有価証券報告書-第71期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 13:05
【資料】
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【項目】
113項目

研究開発活動

研究開発は、市場動向、事業領域の拡大並びに各事業分野の問題点の解決等に対応するため幅広く取り組んでおり、異業種・同業種・大学および国土交通省・(公財)鉄道総合技術研究所等の研究機関との共同開発も積極的に行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は559百万円であり、主な研究開発事項は次のとおりであります。
(1)斜面・のり面対策技術
① 吊り下げ式吹付機の開発
熊本県南阿蘇村災害復旧現場にて、二次災害の発生防止を目的として行った工事のために開発した吊り下げ式吹付システム「Robo-Shot Type-G」の吹付作業時の安定性を向上させる姿勢制御装置を開発しました。これによって、吹付ロスの低減と効率的な作業が可能となり、被災地の復旧に向けて大きく貢献しています。
② 老朽化したのり面の補修・補強技術
吹付モルタル背面の新たな空隙充填材料として、セメント系固化材をベースに粘度および固化時間の調整を可能にしたNRFグラウト-1を開発しました。また、複数同時充填が可能な管理システムを開発し、これを併用することで空隙充填作業における効率向上を可能としました。
(2)地盤改良技術
① 高圧噴射撹拌工法管理システムの開発
ICT(情報通信技術)を活用して、地盤改良機、計測器等から収集した施工情報を施工管理装置に集約し、全施工情報をリアルタイムに一元管理可能な集中管理、機械制御システムを開発しました。出力される各種データは3D-ViMaシステムによる3次元可視化が可能であり、高圧噴射撹拌工法における「見える化技術」として需要拡大を期待しています。
② 空港対応長距離曲がり削孔注入用新型ダブルホースの開発
空港関連現場の長距離曲がり削孔において建て込み時間の増加を解消するため、注入外管内に建て込めるステンレス製二重管ロッドを開発しました。この注入ロッドは、複数の曲がり削孔の現場に導入され、大幅に作業性を改善しました。
(3)コンクリート構造物の補修技術と応用展開
2年前に開発したコンクリート構造物背面空隙などの充填を行う「スピージーグラウト工法Ⅱ」に関し、ゲルタイムの延長と緩やかな初期強度発現を可能とするダブルパッカー対応型薬液を開発しました。これによって、構造物背面空隙充填以外の分野への適用拡大が可能となりました。
(4)土壌汚染対策技術
土壌・地下水汚染の拡散防止に有効であるエコクレイウォール工法について、従来から課題とされていた礫地盤での遮水性に関し、礫混入率が50%まで対応可能としました。
(5)3次元データの可視化、利活用に関する技術開発
① 削孔可視化ソフト
挿入式傾斜計(ジャイロ)の計測データを3次元で可視化するアプリケーションを作製しました。コンダクションナビやジェットグラウト、AGF、一般薬液注入等、計測対象は多岐にわたります。活用効果として、薬液注入では削孔結果を反映した注入計画の策定が可能になりました。
② 薬液注入管理システム
平成12年6月に開発した薬液注入管理システムのアップデートを行いました。初期圧力、実施注入量、終了圧力から注入効果を判定し、補足注入の計画に利用できます。また、2次元、3次元の注入管理図が作成できるデータ管理構成とすることで、3次元データによる施工管理にも適用が可能になりました。
② エンパソル(支持層の調査)
土質調査技術「エンパソル」による支持層の調査において、複数地点の各解析結果からスプライン補間を利用して支持層を面的に推定し、可視化することが可能になりました。これによって施工範囲の支持層の傾向を把握することができます。
なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。