有価証券報告書-第81期(2024/04/01-2025/03/31)
(4)気候変動に係る戦略・指標及び目標
当社は2021年7月、TCFD提言に賛同を表明し、「TCFDコンソーシアム」へ参画しました。同年、環境省が主催する「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」の参加企業に選定され、養殖事業についてシナリオ分析を行い、分析結果が2022年3月環境省HPにて公表されました。2023年度は、水産バリューチェーンを対象にその他の事業(漁業、水産商事、海外、加工食品、食材流通の各ユニット※当時のユニット名)についてもシナリオ分析を行い開示しました。
今後も気候変動に伴う外部環境の変化によって起こるリスクへの適切な対応を進めながら、新たな事業機会を追究しシナリオ分析を更新のうえ精緻化し、開示していきます。
① 戦略
2023年度に実施したシナリオ分析により、各ユニット(※当時のユニット名)のリスクと機会及びその影響度、対応策と時間軸について以下のとおり評価いたしました。
<気候関連リスク>
<気候関連機会>
また、気候変動に対するレジリエンス向上のために事業インパクトへの対応策を以下のとおり抽出し、実践に向けて取り組んでおります。
当社は2021年7月、TCFD提言に賛同を表明し、「TCFDコンソーシアム」へ参画しました。同年、環境省が主催する「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」の参加企業に選定され、養殖事業についてシナリオ分析を行い、分析結果が2022年3月環境省HPにて公表されました。2023年度は、水産バリューチェーンを対象にその他の事業(漁業、水産商事、海外、加工食品、食材流通の各ユニット※当時のユニット名)についてもシナリオ分析を行い開示しました。
今後も気候変動に伴う外部環境の変化によって起こるリスクへの適切な対応を進めながら、新たな事業機会を追究しシナリオ分析を更新のうえ精緻化し、開示していきます。
① 戦略
2023年度に実施したシナリオ分析により、各ユニット(※当時のユニット名)のリスクと機会及びその影響度、対応策と時間軸について以下のとおり評価いたしました。
<気候関連リスク>
| リスク分類 | リスク内容 | 指標 | 対象事業ユニット | 影響度 | 影響を受 ける期間 | 該当 シナリオ | ||||||
| 漁業 | 養殖 | 海外 | 水産 商事 | 加工 食品 | 食材 流通 | |||||||
| 移 行 リ ス ク | 法規制 | カーボンプライシングによる自社コスト増加 | コスト増加 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ▼▼▼ | 中・長 | 1.5℃ |
| 省エネルギー設備・脱フロン設備の導入・切替による自社コスト増加 | コスト増加 | ● | ● | ● | ▼▼ | 短・中 | 1.5℃ | |||||
| フロン規制強化に伴う保管料や物流コストの増加 | コスト増加 | ● | ● | ● | ● | ▼▼ | 短・中 | 1.5℃ | ||||
| 冷媒規制やミール装置設置義務化など、漁船への規制強化による操業コスト増加 | コスト増加 | ● | ▼▼ | 中・長 | 1.5℃ | |||||||
| 環境関連の規制強化による漁船減少及び漁獲量減少 | 売上高減少 | ● | ● | ▼▼▼ | 中・長 | 1.5℃ | ||||||
| 市場 | プラスチック代替原料の資材調達コスト増加 | コスト増加 | ● | ● | ● | ● | ● | ▼▼ | 中・長 | 1.5℃ | ||
| 燃料価格の高騰による漁業の操業コスト増加 | コスト増加 | ● | ● | ▼▼▼ | 短・中・長 | 4℃ | ||||||
