有価証券報告書-第77期(令和2年7月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/09/29 16:11
【資料】
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【項目】
138項目

研究開発活動

当社グループでは、「誠意をもってことにあたり、技術を軸に社会に貢献する。」という経営理念のもと、技術を適切に活用することで、お客様の期待に応えるとともに、人々の安全で快適な生活環境を実現するために日々努力しております。
このための研究開発活動として、社会のニーズや技術の最新動向の把握に努め、また、必要とされる先端技術等の研究および開発に取り組んでおります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,070百万円であります。
(コンサルタント国内事業、コンサルタント海外事業および都市空間事業)
当事業分野における研究開発は、多様な建設コンサルティング・サービスに係わる課題について、中央研究所を拠点に積極的に取り組んでおります。
コンサルティングに関する技術開発では、中央研究所における研究開発計画の途中段階で、開発中の技術を部分的に実用化できる場合があります。そのため、修正リターンマップ法と呼ぶ手法により研究活動のモニタリングを実施しております。これにより研究計画を適切な段階で随時見直し、研究開発のスピードと実用化貢献度の向上を図っております。
当連結会計年度の主な研究開発は次のとおりであります。
(1) 数値解析技術の高度化および汎用ソフトアプリケーションの研究開発
管渠更生事業における自動設計ソフトウェアの開発、地理情報および水理・水文アプリケーションシステムNK-GIASの開発、2・3次元水理水質解析の実践的応用に関する研究。
(2) 国土防災に係わる研究開発
AIを活用した防災シミュレーション技術の開発、避難解析技術の確立と各事業分野への展開、津波・高潮リスク評価技術の開発、地すべり対策工の耐震性能評価手法の開発、高精度土石流検知センサーの開発、リアルタイム防災シミュレーション技術の開発、自動降雨降灰量計の開発、地上型合成開口レーダーの応用研究、地下水位回復に伴う地盤隆起問題に関する研究。
(3) 気候変動対策に係わる研究開発
気候変動に伴う水害リスクの評価技術、水資源リスク評価指標SS-DTA、将来予測の不確実性を踏まえた意思決定技術の開発、塩水化予測および地下水資源管理技術、生態系を含めた水環境管理シミュレータの開発、地球温暖化に伴う生物多様性保全のモニタリング・保全技術、グリーンインフラに関する研究。過年度開発した気候変動予測における新たなバイアス補正手法 TR3S(トレス)を用い、主要都市の降雨・気温の将来気候予測情報を無料で取得できるポータルサイト NK-ClimVault(クリム・ボールト)を公開中。
(4) 社会資本の維持管理・更新に係る研究開発
社会インフラのモニタリングシステム技術に関する研究、既設構造物の対策優先順位決定に関する研究、社会資本施設のアセットマネジメントシステムに関する研究。
(5) 先端技術の研究・開発
洪水予測、地すべり斜面判読および交通都市のデータ解析分野における先端深層学習技術の適用、IoT、ドローン、各種センサーに関する技術動向調査と技術開発、XR等可視化技術開発、環境DNA、レジリエンス技術等の研究。
(6) 教育機関および研究機関との技術交流
アジア工科大学、台湾成功大学、中国清華大学、カンボジア工科大学、ミャンマー工学会、スリランカ国ペラデニア大学、英国ウォーリングフォード水理研究所、インド工科大学、台湾シノテック社、東京工業大学、ミャンマーヤンゴン工科大学、マレーシア工科大学、インドネシアガジャマダ大学、タイチュラロンコン大学、筑波大学、山口大学との技術交流活動の実施。
当事業における研究開発費は859百万円であります。
(電力エンジニアリング事業)
当事業分野における研究開発は、主として、パワー&デジタル事業本部によって実施されております。
当連結会計年度の主な研究開発は次のとおりであります。
(1) 最適化設計手法を用いたフランシス水車の性能向上研究
複合領域最適化ツールHEEDSを使用して、フランシス水車のランナベーンの最適化設計をおこない、水車性能の向上を目指す研究。
(2) アグリゲーションビジネス向けシステムの研究開発
エネルギー事業の領域拡大を目的とし、バーチャルパワープラント構築実証事業(経済産業省主管)への参加、および需給調整市場などの実市場参入に必要なアグリゲーションシステムの開発に関する研究。
(3) AI・電気自動車等の先端技術活用研究
コアテクノロジーとして重要性が増しているAI、ブロックチェーンおよび電気自動車を中心に最新の技術動向を調査し、当社の製品・蓄電ビジネスの拡大に向けた活用を検討する研究。
当事業における研究開発費は210百万円であります。