有価証券報告書-第75期(2025/02/01-2026/01/31)
人財開発基本方針・社内環境整備方針展開にあたっての基本的考え方
従業員が自律するためには、従業員が当社グループという資源を利用しながら、一人ひとりが主体的に行動し、継続的にキャリア開発に取り組むことが重要です。自律的なキャリア形成を促すため、従業員と企業がともに持続可能な成長を実践できる環境や仕組みづくりを進めます。あわせて、年齢、性別、国籍、障がいの有無などを問わず、誰もが自分らしく働き、その能力を最大限に発揮できる環境や制度づくりを推進するとともに、多様な働き方ができる柔軟性の高い勤務制度の導入・運用を積極的に進めています。また、インテグリティが高いリーダーを計画的に育成するとともに、事業戦略に必要な人員確保や適正配置に努めます。
人財開発基本方針
グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け「人財価値を最大化し、知と経験のD&Iで事業成長を牽引する」を方針とし、人財開発に関する取組みを推進していきます。
社内環境整備方針
グローバルビジョン実現に向け、その原動力である従業員が集う積水ハウスが世界一幸せな会社であることが重要と考えます。「誰もが働くことに、やりがいや幸せを感じられる会社」を目指し、従業員のキャリア自律支援、D&Iの推進、多様な働き方の推進、幸せの基盤づくりなど、重点テーマの推進を支える環境整備を行います。
第6次中期経営計画(2023年度~2025年度) 人財戦略
人財価値の向上は、企業の成長のドライバーです。
当社はその価値を「人財価値向上=従業員の自律(注1) × ベクトルの一致(注2)」と表現し、以下の図のとおり、人財戦略の重点テーマを整理しています。
1.キャリア自律支援、2.D&Iの推進、3.多様な働き方の推進、4.幸せの基盤づくり、これら4つのテーマに基づく、制度改革や組織風土づくり、取組み推進などを戦略的に遂行しながら従業員の自律を支援・促進していきます。さらに、これらによって創出された自律した従業員が積水ハウスグループの目指す方向性に共感し、自ら行動するために、企業理念と戦略を浸透させるリーダー育成、戦略に応じた人員確保と適正配置を実施していきます。
「人財価値向上=従業員の自律 × ベクトルの一致」については、乗算であることが重要であり、「従業員の自律」及び「ベクトルの一致」のいずれも高い水準を目指すことで人財価値がますます向上し、社会への価値提供が大きくなります。当社が成し遂げたいことは、社会への提供価値の最大化であり、これを支える人財への投資を着実に行っていきます。
(注)1 従業員の自律:従業員一人ひとりが考え、主体的に行動すること。
2 ベクトルの一致:会社のビジョンや戦略が従業員に浸透し、理解されている状態であること。

[従業員の自律に関する取組み]
1.キャリア自律支援
「イノベーション&コミュニケーション」を合言葉に、従業員間でアイデアを出し合い、活発なコミュニケーションを通じて新たなイノベーションを生み出すという創発型企業文化の醸成や、従業員が主体性を発揮する機会をつくることを通じて、一人ひとりのキャリア自律を支援しています。2003年に開始したキャリア自律意識を醸成する各種研修については累計23,066名が受講(2025年度末実績)し、仕事だけではない人生全体を見据えたキャリア形成への意欲を高めています。また、マネージャー職の責任範囲、職務内容、必要な知識・スキルを定めた職務記述書の従業員への公開の他、業務上必要な主要資格の取得支援も行っています。
・ 直近の取組み例
- 2021年:創発型表彰制度「SHIP」のスタート
- 2022年:人財公募制度のリニューアル
- 2023年:MBA等の自律的学習を支援する高度学習支援制度、キャリア自律休業制度のスタート、キャリア自律コースの拡充
- 2024年:オンライン学習サービスのトライアル、職責者向けのキャリアコーチ資格プログラム、英語学習プログラム、Myキャリアシートによるスキルと経験の可視化のスタート
