有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2024/01/18 15:00
【資料】
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【項目】
130項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況1 財務諸表等注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
① 経営成績の状況
第3期事業年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
当事業年度におけるわが国の経済は、前事業年度より引き続き、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、厳しい状況が続いております。感染拡大の防止策として、ワクチン接種の促進や各種の経済施策等により経済水準の持ち直しの動きがあるものの、足下では国内外での新型コロナウイルス感染症が再拡大しており、国内外における経済的な見通しは不透明な状況が続いております。
当社がサービスを提供する製造業界においては、世界的な半導体不足や、ロシアのウクライナ侵攻等により、短期的には不透明感はあるものの、生産性効率、熟練技術者の技能継承といった課題への取り組みにおいては、課題解決の手段として生産工程におけるデジタル技術の活用への投資は拡大基調を強めております。
このような経営環境の中、当社は、製造業の品質検査における労働集約的作業や従来製品に代わる手段として、AIを活用したAI外観検査システム「Phoenix Vision/Eye」を提供してまいりました。また、製造業の生産工程におけるAI技術の導入等を検討するためのDXコンサルティングサービスを提供してまいりました。当社設立から3期目となる当事業年度は、これまで積み重ねてきた実績が信頼に繋がり、毎月新規ユーザー及びリピート需要の獲得が進み、51社との取引が行われ、当社設立時からの累計取引社数は103社となりました。
この結果、当事業年度における売上高は、617,397千円と前年同期と比べ272,931千円(179.2%)の増収、営業利益は、64,319千円と前年同期と比べ60,958千円(1,913.7%)の増益、経常利益は、63,399千円と前年同期と比べ48,846千円(435.6%)の増益、当期純利益は、49,930千円と前年同期と比べ38,737千円(446.1%)の増益となりました。
なお、当社は、製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
第4期第3四半期累計期間(自 2023年3月1日 至 2023年11月30日)
当第3四半期累計期間(2023年3月1日~2023年11月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症となり、経済活動の正常化が進みつつありますが、ロシア・ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料価格の高騰や世界的な物価上昇、円安の進行等、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社がサービスを提供する製造業界においては、少子高齢化や人口減少を背景とした将来の労働生産性の確保に向けて既存システムの刷新やDXの推進によるIT投資の動きが見られます。
このような経営環境の中、当社は、製造業の品質検査における労働集約的作業や従来の製品に代わる手段として、AIシステムを活用した画像検査システム「Phoenix Vision/Eye」の提供及び製造業の生産工程におけるAI技術の導入等を検討するためのDXコンサルティングサービスを提供しておりますが、当第3四半期累計期間においては、1件あたりの受注金額が2千万円以上となる複数の大型案件の獲得に至っております。より多くのユーザーに対応ができるように、既存製品(Phoenix Vision/Eye)の汎用性を高めると共に、次世代機(Phoenix Edge)の開発を進めております。
この結果、当第3四半期累計期間においては、売上高1,052,794千円、営業利益384,061千円、経常利益383,408千円、四半期純利益253,457千円となりました。当第3四半期会計期間末の受注残高は、316,860千円となります。
なお、当社は、製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
② 財政状態の状況
第3期事業年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は前事業年度末より98,830千円増加し、341,115千円となりました。これは主に売掛金が127,432千円増加、敷金が17,665千円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は前事業年度末より44,552千円増加し、251,904千円となりました。これは、主に運転資金としての新規借り入れにより、借入金が16,804千円増加、未払消費税等が24,002千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は前事業年度末より54,277千円増加し、89,211千円となりました。これは、繰越利益剰余金が54,277千円増加したことによるものであります。
第4期第3四半期累計期間(自 2023年3月1日 至 2023年11月30日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における総資産につきましては、前事業年度末に比べ393,032千円増加し、734,148千円となりました。これは主に、現金及び預金が118,980千円増加、売掛金及び契約資産が244,307千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債合計につきましては、前事業年度末に比べ139,574千円増加し、391,478千円となりました。これは主に、未払金が44,451千円増加、未払法人税等が107,526千円増加、長期借入金が38,223千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計につきましては、前事業年度末に比べ253,457千円増加し、342,669千円となりました。これは主に、四半期純利益を253,457千円計上したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
第3期事業年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前事業年度末に比べ63,816千円減少した結果、18,086千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動によるキャッシュ・フローは40,931千円の支出(前年同期は13,289千円の収入)となりました。これは主に、契約負債の減少33,066千円や棚卸資産の増加20,876千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動によるキャッシュ・フローは39,689千円の支出(前年同期は75,369千円の支出)となりました。これは主に、本社移転等に伴う有形固定資産の取得による支出47,061千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動によるキャッシュ・フローは16,804千円の収入(前年同期は93,671千円の収入)となりました。これは主に、借入金の借入による収入16,804千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
第3期事業年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
a 生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b 受注実績
当事業年度における受注実績は次のとおりであります。
セグメントの名称第3期事業年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
第4期第3四半期累計期間
(自 2023年3月1日
至 2023年11月30日)
受注高
(千円)
前期比
(%)
受注残高
(千円)
前期比
(%)
受注高
(千円)
受注残高
(千円)
製造業DX事業668,243164.8213,598130.31,156,057316,860

