有価証券報告書-第73期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/27 15:02
【資料】
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【項目】
177項目
②戦略
イ.人材育成
当社では、真のグローバル・ゼネラルコントラクターとして総合力を発揮すべく、個々人の力を伸ばすとともに、その力を結集して組織力を高める能力開発を推進しています。
個々の能力向上は、職場教育(OJT=On the Job Training)、集合研修(Off-JT)、自己啓発援助(SDS)を3本柱として、現場力、技術力の強化に資する知識、技術、目標意識、行動力の育成について、コミュニケーションの機会を重視しながら実践しています。また、OJT、Off-JT、SDSを通じて、社員が相互に若しくは結集して能力を活用し合う環境を醸成し、組織力の向上を図っています。
(イ) 人事制度
当社の人事制度は、社員に目指すべき人材像を明確に示し、常に一段階高いレベルの役割と行動を志向することにより、プロフェッショナル人材を継続的に創出し、その結果、業績の向上と社員の自己実現を両立させることを目指しています。
人事制度に重要な以下の3点の実現のため、「役割等級制度」「目標管理制度」「人事評価制度」「能力開発制度」などを整備、運用しています。
(ⅰ) 社員の強み・弱み、適性を把握し、能力開発及び適正配置に結び付けられていること。
(ⅱ) 社員のやる気・意欲の向上、組織の活性化につながる仕組みであること。
(ⅲ) 公正な処遇を実現することができる仕組みであること。
(ロ) 人材育成への取組み
建設業においては、仕事を通し成長していくこと(OJT)が重要であると考え、当社では、新入社員一人ひとりに対し、先輩社員をOJTの担当者に選任し、きめ細やかな教育を実施することで、教える方も教わる方もともに育つ、「共育風土」の醸成を図っています。
同時に、経験だけでは得られない知識や能力、ものの見方・考え方などを習得するための集合研修(Off-JT)として、職務遂行能力の成長段階に応じた等級別研修をはじめ、専門知識の習得を目的とした各本部主催の職種別研修などを実施しています。
また、社員には、建設業で働く上で必要な公的資格や免許取得を推進しており、社内講習会の実施をはじめ、受験料等の取得費用や資格の重要度に応じた合格報奨金を支給するなど、全面的なバックアップを行っています。その他、社員個人が外部主催研修を選び受講できる選択型研修の推奨や、通信教育等の自己啓発に対する支援など、各種の学びの場や機会を提供するのみならず、自己研鑽やリスキリングのための自己啓発支援金制度も新たに設けました。
(ハ) チャレンジする環境づくり
当社では、社員の自己実現と業績向上の両立に向け、目標設定とそのフォローに力を入れています。
目標は、年度当初に上司と面談を実施し、社員本人にとって挑戦的かつ実現可能なものを設定しており、その後の期中も、上司は日常業務や面談の場を通しフォローを行い、目標の達成と社員自身の成長を促します。
期末には、目標に対する達成度や発揮された取組み(行動・姿勢)度合によって評価が決まり、その結果を本人にフィードバックし、結果に対する本人の納得性を高めるとともに、次年度以降の本人の成長課題を明確にしています。
また、この仕組みが適切に機能しているかどうかをチェックするため、毎年、労働組合と会社が共同で人事制度の運用状況に関するアンケートを実施しており、その結果をもとに、社員の生の声が制度運営に反映されるよう改善を図っています。
(ニ) 評価者の育成
人事制度運用の成否の最大の鍵は評価者が握っており、当社では人事評価の目的を社員に周知するとともに、評価スキルのばらつきをなくすために、新任評価者を対象とした研修を毎年継続的に実施しています。併せて、一定期間毎に全評価者・全管理職を対象とした評価者更新研修も実施しています。
(ホ) 人材採用
当社では、新卒採用において、完全オープンエントリー制を取り入れ、学生の皆さんとの対話を重視した採用活動を展開しています。新卒採用の一環として、学生の業界理解の向上と将来の進路決定に必要となる就業体験機会を提供するために、毎年度、インターンシップ生の受け入れも実施しています。(なお、2022年度は、新型コロナウイルス感染防止を鑑み、インターンシップ先事業所内の密を避けるため、受け入れ人数を制限しながらの実施としました。)
また、社外で様々なキャリアに裏打ちされたスキルを当社で活かし、当社の組織力向上を達成するために、積極的なキャリア採用を推進しています。
ロ.D&Iの推進
当社では、D&I推進のために、性別や国籍を問わない多様な人材の確保・育成に取り組んでいます。また、女性活躍推進や男性も含めたワークライフバランス向上のため、ライフイベントを迎えても働きやすい環境を整備しています。海外の現地国で働く外国人を対象に、目標管理型の人事評価、報酬制度であるグローバル人事制度を導入するとともに、外国人留学生向けにグローバル総合職を新設して定期的な採用等を行っています。
