有価証券報告書-第12期(2025/07/01-2026/06/30)
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは以下の経営理念のもとに、事業を展開しております。
世界の誰もが「豊かさ」を享受できる社会をつくる。
テクノロジーと、人の経験知で、世界のリアルコマースを変える。
・効率化された店舗網で、モノを流通させる力
・データとIoTを駆使する力
流通小売業界には、食品の廃棄や欠品などによるムダや在庫・物流が最適化されていないことによるムラ、商慣習として古くから存在するリベート等のムリなど、サプライチェーンにおける各種工程の中に『ムダ・ムラ・ムリ』が多く存在すると考えております。当社グループはこの『ムダ・ムラ・ムリ』の削減を推進し、お客様への新しいお買い物体験の提供、メーカーや卸、物流、小売企業等と協業したサプライチェーン改革・マーケティング改革の推進、テクノロジーを活用したオペレーションの効率化などに取り組むことで、当社グループのパーパスの実現を目指しております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長、収益性及び資本効率の向上並びに財務健全性の確保を経営上の重要な目標としております。その達成状況を判断するため、連結売上高、営業利益及びEBITDAを主要な経営指標とするとともに、資本効率を測る指標としてROE、財務健全性を測る指標として純有利子負債/EBITDA倍率及び自己資本比率を重視しております。
(注)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額
(3)経営戦略等
当社グループは、流通小売事業を中核として、実店舗の運営を通じて蓄積する購買データや店舗オペレーションに関する知見と、リテールAI事業におけるテクノロジー及びデータ活用のノウハウを組み合わせることで、お客様の買い物体験の向上と店舗運営の効率化を図るとともに、流通小売業界全体の生産性向上に取り組んでおります。
2025年7月1日付で西友を完全子会社化したことにより、当社グループの店舗網及び顧客基盤は大きく拡大しました。当社グループは、トライアルと西友がそれぞれ培ってきた商品、店舗運営、物流・製造基盤、人材、ブランド及び顧客基盤等の経営資源を融合するとともに、当社グループが有するテクノロジー及びデータ活用のノウハウをグループ全体に展開することで、収益性及び生産性の向上を図ってまいります。
また、2026年2月に策定した中期経営計画において、2027年6月期から2029年6月期までの3年間を、長期ビジョンの実現に向けた「流通改革に向けた基盤づくりの3年」と位置づけております。流通小売事業とリテールAI事業の連携を一層強化するとともに、西友との融合によるシナジーの創出、既存事業の収益力向上及び財務基盤の強化を進め、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
各事業における重要な戦略は以下のとおりです。
<流通小売事業>①「食」及びPB商品の強化によるお客様支持の拡大
当社グループは、生鮮食品や惣菜を中心とする「食」を店舗への集客及びお客様支持を支える重要な商品カテゴリーと位置づけ、商品力及び価格競争力の強化に取り組んでおります。
トライアルで培ってきた生鮮食品・惣菜の商品開発力や店舗運営ノウハウと、西友が有する商品・ブランド及び都市部を中心とした顧客基盤を活用し、両社の商品及びノウハウの相互展開を進めております。また、「こはく本舗」や「みなさまのお墨付き」等のPB商品の相互販売、共同開発及び商品体系の最適化を進め、商品力の向上と収益性の改善を図ってまいります。
さらに、プロセスセンター及びセントラルキッチン等の製造・加工拠点を活用し、商品開発・製造から物流、店舗での販売までのサプライチェーンを効率化することで、品質と価格競争力の両立を図ってまいります。
②多様な店舗フォーマットを活用した店舗網の拡大及び既存店の成長
