有価証券報告書-第118期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/26 15:29
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【項目】
169項目

文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) シミズグループの中長期的な経営方針
当社は,1887年に相談役としてお迎えした渋沢栄一翁の教えである道徳と経済の合一を旨とする「論語と算盤」を「社是」とし,この考え方を基に,「真摯な姿勢と絶えざる革新志向により,社会の期待を超える価値を創造し,持続可能な未来づくりに貢献する」ことを「経営理念」として定めている。
2019年5月,当社は,2030年を見据えたシミズグループの長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」と,当面5年間の基本方針と重点戦略を取りまとめた「中期経営計画〈2019‐2023〉」を策定した。
「SHIMZ VISION 2030」
■目指す姿『スマート イノベーション カンパニー』
建設事業の枠を超えた不断の自己変革と挑戦,多様なパートナーとの共創を通じて,時代を先取りする価値を創造(スマート イノベーション)し,人々が豊かさと幸福を実感できる,持続可能な未来社会の実現に貢献する。
■シミズグループが社会に提供する価値
イノベーションを通じた価値の提供により,SDGsの達成に貢献する。
①安全・安心でレジリエント※1な社会の実現
地震や巨大台風,豪雨などの自然災害リスクが高まる中,生活と事業を災害から守ることが求められている。強靭な建物・インフラの構築を通じて,安全・安心でレジリエントな社会の実現に貢献していく。
・強靭な社会インフラの構築
・建物・インフラの長寿命化
・防災・減災技術の普及
・ecoBCP※2の普及
※1 レジリエント:強くしなやかで復元力がある
※2 ecoBCP:平常時の節電・省エネ(eco)対策と非常時の事業継続(BCP)
対策を両立する施設・まちづくり
②健康・快適に暮らせるインクルーシブ※な社会の実現
高齢化や人口減少,都市化などの急速な社会変化が進む中,誰もが安心して快適に暮らせる社会が求められている。人に優しい施設やまちづくりを通じて,健康・快適に暮らせるインクルーシブな社会の実現に貢献していく。
・ICTを活用したまちづくり
・ユニバーサルデザインの普及
・well-beingの提供
・人類の活躍フィールドの拡大(海洋,宇宙へ)
※ インクルーシブ:すべての人が社会の一員として参加できる
③地球環境に配慮したサステナブル※な社会の実現
地球温暖化や森林破壊,海洋汚染などが深刻化する中,次世代に豊かな地球を残すことが求められている。環境負荷低減を目指す企業活動を通じて,地球環境に配慮したサステナブルな社会の実現に貢献していく。
・再生可能エネルギーの普及
・省エネ・創エネ,ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化の推進
・事業活動におけるCO2排出量削減
・自然環境と生物多様性の保全
※ サステナブル:地球環境を保全しつつ持続的発展が可能な
■ビジョンの達成に向けて
3つのイノベーションの融合により,新たな価値を創造するスマート イノベーション カンパニーを目指す。
①事業構造のイノベーション
ビジネスモデルの多様化とグローバル展開の加速,及び,グループ経営力の向上
②技術のイノベーション
建設事業の一層の強化に向けた生産技術の革新と未来社会のメガトレンドに応える先端技術の開発
③人財のイノベーション
多様な人財が活躍できる“働き方改革”の推進と社外人財との“共創”による「知」の集積
■目指す収益構造
スマート イノベーション カンパニーへの進化により,2030年度に連結経常利益2,000億円以上を目指す。
連結売上利益の構成は,事業別では,建設65%,非建設35%,地域別では,国内75%,海外25%を想定している。
「中期経営計画〈2019‐2023〉」
■中期経営計画の位置付け
企業価値の持続的成長を目指し,外部環境の変化に機敏に対応しつつ,利益水準を維持するとともに,この5年間を新たな収益基盤の確立に向けた先行投資期間として位置付けている。
■基本方針
建設事業の深耕・進化と,非建設事業の収益基盤確立及び成長を支える経営基盤の強化を図り,グローバル展開の加速とESG経営の推進により,シミズグループの企業価値向上を実現し,SDGsの達成に貢献する。
■経営数値目標(連結ベース)
建設事業での安定的な収益基盤を維持しつつ,非建設事業の着実な収益力向上により中長期的に収益構造を強化し,グループの持続的成長を実現する。
非建設事業の成長に資する投資を着実に実施しつつ,財務体質の健全性を維持する。
(単位:億円)
中期経営計画〈2019‐2023〉
2023年度 目標財務KPI
総売上高18,800ROE 10%以上
自己資本比率 40%以上
負債資本倍率 0.7倍以下
(D/Eレシオ)
配当性向 30%程度
建設事業15,500
非建設事業3,300
売上利益2,350
建設事業1,850
非建設事業500
経常利益1,400

