有価証券報告書-第76期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「私たちは誠実を旨とし、本物・安心・健康な『食』の提供を通じて、人々の豊かなくらしとしあわせに貢献します」をグループ理念と定め、グループ理念の実践により、社会への責任を果たしてまいります。
また、当社グループは、グループ理念を通じて以下のグループビジョンの実現を目指します。
・地球環境に配慮し、世界の『食』に貢献する21世紀のエクセレントカンパニーを目指します。
・お客様の立場に立ち、お客様にご満足いただける価値創造企業を目指します。
・持続可能な『食』の資源調達力と技術開発力を高め、グローバルに成長を続ける企業を目指します。
(2)経営戦略等
安全で高品質な商品を、お客様のもとにお届けすることが当社グループの使命であり、食品安全を含めた品質保証体制、危機管理体制及びグループガバナンス体制の構築に、継続して取り組んでまいります。
また、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」の策定にあたっては、長期経営ビジョンとして「10年後のありたい姿」を「グローバル領域で「マルハニチロ」ブランドの水産品、加工食品を生産・販売する総合食品企業」と定義しております。当ビジョンの実現に向けて当中期経営計画においては「企業価値の向上と持続的成長」を基本方針として、以下の3つの経営戦略に引き続き取り組んでまいります。
① 収益力の更なる向上
水産資源アクセスを最大限に生かしたバリューチェーンを再構築するとともに、加工食品においては生産拠点の再編をはじめとする利益率の改善と商品開発力の強化に取り組みます。
② 成長への取り組み
利益成長実現のために、国内外における水産事業バリューチェーンへの投資、冷凍食品事業への積極投資、そして中長期的な成長領域への先行投資として、養殖事業、介護食事業、化成事業への投資を行います。
③ 経営基盤の強化
成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指します。
なお、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」と併せて策定しました「サステナビリティ中長期経営計画」及び「コーポレートブランディング活動」についても着実に推進してまいります。
① サステナビリティ中長期経営計画
持続的な企業価値の向上に取り組む企業グループとして、事業活動を通じた経済価値の創造とともに、社会価値、環境価値の創造にこれまで以上に注力していくことで、人類社会が直面する社会課題の解決に貢献します。
② コーポレートブランディング活動
マルハニチロらしいブランドの魅力を、より広く、深く、知って頂くために、企業ブランドマネジメントの強化に取り組み、積極的なコミュニケーション活動を展開します。
また、ブランドステートメントである「海といのちの未来をつくる」のもと、マルハニチログループだからこそ提供できる価値を通じて、社会にとって「かけがえのない存在」を目指します。
(3)経営環境
2019年12月に発生が報告された新型コロナウイルスの感染拡大により、経済活動が大きく抑制され、先行きは極めて不透明な状態となっております。
世界的な感染拡大で海外経済も急速に収縮するなか、新型コロナウイルス感染拡大の影響としては、海外漁業の不振及び国内外で巣ごもり消費へのシフトによる家庭用商品の販売拡大が見込まれる一方、外食や業務筋への販売減少、景気後退による高単価商材の販売不振が想定されます。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
非常に厳しい環境下ではありますが、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」の基本方針として定めた「企業価値の向上と持続的成長」の実現のため、以下の3つの経営戦略への取り組みをより強力に推進していくことに変更はございません。
① 収益力の更なる向上
水産資源アクセスを最大限に生かしたバリューチェーンを再構築するとともに、加工食品においては生産拠点の再編をはじめとする利益率の改善と商品開発力の強化に取り組みます。
② 成長への取り組み
利益成長実現のために、国内外における水産事業バリューチェーンへの投資、冷凍食品事業への積極投資、そして中長期的な成長領域への先行投資として、養殖事業、介護食事業、化成事業への投資を行います。
③ 経営基盤の強化
成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指します。