- 2025年:理由を問わず一定期間転居なく同一エリアでの勤務が可能な勤務エリア継続制度
(フェア型)、高度DX人財としてビジネストランスレーター・AIエキスパートの育成スタート
2.D&Iの推進(注3)
i)女性活躍支援
当社グループの使命は「幸せづくりのパートナー」として、お客様や社会に新たな価値を提供し続けることであり、多様な価値観や感性・視点が求められる住まいづくりにおいて、あらゆる分野での女性の活躍は不可欠であると考えます。このことから、女性活躍支援を経営課題として認識し、2006年に経営企画部に女性活躍推進グループ(現在のダイバーシティ推進部)を設置し、以下の採用、定着、育成における活躍支援施策を継続して実施しています。
定着へ向けた取組みとして、職種毎の課題に即した施策を展開しており、女性営業職には2007年から「全国女性営業交流会」を実施し、女性営業同士のネットワークを構築しています。3年目以下の離職率の高さが課題であったため、現場での育成はもちろん、3年目以下の女性営業とダイバーシティ推進部が面談を実施し、課題の早期発見や改善に努めるなど一人ひとりに寄り添ったサポートを展開しています。女性現場監督職には2014年から「全国女性現場監督交流会」を毎年開催しており、在籍率30%を超える女性設計職においては専門性の強化と、育児との両立に関するロールモデルを全国へ水平展開し多様なキャリア形成の支援を実施しています。2025年からは高度な設計スキルを有する女性チーフアーキテクトが企画する手挙げ式全国女性設計交流会も開始し、より充実した横軸の繋がりや高度な設計スキル取得への意識向上を図っています。また、事業所表彰の基準であるESG指標に「女性活躍推進指標」を継続して掲げ、事業所における女性活躍も推進しています。
当社グループでは女性活躍推進法に基づく行動計画(2021年に策定)にて、2025年度までに女性管理職を310人以上(注4)登用することを目標とし、女性管理職候補人財の育成にも注力してきました。2014年から、管理職候補者研修「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」を開講。毎年、手挙げかつ上司推薦を経て決定した約20人の受講者に、約2年間OJT及び組織課題解決の実践プログラムを提供し、納得性のある育成・登用へとつなげています。開講当初から、代表取締役が自ら受講生との直接対話の機会を持ち、2018年からは、社外女性取締役も参加して受講生に直接エールを送り、女性管理職育成の大きな後押しとなっています。女性従業員の採用、定着、育成を進めてきた結果、当社及び国内連結子会社の新卒の女性採用率は、2025年度実績では営業職35.4%、技術職27.2%となっています。また、当社及び主要国内子会社(㈱鴻池組を除く,注5)の女性正社員比率は30.4%となり、建設業界平均(注6)の約2倍の比率の女性正社員が活躍しています。「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」修了生192人のうち、146人が管理職となり、当社及び国内連結子会社の女性管理職数は475人まで増加しています(2026年1月31日現在)。
現在実行している女性活躍推進諸施策の継続の結果、女性正社員、女性管理職候補者数が増加しつつあり、今後も様々な取組みを強力に推進し、従業員の男女賃金格差の縮小にも努めていきます。
(注)3 2023年3月策定の第6次中期経営計画における人財戦略において、「DE&I」の推進と表記していましたが、「Equity」という概念の捉え方に国際的な違いが見られることを鑑み、かつ当社グループのマテリアリティである「ダイバーシティ&インクルージョン」との整合を図り、「D&I」と表記しています。
4 310人以上は計画策定時の目標。提出日現在の目標は380人以上。
5 集計対象会社は当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、
積水ハウスリフォーム㈱、積水ハウスサポートプラス㈱。
6 出典:「令和6年度雇用均等基本調査 付属統計表 企業調査 第1表 男女及び職種別正社員・正職員割合」(厚生労働省)