当社グループは、地域の人口動態、商圏特性、店舗立地及び顧客ニーズ等に応じて、スーパーセンター、smart、TRIAL GO、スーパーマーケット、ハイパーマーケット及び「トライアル西友」等の多様な店舗フォーマットを展開しております。
新規出店に加え、既存店舗の改装や業態転換を推進することで、店舗ごとの競争力及び収益性を高めてまいります。また、特定地域に複数の店舗フォーマットを展開するドミナント戦略を推進し、大型店舗等を商品供給拠点として周辺の小型店舗へ商品を供給するなど、店舗網と物流網を一体的に活用することで、効率的な店舗展開を進めてまいります。
西友については、既存店舗の商品・売場・オペレーションの改善を進めるとともに、トライアルと西友双方の強みを取り入れた「トライアル西友」への業態転換等を通じ、お客様支持の拡大及び店舗収益力の向上を図ってまいります。
③データ及びテクノロジーを活用した店舗運営の高度化
当社グループは、実店舗で蓄積される購買データや店舗運営に関する知見を活用し、商品構成、棚割り、価格設定、発注、在庫管理及び販売促進等の店舗運営の高度化に取り組んでおります。
Skip Cart、インストアサイネージ、各種業務システム等のテクノロジーを活用し、お客様の利便性向上と店舗オペレーションの効率化を進めるとともに、データ分析を活用したカテゴリマネジメントの高度化や、お客様一人ひとりのニーズに応じた商品・サービスの提供を推進してまいります。
今後は、これらのテクノロジー及びデータ活用の仕組みを西友を含むグループ各社へ順次展開することで、グループ全体の生産性及び収益性の向上を図ってまいります。
<リテールAI事業>①流通小売の現場を起点としたプロダクト及びソリューションの開発
リテールAI事業では、小売事業者や食品・消費財メーカー等に対し、お客様の買い物体験の向上、店舗オペレーションの効率化、広告・販売促進活動の高度化及びサプライチェーンの効率化等に資するプロダクトやソリューションを提供しております。
当社グループは、自ら実店舗を運営することで把握した現場の課題やニーズを開発に反映し、開発したプロダクトやソリューションを実店舗において検証・改善できることを特徴としております。この「オペレーション・ドリブン」の考え方のもと、流通小売事業と連携しながら、Skip Cart、MD-Link、カメラソリューション、インストアサイネージ等の機能向上及び導入拡大を進めてまいります。
また、西友のグループ入りによる店舗網及び顧客接点の拡大を活かし、多様な立地・店舗フォーマットにおいてプロダクトやソリューションの検証及び展開を進めることで、開発力及び提供価値の向上を図ってまいります。
②データ活用の高度化及びグループ外への事業展開
流通小売業界では、メーカー、卸、物流事業者及び小売事業者等の各事業者が保有する情報やデータが分断されていることなどにより、サプライチェーンやマーケティング活動に非効率が存在していると当社グループは認識しております。
当社グループは、商品データ、購買データ、会員データ及び店舗内で取得されるデータ等を活用・分析することで、需要予測、商品構成、在庫・物流、販売促進及び広告等の高度化を図り、流通小売業界における「ムダ・ムラ・ムリ」の削減を目指しております。
これらの取り組みをグループ内で実践するとともに、そこで得られた知見やプロダクト、ソリューションをグループ外の小売事業者や食品・消費財メーカー等へ提供することで、リテールAI事業の収益基盤の拡大を図ってまいります。
(4)経営環境
今後の当社グループを取り巻く経営環境は、国内における人口減少と少子高齢化の加速に伴い、より厳しさを増していくものと考えております。内閣府の令和8年版高齢社会白書によると、国内人口は2055年には約1億人まで減少し、生産年齢人口比率も50%に近づいていくと予測されております。国内全体における消費の拡大が見込まれない中で、当社グループが主力で取り扱う「食」や「日用生活消耗品」の消費は一定の規模を維持し、顧客属性や地域に応じた嗜好の細分化がより一層進んでいくものと認識しております。
