有価証券報告書-第100期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/25 15:33
【資料】
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【項目】
182項目
(3) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
三井金属グループでは、人が最も重要な経営資本であると考えております。当社グループの目指す、事業を通じた環境・社会課題の解決と、そのためのイノベーション創出、新たな価値創造は、多様な考え、様々な価値観、経験とスキルを持った人材がいてこそ実現するものだからです。当社グループで働く全ての人が、それぞれの役割を担いながら、当社グループで働くことに誇りや幸せを感じ、安心して働ける職場環境を整えることで、個々の能力を最大限に発揮できる仕組みを構築しております。
具体的にはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、働きがい改革、健康経営、実力主義の人事制度、HRBP(注)6機能の強化の5つの施策を推進しております。また、パーパスを基軸とした全社ビジョンの実現を目指すうえで備えるべき文化・風土を明確にするために、新たにバリュー(行動指針)(注)7を制定いたしました。これらの取組みにより、個人を尊重することと、組織として人材を活用することを両立し、経営戦略の実現を人事の側面から推進しております。
(注)6 HRBP:Human Resource Business Partnerの略。経営者や事業部門のパートナーとして事業成長と戦略の実行を人材・組織の面から支える機能。
(注)7 バリューは以下5つの文言からなる。多様な角度から見よう、みんなで愉しもう、知恵を出し合おう、やってみよう変えていこう、手本となろう。
①人材育成方針
当社グループは、「人材開発基本方針」に基づき、事業を通じて環境・社会課題を解決し、価値創造を実現する人材の育成に取り組んでおります。
イ.人材開発基本方針
人材は最も重要な経営資本との認識のもと、パーパスを基軸として全社ビジョンを実現するための「バリュー」を行動の指針とし、事業を通じて環境・社会課題を解決し、価値創造を実現する人を育てます。
‐すべての人がいきいきと働き、相互信頼のもとで積極的に議論し新たな価値を追求する文化を築きます。
‐だれもがかけがえのない一人であり、それぞれが能力と個性を存分に活かすことで、これまでに無いものを生み出すこと、すなわち多様性の価値を実現します。
‐一人ひとりが自らの目指す方向に向けて自分らしいキャリアを選択し、叶えるための行動を支援します。
‐実力重視の人事制度の下、公正な評価に基づき、個人の意思を尊重しつつ適所適材を図り、能力開発を発揮する機会を提供します。
‐経営戦略と時代のニーズを反映した教育プログラムを整えるとともに継続的に検証と改善を図ります。
②社内環境整備方針
2050年の世界では、働き方は今とは大きく異なり、人材流動性が非常に高くなると予想されております。このような社会においても、働く人に選ばれる会社、そこで働くことに誇りを持てる会社、成長し続けられる会社であるために、今から何をすべきかが問われております。
個人の視点としては、チャレンジして自己成長を実感できること、キャリアを自律的に築けること、多様性に価値があることの実感、これらを実現していく必要があります。もちろん健康的に働き続けられることは大前提です。
組織の視点では、育成・拡大・再構築・強化の事業評価に対して、どのような人を配置するかという人材のアロケーション、そのための人材育成に加え、経営者をはじめとした重要なポジションの後継者育成をしっかりと計画的に行うことが重要です。これら、個人視点と組織視点の人材戦略の礎となるのが実力主義の人事制度です。

イ.ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンと働きがい改革の推進
一人ひとりが優秀で知識が豊富でも、似通った視点や価値観の集団では、新しい価値の創造性や、組織としての強靭性に欠けます。そのため、異なる視点や経験、価値観があり、多角的に物事を捉えられるような多様性のある組織を目指します。その第一歩が女性活躍推進です。
さらに、どの様な価値観や経験・考え方の人であっても安心して働ける職場、自律的に働き、仕事の成功や失敗を通じて成長を実感できる職場を実現する働きがい改革を推進、加速しております。