(注) 当社は、製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
c 販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。
事業の名称第3期事業年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
第4期
第3四半期累計期間
(注2)
(自 2022年3月1日
至 2023年11月30日)
販売高
(千円)
前期比
(%)
販売高
(千円)
前期比
(%)
AIシステム(注1)351,321219.7815,243232.1
DXコンサルティング(注1、3)266,076144.2237,55189.3
合計617,397179.21,052,794170.5

(注) 1.当社は、製造業DX事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。サービス別に記載をしております。
2.第4期第3四半期累計期間(自 2023年3月1日 至 2023年11月30日)前期比は、当第3四半期累計期間販売高を第3期販売高で除して求めております。
3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先第2期事業年度
(自 2021年3月1日
至 2022年2月28日)
第3期事業年度
(自 2022年3月1日
至 2023年2月28日)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
株式会社アイシン97,35028.3133,88321.7

4.アイシン精機株式会社は、2021年に経営統合により株式会社アイシンに名称を変更しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、高いレベルの成長性、収益性を実現するための参考指標として、「受注残高」、「累計取引社数」、「継続顧客売上高」についても、モニタリングをしております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、「モノづくりのあり方を変え、世界を変えていく」をミッションに掲げて、製造業界向けにAI技術及びIoT技術等の新しい技術を活用したサービスを提供しております。顧客が抱える課題を解決するサービスを提供することでサービスの付加価値は高められ、付加価値を最大化することこそ、多くの顧客の需要に応えることができ、顧客基盤の拡充に繋がるものと考えております。付加価値の最大化に向けて継続的にモニタリングするKPIは、以下のとおりです。
回次第1期第2期第3期第4期(注)
決算年月2021年2月期2022年2月期2023年2月期2024年2月期
第3四半期
売上高(百万円)1033446171,052
売上高成長率(%)-334.0179.4170.5
売上総利益(百万円)100305547831
売上総利益率(%)97.188.788.779.0
営業利益(百万円)9364384
営業利益率(%)8.70.910.436.5
受注残高(百万円)102163213316
累計取引社数(社)1952103156
継続顧客売上高(百万円)-159303451

(注) 第4期の各数値は、第4期第3四半期累計期間(自 2023年3月1日 至 2023年11月30日)の実績であり、第4期の売上高成長率は、当第3四半期累計期間売上高を第3期売上高で除して求めております。
「売上高」及び「売上高成長率」は、自社の成長性及び市場への浸透度をモニタリングするため、重要な経営指標と位置付けております。
「売上総利益」「売上総利益率」「営業利益」「営業利益率」は、自社の収益性及び付加価値の1つのバロメーターとしてモニタリングしております。
「受注残高」及び「累計取引社数」並びに「継続顧客売上高」は、新規顧客の開拓と既存顧客の深掘り、それら新規及び既存顧客からの受注残高を自社の成長性及び収益性としてモニタリングしております。
第3期事業年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)
これまでの導入実績を前面に打ち出すことで新たな顧客を発掘して累計取引社数を増やすと共にリピーターとなる継続顧客からの案件も獲得しております。当社が提供するサービスの付加価値を高めるべく、AIシステムでは、より多くの顧客需要を満たせるように既存製品(Phoenix Vision/Eye)の汎用性を高めたほか、次世代機(Phoenix Edge)の開発に着手いたしました。また、DXコンサルティングでは、継続顧客からの課題を深く多岐にわたり解決いたしました。その結果、当事業年度においては、売上高617百万円、売上高成長率179.4%、売上総利益547百万円、売上総利益率88.7%、営業利益64百万円、営業利益率10.4%、受注残高213百万円、累計取引社数103社、継続顧客売上高303百万円となっております。
第4期第3四半期累計期間(自 2023年3月1日 至 2023年11月30日)
更に導入実績を積みましたことでAIシステムでは新たな顧客からの受注に繋がると共に1件あたりの受注金額が2千万円以上となる複数の大型案件の獲得に至りました。製造ラインの一画を担うことになる大型案件は、外観検査で不良品として判定したものを除去する装置等の開発が必要となり、それら製造コストが増えたことで売上原価が増加いたしました。DXコンサルティングでは新たな顧客の獲得に繋がりました。一方で、販売費及び一般管理費はコスト削減を徹底いたしました。その結果、当第3四半期累計期間においては、売上高1,052百万円、売上高成長率170.5%、売上総利益831百万円、売上総利益率79.0%、営業利益384百万円、営業利益率36.5%、受注残高316百万円、累計取引社数156社、継続顧客売上高451百万円となっております。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給与手当の他、販売費及び一般管理費の営業費用であります。当社は、事業運営上必要な資金を安定的に確保するために、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入等でバランスよく調達していくことを基本方針としております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
④ 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、資産・負債及び収益・費用の報告数値及び開示に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。
当該見積りにつきましては、過去の実績や現状等を勘案して合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる可能性があります。なお、当社が財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。