| 気温上昇による食生活の変化に伴う、水産物消費の減少 | 売上高減少 | ● | ● | ● | ▼▼ | 中・長 | 4℃ | |||||
| 平均気温上昇に伴う、生産拠点での室温管理や保冷コスト、防虫対策コスト等の増加 | コスト増加 | ● | ● | ● | ● | ▼▼ | 中・長 | 4℃ | ||||
| 評判 | 気候関連課題への対応遅れや、お客様の環境配慮商品ニーズに対応できないことによるレピュテーション低下及び売上減少 | 売上高減少 | ● | ● | ● | ● | ▼▼ | 中・長 | 1.5℃ | |||
| 物 理 リ ス ク | 急性リスク | 自社工場・協力工場・調達先の被災、生産・物流停止による売上減少及び復旧コスト増加 | コスト増加 売上高減少 | ● | ● | ● | ● | ● | ▼▼ | 短・中・長 | 4℃ | |
| 慢性リスク | 海水温上昇に伴う魚種や漁場の変化による漁獲量・売上の減少 | 売上高減少 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ▼▼▼ | 短・中・長 | 1.5℃/ 4℃ | |
| 干ばつの影響で作物の調達が困難になることによるコスト上昇 | コスト増加 | ● | ● | ▼▼▼ | 中 | 4℃ | ||||||
| 海水温上昇に伴う水産物調達コストの増加 | コスト増加 | ● | ● | ● | ● | ▼▼▼ | 中 | 4℃ | ||||
<気候関連機会>
| 機会分類 | 機会内容 | 対象事業ユニット | 影響度 | 影響を受ける期間 | |||||
| 漁業 | 養殖 | 海外 | 水産商事 | 加工食品 | 食材流通 | ||||
| 資源効率 | 廃棄原料(残渣)をミール(魚粉)へ有効利用することによる売上増加 | ● | ● | ● | ▲▲ | 中・長 | |||
| エネルギー源 | 再生可能エネルギー利用や省エネルギー推進によるコスト削減 | ● | ▲▲ | 中・長 | |||||
| 製品・サービス | 低炭素商品や認証商品など環境配慮商品の売上増加 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ▲▲ | 中・長 |
| 漁場の変化への迅速な対応による漁獲量・売上増加 | ● | ● | ● | ● | ▲▲ | 中・長 | |||
| 海水温上昇に伴う魚種の変化により、代替たんぱく原料での売上増加 | ● | ● | ● | ● | ▲▲▲ | 中・長 | |||
| 異常気象ニーズに対応した災害食や冷涼なメニューなど新商品開発による売上増加 | ● | ● | ▲▲ | 中・長 | |||||
| 1. ●:各事業ユニットにおいて影響度が中程度以上とされたリスクと機会 | |||||||||
| 2. 影響度: リスク)▼▼=中 (経常利益への影響1%以上10%未満)、▼▼▼=大(10%以上) | |||||||||
| 機会)▲▲=中 (経常利益への影響1%以上10%未満)、▲▲▲=大(10%以上) | |||||||||
また、気候変動に対するレジリエンス向上のために事業インパクトへの対応策を以下のとおり抽出し、実践に向けて取り組んでおります。
| リスク・機会要因 | 事業インパクト | 今後の対応策 | |
| 新たな規制の導入 | ● | カーボンプライシング(炭素税) | <自社コスト増加に対して>・再エネ、省エネの推進 ・生産工場の最適化による生産効率向上 ・価格転嫁について顧客の理解を得る ・自然冷媒設備の導入に向けた調査 ・省エネ設備投資(ノンフロン機器への転換、電気使用量の削減等) ・Austral Fisheries Pty Ltd.のカーボンニュートラル認証の取得、Climate Active NETWORKへの加入と植樹活動によるオフセット <サプライヤーコスト増加に対して>・保管料や物流コストに対し、規制・法令の方針及び動向をモニターし、適時・適切に対応 |