小売業界においては、お客様の購買行動の変化への対応、働き手の確保、データ活用などの業界課題によって、従来型のビジネスモデルからの変革が強く求められております。また、国内外における金利上昇や為替の変動、商品の仕入価格の上昇、エネルギー価格の高騰などによるコスト上昇が企業業績に与える影響も深刻であり、それらを吸収し、収益を確保できる企業の選別が一層進んでいくものと思われます。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、流通小売事業においては、全国に店舗網を拡大するとともに、生鮮を中心とした「食」の強化や、店舗改装などによって店舗の集客力及び収益性を高めてまいります。また、リテールAI事業においては、プロダクトやソリューションの新規開発や既存プロダクトの機能改善により、小売企業、食品・消費財メーカー、ベンダー等への更なる提供価値の向上に努めてまいります。エネルギー価格や人件費の上昇による物価高に起因して消費者の節約志向が高まるなど、厳しい経営環境が続く状況にありますが、中長期的な成長を見据えた事業基盤を築いてまいります。
当社グループは、2025年7月1日付の西友の完全子会社化により、事業規模及び事業基盤が大きく拡大しました。一方、両社の経営資源の融合、グループシナジーの早期実現、既存事業の収益力向上、財務健全性の確保及び拡大した企業集団に対応する経営管理体制の構築が、重要な経営課題となっております。
こうした認識のもと、当社グループは、2026年2月に中期経営計画を策定し、2027年6月期から2029年6月期までの3年間を、長期ビジョンの実現のための「流通改革に向けた基盤づくりの3年」と位置づけています。
2029年6月期における定量目標として、売上高1.6兆円、EBITDA 1,000億円、営業利益640億円を掲げております。シナジーを軸としたキャッシュ創出力を向上させることで、財務健全性を高めるとともに、2030年6月期以降の飛躍的な成長に向けた、強固な土台づくりに取り組んでまいります。
これらを達成するため、当社グループは以下の5点を重点戦略として設定し、優先的に対処してまいります。
① PMI推進によるグループシナジー最大化
西友との統合プロセスを迅速かつ着実に実行し、グループ全体の収益性と生産性の向上を図ってまいります。
・仕入れ・調達の最適化:仕入れ条件の統一及び帳合統合を進め、粗利押し上げ効果を創出いたします。
・PB強化とカテゴリマネジメントの高度化:「こはく本舗」や「みなさまのお墨付き」等の両社ブランドの再編・相互販売・共同開発を推進し、グループ全体のPB売上高構成比25%を目指します。併せて、AIやデータ分析による棚効率改善、プロセスセンターやセントラルキッチンの運用一体化を進めてまいります。
・システム統合の推進:西友の基幹システムをトライアルのシステムへ統合・一本化し、開発・運用・保守コストの削減を図ってまいります。
② トライアルの収益性向上と成長の推進
高収益モデルの磨き上げと戦略的な店舗展開により、持続的な成長を牽引してまいります。
・出店戦略の加速:独自の商圏分析ツール「Retail Map」を活用した精度の高い出店により、主力のスーパーセンターを3年間で35店舗出店するほか、小型店フォーマット「TRIAL GO」の多店舗展開(3年間で100店舗)を進めてまいります。
・既存店売上高の継続的成長:積極的な店舗改装(3年間で累計45店舗)や「食」・PB商品の強化(惣菜売上構成比8%目標)を実施いたします。
・デジタルを活用した購買体験の向上:プライシングの精緻化に加え、Skip Cartやインストアサイネージ、会員アプリ等をフル活用した個客最適のアプローチを行い、「価格訴求」と「価値訴求」の両立を実現いたします。
③ 西友の店舗改革とお客様支持の拡大
西友における抜本的な店舗改革を断行し、トップラインの伸長と圧倒的な顧客支持を獲得してまいります。
・売場づくりと改装の横展開:成功モデル店舗のノウハウを全店へ横展開し、店舗の底上げを図るとともに、スーパーマーケット60店舗の戦略的改装を実施いたします。
・新業態「トライアル西友」への展開:大型店(ハイパーマーケット)30店舗を、価格競争力を強みとする生鮮繁盛店モデル「トライアル西友」へと業態転換いたします。
