有価証券報告書-第73期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/26 15:01
【資料】
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【項目】
155項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは1906年の創業以来、化学品メーカーとして歩み続けてきました。現在は、「化学品事業を通じて地球環境と豊かな社会の創生に貢献する」を企業理念に掲げ、様々な製品の基礎原料として使われる苛性ソーダや殺菌、消毒に使われる次亜塩素酸ソーダをはじめとする「基礎化学品事業」、酢酸ナトリウム(食品用日持ち向上剤)、グルコサミンをはじめとする「機能化学品事業」、土壌殺菌剤として使われる農薬クロルピクリンをはじめとする「アグリ事業」、廃硫酸のリサイクルを中心とする「環境リサイクル事業」、及び塩の加工・販売に関する「各種塩事業」の5事業を展開しています。
特に、2013年にそれまでの親会社であった㈱中山製鋼所から独立したタイミングを機に、それまでの化学品のシナジーを生かしたプロダクトアウト型から、顧客のニーズをふまえ商品開発を行うマーケットイン型の企業へと大きく企業体質を転換しており、顧客に近接した工場立地と、硫黄、水素などの原料を自社製造できるコスト競争力を強みに、商品提案力に磨きをかけ、さらなる発展に繋げていく方針です。
(2) 経営環境及び中長期的な経営戦略
当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類へと移行し、社会・経済活動の正常化が進展したことに伴い、穏やかな回復傾向にありますが、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や中東地域の地政学的リスクの高まり、中国経済の減速、急速な円安の進行に伴う物価上昇による個人消費への影響が懸念されるなど、先行きは依然として不透明な状況が続いております。円安の進行による原材料コストの不透明感や、人手不足による物流費の増加懸念が継続すると見込まれ、安定的な収益の確保が喫緊の課題となっています。
このような環境のもと、当社グループは2023年4月に東京証券取引所スタンダード市場に上場を果たし、上場企業として相応しいガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底の下でステークホルダーの満足度向上に向けた施策を実施してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の向上と株主利益の増大を図るため、事業の収益性と設備投資を効果的に実施しながら成長性を高めるため、主な経営指標(KPI)として、売上高、経常利益及び資産効率を示すROE(自己資本利益率)を掲げております。2024年度の目標値は売上高21,030百万円、経常利益1,200百万円、ROE9.2%であります。当該KPIの各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(4) 経営上及び財務上の対処すべき課題
当社は2023年4月に東京証券取引所スタンダード市場に上場を果たし、今後も引き続き上場企業として相応しいガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底の下でステークホルダーの満足度向上に向けた施策を実施してまいります。
具体的には、2025年3月期を初年度とする3ヵ年の新中期経営計画に基づいた各施策を実行してまいります。
① 収益基盤の強化~強い事業を更に強く
事業ポートフォリオの入れ替え、並びにあらゆる効率化の推進による収益力向上に取り組んでまいりま
す。加えて、当社の強みである地域立脚を活かし差別化が図れる事業へのリソース集中にも注力してまいり
ます。
② 環境リサイクル事業領域拡大~成長への布石造り
当社の環境リサイクル事業の中心である廃硫酸リサイクル事業を伸長させていくとともに、2023年10月
から当社土佐工場にて開始いたしました脱塩事業を拡大してまいります。加えて、当社の強みを活かした
新たなリサイクル事業の創出にも取り組んでまいります。
③ サステナブル経営の推進~経済価値・社会価値・環境価値の同時実現
環境リサイクル事業は、その先駆者として事業拡大を通じて環境・社会に貢献してまいります。また、BCP
も念頭に置いた安心・安全な持続的製販体制の強化に努めてまいります。加えて、人材育成、DE&I施策推進
により、人的資本投資も拡充していきます。