| ● | 省エネ設備・脱フロン設備導入によるコスト増 | ||
| ● | 再エネ利用・省エネ推進によるコスト削減 | ||
| ● | 環境関連規制の強化による漁船・漁獲量減少 | ・新船の投資判断基準及びプロセスの構築(インターナルカーボンプライシングの検討等) ・各国政府との協議・協働による対策 | |
| 新たな規制の導入 | ● | 漁船への特殊規制強化への対応 | ・漁船へのミール装置導入により生産される魚粉の有効活用(漁業) ・国内残渣や食品としての未利用魚を利用した、廃棄原料の自社内循環の構築 ・ブリ、カンパチ、クロマグロ養殖の飼料原料への有効活用(養殖) |
| 資源効率化 | ● | 廃棄原料(残渣)の有効利用拡大 | |
| 市場の変化 | ● | 環境配慮型の資材導入 | ・プラスチック代替原料について調達先との協業 ・規制や技術革新に注視し対応 ・顧客との協業によるバリューチェーン全体でのリサイクル推進 ・容器包装の資源効率化 |
| ● | 燃料価格の高騰 | ・燃料価格動向のモニタリング ・代替燃料の調査 | |
| 製品・サービス | ● | 気温上昇に伴う食生活の変化による、水産物消費の減少 | ・気温上昇でも好まれる商品の品ぞろえ強化(鍋需要の減少を補完) |
| ● | 低炭素商品や認証商品など環境配慮商品の売上増加 | ・MSC、ASC認証取得の推進 ・カーボンオフセット、カーボンフットプリント製品の拡大 | |
| ● | 異常気象ニーズに対応した新商品の売上増加 | ・災害食や冷涼なメニュー、気温に左右されない常温食などの拡大 | |
| 評判 | ● | 気候関連課題への対応遅れ、エシカル消費への対応不足によるレピュテーション低下・売上減少 | ・気候変動への取組みの開示拡大 ・投資家との対話拡大 ・GHG排出の少ない調理方法・製品のPR推進 ・LCAやカーボンフットプリントによる製品のPR推進 |
| 自然災害の激甚化 | ● | 自社工場・協力工場・調達先の被災、生産・物流停止 | ・工場立地場所の最適化・再編 ・生産や物流の複線化 ・精度の高い気象予測での在庫管理 ・事業継続計画(BCP)の策定 ・共済、保険制度への加入 ・浮沈式生簀の導入(養殖) |
| 気温上昇 | ● | 生産拠点での室温管理や冷蔵コスト、防虫対策 | ・作業環境の温度管理の徹底 ・省エネや断熱を推進 |
| ● | 干ばつの影響による作物の調達コスト上昇 | ・干ばつリスクの高い調達先の洗い出し ・代替調達ルート、代替原料の模索(例:小麦粉から米粉+グルテン、米から麦へ等の置換え) ・耐暑性作物の捜索 | |
| 海洋環境の変化 | ● | 魚種や漁場の変化による漁獲量・売上減少 | ・SeaBOSタスクフォースでの積極的な活動及び情報収集 ・北方市場における漁業権へのアクセス確保(海外) ・漁業権を持つパートナーとの提携(海外) ・海洋汚染リスクの低減(AIトラッキング魚体計数機の導入による給餌量の適正化等)(養殖) ・人口種苗の増産(クロマグロ完全養殖・孵化ブリ・孵化カンパチ)=天然種苗の補完・置換え(養殖) ・増養殖技術のR&D体制強化(養殖) ・魚類の細胞培養技術の確立(インテグリカルチャーとの共同研究) ・代替たんぱく源、培養魚肉の商業化生産及び食品加工の実装に向けた技術開発 |
| ● | 漁場の変化への迅速な対応による売上増加 | ||
| ● | 魚種の変化による、代替たんぱく原料の拡大 | ||
| ● | 海水温上昇に伴う水産物調達コストの増加 | ・調達先の迅速な変更(水産商事)(加工食品) ・代替原料の模索(魚種の変更) ・台風、赤潮等の外部要因に強い魚や養殖方法の研究開発(養殖) ・配合飼料の開発(餌料コスト・品質の安定化をはかり、育成に最適な栄養素を設計・転嫁)(養殖) ・ミールの積極利用(養殖) | |
| ※ ●:リスク、 ●:機会 | |||