※女性正社員比率の集計範囲は(注5)
ii)グローバル人財の活躍推進
国籍を問わない人財採用と能力適性を考慮した登用を進めています。海外子会社においては、人員体制強化の観点から、現地採用を積極的に行い、優秀な現地採用者の重要ポストへの登用を進めています。
iii)障がい者の活躍支援
2026年1月末時点での障がい者雇用率は、当社で2.83%、国内連結会社のうち障がい者法定雇用義務のある30社(当社を含む)で2.89%です。現法定雇用率2.50%(2026年7月改正2.70%)を上回る状況ですが、今後も当社は各本部単位で、グループは各社で法定雇用数の達成を目標に、積極的に雇用を促進します。活躍支援に向けた取組みとして、障がいのある従業員とその上司・同僚を対象に所属部署を超えたネットワークの構築、相互に発信・相談できる関係づくり、職場環境改善を図ることを目的として、2015年から毎年「ダイバーシティ交流会」を実施しており、2025年は大阪での対面開催に加え、後日オンライン形式でも実施しました。
また、障がい等により配慮を必要とされるお客様に対し、設備・応対の両面から取組みを進めています。設備面では、社内施設(住宅展示場・事務所等)の新築・改築時に、障がい等へ配慮した設計とする指針を定め、運用を通じて継続的な改善を図っています。応対面では、戸建事業部門の各支店にお客様からの配慮・調整のお申し出に対応できる社員(全国120名)を任命し、日本ユニバーサルマナー協会が実施する検定の受講と、理解促進を目的とした社内研修を通じてマインド醸成を進めています。
さらに、戸建事業部門の新入社員に対しては、障がい体験を含む研修を実施し、障がい理解の促進に取り組んでいます。ウェブサイトやテレビCMにおいても、「ウェブアクセシビリティ方針」に基づく公式サイトのアクセシビリティ向上や、クローズドキャプション方式によるテレビCMの字幕対応を実施しています。
iv)LGBTQの理解促進
社内のLGBTQ理解促進を図るため、2014年から毎年、ヒューマンリレーション研修にLGBTQのテーマを設け、学習、ディスカッションや情報提供を継続しています。セミナーやイベントも定期的に開催し、理解者・支援者である社内のアライが増えています。またアライ主導で、社会の理解促進を促す発信も継続し、PRIDE指標において、8年連続でゴールドの認定を受けました。また、「レインボー認定」も4年連続受賞しています。誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の実現を目指しています。
3.多様な働き方の推進
従業員一人ひとりが働く場所や時間にとらわれず、柔軟かつ自律的に働きながら自分の個性や能力を最大限に活かすため、多様な働き方を推進しています。多様な働き方を推進するためには、まず、信頼関係に基づく安心安全な風土が職場に必要であり、全ての従業員が役職や雇用形態にかかわらず、少人数のグループで対話する機会を設け、心理的安全性の高い職場風土醸成に取り組んでいます。さらに、2024年から総務責任者及びマネージャー職を対象にしたラインケア研修、2025年から各部署単位の組織開発支援プログラムを導入しました。これらの取組みについては、当社が行う幸せ度調査の「職場の幸せ力」のスコアによりモニタリングをしています。
また、従業員が育児や介護、治療などによるキャリアロスなく安心して働けるよう、働く場所にとらわれないテレワーク制度や働く時間帯にとらわれないスライド勤務制度(時差通勤制度)、治療・介護・育児などの事情に応じて一定期間転居なく同一エリアでの勤務ができる勤務エリア継続制度(ケア型)などに代表される、両立を支援する制度の整備や情報提供を行っています。
4.幸せの基盤づくり
i)家族の幸せ支援
