有価証券報告書-第9期(2023/07/01-2024/06/30)
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は前事業年度末に比べ10,929,163千円増加し、29,261,325千円となりました。
流動資産は、前事業年度末と比べ7,458,804千円増加し、16,915,714千円となりました。これは主に、現金及び預金が8,180,515千円増加、売掛金が344,384千円減少したこと等によるものであります。
固定資産は、前事業年度末と比べ3,470,359千円増加し、12,345,611千円となりました。これは主に、新工場建設に伴う有形固定資産が3,503,086千円増加、無形固定資産が189,263千円減少、投資その他の資産が156,536千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は前事業年度末に比べ5,752,274千円増加し、15,594,565千円となりました。
流動負債は、前事業年度末と比べ3,956,481千円増加し、10,474,442千円となりました。これは主に、未払法人税等が1,706,274千円、未払消費税等が387,563千円、短期借入金が1,000,000千円増加したこと等によるものであります。固定負債は、前事業年度末と比べ1,795,793千円増加し、5,120,123千円となりました。これは主に、新工場建設に伴う資金調達により長期借入金が2,071,000千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は前事業年度末に比べ5,176,888千円増加し、13,666,759千円となりました。
これは主に、配当金の支払いにより600,000千円減少したものの、当期純利益により利益剰余金が5,774,086千円増加したこと等によるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の指定感染症区分2類相当から5類感染症へと変更になったことに伴い社会経済活動は正常化に向かい、各種行動制限や入国制限の解除がなされたことで人流が大きく回復しました。他方、世界経済は世界的な金利引き上げやインフレが続き、ウクライナ情勢の長期化等先行きが不透明な状況が続きました。わが国においても半導体不足や労働力不足、物流停滞等による供給制約があった他、各国の金融政策との方向性の違い等による円安が急速に進行し、物価上昇に伴う景気の下振れが懸念される等、先行きが不透明な状況が続いております。
体外診断用医薬品業界におきましては、2023年7月頃より、新型コロナウイルス感染症の指定感染症が5類に変更されて以降初めて第9波の流行が到来したことで、新型コロナウイルス感染症の流行は世間の関心が薄れていくなか引き続き継続しました。またインフルエンザの流行も始まり、新型コロナウイルス感染症と同時期・長期間において流行する事態となりました。これにより、医療機関においては二つの感染症を同時に検査できる製品(コンボキット)に対する需要が高まることとなりました。
このような環境下において、当事業年度における経営成績につきましては、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザを同時検査できる製品(コンボキット)の販売が伸長したこと等で、売上高は18,434,863千円(前期比17.6%増)となり、営業利益は8,030,094千円(前期比61.7%増)となりました。経常利益は7,840,625千円(前期比58.3%増)となり、当期純利益は5,774,086千円(前期比90.3%増)となりました。
また、当社はコーポレートスローガン「診断技術で、安心な毎日を。」を掲げ、お客様からのお引き合いに応え続けることで着実な成長を遂げ、2024年6月には東京証券取引所スタンダード市場への新規上場を果たすことができました。
なお、当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ8,180,515千円増加し、9,424,891千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、9,935,074千円(前事業年度は3,157,605千円の使用)となりました。これは主に税引前当期純利益7,834,691千円の計上に加え、売上債権の減少額344,384千円、未払消費税等の増加額387,563千円、仕入債務の増加額339,338千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、4,110,382千円(前事業年度は1,615,239千円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出3,751,868千円及び無形固定資産の取得による支出208,022千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、2,355,823千円(前事業年度は330,200千円の使用)となりました。これは主に長期借入れによる収入2,698,620千円、短期借入金の純増額1,000,000千円及び配当金の支払額600,000千円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
2.前事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、新型コロナウイルス感染症の抗原検査キットの自治体向け販売が伸長したことを受け、販売実績が大幅に増加しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、当社は、同業他社との比較可能性を確保するため考慮し、会計基準につきましては、日本基準を適用しております。
