有価証券報告書-第101期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/24 15:33
【資料】
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【項目】
174項目
(3) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
三井金属グループでは、人が最も重要な経営資本であると考えています。当社グループの目指す、事業を通じた環境・社会課題の解決と、そのためのイノベーション創出、新たな価値創造は、多様な考え、様々な価値観、経験とスキルを持った人材がいてこそ実現するものだからです。当社グループで働く全ての人が、それぞれの役割を担いながら、当社グループで働くことに誇りや幸せを感じ、安心して働ける職場環境を整えることで、個々の能力を最大限に発揮できる仕組みを構築しています。
具体的にはダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、働きがい改革、健康経営、実力主義の人事制度、HRBP(注)2機能の強化の5つの施策を推進しています。また、パーパスを基軸とした全社ビジョンの実現を目指すうえで備えるべき文化・風土を明確にするために、2025年度にバリュー(行動指針)(注)3を制定いたしました。これらの取り組みにより、個人を尊重することと、組織として人材を活用することを両立し、経営戦略の実現を人事の側面から推進しています。
(注)2 HRBP:Human Resources Business Partnerの略。経営者や事業部門のパートナーとして事業成長と戦略の実行を人材・組織の面から支える機能。
(注)3 バリューは以下5つの文言からなる。
多様な角度から見よう、みんなで愉しもう、知恵を出し合おう、やってみよう変えていこう、手本となろう。
①人材育成方針
当社グループは、「人材開発基本方針」に基づき、事業を通じて環境・社会課題を解決し、価値創造を実現する人材の育成に取り組んでいます。
イ.人材開発基本方針
人材は最も重要な経営資本との認識のもと、パーパスを基軸として全社ビジョンを実現するための「バリュー」を行動の指針とし、事業を通じて環境・社会課題を解決し、価値創造を実現する人を育てます。
‐すべての人がいきいきと働き、相互信頼のもとで積極的に議論し新たな価値を追求する文化を築きます。
‐だれもがかけがえのない一人であり、それぞれが能力と個性を存分に活かすことで、これまでに無いものを生み出すこと、すなわち多様性の価値を実現します。
‐一人ひとりが自らの目指す方向に向けて自分らしいキャリアを選択し、叶えるための行動を支援します。
‐実力重視の人事制度の下、公正な評価に基づき、個人の意思を尊重しつつ適所適材を図り、能力開発と発揮する機会を提供します。
‐経営戦略と時代のニーズを反映した教育プログラムを整えるとともに継続的に検証と改善を図ります。
②社内環境整備方針
2050年の世界では、働き方は今とは大きく異なり、人材流動性が非常に高くなると予想されています。このような社会においても、働く人に選ばれる会社、そこで働くことに誇りを持てる会社、成長し続けられる会社であるために、今から何をすべきかが問われています。
個人の視点としては、チャレンジして自己成長を実感できること、キャリアを自律的に築けること、多様性に価値があることの実感、これらを実現していく必要があります。もちろん健康的に働き続けられることは大前提です。
組織の視点では、育成・拡大・再構築・強化の事業評価に対して、どのような人を配置するかという人材のアロケーション、そのための人材育成に加え、経営者をはじめとした重要なポジションの後継者育成をしっかりと計画的に行うことが重要です。これら、個人視点と組織視点の人材戦略の礎となるのが実力主義の人事制度です。

イ.ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンと働きがい改革の推進
一人ひとりが優秀で知識が豊富でも、似通った視点や価値観の集団では、新しい価値の創造性や、組織としての強靭性に欠けます。そのため、異なる視点や経験、価値観があり、多角的に物事を捉えられるような多様性のある組織を目指します。その第一歩が女性活躍推進です。