従業員と家族の幸せのため、2018年より「男性従業員1ヵ月以上の育児休業完全取得」(注7)を推進しています。社内全体の意識改革、制度整備、家族や職場とのコミュニケーションツールの開発などを行った結果、2019年2月の本格運用開始以降、期限を迎えた対象者全員(2026年1月末2,633人)が1ヵ月以上の育休取得を完了(2021年4月以降はグループ会社も全員取得)し、2025年度の育休取得者の配偶者満足度は97.8%と高く、家族の幸せづくりに貢献しています。社外に向けても「日本でも男性の育児休業取得が当たり前になる社会」を目指し、2019年より積極的に情報発信を行っています。2025年には174の賛同企業・団体様と共に発信し、男性育休取得促進の気運醸成に寄与しました。
(注)7 3歳未満の子を持つ男性従業員が、1ヵ月以上の育児休業を取得すること。
ii)健康づくり支援
当社グループでは、従業員の幸せの源泉は健康の維持・増進であると考え、健康の維持・増進に向けた活動を重要な経営課題と位置づけ戦略的に取り組むため「幸せ健康経営」と名付けて推進しています。取締役会傘下のESG推進委員会で承認された年度目標や計画に基づき、関係部署横断で構成されたワーキンググループにて、健康保険組合や産業医などと連携して、課題の抽出、全社方針の策定、具体施策の立案をおこない、各事業所と連携しながら全従業員への周知・浸透を図っています。
AIによる健康診断結果活用サービスや従業員の課題別セミナー実施など「幸せ健康経営」に取り組んだ結果、健康経営優良法人に認定されています。(2020~2024年はホワイト500)
iii)幸せ度調査の継続
従業員一人ひとりの幸せの実現のために、2020年11月から、全従業員を対象とした「幸せ度調査」を実施し2025年10月で6回目を完了しました。幸福経営学の第一人者である武蔵野大学ウェルビーイング学部長・慶應義塾大学名誉教授の前野 隆司氏の監修により、日本企業で初めて従業員と職場の幸せを多面的に計測、相関性を分析し、幸せを「見える化」しました。この調査結果を振り返り、職場での幸せ対話などの具体策につなげています。
[ベクトルの一致に関する取組み]
・企業理念と戦略を浸透するリーダーの育成
当社グループとしてお客様と社会に幸せを届けるためには、自律した従業員に企業理念と事業戦略を浸透させ、組織力を生み出すリーダーの存在が不可欠であり、そのようなリーダーを計画的に育成することが企業の持続可能な成長には必要です。
組織成果創出力・人財育成力・組織活性化力などの強化のためのマネジメント対象の階層別研修を実施しています。また、支店長・本社部長・工場長などの組織リーダー候補の選抜と育成を目的に2018年から実施している経営塾、2019年にスタートした若手(35歳以下)リーダー候補者を育成する「SHINE! Challenge Program」によって、次世代のビジネスリーダーを計画的に生み出す土壌づくりを継続的に実施しています。2021年からは執行役員、業務役員及びキーポジションの後継者候補を挙げ、全社的かつ多様な視点で透明度の高い議論を行うサクセッションプラン会議を開始しました。候補者全員の個別育成計画を立案し、定期的な進捗確認により、リーダーパイプラインのさらなる充実に努め、後継者候補準備率(注8)をモニタリングしています。また、グループリーダー以上の全マネージャー職を対象に多面観察を実施しています。フィードバックされた結果を基に、マネジメント行動の変革に向けたアクションプランを作成し、定期的なコーチングによる内省を通じてマネジメント力の向上に取り組んでいます。

(注)8 後継者候補準備率:(後継者プールにいる人数÷リーダーのポジション数)×100
・戦略に応じた人員の確保と適正配置
既存事業の深化と新規事業への挑戦を担う人員確保に努めるとともに、各ビジネスユニットの事業戦略に基づく人財ニーズを把握し、適正配置を実現すべく、持続的成長に必要な人財の採用・育成を計画的に進めています。なかでも、多様性と専門性を強化する方針の下、採用全体に占めるキャリア採用に力を入れ、着実にその数を増やしています。特に、海外事業の拡大という大きな変化については、コーポレート部門を中心に人財獲得を強化すると共に、グローバル化に向けて必要な人員規模やスキルを今後さらに精査していく予定です。
