訂正有価証券報告書-第54期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2018/11/07 13:58
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111項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和策により、企業業績、雇用・所得環境は改善し、景気も緩やかな回復基調のうちに推移いたしましたが、中国をはじめとするアジア新興国経済の減速懸念や、英国の欧州連合(EU)離脱決定、米国新政権への移行など、引き続き先行きは不透明な状況となっております。当社グループを取り巻く環境は、実質賃金が伸び悩むなか、消費者の皆様の生活防衛意識の高まりや節約志向により、個人消費は本格的な改善には至らず、また少子高齢化、人口減少による社会構造の変化、雇用改善に伴う労働コストの上昇、企業間競争の激化など、引き続き厳しい状況となりました。
このような環境の中、当社グループはきのこ事業を中心として、健康食材である「きのこ」の研究開発、生産、販売を通して、より多くの皆様へ、おいしさと健康をお届けできるよう事業活動を行ってまいりました。また、平成26年に策定いたしました中期経営計画の見直しを行い、市況に左右されない事業ポートフォリオの構築を目指した活動を推進し、おいしくて健康な「きのこ食文化の創造」と「企業の発展」に向け邁進してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高631億19百万円(前期比3.5%増)、営業利益34億30百万円(前期比0.1%増)、経常利益43億79百万円(前期比7.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は28億28百万円(前期比8.9%増)となりました。
なお、当連結会計年度の生産量は、ブナピーを含めブナシメジ42,602t(同5.5%増)、エリンギ19,250t(同0.2%減)、マイタケ14,281t(同4.3%増)となりました。
当連結会計年度の各セグメントの概況は次のとおりであります。
「国内きのこ事業」
生産部門におきましては、衛生管理を徹底し、安定栽培と品質の向上に努めてまいりました。平成27年4月の火災により生産を休止していた苫小牧第一きのこセンターが、工場を再建し、平成28年4月27日よりブナシメジの収穫・出荷を再開したことや、カットブナシメジ専用工場として新設した富山きのこセンターが平成28年9月上旬から収穫・出荷を開始したことにより、ブナシメジの生産量は増加いたしました。また、改修のため一時生産を休止しておりました広川きのこセンターにおきまして、平成28年9月上旬より霜降りひらたけの収穫・出荷を開始したことなどにより、きのこ全体の生産量は増加いたしました。
研究部門におきましては、品質管理体制の強化、付加価値の高い新商品の開発およびきのこの薬理効果や機能性の追求に取り組んでまいりました。特に、平成27年7月に完成したシイタケ栽培技術研究施設におきまして、シイタケの大量・安定栽培に向けた研究に注力いたしました。
営業部門におきましては、鮮度に拘った営業活動を行う一方、きのこによる健康と美容価値の創出が消費に結びつくものとして、引き続き「菌活」の提唱を行い、消費の拡大に努めてまいりました。春から夏にかけましては個人消費の低迷などにより、きのこの価格は厳しい状況で推移いたしました。反面、秋から冬にかけましては天候不順などによる野菜価格の高騰により、きのこの価格は堅調に推移いたしました。
以上の結果、国内きのこ事業全体の売上高は422億96百万円(同3.1%増)となりました。
「海外きのこ事業」
海外きのこ事業におきましては、各子会社が稼働率を高めたことにより、生産量は増加いたしました。台湾の現地法人「台灣北斗生技股份有限公司」におきましては、ブランドの構築、企画提案などに力を入れ販売活動を行ってまいりましたが、企業間競争の激化により厳しい状況で推移いたしました。米国の現地法人「HOKTO KINOKO COMPANY」におきましては、引き続き非アジア系顧客の開拓に注力し、販売の拡大を目指すとともに、欧州でのマーケティング活動も引き続き行ってまいりました。マレーシアの現地法人「HOKTO MALAYSIA SDN. BHD.」におきましては、マレーシア国内に限らず、広く東南アジアのマーケットでの販売を展開してまいりました。また、当社では新たな販路の開拓を目的として、東南アジア地域の市場調査・情報収集活動を強化するため、平成28年7月にタイ・バンコクに駐在員事務所を開設いたしました。
以上の結果、海外きのこ事業全体の売上高は45億12百万円(同1.4%増)となりました。
「加工品事業」
加工品事業におきましては、水煮・冷凍などのアイテムやレトルト食品など加工品の販売を行っております。その中で新しいアイテムの開発とさらなる市場開拓を行ってまいりました。一方、自社きのこを活用した新商品の開発および健康食品・レトルト食品を中心とした販売活動にも注力するとともに、一部商品におきましては通販事業による一般の消費者の皆様への直接販売にも力を入れてまいりました。また、子会社の株式会社アーデンにおきましては、OEM製品が好調に推移いたしました。
以上の結果、加工品事業の売上高は70億64百万円(同15.5%増)となりました。
「化成品事業」
化成品事業におきましては、引き続き厳しい販売環境にありましたが、中核である包装資材部門におきましては、効率化・利益率の改善を図るため営業戦略を見直し、販売強化に注力してまいりました。農業資材部門におきましては、資材の提供だけではなく、きめ細やかなサポートを強化してまいりました。新規戦略本部におきましては、一昨年より自社製品の販売を一つの柱にすべく営業活動を展開しております。新規販路の開拓と既存製品拡販に対応するため製造能力を旧工場の3倍にアップした新工場を長野市豊野に建設し、平成28年9月から稼働を開始いたしました。
以上の結果、化成品事業の売上高は92億45百万円(同1.7%減)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ8億13百万円増加し、当連結会計年度末には54億73百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は80億円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が42億31百万円、減価償却費が61億91百万円及び、法人税等の支払額16億4百万円等によるものであります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は149億47百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出148億69百万円等によるものであります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果獲得した資金は77億79百万円となりました。これは主に、短期借入れによる収入及び返済による支出の純額20億30百万円の増加、長期借入れによる収入80億56百万円、また長期借入金の返済による支出5億23百万円、配当金の支払額19億30百万円等によるものであります。