なお、採用している重要な会計方針及び見積りに関しましては、「第5 経理の状況」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の分析
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の指定感染症区分2類相当から5類へと変更になったことに伴い社会経済活動は正常化に向かい、各種行動制限や入国制限の解除がなされたことで人流が大きく回復しました。他方、世界経済は世界的な金利引き上げやインフレが続き、ウクライナ情勢の長期化等先行きが不透明な状況が続きました。わが国においても半導体不足や労働力不足、物流停滞等による供給制約があった他、各国の金融政策との方向性の違い等による円安が急速に進行し、物価上昇に伴う景気の下振れが懸念される等、先行きが不透明な状況が続いております。
体外診断用医薬品業界におきましては、2023年7月頃より、新型コロナウイルス感染症の指定感染症が5類に変更されて以降初めて第9波の流行が到来したことで、新型コロナウイルス感染症の流行は世間の関心が薄れていくなか引き続き継続しました。またインフルエンザの流行も始まり、新型コロナウイルス感染症と同時期・長期間において流行する事態となりました。これにより、医療機関においては二つの感染症を同時に検査できる製品(コンボキット)に対する需要が高まることとなりました。
a.売上高
当事業年度における売上高は18,434,863千円となり、前事業年度に比べ2,761,763千円増加(対前年同期比17.6%増)いたしました。これは主に、当事業年度にてインフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行による感染症の感染拡大が継続し、当社のコンボキット等の販売が堅調に推移したことで、国内総売上を17,819,571千円計上、輸出総売上を615,291千円計上したこと等によるものであります。
b.売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は5,936,531千円となり、前事業年度に比べ536,654千円減少(対前年同期比8.3%減)いたしました。これは主に、製品売上増加に伴い材料費が15,932千円増加(対前年同期比0.6%増)、労務費が128,241千円増加(対前年同期比15.0%増)、製造経費が79,487千円減少(対前年同期比3.2%減)したことによるものであります。
この結果、当事業年度における売上総利益は12,498,332千円となり、前事業年度に比べ3,298,418千円増加(対前年同期比35.9%増)いたしました。
c.販売費及び一般管理費、営業損益
当事業年度における販売費及び一般管理費は4,468,237千円となり、前事業年度に比べ235,599千円増加(対前年同期比5.6%増)いたしました。これは主に、業績連動に伴う賞与等を含む人件費が389,041千円増加(対前年同期比34.4%増)したこと等によるものであります。
この結果、当事業年度における営業利益は8,030,094千円となり、前事業年度に比べ3,062,819千円増加(対前年同期比61.7%増)いたしました。
d.営業外収益、営業外費用、経常損益
当事業年度において、営業外収益が63,816千円発生いたしました。主な要因は、補助金収入を53,533千円、受取配当金5,343千円計上したこと等によるものであります。また、営業外費用が253,285千円発生いたしました。主な要因は、シンジケートローン手数料を104,380千円計上したこと等によるものであります。
この結果、当事業年度における経常利益は7,840,625千円となり、前事業年度に比べ2,887,174千円増加(対前年同期比58.3%増)いたしました。
e.特別損益、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額、当期純損益
当事業年度において、特別利益が2,483千円発生いたしました。主な要因は、新株予約権戻入益が1,892千円発生したことによるものであります。また、特別損失が8,416千円発生しました。主な要因は、固定資産除却損が6,470千円発生したこと等によるものであります。
法人税、住民税及び事業税が2,363,419千円、法人税等調整額が△302,813千円発生いたしました。
この結果、当事業年度における当期純利益は5,774,086千円となり、前事業年度に比べ2,739,223千円増加(対前年同期比90.3%増)いたしました。
③ 財政状態の分析
当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は金融機関からの借入により資金調達することとしております。また、当社は、資金の効率的な活用と借入金利息の削減を目的として、月次での資金計画等により資金管理を行っております。
なお、財政状態の分析は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当社のキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.資本の財源
当社の資金需要については、人件費や外注費、支払手数料、広告宣伝費等の販売費及び一般管理費等の営業活動に必要な運転資金が主なものであります。これらの資金需要に対する資本の財源は、手許資金、営業キャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により必要とする資金を調達しております。なお、当面の資金繰りのための資金は十分に確保していると判断しております。
b.資金の流動性に関する分析
月次での資金計画等により資金管理に努めており、また、当座貸越契約により、必要に応じて資金調達ができる体制を整えることで十分な流動性を確保しております。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因について、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑦ 経営戦略の現状と見通し