・販管費率の低減:攻めの価格投資により一時的に売上総利益率は低下するものの、売上高の拡大による固定費の吸収とシステム統合等の効果により、大幅な販管費率の低減と増益体制を構築してまいります。
④ DX戦略の収益化フェーズへの移行
これまで構築してきたDX基盤を本格的な収益化へと移行させ、グループ全体の成長を後押ししてまいります。
・データとAIの全社活用:基幹システムの統合に合わせ、西友も含めたグループ全社でデータ及びAIの活用を推進いたします。
・新規事業基盤の構築:リテールメディアやECの事業基盤づくりを具体的に進め、将来の売上高・利益拡大に寄与する体制を確立してまいります。
⑤ 持続的な成長を支える経営基盤の強化
成長投資と財務健全性のバランスを高度に両立させ、企業価値の最大化を図ってまいります。
・サステナビリティ経営の推進:当社グループのパーパスである『世界の誰もが「豊かさ」を享受できる社会をつくる。』のもと、当社グループ及び社会全体の発展・成長に取り組んでまいります。リアル店舗の運営を軸に、リテールDXの推進や、多様なパートナーとの連携を通じて持続可能な社会の実現を目指してまいります。
・適切なキャッシュアロケーション:営業活動から創出されるキャッシュを主財源として、成長投資(新店出店・業態転換・店舗改装等)へ1,300億円を優先配分いたします。
・財務基盤の正常化:西友の完全子会社化に伴う有利子負債の圧縮(3年間で1,150億円の返済)を規律をもって実行し、2029年6月期における「純有利子負債/EBITDA倍率3倍以内」「自己資本比率20%以上」の達成を目指します。
・人的資本・パートナーシップ・株主還元:人的資本の強化や業界変革につながる外部パートナーシップの構築を進めるほか、機動的なM&Aも検討してまいります。また、株主の皆様へは「累進配当」の方針に基づき、安定的かつ継続的な還元を行ってまいります。
当社グループは、これらの重点戦略を全社一丸となって推進し、次世代スマートストアの成功モデルを確立・横展開することで、世界をリードする「流通プラットフォーマー」への飛躍を目指してまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは以下の経営理念のもとに、事業を展開しております。
・データとIoTを駆使する力
流通小売業界には、食品の廃棄や欠品などによるムダや在庫・物流が最適化されていないことによるムラ、商慣習として古くから存在するリベート等のムリなど、サプライチェーンにおける各種工程の中に『ムダ・ムラ・ムリ』が多く存在すると考えております。当社グループはこの『ムダ・ムラ・ムリ』の削減を推進し、お客様への新しいお買い物体験の提供、メーカーや卸、物流、小売企業等と協業したサプライチェーン改革・マーケティング改革の推進、テクノロジーを活用したオペレーションの効率化などに取り組むことで、当社グループのパーパスの実現を目指しております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長、収益性及び資本効率の向上並びに財務健全性の確保を経営上の重要な目標としております。その達成状況を判断するため、連結売上高、営業利益及びEBITDAを主要な経営指標とするとともに、資本効率を測る指標としてROE、財務健全性を測る指標として純有利子負債/EBITDA倍率及び自己資本比率を重視しております。
(注)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額
(3)経営戦略等
当社グループは、流通小売事業を中核として、実店舗の運営を通じて蓄積する購買データや店舗オペレーションに関する知見と、リテールAI事業におけるテクノロジー及びデータ活用のノウハウを組み合わせることで、お客様の買い物体験の向上と店舗運営の効率化を図るとともに、流通小売業界全体の生産性向上に取り組んでおります。
