有価証券報告書-第119期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 15:58
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【項目】
160項目

文中の将来に関する事項は,当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) シミズグループの中長期的な経営方針
当社は,1887年に相談役としてお迎えした渋沢栄一翁の教えである道徳と経済の合一を旨とする「論語と算盤」を「社是」とし,この考え方を基に,「真摯な姿勢と絶えざる革新志向により,社会の期待を超える価値を創造し,持続可能な未来づくりに貢献する」ことを「経営理念」として定めています。
2019年5月,当社は,2030年を見据えたシミズグループの長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」と,当面5年間の基本方針と重点戦略を取りまとめた「中期経営計画〈2019‐2023〉」を策定しました。
「SHIMZ VISION 2030」
■目指す姿『スマート イノベーション カンパニー』
建設事業の枠を超えた不断の自己変革と挑戦,多様なパートナーとの共創を通じて,時代を先取りする価値を創造(スマート イノベーション)し,人々が豊かさと幸福を実感できる,持続可能な未来社会の実現に貢献します。
■シミズグループが社会に提供する価値
イノベーションを通じた価値の提供により,SDGsの達成に貢献します。
①安全・安心でレジリエント※1な社会の実現
地震や巨大台風,豪雨などの自然災害リスクが高まる中,生活と事業を災害から守ることが求められています。強靭な建物・インフラの構築を通じて,安全・安心でレジリエントな社会の実現に貢献していきます。
・強靭な社会インフラの構築
・建物・インフラの長寿命化
・防災・減災技術の普及
・ecoBCP※2の普及
※1 レジリエント:強くしなやかで復元力がある
※2 ecoBCP:平常時の節電・省エネ(eco)対策と非常時の事業継続(BCP)
対策を両立する施設・まちづくり
②健康・快適に暮らせるインクルーシブ※な社会の実現
高齢化や人口減少,都市化などの急速な社会変化が進む中,誰もが安心して快適に暮らせる社会が求められています。人に優しい施設やまちづくりを通じて,健康・快適に暮らせるインクルーシブな社会の実現に貢献していきます。
・ICTを活用したまちづくり
・ユニバーサルデザインの普及
・well-beingの提供
・人類の活躍フィールドの拡大(海洋,宇宙へ)
※ インクルーシブ:すべての人が社会の一員として参加できる
③地球環境に配慮したサステナブル※な社会の実現
地球温暖化や森林破壊,海洋汚染などが深刻化する中,次世代に豊かな地球を残すことが求められています。環境負荷低減を目指す企業活動を通じて,地球環境に配慮したサステナブルな社会の実現に貢献していきます。
・再生可能エネルギーの普及
・省エネ・創エネ,ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化の推進
・事業活動におけるCO2排出量削減
・自然環境と生物多様性の保全
※ サステナブル:地球環境を保全しつつ持続的発展が可能な
■ビジョンの達成に向けて
3つのイノベーションの融合により,新たな価値を創造するスマート イノベーション カンパニーを目指します。
①事業構造のイノベーション
ビジネスモデルの多様化とグローバル展開の加速,及び,グループ経営力の向上
②技術のイノベーション
建設事業の一層の強化に向けた生産技術の革新と未来社会のメガトレンドに応える先端技術の開発
③人財のイノベーション
多様な人財が活躍できる“働き方改革”の推進と社外人財との“共創”による「知」の集積
■目指す収益構造
スマート イノベーション カンパニーへの進化により,2030年度に連結経常利益2,000億円以上を目指します。
連結売上利益の構成は,事業別では,建設65%,非建設35%,地域別では,国内75%,海外25%を想定しています。
「中期経営計画〈2019‐2023〉」
■中期経営計画の位置付け
企業価値の持続的成長を目指し,外部環境の変化に機敏に対応しつつ,利益水準を維持するとともに,2019年度から2023年度までの5年間を新たな収益基盤の確立に向けた先行投資期間として位置付けています。
■基本方針
建設事業の深耕・進化と,非建設事業の収益基盤確立及び成長を支える経営基盤の強化を図り,グローバル展開の加速とESG経営の推進により,シミズグループの企業価値向上を実現し,SDGsの達成に貢献します。
■経営数値目標(連結ベース)
建設事業での安定的な収益基盤を維持しつつ,非建設事業の着実な収益力向上により中長期的に収益構造を強化し,グループの持続的成長を実現します。
非建設事業の成長に資する投資を着実に実施しつつ,財務体質の健全性を維持します。
(単位:億円)
中期経営計画〈2019‐2023〉
2023年度 目標財務KPI
総売上高18,800ROE 10%以上
自己資本比率 40%以上
負債資本倍率 0.7倍以下
(D/Eレシオ)
配当性向 30%程度
建設事業15,500
非建設事業3,300
売上利益2,350
建設事業1,850
非建設事業500
経常利益1,400