なお、各事業の次期における対処すべき課題は次のとおりであります。
漁業・養殖事業
まき網事業を主力とする漁業部門とマグロ・カンパチ・ブリの養殖部門を両軸に事業を推進します。新型コロナウイルス影響については、漁業部門で人的移動が各国で制限されていることから海外を拠点とする漁船で操業ロスが発生しております。また、養殖部門は高級商材であるマグロや活魚の外食・業務筋向け販売の減少と相場下落が大きく影響し、大幅な減収減益予想となっております。中長期的には、天災リスクを回避しながら、完全養殖クロマグロをはじめとする環境に過度の負荷をかけない漁業・養殖を目指してまいります。
商事事業
水産商事ユニットでは、国内におけるトップサプライヤーとして確固たるポジションを築いてまいりましたが、新型コロナウイルス影響により外食・業務筋向け販売については大幅な減収減益が見込まれます。また、世界各国の産地や物流においても様々な影響が発生しておりますが、安定的な原料調達継続のため資源アクセスの強化に努めるとともに、商品開発力の強化による加工品の拡大、及び国内外の販売ネットワークとの協働を通じた販売力の強化を進めてまいります。
荷受ユニットでは、新型コロナウイルス影響により大きく販売が落ち込んでおります。特に外食・業務筋向けの活魚や近海鮮魚といった高級商材の販売が厳しく、利益面も大きく圧迫していることから、業務の見直しを行うとともに、コスト削減に取り組み収益の改善に努めてまいります。
畜産商事ユニットでは、新型コロナウイルス影響による外食・業務筋向け販売の不振に加え、世界的な食肉の供給不足の影響も想定されるなか、内食志向に伴う量販店等の需要増に対し、国産食肉の取り扱い強化を図るとともに、海外産食肉の供給源の確保に注力し、国内外での販路開拓を進めてまいります。
海外事業
アジア・オセアニアユニット(旧名称:海外ユニット)では、タイ、豪州及びニュージーランドの事業拠点における収益基盤の強化、及び資源へのアクセス強化を進めるとともに、成長戦略として新規拠点候補の選定を進めてまいります。新型コロナウイルス影響により、世界的な外食需要の減少が見込まれますが、加工品需要の下支えにより、安定した利益の確保を目指してまいります。
北米・欧州ユニット(旧名称:北米ユニット)では、同じく世界的な外食需要減少見込みのなか、安定したスケソウダラ資源を主体に関連商材の効率的な生産を行い、日本を始め、欧米、アジアなどでの最適なマーケティングと鮭鱒事業の集魚強化、大幅コスト削減によって収益の確保を目指してまいります。
加工事業
家庭用冷凍食品ユニットでは、新型コロナウイルス影響による需要構造の変化への対応を進めます。マーケティングや研究開発部門との連携を強化、商品開発力を向上させるとともに、適時のプロモーション展開によって、引き続きブランド認知の拡大を図ります。また、製販一体の事業管理体制を継続強化し、収益性をさらに高めてまいります。
家庭用加工食品ユニットでは、原料事情の変動に適切に対応するとともに、新型コロナウイルスの影響による消費環境の変化に応じた販売体制と生産体制の更なる効率化により、収益確保を目指してまいります。
業務用食品ユニットでは、新型コロナウイルス影響による外食、給食向けの販売減少が想定されるなか、介護食、コンビニエンスストア、量販店惣菜、生協など業態別のニーズに対応した商品開発や販売活動を強化するとともに、単品損益管理に基づいた商品政策の推進により収益性の改善を図ってまいります。
化成ユニットでは、当期に引き続き、コンドロイチンやDHA・EPAなどの拡販に努めるとともに、フリーズドライ製品においては収益性の高い商品を中心に拡販し、事業規模拡大を目指してまいります。
物流事業
新型コロナウイルス影響に伴う荷動きの動向を注視しつつ、大都市圏の基幹センターの最大活用により、引き続き保管需要の取り込みを図るとともに、全国レベルで輸配送・通関等を含めた一貫物流サービスをお客様に提供することにより、収益拡大を目指してまいります。
(5)目標とする経営指標
当社グループは、2018年度から2021年度までの4ヵ年を対象とするグループ中期経営計画「Innovation toward 2021」において、2021年度に売上高1兆円、営業利益310億円、ROA(総資産経常利益率)5.7%、D/Eレシオ(負債資本倍率)1.5倍、自己資本比率30.0%の目標を掲げておりました。
しかしながら、中期経営計画の2年目にあたる2019年度においては、水産部門を中心に厳しい進捗状況となり、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも計画を大きく下回る結果となったこと、また新型コロナウイルス感染拡大による不透明感が高まっている現況を踏まえ、目標値に至るまでのプロセスの時間軸の見直しを行うことといたしました。