(イ) 人権尊重
当社では、ダイバーシティ推進センターにて、一人ひとりの人権を尊重し働きやすい明るい職場づくりを目指す取組みを実施しています。毎年、同和問題、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、障がい者雇用、メンタルヘルス等をテーマにした人権関係の研修・教育(e-ラーニングを含む)を実施するほか、グループ会社社員やその家族を含めた人権啓発標語募集、人権に関するポスターやリーフレットの作成など、広く人権への理解向上を図っています。
(ロ) 女性活躍推進
女性が配属された工事事務所では、チェックリストを用いた職場環境(更衣室・休憩室・快適トイレ等)の確認を実施するとともに、現場職員や協力業者を対象としたハラスメント研修を実施しています。
先輩女性職員が中心となり、定期的に若手女性職員へのヒアリング(女性特有の悩みやキャリアに関する相談)や若手女性総合職研修を実施し、キャリアやロールモデルの共有、会社の制度や育児と仕事の両立に関する情報を提供しています。
(ハ) 外国籍社員の活躍推進
日本語を母国語としない優秀な外国人留学生(日本・ASEANの大学及び大学院)を毎年採用し、入社後に日本語教育や外国籍社員向け研修を実施することで国内・海外問わず活躍できる人材として育成しています。現場の課題解決ができるエンジニアとして、日本人と現地スタッフとの橋渡し役を担い、将来的には、マネジメント人材として期待しています。
また、2020年4月から新しい人事制度「グローバル総合職」を導入し、外国籍社員がさらに活躍できる体制を整えました。
(ニ) グローバル人事制度
2017年度から当社国際部門の主要拠点であるシンガポールと香港の外国人職員を対象とした人事評価制度を導入しており、2018年7月からは等級・報酬制度も導入しました。
人事評価制度は、目標達成の動機づけと人材開発の促進、上司・部下のコミュニケーションの促進を目的としており、等級・報酬制度は、業績達成・目標達成に対して適切にインセンティブを持たせ、報酬に国際部門の業績や評価を反映させることで、外国人職員の目標達成に対するエンゲージメントを高めることができます。
(ホ) 障がい者の雇用
「障害者雇用促進法」の立法趣旨に則り、サテライトオフィスを利用した障がい者雇用の拡大などの取組みを行っています。現在は東京(三鷹)と神奈川(横浜)に作業室を設置しており、障がい者の方にも働きやすい環境づくりを行っています。
(ヘ) シニア職員の活躍推進
当社では、高年齢者雇用安定法改正を受け、定年到達後も継続勤務を希望する総合職、担当職全員に新しい仕事と労働条件を提示しています。
また、豊富な知識・経験を持ったシニア社員を安全品質教育センターでの若手社員教育の指導員とするなど、活躍の場の創出も行っています。
ハ.ワークライフバランスの推進
2022年度に「次世代育成支援に向けた第5次行動計画」を策定し、性別に関わらずワークライフバランスを実現しながら、その能力を発揮できるようにする取組みを3か年計画で行っています。
具体的な取組みとして、育児と仕事、介護と仕事の両立支援ハンドブックを作成し、性別に関わらず育児休業や介護休業、子の看護休暇や介護休暇を取得しやすい環境づくり、育休取得者面談シートを活用し、会社や上司と復職後の働き方やキャリアについて相互理解を深める取組みを行っています。
2022年には育児と仕事の両立のための制度を拡充するとともに、ジョブリターン制度(育児、介護、配偶者の転勤等による既退職者の再雇用推進)やテレワーク制度を通じた多様な働き方を推進しています。従業員に年5日の計画的な休暇取得を義務付け、休暇を取得しやすい環境を整備しています。また、役職員向けにダイバーシティ講演会を毎年開催し、仕事と私生活の調和のための意識醸成を図っています。
(イ) 育児休業
出産・育児などのライフイベントを迎えても社員が仕事を継続できるように育児休業制度を設けています。2022年度より出生時育児休業中の就業を認めることで、男性の育児休業取得推進を進めています。加えて、育児支援制度として短時間勤務や始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ制度など(最大子が小学校を修了するまで)を用意し、男性・女性を問わず仕事と育児が両立しやすい環境を整えています。
(ロ) 介護休業と介護・看護休暇
家族の介護を行う必要が生じた社員が仕事を継続できるように介護休業制度を設けています。加えて、要介護者または小学校修了前の子どもを持つ社員に家族や子の介護や看護の必要が生じた場合、その社員が年次有給休暇とは別に6日~12日の休暇を取得できる制度を整えています。
(ハ) 年次有給休暇取得
2017年度から半日単位での有給休暇の取得、2021年度から時間単位での有給休暇取得を可能としています。これにより、例えば単身赴任者は金曜日の昼から月曜日の昼までといった柔軟な休暇取得が可能となり、ワークライフバランスの推進に資することができると考えています。