■資本政策
①政策保有株式の縮減
・政策保有株式の縮減を段階的に進め,資本の有効活用を図る。
・売却代金の一部を原資として自己株式を取得し,成長戦略の実現に向けた機動的な資本政策を実施する。
②株主還元の拡充
・長期的発展の礎となる財務体質の強化と安定配当(普通配当)の維持を基本方針としつつ,成長により稼得した利益を,連結配当性向30%を目安に還元する。
■投資計画
長期ビジョン達成に向けた新たな収益基盤確立のため,5年間で7,500億円の投資を実施する。
項目投資額(5ヶ年)
生産性向上・研究開発投資1,000億円・建設生産システムの進化(ロボット等)
・研究開発拠点の拡充
・デジタル関連投資 他
不動産開発事業5,000億円・国内開発事業・賃貸資産の拡充
・海外事業の拡大(ASEAN・北米等)他
新規投資額 5,000億円
売却による回収 ▲1,000億円
NET投資額 4,000億円
インフラ・再生可能エネルギー
新規事業(フロンティア事業他)
1,300億円・インフラ運営・BSP事業
・再生可能エネルギー関連事業
・宇宙・海洋・自然共生事業
・次世代ベンチャー投資 他
人財関連200億円・高度プロフェッショナル人財
・グローバル化・制度改革 他
5ヶ年投資額 合計7,500億円

■非財務KPI
建設事業における労働生産性を向上させるとともに,ESGの観点から企業価値の向上を図り,SDGsの達成に貢献する。
主要KPI2023年度目標
生産性向上建設事業における生産性(2016年度比)
向上率
20%以上
環境(E)建設事業におけるCO2排出量(2017年度比)削減率※110%以上
社会(S)働きがい指標※24.0以上
ガバナンス(G)重大な法令違反件数0件