2025年7月1日付で西友を完全子会社化したことにより、当社グループの店舗網及び顧客基盤は大きく拡大しました。当社グループは、トライアルと西友がそれぞれ培ってきた商品、店舗運営、物流・製造基盤、人材、ブランド及び顧客基盤等の経営資源を融合するとともに、当社グループが有するテクノロジー及びデータ活用のノウハウをグループ全体に展開することで、収益性及び生産性の向上を図ってまいります。
また、2026年2月に策定した中期経営計画において、2027年6月期から2029年6月期までの3年間を、長期ビジョンの実現に向けた「流通改革に向けた基盤づくりの3年」と位置づけております。流通小売事業とリテールAI事業の連携を一層強化するとともに、西友との融合によるシナジーの創出、既存事業の収益力向上及び財務基盤の強化を進め、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
各事業における重要な戦略は以下のとおりです。
<流通小売事業>①「食」及びPB商品の強化によるお客様支持の拡大
当社グループは、生鮮食品や惣菜を中心とする「食」を店舗への集客及びお客様支持を支える重要な商品カテゴリーと位置づけ、商品力及び価格競争力の強化に取り組んでおります。
トライアルで培ってきた生鮮食品・惣菜の商品開発力や店舗運営ノウハウと、西友が有する商品・ブランド及び都市部を中心とした顧客基盤を活用し、両社の商品及びノウハウの相互展開を進めております。また、「こはく本舗」や「みなさまのお墨付き」等のPB商品の相互販売、共同開発及び商品体系の最適化を進め、商品力の向上と収益性の改善を図ってまいります。
さらに、プロセスセンター及びセントラルキッチン等の製造・加工拠点を活用し、商品開発・製造から物流、店舗での販売までのサプライチェーンを効率化することで、品質と価格競争力の両立を図ってまいります。
②多様な店舗フォーマットを活用した店舗網の拡大及び既存店の成長
当社グループは、地域の人口動態、商圏特性、店舗立地及び顧客ニーズ等に応じて、スーパーセンター、smart、TRIAL GO、スーパーマーケット、ハイパーマーケット及び「トライアル西友」等の多様な店舗フォーマットを展開しております。
新規出店に加え、既存店舗の改装や業態転換を推進することで、店舗ごとの競争力及び収益性を高めてまいります。また、特定地域に複数の店舗フォーマットを展開するドミナント戦略を推進し、大型店舗等を商品供給拠点として周辺の小型店舗へ商品を供給するなど、店舗網と物流網を一体的に活用することで、効率的な店舗展開を進めてまいります。
西友については、既存店舗の商品・売場・オペレーションの改善を進めるとともに、トライアルと西友双方の強みを取り入れた「トライアル西友」への業態転換等を通じ、お客様支持の拡大及び店舗収益力の向上を図ってまいります。
③データ及びテクノロジーを活用した店舗運営の高度化
当社グループは、実店舗で蓄積される購買データや店舗運営に関する知見を活用し、商品構成、棚割り、価格設定、発注、在庫管理及び販売促進等の店舗運営の高度化に取り組んでおります。
Skip Cart、インストアサイネージ、各種業務システム等のテクノロジーを活用し、お客様の利便性向上と店舗オペレーションの効率化を進めるとともに、データ分析を活用したカテゴリマネジメントの高度化や、お客様一人ひとりのニーズに応じた商品・サービスの提供を推進してまいります。
今後は、これらのテクノロジー及びデータ活用の仕組みを西友を含むグループ各社へ順次展開することで、グループ全体の生産性及び収益性の向上を図ってまいります。
<リテールAI事業>①流通小売の現場を起点としたプロダクト及びソリューションの開発
リテールAI事業では、小売事業者や食品・消費財メーカー等に対し、お客様の買い物体験の向上、店舗オペレーションの効率化、広告・販売促進活動の高度化及びサプライチェーンの効率化等に資するプロダクトやソリューションを提供しております。
当社グループは、自ら実店舗を運営することで把握した現場の課題やニーズを開発に反映し、開発したプロダクトやソリューションを実店舗において検証・改善できることを特徴としております。この「オペレーション・ドリブン」の考え方のもと、流通小売事業と連携しながら、Skip Cart、MD-Link、カメラソリューション、インストアサイネージ等の機能向上及び導入拡大を進めてまいります。
