有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2024/02/20 15:00
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【項目】
149項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第10期連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(資産)
当連結会計年度末における流動資産合計は5,074,589千円となり、前連結会計年度末に比べ15,655千円減少いたしました。これは主に、親会社(KDDI株式会社)グループが運営するキャッシュ・マネジメント・システムによる資金の貸付を解消したことにより短期貸付金が2,140,659千円減少した一方、現金及び預金が1,909,085千円増加したこと及び3月納品のデバイスや受託開発案件の売上計上に伴う売掛金の増加101,309千円によるものであります。
固定資産合計は、588,695千円となり、前連結会計年度末に比べ44,362千円増加いたしました。これは主に本社移転により建物附属設備が40,237千円増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末における資産合計は5,663,284千円となり、前連結会計年度末に比べ28,707千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債合計は1,649,250千円となり、前連結会計年度末に比べ87,119千円減少いたしました。これは主に海外におけるSIMや通信回線の仕入により買掛金が39,436千円増加した一方で、リカーリング収益の前受額を売上認識したことにより契約負債が194,084千円減少したことによるものであります。
固定負債合計は、51,945千円となり、前連結会計年度末に比べ5,226千円減少いたしました。これは主に、本社移転に伴い資産除去債務を13,630千円新たに計上した一方で、賃借物件の減床や支払いによりリース債務が13,919千円、その他の固定負債が4,937千円それぞれ減少したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末における負債合計は、1,701,195千円となり、前連結会計年度末に比べ92,346千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,962,089千円となり、前連結会計年度末に比べ121,053千円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純利益70,874千円の計上により繰越利益剰余金が増加したことや従業員に対する有償発行により新株予約権が40,830千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は67.5%(前連結会計年度末は66.4%)となりました。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末比320,922千円増加の5,984,207千円となりました。これは主に、12月納品の受託開発案件の売上計上に伴う売掛金の増加137,349千円、現金及び預金の増加89,405千円、ソフトウェア仮勘定などの無形固定資産の増加72,253千円によります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末比178,519千円減少の1,522,675千円となりました。これは主に、リカーリング収益の前受額を売上認識したことにより契約負債が259,272千円減少した一方で、デバイス仕入により買掛金が81,028千円増加したことによるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末比499,441千円増加の4,461,531千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益456,334千円を計上したことや円安に伴い為替換算調整勘定が37,907千円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は72.2%(前連結会計年度末は67.5%)となりました。
② 経営成績の状況
第10期連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症による影響から回復傾向をたどってきましたが、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化等によるエネルギー価格の高騰、高インフレと米州・欧州を中心とした金融引き締めで、景気の回復ペースが鈍化しました。
日本経済も、緩やかな持ち直し傾向であるものの、円安を背景とする物価高により消費が下振れし、低い成長率にとどまりました。
ITサービス分野において、IoT技術は、日本の少子高齢化や人口減少に伴う社会課題の解決に貢献することが期待されています。さらに、政府や民間によるICT (情報通信技術) の推進が加速する中、今後もIoTはますます重要な役割を担っていくと予測され、当社が果たすべき役割はますます高まるものと認識しております。
当連結会計年度の業績については、課金アカウント数や契約回線数が伸びたことにより、リカーリング収益(プラットフォーム利用料)による継続収入が4,325,662千円と、前年同期と比べ976,767千円(29.2%)の増加と好調に推移し、サービス開始から7年で課金アカウント数は7,000を上回り、契約回線数は500万回線を達成しております。一方で、デバイスの初期導入が一巡し平準化したことにより、商品販売は1,747,388千円と、前年同期と比べ92,489千円(△5.0%)の減少となりました。
地域別では、国内拠点における売上は、リカーリング収益(プラットフォーム利用料)による継続収入が堅調に推移し、前年同期と比べ91,185千円(2.2%)の増加、海外拠点においても、757,600千円(54.3%)増加しております。
また、前連結会計年度からは、米国及び欧州における事業成長加速を目的として、営業人員を中心とした積極的な人員採用を行い、販管費率は40.8%から50.3%へ増加しました。この結果、当連結会計年度における売上高は6,299,403千円と前年同期と比べ848,785千円(15.6%)の増収となっておりますが、営業利益は101,376千円と前年同期と比べ399,701千円(△79.8%)の減益、経常利益は112,799千円と前年同期と比べ352,946千円(△75.8%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は70,874千円と前年同期と比べ266,278千円(△79.0%)の減益となっております。