当社の経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(参考情報)
当社は経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算出されたEBITDA及びEBITDAマージンを重要な経営指標として位置づけており、過去の推移は以下のとおりであります。なお、第5期及び第6期は、連結財務諸表を作成していたため、連結財務諸表の数値を記載しております。
・EBITDA及びEBITDAマージン
(単位:千円)
(注)1.EBITDA=営業利益又は営業損失+減価償却費+特許権償却費+のれん償却費
2.EBITDAマージン=EBITDA÷売上高
3.厚生労働省との買取取引分を除く営業利益=営業利益-厚生労働省との買取取引に係る売上総利益
4.厚生労働省との買取取引分を除くEBITDA=厚生労働省との買取取引分を除く営業利益+減価償却費+特許権償却費+のれん償却費
5.厚生労働省との買取取引分を除くEBITDAマージン=厚生労働省との買取取引分を除くEBITDA÷厚生労働省との買取取引分を除く売上高
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は前事業年度末に比べ10,929,163千円増加し、29,261,325千円となりました。
流動資産は、前事業年度末と比べ7,458,804千円増加し、16,915,714千円となりました。これは主に、現金及び預金が8,180,515千円増加、売掛金が344,384千円減少したこと等によるものであります。
固定資産は、前事業年度末と比べ3,470,359千円増加し、12,345,611千円となりました。これは主に、新工場建設に伴う有形固定資産が3,503,086千円増加、無形固定資産が189,263千円減少、投資その他の資産が156,536千円増加したことによるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は前事業年度末に比べ5,752,274千円増加し、15,594,565千円となりました。
流動負債は、前事業年度末と比べ3,956,481千円増加し、10,474,442千円となりました。これは主に、未払法人税等が1,706,274千円、未払消費税等が387,563千円、短期借入金が1,000,000千円増加したこと等によるものであります。固定負債は、前事業年度末と比べ1,795,793千円増加し、5,120,123千円となりました。これは主に、新工場建設に伴う資金調達により長期借入金が2,071,000千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は前事業年度末に比べ5,176,888千円増加し、13,666,759千円となりました。
これは主に、配当金の支払いにより600,000千円減少したものの、当期純利益により利益剰余金が5,774,086千円増加したこと等によるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の指定感染症区分2類相当から5類感染症へと変更になったことに伴い社会経済活動は正常化に向かい、各種行動制限や入国制限の解除がなされたことで人流が大きく回復しました。他方、世界経済は世界的な金利引き上げやインフレが続き、ウクライナ情勢の長期化等先行きが不透明な状況が続きました。わが国においても半導体不足や労働力不足、物流停滞等による供給制約があった他、各国の金融政策との方向性の違い等による円安が急速に進行し、物価上昇に伴う景気の下振れが懸念される等、先行きが不透明な状況が続いております。
体外診断用医薬品業界におきましては、2023年7月頃より、新型コロナウイルス感染症の指定感染症が5類に変更されて以降初めて第9波の流行が到来したことで、新型コロナウイルス感染症の流行は世間の関心が薄れていくなか引き続き継続しました。またインフルエンザの流行も始まり、新型コロナウイルス感染症と同時期・長期間において流行する事態となりました。これにより、医療機関においては二つの感染症を同時に検査できる製品(コンボキット)に対する需要が高まることとなりました。
このような環境下において、当事業年度における経営成績につきましては、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザを同時検査できる製品(コンボキット)の販売が伸長したこと等で、売上高は18,434,863千円(前期比17.6%増)となり、営業利益は8,030,094千円(前期比61.7%増)となりました。経常利益は7,840,625千円(前期比58.3%増)となり、当期純利益は5,774,086千円(前期比90.3%増)となりました。
また、当社はコーポレートスローガン「診断技術で、安心な毎日を。」を掲げ、お客様からのお引き合いに応え続けることで着実な成長を遂げ、2024年6月には東京証券取引所スタンダード市場への新規上場を果たすことができました。
なお、当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ8,180,515千円増加し、9,424,891千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、9,935,074千円(前事業年度は3,157,605千円の使用)となりました。これは主に税引前当期純利益7,834,691千円の計上に加え、売上債権の減少額344,384千円、未払消費税等の増加額387,563千円、仕入債務の増加額339,338千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、4,110,382千円(前事業年度は1,615,239千円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出3,751,868千円及び無形固定資産の取得による支出208,022千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、2,355,823千円(前事業年度は330,200千円の使用)となりました。これは主に長期借入れによる収入2,698,620千円、短期借入金の純増額1,000,000千円及び配当金の支払額600,000千円等によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