・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進体制
2021年にダイバーシティ推進室、2022年に社長を委員長とするダイバーシティ推進委員会を設置し、ありたい姿に基づくロードマップとKPIを策定し取り組みを推進してきました。2023年度からは武川社外取締役がアドバイザーとなり、より幅広い視点での議論がすすみ、2024年度には、女性活躍推進に優れた上場企業として「なでしこ銘柄」に選定されました。25年度からは、各本部長が実行責任者として参画することで、現場まで取り組みが浸透する体制としております。
・働きがい改革推進の加速
2024年4月から、働きがい改革を加速するべく専任組織を設置いたしました。働きやすさ、働きがいが実感できることを早期に実現し、さらには「この会社だからこそ働きたい」と思えるような会社を目指しております。まずは組織と個人の関係性、つまりエンゲージメントが向上しやすい組織の特徴を分析し、データに基づいた各種の施策を立案・実行することで、ありたい姿を実現していきます。
・マネジメント体制
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンと働きがい改革は、密接に関係していることから、一つの委員会で議論しております。委員会で協議する方針や、KPIの策定・進捗と課題、今後の取り組みについては、執行最高会議と取締役会で報告・議論され、その結果が委員会活動に反映される体制となっており、経営戦略との連動、企業価値向上に資する仕組みとなっております。

[定期的な情報発信]
- 経営連絡会等における社長のメッセージ発信
- 社外取締役・ダイバーシティ推進室長メッセージ(採用ホームページ)
- 人事戦略・ダイバーシティ推進の取り組み進捗発信(ESG説明会)
- 社内報の連載
- DE&I社内サイトにおける事例発信・制度説明動画掲載
[研修]
- アンコンシャスバイアス研修 (非管理職向け)
- マネジメント研修 (管理職向け)
- D&I推進ワークショップ(男性育休編)
- 女性交流会
[女性活躍推進の取り組み]
- 男性育休取得事例の社内共有、製造現場へのポスター掲示
- 職域拡大の検討
- 女性管理職育成計画
- 採用競争力向上と女性採用強化施策実施
ロ.健康経営の推進
当社グループに働く全ての従業員及びその家族が心身ともに健康であることは重要な経営課題です。従業員とその家族が健康であることは、従業員の生活を充実させ、その個性・能力を最大限に発揮できる基盤となり、会社にとっても生産性を高め、業績向上に繋がっていきます。従業員及びその家族の健康維持・増進活動に取り組むことを通じて、さらに活力のある会社づくりを推し進めることをもって社会に貢献し続けることを、健康経営宣言として社内外に公表しております。
当社は、2019年以降継続して健康経営優良法人に認定されております。2022年度以降は、健康関連の研修・イベント、全拠点でのメンタルヘルス研修を継続して実施してきました。2023年度には全社産業保健・健康経営施策の推進役として新たに統括産業医を選任し、事務局として人事部労政室内に健康経営担当を設置いたしました。また、フィジカル・メンタルの両面からの健康経営重点項目の設定、健診結果に基づく医療機関受診への費用補助制度の導入、治療と仕事の両立に資する制度改定として半日年次有給休暇制度利用上限の撤廃、全社での健康診断結果のデータ分析、各職場へのストレスチェック結果のフィードバック及び重点職場の状況確認や改善サポート等を行なっております。2024年度より、健康経営の投資効果を測定する事を目的に、出社しているものの何らかの健康問題によって業務効率が落ちている状態を示すプレゼンティーズムと、健康問題によって仕事を欠勤している状態を示すアブセンティーズムを測定して社内外に公表しつつ、更なる健康経営の推進に役立てております。
ハ.実力重視の人事制度とHRBPによる戦略人事
・実力重視の人事制度
2022年4月より、これまでのヒト基準の人事制度から職務・役割基準のジョブ型人事制度へと改定いたしました。これにより、当社グループが掲げる“パーパス”、“全社ビジョン”、“バリュー”、そしてそこに向けた経営戦略と、人材マネジメントの整合性が強化されるようになります。すなわち、人に仕事を付けるという従来の発想・仕組みから、経営戦略遂行上必要な仕事を設定し、それに対して人を就けるという考え方への転換により、これまで以上に効率的な戦略遂行を実現していくことを意味します。
2024年度からは、いわゆる総合職、一般職の区分を廃止いたしました。