なお、当社はIoTプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報は記載しておりません。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、経済正常化が進み、賃上げや価格転嫁が加速しつつあります。また、世界的には米国経済が堅調に推移し、日本経済にも好影響を及ぼしております。しかし、実質賃金は前年比マイナスで推移しており、米国や中国での金融環境、物価上昇、中東情勢・ウクライナ情勢の緊迫化など、いくつかのリスク要因が引続き存在しております。
ITサービス分野において、IoT技術は、日本の少子高齢化や人口減少に伴う社会課題の解決に貢献することが期待されています。さらに、政府や民間によるICT (情報通信技術) の推進が加速する中、今後もIoTはますます重要な役割を担っていくと予測され、当社が果たすべき役割はますます高まるものと認識しております。また、生成AIを活用する動きが各処でみられ、当社グループにおいても生成AIを活用したサービスの機能強化や研究を進めております。
このような事業環境の下、当社グループにおきましては、北米へのビジネス展開も見据え、チーム体制の強化を行ってまいりました。また、国内外の新規顧客の開拓や営業領域を拡大する取組みについても、進めております。これらの結果、IoTプラットフォームSORACOMの契約回線数は600万回線を突破し、当第3四半期連結累計期間における売上高は5,454,279千円、営業利益は644,550千円、経常利益は632,454千円、親会社株主に帰属する四半期純利益は456,334千円となりました。
なお、当社グループはIoTプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
第10期連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)については、前連結会計年度末より1,909,085千円増加し、3,532,503千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フロー状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、支出した資金は222,685千円(前連結会計年度は219,085千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が人材の積極採用により人件費が増加したことから前連結会計年度と比べ、298,614千円の減益となり、さらに、前連結会計年度は、会計基準の新規適用及び新サービス提供開始に伴う契約負債の増加1,273,352千円がありましたが、当連結会計年度においては、リカーリング収益の前受額を売上認識したことにより契約負債の減少255,553千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、獲得した資金は2,007,150千円(前連結会計年度は1,148,407千円の支出)となりました。これは主に、親会社(KDDI株式会社)グループが運営するキャッシュ・マネジメント・システムによる資金の貸付を解消したことによる貸付金の回収による収入2,140,659千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、獲得した資金は29,883千円(前連結会計年度は8,190千円の支出)となりました。これは新株予約権の発行による収入40,830千円及びリース債務の返済による支出10,946千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは受注生産形態をとる事業を行っていないため、生産規模及び受注規模を金額及び数量で示す記載をしておりません。
a. 生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
当社グループは、IoTプラットフォーム事業を単一セグメントとして展開しておりますが、第10期連結会計年度及び第11期第3四半期連結累計期間における品目別販売実績を示すと、次のとおりであります。
品目第10期連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
第11期第3四半期連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年12月31日)
販売高(千円)前期比(%)販売高(千円)
リカーリング収益
(プラットフォーム利用料)
4,325,662129.23,943,894
インクリメンタル収益商品販売1,747,38895.01,119,307
その他226,35286.4391,077
小計1,973,74093.91,510,384
IoTプラットフォーム事業合計6,299,403115.65,454,279

(注) 1.2023年3月期において、上記区分のうち、「リカーリング収益」は契約回線数増加により売上が拡大しましたが、「商品販売」は日本瓦斯株式会社向けのIoTデバイスの初期導入が一巡したことから減少しております。
2.最近2連結会計年度及び第11期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第9期連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
第10期連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
第11期第3四半期
連結累計期間
(自 2023年4月1日
至 2023年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
日本瓦斯株式会社1,869,72334.31,640,94426.01,288,25623.6


(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、当社の実態等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
(繰延税金資産)