さらに、どの様な価値観や経験・考え方の人であっても安心して働ける職場、自律的に働き、仕事の成功や失敗を通じて成長を実感できる職場を実現する働きがい改革を推進、加速しています。
・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進体制
2021年度にダイバーシティ推進室、2022年度に社長を委員長とするダイバーシティ推進委員会を設置し、ありたい姿に基づくロードマップとKPIを策定し取り組みを推進してきました。2023年度からは武川社外取締役がアドバイザーとなり、より幅広い視点での議論がすすみ、2025年度からは、各本部長が実行責任者として参画することで、現場まで取り組みが浸透する体制としました。これまでの女性活躍推進や両立支援への取り組みが評価され、2024年度に「なでしこ銘柄」、2025年度に「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」に選定されました。
・働きがい改革推進の加速
2024年4月から、働きがい改革を加速するべく専任組織を設置いたしました。働きやすさ、働きがいが実感できることを早期に実現し、さらには「この会社だからこそ働きたい」と思えるような会社を目指しています。まずは組織と個人の関係性、つまりエンゲージメントが向上しやすい組織の特徴を分析し、データに基づいた解析と拠点対話により各種の施策を立案・実行することで、ありたい姿を実現していきます。なお、働きがい向上へ向けたこれまでの取り組み実績が評価され、株式会社ZENTechが主催する「心理的安全性アワード2025」において、最高賞の「プラチナリング」を受賞しました。
・マネジメント体制
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンと働きがい改革は、密接に関係していることから、一つの委員会で議論しています。委員会で協議する方針や、KPIの策定・進捗と課題、今後の取り組みについては、執行最高会議と取締役会で報告・議論され、その結果が委員会活動に反映される体制となっており、経営戦略との連動、企業価値向上に資する仕組みとなっています。

[情報発信]
- 経営連絡会等における社長のメッセージ発信
- 社外取締役・ダイバーシティ推進室長メッセージ(採用ホームページ)
- 人事戦略・ダイバーシティ推進の取り組み進捗発信(ESG説明会)
- 社内報の連載
- DE&I社内サイトにおける事例発信・制度説明動画掲載
- 同業各社とのDE&Iフォーラム共催
[研修]
- アンコンシャスバイアス研修 (非管理職向け)
- マネジメント研修 (管理職向け)
- 男性育休取得セミナー、性的マイノリティに関する動画研修
- 女性交流会
[女性活躍推進の取り組み]
- 男性育休取得事例の社内共有、製造現場へのポスター掲示
- 職域拡大の検討
- 女性管理職育成計画、社外メンタリング(女性向け)
- 採用競争力向上と女性採用強化施策実施
ロ.健康経営の推進
当社グループに働く全ての従業員及びその家族が心身ともに健康であることは重要な経営課題です。従業員とその家族が健康であることは、従業員の生活を充実させ、その個性・能力を最大限に発揮できる基盤となり、会社にとっても生産性を高め、業績向上に繋がっていきます。従業員及びその家族の健康維持・増進活動に取り組むことを通じて、さらに活力のある会社づくりを推し進めることをもって社会に貢献し続けることを、健康経営宣言として社内外に公表しています。
健康経営を推進するために、2023年度には統括産業医を選任し、健康経営専従の事務局として人事部労政室内に健康経営担当を設置いたしました。2024年度より健康経営の効果指標としてアブセンティーズム及びプレゼンティーズムの2項目を設定し、年に1回の全従業員を対象としたアンケート調査を通じて定量評価を開始しました。2025年度より屋内喫煙所撤廃と禁煙の支援、食習慣の改善、運動風土の醸成の三つを健康施策の重点項目と設定し、注力しています。このような取り組みが社外で評価され、三井金属株式会社は2019年以降連続して健康経営優良法人に認定されています。
アブセンティーズム:健康問題によって仕事を欠勤している状態。
プレゼンティーズム:出社はしているものの何らかの健康問題によって 業務効率が落ちている状態。