また、西友のグループ入りによる店舗網及び顧客接点の拡大を活かし、多様な立地・店舗フォーマットにおいてプロダクトやソリューションの検証及び展開を進めることで、開発力及び提供価値の向上を図ってまいります。
②データ活用の高度化及びグループ外への事業展開
流通小売業界では、メーカー、卸、物流事業者及び小売事業者等の各事業者が保有する情報やデータが分断されていることなどにより、サプライチェーンやマーケティング活動に非効率が存在していると当社グループは認識しております。
当社グループは、商品データ、購買データ、会員データ及び店舗内で取得されるデータ等を活用・分析することで、需要予測、商品構成、在庫・物流、販売促進及び広告等の高度化を図り、流通小売業界における「ムダ・ムラ・ムリ」の削減を目指しております。
これらの取り組みをグループ内で実践するとともに、そこで得られた知見やプロダクト、ソリューションをグループ外の小売事業者や食品・消費財メーカー等へ提供することで、リテールAI事業の収益基盤の拡大を図ってまいります。
(4)経営環境
今後の当社グループを取り巻く経営環境は、国内における人口減少と少子高齢化の加速に伴い、より厳しさを増していくものと考えております。内閣府の令和8年版高齢社会白書によると、国内人口は2055年には約1億人まで減少し、生産年齢人口比率も50%に近づいていくと予測されております。国内全体における消費の拡大が見込まれない中で、当社グループが主力で取り扱う「食」や「日用生活消耗品」の消費は一定の規模を維持し、顧客属性や地域に応じた嗜好の細分化がより一層進んでいくものと認識しております。
小売業界においては、お客様の購買行動の変化への対応、働き手の確保、データ活用などの業界課題によって、従来型のビジネスモデルからの変革が強く求められております。また、国内外における金利上昇や為替の変動、商品の仕入価格の上昇、エネルギー価格の高騰などによるコスト上昇が企業業績に与える影響も深刻であり、それらを吸収し、収益を確保できる企業の選別が一層進んでいくものと思われます。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、流通小売事業においては、全国に店舗網を拡大するとともに、生鮮を中心とした「食」の強化や、店舗改装などによって店舗の集客力及び収益性を高めてまいります。また、リテールAI事業においては、プロダクトやソリューションの新規開発や既存プロダクトの機能改善により、小売企業、食品・消費財メーカー、ベンダー等への更なる提供価値の向上に努めてまいります。エネルギー価格や人件費の上昇による物価高に起因して消費者の節約志向が高まるなど、厳しい経営環境が続く状況にありますが、中長期的な成長を見据えた事業基盤を築いてまいります。
当社グループは、2025年7月1日付の西友の完全子会社化により、事業規模及び事業基盤が大きく拡大しました。一方、両社の経営資源の融合、グループシナジーの早期実現、既存事業の収益力向上、財務健全性の確保及び拡大した企業集団に対応する経営管理体制の構築が、重要な経営課題となっております。
こうした認識のもと、当社グループは、2026年2月に中期経営計画を策定し、2027年6月期から2029年6月期までの3年間を、長期ビジョンの実現のための「流通改革に向けた基盤づくりの3年」と位置づけています。
2029年6月期における定量目標として、売上高1.6兆円、EBITDA 1,000億円、営業利益640億円を掲げております。シナジーを軸としたキャッシュ創出力を向上させることで、財務健全性を高めるとともに、2030年6月期以降の飛躍的な成長に向けた、強固な土台づくりに取り組んでまいります。
これらを達成するため、当社グループは以下の5点を重点戦略として設定し、優先的に対処してまいります。
① PMI推進によるグループシナジー最大化
西友との統合プロセスを迅速かつ着実に実行し、グループ全体の収益性と生産性の向上を図ってまいります。
