新規顧客との商談状況、顧客の出店・改装計画などを基とし算出しております。また、売上総利益率の予測は、売上高の予測と過去の仕入実績などに基づいて売上原価を予測し算出しております。
なお、課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に生じた時期及び金額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度において認識する繰延税金資産の金額に重要な変動を与えるリスクがあります。