ハ.実力重視の人事制度とHRBPによる戦略人事
・実力重視の人事制度
2022年4月に改訂した職務・役割基準のジョブ型人事制度により、当社グループが掲げる“パーパス”、“全社ビジョン”、“バリュー”、そしてそこに向けた経営戦略と、人材マネジメントの整合性が強化されるようになりました。すなわち、人に仕事を付けるという従来の発想・仕組みから、経営戦略遂行上必要な仕事を設定し、それに対して人を就けるという考え方への転換により、これまで以上に効率的な戦略遂行を実現して参ります。
2024年度からは、いわゆる総合職、一般職の区分を廃止いたしました。年次・年功・学歴など関係なく、“実力”のある優秀な人材に対して活躍する機会を提供することで、組織の活性化と挑戦する風土の醸成を目指しています。
・キャリア開発支援
実力主義の人事制度では、会社は個人のキャリア選択権を認め、個人にキャリア自律を意識づけ、会社と個人が対話をしながら、キャリアビジョンの実現を目指しています。管理職の全ポジション及び非管理職の全役割の職務記述書を公開し、1on1やキャリア面談の実施、個人がキャリア希望を会社に伝える自己申告制度の拡充を通じ、会社と個人の対話のプラットフォームを整え、会社は個人のキャリアビジョンや適性・能力を踏まえた能力開発が可能となりました。さらに、上級・初級管理職については、昇格選考時に、第三者専門機関による人材アセスメントを行っています。強み・弱みのフィードバックを個人のキャリアビジョンに生かしてもらうとともに、会社としては人材の専門性や強み、不足しているスキルを把握し、経営戦略実現のために強化すべきスキルの特定と施策につなげています。
・自律的な学びを後押しする人材育成
一人ひとりのキャリアビジョンを実現するための仕組みとして、教育体制を充実させております。従業員がスキルを向上し自らの強みを発揮できるよう、また、生涯キャリアの形成に向けた各従業員の継続的な努力をサポートすべく、自律的な学びを支援できるカリキュラムと学習環境の提供に努めています。
当社グループでは、会社が必須の学習を指定するだけでなく、キャリアビジョンに向けた自律的な学びやリスキリングを支援しています。当社グループの従業員に対して、カフェテリア型研修としてオンライン学習プラットフォームMLP(Mitsui-Kinzoku Learning Platform)及び通信教育を提供し、幅広い学習コンテンツを学ぶ機会を設けています。リーダーシップやアンガーマネジメントなど管理職のマネジメントスキルを高めるコンテンツ、DXやAIなどのテクノロジー、心理的安全性など働きがい改革に関する学習、サステナビリティに関する学習など世の中のトレンドに対応したコンテンツも用意しています。
新入社員に対するきめ細やかな教育も特徴です。選出されたOJT指導員への教育を行いつつ、指導員-新入社員のコミュニケーション方法など育成上の課題を集約してフィードバックするとともに、得られた知見をフォローアップ研修に反映させるなどタイムリーに内容をブラッシュアップしています。また、統合思考経営の実践に向け、環境・社会課題を起点としたビジネスを創出できる人材の育成にも力を入れており、外部環境の変化を考慮しSDGs、ESG、CSRに対応する研修の拡大・強化に取り組んでいます。
これらの個別の研修のつみかさねにより、事業を通じて環境・社会課題を解決していく人材、当社の掲げる「人材開発基本方針」にもとづいた人材育成が実現されています。
・HRBPによる戦略人事の実施
人事部内に人事ビジネスパートナー(HRBP)室及び、各事業本部に事業に精通したHRBP担当を配置し、組織として戦略的に人材を活用するための施策を実施し、人事の側面から経営戦略、事業戦略の実現を支えています。各本部にあるHRBPは人事部と連携しつつ、全社視点における事業ポートフォリオの動的管理に紐づく人材アロケーションを実行し、必要なところに必要な人材を投入するようにしています。また、重要ポジションのサクセッションプランを通した中長期的な必要人材の特定、両利き経営をけん引できる人材の育成、各部門でのタレントマネジメントなどについても、デジタル技術の活用も進めながら先見性をもって迅速な課題解決に努めています。

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