今後は、年次・年功・学歴など関係なく、“実力”のある優秀な人材に対して活躍する機会を提供することで、組織の活性化と挑戦する風土の醸成につながるものと期待しております。
・キャリア開発支援
“実力重視の適所適材”の人材マネジメント・人事制度への転換にともない、人材のキャリア形成のあり方に、大きく2点の変化が生じます。一点は一人ひとりが自分らしいキャリアビジョンを描き、定めた目標に向けて実力を身に付けていく、すなわち自律的なキャリア形成を志向することが求められるということです。そしてもう一点は、会社は社員のキャリア選択権を認め、一人ひとりと対話しながらキャリアビジョンの実現をサポートしていくというあり方です。当社はこのようなキャリアに関する会社と社員の新しい関係性を実現するための”キャリア開発支援“の取り組みとして、キャリア面談の実施、自己申告書の拡充などに取り組んでおります。
自己申告からは、個人のキャリア希望の方向性や個別事情を読み取ることができ、その情報を個人別配置育成計画に落とし込むことで、適性や本人の意思、発揮能力を踏まえたキャリア形成、能力開発が可能となります。一律にジェネラリストの育成だけでない、スペシャリストを含めたキャリアビジョンの複線化も意識できるような仕組みとなっております。具体的には、経営系、事業創造系、研究開発系又は人事、経理、法務などの機能系のマネジメントなのか、あるいはスペシャリストとして活躍したいのか、というキャリアビジョンを本人も上司も考えるようにしております。今後は、その計画を元に対話をする仕組みを構築しながら、個人と組織のすり合わせを強化していきます。
・自律的な学びを後押しする人材育成
一人ひとりのキャリアビジョンを実現するための仕組みとして、教育体制を充実させております。従業員がスキルを向上し自らの強みを発揮できるよう、また、生涯キャリアの形成に向けた各従業員の継続的な努力をサポートすべく、自律的な学びを支援できるカリキュラムと学習環境の提供に努めております。
2022年度より「個」のキャリア自律を実現すべく教育体系制度の刷新並びに、それをサポートするDXツールとして、MLP(Mitsui₋kinzoku Learning Platform) を導入いたしました。ここでは選択型能力開発プログラムを更に強化し、各階層で必要な能力を開発する必須研修に加え、従業員が自由に受講できる学習コンテンツを大幅に拡充しカフェテリア型の研修体系といたしました。リーダーシップやアンガーマネジメントなど管理職のマネジメントスキルを高めるコンテンツ、DXやAIなどのテクノロジー、心理的安全性など働き方改革に関する学習、サステナビリティに関する学習など世の中のトレンドに対応したコンテンツも用意しております。加えて、全従業員のITリテラシーの更なる向上を目標とし、三井金属総デジタル人材化と銘打ったICT教育を実施しております。本取り組みの継続的な実施を通じて、DXによる新たなビジネスモデル創出が出来るような人材の輩出を目指しております。
新入社員に対するきめ細やかな教育も特徴です。選出されたOJT指導員への教育を行いつつ、指導員-新入社員のコミュニケーション方法など育成上の課題を集約してフィードバックするとともに、得られた知見をフォローアップ研修に反映させるなどタイムリーに内容をブラッシュアップしております。また、統合思考経営の実践に向け、環境・社会課題を起点としたビジネスを創出できる人材の育成にも力を入れており、外部環境の変化を考慮しSDGs、ESG、CSRに対応する研修の拡大・強化に取り組んでおります。
これらの個別の研修のつみかさねにより、事業を通じて環境・社会課題を解決していく人材、当社の掲げる「人材開発基本方針」にもとづいた人材育成が実現されております。
・HRBPによる戦略人事の実施
2022年4月に設置された人事ビジネスパートナー室は、経営戦略、事業戦略の実現を人事の面から推進することをミッションとしております。従業員は個人として尊重されつつ、組織としてはこれを活用していく必要があります。各本部にあるHRBPは人事部と連携しつつ、全社視点における事業ポートフォリオの動的管理に紐づく人材アロケーションを実行し、必要なところに必要な人材を投入するようにしております。また、重要ポジションのサクセッションプランを通した中長期的な必要人材の特定、両利き経営をけん引できる人材の育成、各部門でのタレントマネジメントなどについても、デジタル技術の活用も進めながら先見性をもって迅速な課題解決に努めております。

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