有価証券報告書-第105期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 13:12
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165項目

有報資料

(1)中長期的な経営戦略および会社の対処すべき課題
中長期的には、当社および当社グループを取り巻く経営環境は、気候変動による資源アクセス確保への影響や人口増加による食料供給不足のおそれがあり、環境負荷低減への積極的な取組み・持続可能な資源の確保が重要な経営課題と認識しています。また、新型コロナウイルスに代表される社会環境に甚大なインパクトを与える事象は、消費者の生活習慣や意識に大きな変化をもたらし、「食」に対する健康意識の高まりや「食」の持つ様々な機能への期待につながると考えております。
このような経営環境の中で、当社および当社グループは、中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」(2018年度~2020年度)を掲げ、持続可能な水産資源から世界の人々を健康にすることを目指し、海洋環境への負荷を低減する養殖事業の拡大・技術革新に取り組んでおります。また、ライフスタイルの変化に対応し、素材の美味しさを失わず、簡単・便利で高品質な商品群を拡大・強化してまいります。そして、健康志向に対しては、水産物が持つ特徴的な機能に着目した研究を継続するとともに、人々の健康的な生活に貢献する商品の開発を進めてまいります。
一方、足元の状況につきましては、国内外ともに新型コロナウイルスの感染拡大の終息が見通せず、企業収益や雇用環境などの悪化により世界経済の減速が懸念されます。
当社および当社グループにおいても、世界各国で人の移動が大きく制限され、家庭内消費の増加は見込まれるものの、レストラン・ホテルなど外食向け需要減、需要減による水産市況の悪化など、日米欧とも厳しい事業環境が予想されます。
2020年度は医薬品原料の海外展開や国内養殖事業の回復などを見込むものの、南米鮭鱒養殖事業の減産もあり、中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」の目標達成は難しい状況にありますが、引き続き主要戦略である海外展開の加速、養殖事業の高度化に加え、急速に拡大したリモートワークなどライフスタイルの変化に対応した商品を提供してまいります。
また、CSR活動についても、①地球環境を守る(環境負荷削減)②水産資源と海洋環境を守る③責任ある原材料調達(人権・環境の配慮)④フードロス削減⑤社員の健康を守り多様な人材の活躍の5分野を掲げ取り組んでいますが、さらに「人権方針」「プラスチック問題への取り組み方針」を定めるなど活動を強化し企業価値向上に努めてまいります。
なお文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。
① 中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」の目標とする姿(KPI)と進捗状況
当社では、KPIとして売上高・各段階利益に加え、投下資本・使用している総資産に対する収益性・効率化を管理するため、ROAを採用しております。
2019年度計画2019年度実績2020年度計画中計当初目標
売上高7,000億円6,900億円6,700億円7,560億円
営業利益240億円228億円190億円290億円
経常利益265億円258億円215億円320億円
当期純利益175億円147億円150億円220億円
ROA3.9%3.3%3.3%4.5%

(参考)ROE11.4%9.9%9.5%12.0%

※中計当初目標は中期経営計画発表時の2020年度目標値
※算出に用いた為替レート:USD 110円 EUR 135円
※ROA={「当期純利益」+「支払利息」×(1-実効税率)}/{(前期末「資産合計」+当期末「資産合計」)÷2}
② 中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」の主要戦略と進捗状況
(イ) 基本的な考え方
経営の基本方針「水産資源の持続的利用と地球環境の保全に配慮し、水産物をはじめとした資源から、多様な価値を創造し続け、世界の人々のいきいきとした生活と希望ある未来に貢献する。」を実現するため、2016年に「CSR行動宣言」を制定しました。
この方針と宣言に基づき、中期経営計画では、独自の技術を活かし、持続可能な水産資源から世界の人々に健康をお届けしてまいります。
「中期経営計画の基本的な考え方」
独自の技術を活かし価値を創造するメーカーを目指す
~ 持続可能な水産資源から世界の人々を健康に ~