・仕入れ・調達の最適化:仕入れ条件の統一及び帳合統合を進め、粗利押し上げ効果を創出いたします。
・PB強化とカテゴリマネジメントの高度化:「こはく本舗」や「みなさまのお墨付き」等の両社ブランドの再編・相互販売・共同開発を推進し、グループ全体のPB売上高構成比25%を目指します。併せて、AIやデータ分析による棚効率改善、プロセスセンターやセントラルキッチンの運用一体化を進めてまいります。
・システム統合の推進:西友の基幹システムをトライアルのシステムへ統合・一本化し、開発・運用・保守コストの削減を図ってまいります。
② トライアルの収益性向上と成長の推進
高収益モデルの磨き上げと戦略的な店舗展開により、持続的な成長を牽引してまいります。
・出店戦略の加速:独自の商圏分析ツール「Retail Map」を活用した精度の高い出店により、主力のスーパーセンターを3年間で35店舗出店するほか、小型店フォーマット「TRIAL GO」の多店舗展開(3年間で100店舗)を進めてまいります。
・既存店売上高の継続的成長:積極的な店舗改装(3年間で累計45店舗)や「食」・PB商品の強化(惣菜売上構成比8%目標)を実施いたします。
・デジタルを活用した購買体験の向上:プライシングの精緻化に加え、Skip Cartやインストアサイネージ、会員アプリ等をフル活用した個客最適のアプローチを行い、「価格訴求」と「価値訴求」の両立を実現いたします。
③ 西友の店舗改革とお客様支持の拡大
西友における抜本的な店舗改革を断行し、トップラインの伸長と圧倒的な顧客支持を獲得してまいります。
・売場づくりと改装の横展開:成功モデル店舗のノウハウを全店へ横展開し、店舗の底上げを図るとともに、スーパーマーケット60店舗の戦略的改装を実施いたします。
・新業態「トライアル西友」への展開:大型店(ハイパーマーケット)30店舗を、価格競争力を強みとする生鮮繁盛店モデル「トライアル西友」へと業態転換いたします。
・販管費率の低減:攻めの価格投資により一時的に売上総利益率は低下するものの、売上高の拡大による固定費の吸収とシステム統合等の効果により、大幅な販管費率の低減と増益体制を構築してまいります。
④ DX戦略の収益化フェーズへの移行
これまで構築してきたDX基盤を本格的な収益化へと移行させ、グループ全体の成長を後押ししてまいります。
・データとAIの全社活用:基幹システムの統合に合わせ、西友も含めたグループ全社でデータ及びAIの活用を推進いたします。
・新規事業基盤の構築:リテールメディアやECの事業基盤づくりを具体的に進め、将来の売上高・利益拡大に寄与する体制を確立してまいります。
⑤ 持続的な成長を支える経営基盤の強化
成長投資と財務健全性のバランスを高度に両立させ、企業価値の最大化を図ってまいります。
・サステナビリティ経営の推進:当社グループのパーパスである『世界の誰もが「豊かさ」を享受できる社会をつくる。』のもと、当社グループ及び社会全体の発展・成長に取り組んでまいります。リアル店舗の運営を軸に、リテールDXの推進や、多様なパートナーとの連携を通じて持続可能な社会の実現を目指してまいります。
・適切なキャッシュアロケーション:営業活動から創出されるキャッシュを主財源として、成長投資(新店出店・業態転換・店舗改装等)へ1,300億円を優先配分いたします。
・財務基盤の正常化:西友の完全子会社化に伴う有利子負債の圧縮(3年間で1,150億円の返済)を規律をもって実行し、2029年6月期における「純有利子負債/EBITDA倍率3倍以内」「自己資本比率20%以上」の達成を目指します。
・人的資本・パートナーシップ・株主還元:人的資本の強化や業界変革につながる外部パートナーシップの構築を進めるほか、機動的なM&Aも検討してまいります。また、株主の皆様へは「累進配当」の方針に基づき、安定的かつ継続的な還元を行ってまいります。
当社グループは、これらの重点戦略を全社一丸となって推進し、次世代スマートストアの成功モデルを確立・横展開することで、世界をリードする「流通プラットフォーマー」への飛躍を目指してまいります。