当社は、事業計画等に基づき将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等については、繰延税金資産を計上することとしております。事業計画は、売上高の推移や営業戦略、人材投資戦略等も踏まえながら策定しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、将来の事業計画や当社が属する市場環境の変化により変動する可能性があり、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響する可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの第10期における売上高は、リカーリング収益が堅調に推移した結果、前期比15.6%の増収となりましたが、国内外においてセールス、マーケティング、エンジニア部門等の人員強化を図った結果、人件費が増加し、販売費及び一般管理費が942,553千円増加しました。その結果、営業利益は101,376千円の減益となりました。第11期第3四半期においては、人材採用費を抑制するなど、当社グループの収益力を高める方針で、事業を進めました。これにより、第11期第3四半期においては、営業利益は644,550千円となっております。
特に、第11期第3四半期においては、KDDI株式会社の新規事業開発に向けた取組みが加速し、受託開発に関する売上が好調に推移しております。
営業外収益としては、第10期においては、円高傾向にあったことから、為替差益を16,181千円計上いたしましたが、第11期第3四半期においては、急激に円安に転じ、為替差損を3,120千円計上しております。
また、第10期においては、子会社の清算に伴い関係会社清算益を52,831千円計上しておりますが、当社グループの再編が完了し、第11期第3四半期においては、このような特別損益は計上しておりません。
財政状態においては、当社の第11期第3四半期末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は26,567千円、現金及び預金の残高は3,621,908千円となっており、当社の事業を推進していくうえで十分な流動性を確保しております。今後は、これら資本を原資に、収益力とのバランスをみながら、マーケティング活動や優秀な人材の確保に投資を行い、国内売上の安定的な成長と海外売上の拡大を図ってまいります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社は、事業を推進していくうえで十分な流動性を確保しております。当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の給料手当の他、販売費及び一般管理費の広告宣伝費であります。当社は、事業運営上必要な資金を安定的に確保するために、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等でバランスよく調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位については、調達時期における資金需要の額、用途、市場環境、調達コスト等を勘案し、最適な方法を選択する方針であります。
④ 経営成績に重要な要因を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営成績を評価するために売上高、売上高総利益率及び営業利益率に加えて、リカーリング収益、課金アカウント数及びリカーリング収益のARPAを重要な経営指標と考えております。
売上高の伸びは事業全体が安定的に成長している指標となっており、コストとのバランスが異常でないことを売上高総利益率及び営業利益率をモニタリングすることで測っております。売上高については、前期比15.6%の伸びであり、営業利益率については、前連結会計年度において人材投資により一時的に低下しましたが、投資成果により売上高が伸長し、当第3四半期連結累計期間においては、営業利益率は11.8%と改善しております。
また、売上高の内訳としては、インクリメンタル収益だけではなく、プラットフォーム利用の拡大を示すリカーリング収益の増加を経営上の目標としております。リカーリング収益は、前期比29.2%と安定的に成長し、規模拡大に伴うコストメリットも貢献して、リカーリング収益の売上高総利益率も当第3四半期連結累計期間においては66.1%と良好な水準となっております。
さらに、ARPAの上昇は、既存顧客がプラットフォームの利用範囲を拡大していることを示すため、課金アカウント数の増加と併せて需要な指標として管理しております。課金アカウント数及びリカーリング収益のARPAは、それぞれ前期比6.6%及び17.3%とともに増加し、顧客数の増加のみならず既存顧客の事業へのIoTの浸透が進んでいるものと評価しております。
加えて、グローバル回線の利用が増加した結果、海外子会社の国又は地域における売上高である海外売上高は2022年3月期の1,396,164千円(海外売上高比率25.6%)、2023年3月期は2,153,764千円(海外売上高比率34.2%)と増加しております。なお、海外売上高には、国内顧客向けグローバル回線にかかる売上高が含まれております。
売上高及び売上総利益の伸長の背景については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
(単位:千円)
2022年3月期2023年3月期2024年
3月期
第3四半期
前期比
売上高5,450,6176,299,40315.6%5,454,279
売上高総利益率50.0%51.9%-60.4%
営業利益率9.2%1.6%-11.8%
(収益モデル別)リカーリング収益リカーリング収益3,348,8954,325,66229.2%3,943,894
売上高割合61.4%68.7%-72.3%
売上総利益率62.1%63.3%-66.1%
インクリメンタル収益※インクリメンタル収益2,101,7211,973,740△6.1%1,510,384
売上高割合38.6%31.3%-27.7%
売上総利益率30.8%27.1%-45.5%
課金アカウント数(個)7,1117,5886.6%7,908
リカーリング収益のARPA50258917.3%525
※ 商品販売とその他の売上高を合計した金額

(単位:千円)
売上高リカーリング
収益
インクリメンタル収益
2024年3月期第1四半期1,416,0351,245,072170,963
第2四半期1,801,2021,307,918493,284
第3四半期2,237,0411,390,904846,136

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