また、2024年から「Welcome Home制度(アルムナイ制度、注9)」をスタートしています。これまでのリファラル採用(注10)なども含めて多様な手法やチャネルを活用し、採用力の強化を図っています。
2025年度はキャリア採用者を632名採用し、採用者全体に占めるキャリア採用者の割合は39.7%です(注11)。入社直後からの活躍を支援するオンボーディングプログラム(注12)を拡充し早期の活躍を支援しています。
(注)9 一度退職した従業員を再度、採用する制度。
10 自社で働いている従業員からの紹介、推薦による採用制度。
11 集計対象会社は当社、国内連結子会社。
12 新しく組織に加わった従業員が会社の文化や業務内容に馴染み、早期に活躍できるように支援する仕組み。
第7次中期経営計画(2026年度~2028年度) 人財戦略の概要
第7次中期経営計画においても、「人財価値向上=従業員の自律×ベクトルの一致」を基本方針とし、持続的な企業成長を目指します。「従業員の自律」では、考える力や分析力、AI/DX活用、英語学習支援などの学びを拡充しつつ、グループ間の人財異動やグローバル挑戦を後押しすることで、個々の成長をさらに促進します。また、働き方制度の拡充や多様な人財の活躍支援、価値創造を発揮するための組織文化の醸成、価値創造の場づくりにも取り組みます。「ベクトルの一致」では、人財マネジメントを強化し、戦略推進リーダーの育成、人財獲得・適正配置、リーダーパイプラインの高度化を推進します。また海外では、一体感醸成と人事インフラ強化、技術伝承の仕組み構築、現地人財への成長機会提供を通じてエンゲージメント向上を図り、理念・価値観の共有と国内外の人財融合を進める予定です。
従業員が自律するためには、従業員が当社グループという資源を利用しながら、一人ひとりが主体的に行動し、継続的にキャリア開発に取り組むことが重要です。自律的なキャリア形成を促すため、従業員と企業がともに持続可能な成長を実践できる環境や仕組みづくりを進めます。あわせて、年齢、性別、国籍、障がいの有無などを問わず、誰もが自分らしく働き、その能力を最大限に発揮できる環境や制度づくりを推進するとともに、多様な働き方ができる柔軟性の高い勤務制度の導入・運用を積極的に進めています。また、インテグリティが高いリーダーを計画的に育成するとともに、事業戦略に必要な人員確保や適正配置に努めます。
人財開発基本方針
グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け「人財価値を最大化し、知と経験のD&Iで事業成長を牽引する」を方針とし、人財開発に関する取組みを推進していきます。
社内環境整備方針
グローバルビジョン実現に向け、その原動力である従業員が集う積水ハウスが世界一幸せな会社であることが重要と考えます。「誰もが働くことに、やりがいや幸せを感じられる会社」を目指し、従業員のキャリア自律支援、D&Iの推進、多様な働き方の推進、幸せの基盤づくりなど、重点テーマの推進を支える環境整備を行います。
第6次中期経営計画(2023年度~2025年度) 人財戦略
人財価値の向上は、企業の成長のドライバーです。
当社はその価値を「人財価値向上=従業員の自律(注1) × ベクトルの一致(注2)」と表現し、以下の図のとおり、人財戦略の重点テーマを整理しています。
1.キャリア自律支援、2.D&Iの推進、3.多様な働き方の推進、4.幸せの基盤づくり、これら4つのテーマに基づく、制度改革や組織風土づくり、取組み推進などを戦略的に遂行しながら従業員の自律を支援・促進していきます。さらに、これらによって創出された自律した従業員が積水ハウスグループの目指す方向性に共感し、自ら行動するために、企業理念と戦略を浸透させるリーダー育成、戦略に応じた人員確保と適正配置を実施していきます。
「人財価値向上=従業員の自律 × ベクトルの一致」については、乗算であることが重要であり、「従業員の自律」及び「ベクトルの一致」のいずれも高い水準を目指すことで人財価値がますます向上し、社会への価値提供が大きくなります。当社が成し遂げたいことは、社会への提供価値の最大化であり、これを支える人財への投資を着実に行っていきます。