(ロ) 主要戦略
中期経営計画「MVIP+(プラス)2020」では、下記の戦略に沿い、事業を通じ社会課題への取組を強化するなど、企業価値向上に努めておりますが、取組みを推進するため、CSR委員会を組織し、様々なCSR活動を行っています。CSR委員会は社長を委員長とし、全ての執行役員をメンバーとして年4回開催しています。重要課題を推進する4部会(資源持続・調達部会、海洋環境・プラスチック部会、フードロス部会、ダイバーシティ・人材育成部会)で構成され、部会長には執行役員を選任しています。
(ⅰ)持続可能な水産資源の利用と調達の推進
・当社グループの取り扱う水産物の資源状態を把握し、その持続可能性への配慮など当社の対応状況について
適宜発信してまいります。
・原料/製品の調達において、人権の尊重などに配慮した「CSR調達」をサプライヤーとともに進めてまいります。
(ⅱ)資源の最大活用と製品ロスの最小化を目指し、動植物性残渣の削減や賞味期限延長などの検討
(ⅲ)水産資源などの素材がもつ機能を活かした、健康に寄与する医薬原料や食品の拡大
(ⅳ)ライフスタイルの変化に対応した事業への構造転換
・日本に限らず欧米でも社会環境の変化に伴い、食事に求められるものが変わってきています。簡便/即食などのニーズに対応した美味しく、鮮度の良い商品を拡大すると同時に、これらの加工・生産機能の強化・再編を進めてまいります。
(ⅴ)海外展開の加速
・水産/食品事業における、欧州での更なる拡大とアジアへの注力
・医薬原料の海外展開
(ⅵ)水産資源の持続可能性につながる研究開発の更なる強化
・養殖事業の海外展開や新魚種への挑戦
・新規機能性脂質の研究
(ⅶ)働き方改革や健康増進支援策等を通じた健康経営の推進
(ⅷ)コーポレート・ガバナンスの強化
(ハ) 主要戦略の進捗状況
主要戦略進捗状況
(ⅰ)持続可能な水産資源の利用と調達の推進調達した水産物の資源状況の実態調査を定期的に行い、「2030年までにニッスイグループの調達する水産物について持続性が確認されている」状態を目指しています。「2019年に調達する水産物」について、2020年に調査を実施し、2021年に発表予定です。
(ⅱ)資源の最大活用と製品ロスの最小化を目指し、動植物性残渣の削減や賞味期限延長などの検討フードロス対応として、商品の流通過程での廃棄の抑制を図るため、2019年7月1日生産分より缶詰の賞味期限表示を「年月日」から「年月」に変更しました。
(ⅲ)水産資源などの素材がもつ機能を活かした、健康に寄与する医薬原料や食品の拡大「タンパク質も選ぶ時代へ」として、質の良いタンパク質であるスケソウダラすりみにフォーカスした「速筋タンパク」を訴求した商品の開発、販売を進めています。
(ⅳ)ライフスタイルの変化に対応した事業への構造転換グローバルでライフスタイルの多様な変化に対応する商品の拡大・強化を進めております。調理の手間を軽減できる「時短商品」や「キット商品」など、中食市場への対応を強化し、即食・簡便で美味しい食品を提供しております。
(ⅴ)海外展開の加速欧州において生産拠点の拡大や出資を行い、特にフランス・イギリスにおいて水産物の調達・加工・販売機能を強化しております。
ファインケミカル事業においては、医薬品原料となる高純度EPAの海外展開の準備を進めております。
(ⅵ)水産資源の持続可能性につながる研究開発の更なる強化養殖事業の高度化・拡大に向けて、バナメイエビ・マサバの陸上養殖試験を進めています。また、銀鮭の選抜育種や家系管理を踏まえた親魚の育成と発眼卵の生産を行う採卵センターを建設しました。
(ⅶ)働き方改革や健康増進支援策等を通じた健康経営の推進事業の柱である魚やEPAに着目した従業員の健康づくりと休暇取得や労働時間の適正化の推進が評価され、「健康経営銘柄」に2019年、2020年連続で選定されました。
(ⅷ)コーポレート・ガバナンスの強化取締役会の実効性向上と意思決定の迅速化を図り、社内規程の改定等を実施しました。また、グループ・ガバナンスの体制強化を意図し、グループ各社の規程の改定・整備を実施し、モニタリング強化のための体制の構築にも着手しました。


(ニ) 投資・財務戦略
(ⅰ)投資戦略:国内外ともに成長事業への設備投資を強化し、持続的な成長を目指します。
水産事業230億円
食品事業360億円
ファインケミカル事業60億円
物流・海洋事業他150億円
M&A他100億円
投資総額900億円

減価償却費570億円


(ⅱ)財務戦略:~事業リスクに対応できる財務体質に向けて~
持続的な成長を財務面から支えるために、1)収益力の強化、2)投資効率の良い経営、3)自己資本の充実
による経営安定化を進めます。また、グループ会社を含めROAを指標とした投資管理の更なる強化を進めて
まいります。

(ⅲ)投資・財務戦略の進捗状況
株主還元については、長期的・総合的視野に立った成長投資とリスク対応力向上のバランスに配慮しつつ、配当性向を15%~20%にすることを目標に掲げており、自己資本は当中計期間の期首より154億円増の1,531億円、配当性向は14.4%から17.9%に改善しています。
この2年間の主な成長投資は、水産事業において、環境負荷低減や持続可能な資源アクセスの確保を進めるため、オセアニアのエビ養殖会社や欧州のサケ閉鎖循環式養殖事業への資本参加、日本では種苗の質向上や早期採卵・選抜育種を行う銀鮭の採卵センターの建設、マサバの循環式陸上養殖施設の建設を実施しました。食品事業ではアジアの食品工場への投資、物流事業では関西地区の物流施設の増設などを実施しました。

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