※1 当社エコロジー・ミッション2030‐2050活動に対応する目標
※2 当社従業員意識調査による指標(5段階評価の平均)
■ESG経営の推進
シミズグループは,ESG経営を推進し,事業活動を通じた社会的責任を果たすことで,ステークホルダーからの信頼を高めるとともに,中長期的な企業価値向上と持続的な成長を目指す。
E(環境):持続可能な地球環境への貢献
・CO2削減の中長期目標「エコロジー・ミッション2030‐2050」の着実な推進
・生物多様性の保全・指標化に向けた取組み
・限りある地球資源の有効活用と廃棄物削減に向けた取組み
S(社会):すべてのステークホルダーとの「共生」
・自然災害に対し,サプライチェーンと一体のBCP対応で,顧客・社会へ“安全・安心”を提供
・お客様の期待を超える価値の提供による顧客満足の獲得
・人権尊重の徹底と「働き方改革」によるサプライチェーンを含む労働環境の整備
・良き企業市民として地域社会と共生し,社会課題の解決に貢献
G(ガバナンス):コンプライアンスの徹底とリスクマネジメントの強化
・社是「論語と算盤」に基づく企業倫理の浸透とコンプライアンスの徹底
・リスクマネジメントの徹底(投資リスク,地政学的リスク,自然災害リスク 等)
・公正で透明な企業活動の実践
・すべてのステークホルダーへの的確な情報開示と対話の促進によるガバナンスの向上
具体的な取組み
E(環境)
[持続可能性に配慮した調達]
有明体操競技場に国産木材を約2,300㎥使用
森林の持続可能性を確保するためには,原材料調達,製造,流通,使用,廃棄に至るまでのライフサイクル全体を通じて,環境負荷の最小化を図るとともに,人権・労働など社会問題にも配慮することが必要である。
当社が施工を担当した東京都江東区の有明体操競技場では「持続可能性に配慮した調達コード」に基づき,大屋根に国産のカラマツ,外装と観客席に国産のスギを合計約2,300㎥使用している。東京2020オリンピック・パラリンピックのために新設された競技施設としては,最大の国産木材使用量である。
E(環境)
[気候変動への対応]
TCFD※提言への賛同表明と気候関連情報の開示
気候変動対策は,持続可能な地球環境のため最優先で取り組むべき事項のひとつである。シミズグループでは,地球温暖化防止に向けて,CО2排出量削減の中長期目標「エコロジー・ミッション2030‐2050」を推進している。また,気候変動を重要な経営課題と捉えて,事業に及ぼすリスクと機会の分析を行い,経営に反映させている。
当社は,2019年10月にはTCFD提言への賛同を表明,「TCFDコンソーシアム」にも参画している。取締役会において,気候変動への対応を報告するとともに,TCFD提言に沿った気候関連の情報の開示を行っている。
※TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース):
2015年に金融安定理事会により設置された組織。金融市場の安定化を図ることを目的に,企業等に対して気候変動リスク及び機会の財務的影響の把握と情報開示を促している。
S(社会)
[地方創生の取組み]
岐阜県立森林文化アカデミーと連携協定を締結
地域社会が持続的な社会を創生することを目指す「地方創生」の達成のためには,企業との連携が有効な手段である。当社では,地域社会が抱える社会的課題解決に向けて,地域社会と連携した様々な取組みを進めている。
2019年8月,当社は,地域循環型社会の実現を目的に岐阜県立森林文化アカデミーと連携協定を締結し,森林と木に関する人財の育成,森林・林業・木材産業の振興及び社会基盤としての森林の公益的機能維持等に協力している。
G(ガバナンス)
[ステークホルダーへの情報開示]
ESGアナリストを対象とした「SDGs・ESG説明会」を開催
当社では,企業の持続的成長と価値向上のため,株主,機関投資家,金融アナリストとの対話及び情報開示を重要視している。
2019年10月に,ESGアナリストを対象とした「SDGs・ESG説明会」を初めて開催し,シミズグループのイノベーションを通じた価値の提供によるSDGsの達成に向けた事業について説明を行った。今後も当社の事業戦略や経営環境について,様々な対話及び情報開示を積極的に行っていく。
(2) 対処すべき課題
■新型コロナウイルス感染拡大を受けた当社グループの対応について
当社では,2020年1月下旬以降の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受けて,社長を本部長とする対策組織を立ち上げ,全社を挙げて感染拡大防止策を推進している。作業所においては関係省庁の要請を勘案し,除菌消毒と「三つの密」回避の徹底を図り,また内勤においてもテレワークの励行による出社人数の絞り込みや出張自粛などにより,人と人との接触を極力減らす施策に全力で取り組んでいる。
当社は,2020年4月に政府から発出された緊急事態宣言を受けて,当社グループ及び協力会社社員の生命・安全を最優先事項と考え,またこの感染症の拡大防止策の一層の強化を図るため,当初対象となった7都府県及び追加で指定された6道府県を加えた13の特定警戒都道府県に所在する当社作業所について,原則として閉所する方針とした。
2020年5月,政府による緊急事態宣言は解除されたものの,新型コロナウイルス感染症の沈静化の時期は見通せない状況にある中で,当社は,建設業における雇用の確保など経済活動の維持のために工事を進めることも重要であると判断し,工事を再開することとした。作業所においては,感染防止対策を一層強化・徹底するための,関係省庁のガイドライン及び当社が設定した安全ルールを順守し,関係先と協議のうえ,管理体制が整った作業所から,順次工事を再開している。
新型コロナウイルス感染症は収束まで長期間を要することが想定されており,将来に対する不確実性が世界的に拡がる中で,建設事業においては,感染防止対策に伴う建設コストの増加や工期遅延等による工事損益の悪化,不動産市況・設備投資動向等の外部環境の変化による受注高の減少等が懸念されるなど,当社グループを取り巻く経営環境は非常に厳しい状況となることが想定される。当社は,新型コロナウイルスに関する状況の推移を注視しながら,感染防止対策に最善を尽くすとともに,事業の継続及び業績に与える影響を最小限度に留めるべく,グループを挙げて,着実に事業活動を遂行していく。
■独占禁止法違反事件に対する再発防止策の実施状況について
当社は,東海旅客鉄道㈱発注の中央新幹線建設工事における独占禁止法違反事件に関し,2018年10月に有罪判決を受け,建設業法の規定に基づき,2019年2月2日~同年6月1日の間,営業停止処分を受けた。再発防止策については,2018年3月から継続して実施している。
当事業年度における再発防止策の実施状況は,以下のとおりである。
再発防止策の実施状況
①経営トップが率先して倫理意識の涵養とコンプライアンスの徹底を図る
a.経営幹部向け企業倫理研修(各回約300名の役員・幹部社員,延べ約900名が受講)
・守屋淳氏「ビジネスにおける 論語と算盤の実践」
・田口佳史氏「渋沢栄一と論語」
・川合竜太弁護士「近時の独占禁止法等の実務」
b.「論語と算盤」eラーニング研修
・全従業員約10,000名及び子会社の役職員4,200名が受講
c.社内報及び社内イントラネットによる啓発
・渋沢史料館 館長による「論語と算盤」についての連載コラム(7回)
②行動規準の周知徹底
・外部弁護士による研修と意見交換(土木担当役員,営業担当役員及び支店幹部を対象)
・法務部による研修・支店幹部ヒアリング
③特定プロジェクトに対するコンプライアンスチェックの強化
・競争制限行為を誘引するリスクが高いと判断する案件を特定(建築・土木合わせて約70案件が指定され,毎月案件の進捗に従い見直しを実施)
・同案件に関する営業役員,部署長,営業担当者へのヒアリング・チェック(2019年度は累計約280案件を実施)
・必要に応じて,外部弁護士によるヒアリングも実施(2019年度 7案件)
④再発防止策の実施状況についての弁護士による評価
・2020年4月に,外部弁護士による評価を行った結果,「独占禁止法の順守に真摯に取り組んでいることが窺え,その姿勢は十分な評価に値する。」との結論を得た。
この評価は今後も定期的に行う。

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