事業区分の名称 | 当事業年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) | |
生産高(千円) | 前年同期比(%) | |
体外診断用医薬品事業 | 23,247,730 | 127.8 |
合計 | 23,247,730 | 127.8 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
事業区分の名称 | 当事業年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) | |
売上高(千円) | 前年同期比(%) | |
体外診断用医薬品事業 | 18,434,863 | 117.6 |
合計 | 18,434,863 | 117.6 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前事業年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) | 当事業年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
スズケングループ(注)2 | 11,436,450 | 73.0 | 9,957,369 | 54.0 |
2.前事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、新型コロナウイルス感染症の抗原検査キットの自治体向け販売が伸長したことを受け、販売実績が大幅に増加しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、当社は、同業他社との比較可能性を確保するため考慮し、会計基準につきましては、日本基準を適用しております。
なお、採用している重要な会計方針及び見積りに関しましては、「第5 経理の状況」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の分析
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の指定感染症区分2類相当から5類へと変更になったことに伴い社会経済活動は正常化に向かい、各種行動制限や入国制限の解除がなされたことで人流が大きく回復しました。他方、世界経済は世界的な金利引き上げやインフレが続き、ウクライナ情勢の長期化等先行きが不透明な状況が続きました。わが国においても半導体不足や労働力不足、物流停滞等による供給制約があった他、各国の金融政策との方向性の違い等による円安が急速に進行し、物価上昇に伴う景気の下振れが懸念される等、先行きが不透明な状況が続いております。
体外診断用医薬品業界におきましては、2023年7月頃より、新型コロナウイルス感染症の指定感染症が5類に変更されて以降初めて第9波の流行が到来したことで、新型コロナウイルス感染症の流行は世間の関心が薄れていくなか引き続き継続しました。またインフルエンザの流行も始まり、新型コロナウイルス感染症と同時期・長期間において流行する事態となりました。これにより、医療機関においては二つの感染症を同時に検査できる製品(コンボキット)に対する需要が高まることとなりました。
a.売上高
当事業年度における売上高は18,434,863千円となり、前事業年度に比べ2,761,763千円増加(対前年同期比17.6%増)いたしました。これは主に、当事業年度にてインフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行による感染症の感染拡大が継続し、当社のコンボキット等の販売が堅調に推移したことで、国内総売上を17,819,571千円計上、輸出総売上を615,291千円計上したこと等によるものであります。
b.売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は5,936,531千円となり、前事業年度に比べ536,654千円減少(対前年同期比8.3%減)いたしました。これは主に、製品売上増加に伴い材料費が15,932千円増加(対前年同期比0.6%増)、労務費が128,241千円増加(対前年同期比15.0%増)、製造経費が79,487千円減少(対前年同期比3.2%減)したことによるものであります。
この結果、当事業年度における売上総利益は12,498,332千円となり、前事業年度に比べ3,298,418千円増加(対前年同期比35.9%増)いたしました。
c.販売費及び一般管理費、営業損益
当事業年度における販売費及び一般管理費は4,468,237千円となり、前事業年度に比べ235,599千円増加(対前年同期比5.6%増)いたしました。これは主に、業績連動に伴う賞与等を含む人件費が389,041千円増加(対前年同期比34.4%増)したこと等によるものであります。
この結果、当事業年度における営業利益は8,030,094千円となり、前事業年度に比べ3,062,819千円増加(対前年同期比61.7%増)いたしました。
d.営業外収益、営業外費用、経常損益
当事業年度において、営業外収益が63,816千円発生いたしました。主な要因は、補助金収入を53,533千円、受取配当金5,343千円計上したこと等によるものであります。また、営業外費用が253,285千円発生いたしました。主な要因は、シンジケートローン手数料を104,380千円計上したこと等によるものであります。