(1)経営方針
当社グループは、「私たちは誠実を旨とし、本物・安心・健康な『食』の提供を通じて、人々の豊かなくらしとしあわせに貢献します」をグループ理念と定め、グループ理念の実践により、社会への責任を果たしてまいります。
また、当社グループは、グループ理念を通じて以下のグループビジョンの実現を目指します。
・地球環境に配慮し、世界の『食』に貢献する21世紀のエクセレントカンパニーを目指します。
・お客様の立場に立ち、お客様にご満足いただける価値創造企業を目指します。
・持続可能な『食』の資源調達力と技術開発力を高め、グローバルに成長を続ける企業を目指します。
(2)経営戦略等
安全で高品質な商品を、お客様のもとにお届けすることが当社グループの使命であり、食品安全を含めた品質保証体制、危機管理体制及びグループガバナンス体制の構築に、継続して取り組んでまいります。
また、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」の策定にあたっては、長期経営ビジョンとして「10年後のありたい姿」を「グローバル領域で「マルハニチロ」ブランドの水産品、加工食品を生産・販売する総合食品企業」と定義しております。当ビジョンの実現に向けて当中期経営計画においては「企業価値の向上と持続的成長」を基本方針として、以下の3つの経営戦略に引き続き取り組んでまいります。
① 収益力の更なる向上
水産資源アクセスを最大限に生かしたバリューチェーンを再構築するとともに、加工食品においては生産拠点の再編をはじめとする利益率の改善と商品開発力の強化に取り組みます。
② 成長への取り組み
利益成長実現のために、国内外における水産事業バリューチェーンへの投資、冷凍食品事業への積極投資、そして中長期的な成長領域への先行投資として、養殖事業、介護食事業、化成事業への投資を行います。
③ 経営基盤の強化
成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指します。
なお、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」と併せて策定しました「サステナビリティ中長期経営計画」及び「コーポレートブランディング活動」についても着実に推進してまいります。
① サステナビリティ中長期経営計画
持続的な企業価値の向上に取り組む企業グループとして、事業活動を通じた経済価値の創造とともに、社会価値、環境価値の創造にこれまで以上に注力していくことで、人類社会が直面する社会課題の解決に貢献します。
② コーポレートブランディング活動
マルハニチロらしいブランドの魅力を、より広く、深く、知って頂くために、企業ブランドマネジメントの強化に取り組み、積極的なコミュニケーション活動を展開します。
また、ブランドステートメントである「海といのちの未来をつくる」のもと、マルハニチログループだからこそ提供できる価値を通じて、社会にとって「かけがえのない存在」を目指します。
(3)経営環境
2019年12月に発生が報告された新型コロナウイルスの感染拡大により、経済活動が大きく抑制され、先行きは極めて不透明な状態となっております。
世界的な感染拡大で海外経済も急速に収縮するなか、新型コロナウイルス感染拡大の影響としては、海外漁業の不振及び国内外で巣ごもり消費へのシフトによる家庭用商品の販売拡大が見込まれる一方、外食や業務筋への販売減少、景気後退による高単価商材の販売不振が想定されます。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
非常に厳しい環境下ではありますが、グループ中期経営計画「Innovation toward 2021」の基本方針として定めた「企業価値の向上と持続的成長」の実現のため、以下の3つの経営戦略への取り組みをより強力に推進していくことに変更はございません。
① 収益力の更なる向上
水産資源アクセスを最大限に生かしたバリューチェーンを再構築するとともに、加工食品においては生産拠点の再編をはじめとする利益率の改善と商品開発力の強化に取り組みます。
② 成長への取り組み
利益成長実現のために、国内外における水産事業バリューチェーンへの投資、冷凍食品事業への積極投資、そして中長期的な成長領域への先行投資として、養殖事業、介護食事業、化成事業への投資を行います。
③ 経営基盤の強化
成長への投資を最優先としながらも、財務基盤の強化を図ります。運転資本の効率的な運用にも取り組み、より強固な財務体質を目指します。
なお、各事業の次期における対処すべき課題は次のとおりであります。
漁業・養殖事業