■資本政策
①政策保有株式の縮減
・政策保有株式の縮減を段階的に進め,資本の有効活用を図ります。
・売却代金の一部を原資として自己株式を取得し,成長戦略の実現に向けた機動的な資本政策を実施します。
②株主還元の拡充
・長期的発展の礎となる財務体質の強化と安定配当(普通配当)の維持を基本方針としつつ,成長により稼得した利益を,連結配当性向30%を目安に還元します。
■投資計画
長期ビジョン達成に向けた新たな収益基盤確立のため,5年間で7,500億円の投資を実施します。
項目投資額(5ヶ年)
生産性向上・研究開発投資1,000億円・建設生産システムの進化(ロボット等)
・研究開発拠点の拡充
・デジタル関連投資 他
不動産開発事業5,000億円・国内開発事業・賃貸資産の拡充
・海外事業の拡大(ASEAN・北米等)他
新規投資額 5,000億円
売却による回収 ▲1,000億円
NET投資額 4,000億円
インフラ・再生可能エネルギー
新規事業(フロンティア事業他)
1,300億円・インフラ運営・BSP事業
・再生可能エネルギー関連事業
・宇宙・海洋・自然共生事業
・次世代ベンチャー投資 他
人財関連200億円・高度プロフェッショナル人財
・グローバル化・制度改革 他
5ヶ年投資額 合計7,500億円

■非財務KPI
建設事業における労働生産性を向上させるとともに,ESGの観点から企業価値の向上を図り,SDGsの達成に貢献します。
主要KPI2023年度目標
生産性向上建設事業における生産性(2016年度比)
向上率
20%以上
環境(E)建設事業におけるCO2排出量(2017年度比)削減率※110%以上
社会(S)働きがい指標※24.0以上
ガバナンス(G)重大な法令違反件数0件