この結果、当事業年度における経常利益は7,840,625千円となり、前事業年度に比べ2,887,174千円増加(対前年同期比58.3%増)いたしました。
e.特別損益、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額、当期純損益
当事業年度において、特別利益が2,483千円発生いたしました。主な要因は、新株予約権戻入益が1,892千円発生したことによるものであります。また、特別損失が8,416千円発生しました。主な要因は、固定資産除却損が6,470千円発生したこと等によるものであります。
法人税、住民税及び事業税が2,363,419千円、法人税等調整額が△302,813千円発生いたしました。
この結果、当事業年度における当期純利益は5,774,086千円となり、前事業年度に比べ2,739,223千円増加(対前年同期比90.3%増)いたしました。
③ 財政状態の分析
当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は金融機関からの借入により資金調達することとしております。また、当社は、資金の効率的な活用と借入金利息の削減を目的として、月次での資金計画等により資金管理を行っております。
なお、財政状態の分析は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当社のキャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.資本の財源
当社の資金需要については、人件費や外注費、支払手数料、広告宣伝費等の販売費及び一般管理費等の営業活動に必要な運転資金が主なものであります。これらの資金需要に対する資本の財源は、手許資金、営業キャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により必要とする資金を調達しております。なお、当面の資金繰りのための資金は十分に確保していると判断しております。
b.資金の流動性に関する分析
月次での資金計画等により資金管理に努めており、また、当座貸越契約により、必要に応じて資金調達ができる体制を整えることで十分な流動性を確保しております。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に重要な影響を与える要因について、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑦ 経営戦略の現状と見通し
当社の経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(参考情報)
当社は経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算出されたEBITDA及びEBITDAマージンを重要な経営指標として位置づけており、過去の推移は以下のとおりであります。なお、第5期及び第6期は、連結財務諸表を作成していたため、連結財務諸表の数値を記載しております。
・EBITDA及びEBITDAマージン
(単位:千円)
(株)タウンズ ホールディングス(連結) | 当社 (単体) | ||||
第5期 | 第6期 | 第7期 | 第8期 | 第9期 | |
決算期 | 2020年6月期 | 2021年6月期 | 2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 |
売上高 | 4,121,609 | 5,906,350 | 17,456,987 | 15,673,099 | 18,434,863 |
うち、厚生労働省との買取取引に係る売上高 | - | - | 8,411,808 | - | - |
厚生労働省との買取取引分を除く売上高 | - | - | 9,045,179 | - | - |
売上総利益 | 2,547,447 | 3,543,171 | 14,682,308 | 9,199,913 | 12,498,332 |
うち、厚生労働省との買取取引に係る売上総利益 | - | - | 7,762,670 | - | - |
厚生労働省との買取取引分を除く売上総利益 | - | - | 6,919,637 | - | - |
営業利益又は営業損失 | 746,311 | 1,143,757 | 11,189,556 | 4,967,275 | 8,030,094 |
厚生労働省との買取取引分を除く営業利益 | - | - | 3,426,885 | - | - |
+減価償却費 | 460,223 | 523,752 | 567,260 | 639,973 | 676,163 |
+特許権償却費 | 5,000 | 5,000 | - | - | - |
+のれん償却費 | - | - | - | - | - |
EBITDA | 1,211,535 | 1,672,510 | 11,756,816 | 5,607,249 | 8,706,258 |
厚生労働省との買取取引分を除くEBITDA | - | - | 3,994,146 | - | - |
EBITDAマージン | 29.4% | 28.3% | 67.3% | 35.8% | 47.2% |
厚生労働省との買取取引分を除くEBITDAマージン | - | - | 44.2% | - | - |
(注)1.EBITDA=営業利益又は営業損失+減価償却費+特許権償却費+のれん償却費
2.EBITDAマージン=EBITDA÷売上高
3.厚生労働省との買取取引分を除く営業利益=営業利益-厚生労働省との買取取引に係る売上総利益
4.厚生労働省との買取取引分を除くEBITDA=厚生労働省との買取取引分を除く営業利益+減価償却費+特許権償却費+のれん償却費
5.厚生労働省との買取取引分を除くEBITDAマージン=厚生労働省との買取取引分を除くEBITDA÷厚生労働省との買取取引分を除く売上高