まき網事業を主力とする漁業部門とマグロ・カンパチ・ブリの養殖部門を両軸に事業を推進します。新型コロナウイルス影響については、漁業部門で人的移動が各国で制限されていることから海外を拠点とする漁船で操業ロスが発生しております。また、養殖部門は高級商材であるマグロや活魚の外食・業務筋向け販売の減少と相場下落が大きく影響し、大幅な減収減益予想となっております。中長期的には、天災リスクを回避しながら、完全養殖クロマグロをはじめとする環境に過度の負荷をかけない漁業・養殖を目指してまいります。
商事事業
水産商事ユニットでは、国内におけるトップサプライヤーとして確固たるポジションを築いてまいりましたが、新型コロナウイルス影響により外食・業務筋向け販売については大幅な減収減益が見込まれます。また、世界各国の産地や物流においても様々な影響が発生しておりますが、安定的な原料調達継続のため資源アクセスの強化に努めるとともに、商品開発力の強化による加工品の拡大、及び国内外の販売ネットワークとの協働を通じた販売力の強化を進めてまいります。
荷受ユニットでは、新型コロナウイルス影響により大きく販売が落ち込んでおります。特に外食・業務筋向けの活魚や近海鮮魚といった高級商材の販売が厳しく、利益面も大きく圧迫していることから、業務の見直しを行うとともに、コスト削減に取り組み収益の改善に努めてまいります。
畜産商事ユニットでは、新型コロナウイルス影響による外食・業務筋向け販売の不振に加え、世界的な食肉の供給不足の影響も想定されるなか、内食志向に伴う量販店等の需要増に対し、国産食肉の取り扱い強化を図るとともに、海外産食肉の供給源の確保に注力し、国内外での販路開拓を進めてまいります。
海外事業
アジア・オセアニアユニット(旧名称:海外ユニット)では、タイ、豪州及びニュージーランドの事業拠点における収益基盤の強化、及び資源へのアクセス強化を進めるとともに、成長戦略として新規拠点候補の選定を進めてまいります。新型コロナウイルス影響により、世界的な外食需要の減少が見込まれますが、加工品需要の下支えにより、安定した利益の確保を目指してまいります。
北米・欧州ユニット(旧名称:北米ユニット)では、同じく世界的な外食需要減少見込みのなか、安定したスケソウダラ資源を主体に関連商材の効率的な生産を行い、日本を始め、欧米、アジアなどでの最適なマーケティングと鮭鱒事業の集魚強化、大幅コスト削減によって収益の確保を目指してまいります。
加工事業
家庭用冷凍食品ユニットでは、新型コロナウイルス影響による需要構造の変化への対応を進めます。マーケティングや研究開発部門との連携を強化、商品開発力を向上させるとともに、適時のプロモーション展開によって、引き続きブランド認知の拡大を図ります。また、製販一体の事業管理体制を継続強化し、収益性をさらに高めてまいります。
家庭用加工食品ユニットでは、原料事情の変動に適切に対応するとともに、新型コロナウイルスの影響による消費環境の変化に応じた販売体制と生産体制の更なる効率化により、収益確保を目指してまいります。
業務用食品ユニットでは、新型コロナウイルス影響による外食、給食向けの販売減少が想定されるなか、介護食、コンビニエンスストア、量販店惣菜、生協など業態別のニーズに対応した商品開発や販売活動を強化するとともに、単品損益管理に基づいた商品政策の推進により収益性の改善を図ってまいります。
化成ユニットでは、当期に引き続き、コンドロイチンやDHA・EPAなどの拡販に努めるとともに、フリーズドライ製品においては収益性の高い商品を中心に拡販し、事業規模拡大を目指してまいります。
物流事業
新型コロナウイルス影響に伴う荷動きの動向を注視しつつ、大都市圏の基幹センターの最大活用により、引き続き保管需要の取り込みを図るとともに、全国レベルで輸配送・通関等を含めた一貫物流サービスをお客様に提供することにより、収益拡大を目指してまいります。
(5)目標とする経営指標
当社グループは、2018年度から2021年度までの4ヵ年を対象とするグループ中期経営計画「Innovation toward 2021」において、2021年度に売上高1兆円、営業利益310億円、ROA(総資産経常利益率)5.7%、D/Eレシオ(負債資本倍率)1.5倍、自己資本比率30.0%の目標を掲げておりました。
しかしながら、中期経営計画の2年目にあたる2019年度においては、水産部門を中心に厳しい進捗状況となり、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益がいずれも計画を大きく下回る結果となったこと、また新型コロナウイルス感染拡大による不透明感が高まっている現況を踏まえ、目標値に至るまでのプロセスの時間軸の見直しを行うことといたしました。