※1 当社エコロジー・ミッション2030‐2050活動に対応する目標
※2 当社従業員意識調査による指標(5段階評価の平均)
■ESG経営の推進
シミズグループは,ESG経営を推進し,事業活動を通じて社会的責任を果たすことで,ステークホルダーからの信頼を高めるとともに,中長期的な企業価値向上と持続的な成長を実現します。
具体的な取組み
新しい環境ビジョン「SHIMZ Beyond Zero 2050」の策定
世界各国で,環境と経済の両立が目標とされ,気候変動問題への対応を“成長の機会”と捉える潮流が加速しています。また昨年日本政府においても2050年カーボンニュートラル,脱炭素社会の実現を目指すことが宣言されました。
このような情勢の中,当社グループでも新たな環境ビジョン「SHIMZ Beyond Zero 2050」を策定しました。Beyondには,事業活動による負の影響をゼロにするだけでなく,お客様や社会にプラスの環境価値を提供するという想いを込めており,当社グループが目指す持続可能な社会を「脱炭素社会」,「資源循環社会」,「自然共生社会」としています。
「SHIMZ Beyond Zero 2050」の詳細については下記URLよりご参照ください。
https://www.shimz.co.jp/beyondzero/index.html
TCFD※提言に基づく情報開示
当社は,気候変動を重要な経営課題の一つと捉え,気候変動が当社事業に及ぼす「リスク」と「機会」を分析し,その結果を経営戦略に活かしています。気候変動に対して必要な当社の対応は,長期ビジョンと中期経営計画で策定した事業戦略の方向性と整合していることを確認しました。またその結果を,コーポレートサイトやコーポレートレポートにおいて開示しています。
※ TCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース):
2015年に金融安定理事会により設置された組織。金融市場の安定化を図ることを目的に,企業等に対して気候変動リスク及び機会の財務的影響の把握と情報開示を促している。
ZEB※の推進
温室効果ガス排出量削減の有効な手段の一つであるZEBの普及促進は,建設業である当社の社会的使命の一つです。当社はこれまで業界に先駆けてZEBの普及に取り組んでおり,本年竣工した当社東北支店(Nearly ZEB)と北陸支店(ZEB)を含め,多くの設計施工実績があります。これからも当社の最先端の省エネ・創エネ技術を駆使して,サステナブルな社会の実現に向けて貢献していきます。
※ ZEB:再生可能エネルギーを除き,一次エネルギー消費量水準を基準一次エネルギー消費量から100%以上削減した建物。「Nearly ZEB」は75%以上削減した建物。
自然が持つ力にシミズの技術をプラス
近年,社会資本整備や安全・安心で持続可能な国土の利用,地域形成などの社会課題解決の有効手段として,自然環境が有する様々な機能を活用するグリーンインフラの取り組みが注目を集めています。当社では,自然が持つ賢い機能を活かしながらインフラ整備を行うとともに,当社が持つソフトや技術をプラスすることで自然の恵みを地域全体に還元する「グリーンインフラ+(PLUS)」を推進しています。地域の環境・社会・経済の価値をプラスにし,人と自然がいきいきと共生できる持続可能な社会の実現に向けて,挑戦し続けていきます。
国際イニシアチブ「The Valuable 500※」に加盟
本年,障がい者の社会参加を推進する国際イニシアチブ「The Valuable 500」に加盟しました。多様な人財によるイノベーションを創出するダイバーシティ経営,誰もが暮らしやすい街づくりに貢献する事業活動,そして誰もが生きがいを持って働き,生活できる幸せなコミュニティの実現に向けた社会貢献活動,この三つの観点から,インクルーシブな社会の実現を目指すことをコミットメント(約束)しています。
※ The Valuable 500:2019年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で発足した障がい者インクルージョン推進の国際イニシアチブ。障がい者がビジネス・社会・経済において活躍し,自らの潜在的な価値を発揮できるように,ビジネスリーダーが自ら改革を起こし自社のビジネスをインクルーシブにすることを目的としている。
(2) 対処すべき課題
■ニューノーマルにおける新しい働き方の実現
当社では,新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の中で,感染防止対策に最善を尽くしながら事業活動を継続しております。モバイルパソコンの配備やTV会議の利用など,ウィズコロナへの対応として行ってきた活動を,今後は,ニューノーマルにおける新しい働き方の実現に繋げてまいります。
柔軟で多様な働き方に応じた執務環境整備のため,2020年12月から社有施設の一部について,サテライトオフィスとしての利用を開始しました。また,2021年5月には本社オフィスを一部改修してフリーアドレスを導入するとともに,外部サテライトオフィスを整備し,運用を開始しました。本社の改修では,一部のフロアにおいて,デジタル技術を駆使して「オフィスワーカーのワークプレイスマネジメント※1」,「オフィス管理者によるワークプレイスモニタリング※2」,「執務室内の活動に合わせた設備制御」を行い,生産性の向上や協働・イノベーションの促進,働き方の行動分析・業務改革支援,感染リスクの低減を実現しています。
執務環境の整備に留まらず,リモートワークやフレックス勤務といった多様な働き方を前提とした仕組み作りのため,社内文書の押印廃止やペーパーレス化などの取組みも進めています。こうした活動を通じて,性別や障がい,国籍などの様々な背景からなる多様な価値観,考え方,スキルを有する従業員が,それぞれの能力を最大限に発揮できる環境の構築を図っています。ニューノーマルにおける新しい働き方の実現により従業員の働きがいや幸福度を向上させ,当社グループの持続的成長に繋げてまいります。
※1 ワークプレイスマネジメント:多様な働き方,対面による交流と協働機会の最大化,生産性を高める執務環境の運用を支援
※2 ワークプレイスモニタリング:セキュリティ確保や感染症発生時の追跡を可能とする行動管理と,行動分析による業務改革を可能とする執務環境の状況把握
■コンプライアンスの強化に向けた取組み
当社グループの役員・従業員が,社是である「論語と算盤」の精神に則って具体的な行動ができるよう,倫理意識の涵養とコンプライアンスの徹底に資する諸施策を継続して推進しております。
①経営トップが率先して倫理意識の涵養とコンプライアンスの徹底を図る
a.「論語と算盤」実践プロジェクト研修(当社及び子会社で実施)
・自らの業務と「論語と算盤」を重ね合わせ,日常的に語り合える風土をつくっていくことを目的として,全部門において10名程度の小集団で倫理意識を涵養
b. 経営幹部向け企業倫理研修(当社役員が受講後に,当社従業員及び子会社の役職員にイントラネットで公開)
・齋藤 孝氏「論語と算盤に学ぶ」,岡田尚人弁護士「ハラスメント防止について」
c. コンプライアンスeラーニング研修(「独占禁止法の順守」を含む)
・当社従業員約10,000名及び子会社の役職員4,200名が受講
②工事の入札に係る行動規準の周知徹底(当社及び建設事業系子会社を中心に推進)
・外部弁護士による幹部研修と意見交換
・法務部による従業員への研修・ヒアリング
・競争制限行為を誘引するリスクが高いと判断する案件を指定し,営業役員・部署長・営業担当者へのヒアリング・チェックを実施するとともに,外部弁護士によるヒアリングも実施
③独占禁止法順守に関する再発防止策の実施状況についての弁護士による客観的評価
・2021年4月に,外部弁護士より,「グループ会社を含む独占禁止法の順守に真摯に取り組んでいることが窺え,その姿勢は十分な評価に値する」との評価を得ております。

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