(注)1 従業員の自律:従業員一人ひとりが考え、主体的に行動すること。
2 ベクトルの一致:会社のビジョンや戦略が従業員に浸透し、理解されている状態であること。

[従業員の自律に関する取組み]
1.キャリア自律支援
「イノベーション&コミュニケーション」を合言葉に、従業員間でアイデアを出し合い、活発なコミュニケーションを通じて新たなイノベーションを生み出すという創発型企業文化の醸成や、従業員が主体性を発揮する機会をつくることを通じて、一人ひとりのキャリア自律を支援しています。2003年に開始したキャリア自律意識を醸成する各種研修については累計23,066名が受講(2025年度末実績)し、仕事だけではない人生全体を見据えたキャリア形成への意欲を高めています。また、マネージャー職の責任範囲、職務内容、必要な知識・スキルを定めた職務記述書の従業員への公開の他、業務上必要な主要資格の取得支援も行っています。
・ 直近の取組み例
- 2021年:創発型表彰制度「SHIP」のスタート
- 2022年:人財公募制度のリニューアル
- 2023年:MBA等の自律的学習を支援する高度学習支援制度、キャリア自律休業制度のスタート、キャリア自律コースの拡充
- 2024年:オンライン学習サービスのトライアル、職責者向けのキャリアコーチ資格プログラム、英語学習プログラム、Myキャリアシートによるスキルと経験の可視化のスタート
- 2025年:理由を問わず一定期間転居なく同一エリアでの勤務が可能な勤務エリア継続制度
(フェア型)、高度DX人財としてビジネストランスレーター・AIエキスパートの育成スタート
2.D&Iの推進(注3)
i)女性活躍支援
当社グループの使命は「幸せづくりのパートナー」として、お客様や社会に新たな価値を提供し続けることであり、多様な価値観や感性・視点が求められる住まいづくりにおいて、あらゆる分野での女性の活躍は不可欠であると考えます。このことから、女性活躍支援を経営課題として認識し、2006年に経営企画部に女性活躍推進グループ(現在のダイバーシティ推進部)を設置し、以下の採用、定着、育成における活躍支援施策を継続して実施しています。
定着へ向けた取組みとして、職種毎の課題に即した施策を展開しており、女性営業職には2007年から「全国女性営業交流会」を実施し、女性営業同士のネットワークを構築しています。3年目以下の離職率の高さが課題であったため、現場での育成はもちろん、3年目以下の女性営業とダイバーシティ推進部が面談を実施し、課題の早期発見や改善に努めるなど一人ひとりに寄り添ったサポートを展開しています。女性現場監督職には2014年から「全国女性現場監督交流会」を毎年開催しており、在籍率30%を超える女性設計職においては専門性の強化と、育児との両立に関するロールモデルを全国へ水平展開し多様なキャリア形成の支援を実施しています。2025年からは高度な設計スキルを有する女性チーフアーキテクトが企画する手挙げ式全国女性設計交流会も開始し、より充実した横軸の繋がりや高度な設計スキル取得への意識向上を図っています。また、事業所表彰の基準であるESG指標に「女性活躍推進指標」を継続して掲げ、事業所における女性活躍も推進しています。
当社グループでは女性活躍推進法に基づく行動計画(2021年に策定)にて、2025年度までに女性管理職を310人以上(注4)登用することを目標とし、女性管理職候補人財の育成にも注力してきました。2014年から、管理職候補者研修「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」を開講。毎年、手挙げかつ上司推薦を経て決定した約20人の受講者に、約2年間OJT及び組織課題解決の実践プログラムを提供し、納得性のある育成・登用へとつなげています。開講当初から、代表取締役が自ら受講生との直接対話の機会を持ち、2018年からは、社外女性取締役も参加して受講生に直接エールを送り、女性管理職育成の大きな後押しとなっています。女性従業員の採用、定着、育成を進めてきた結果、当社及び国内連結子会社の新卒の女性採用率は、2025年度実績では営業職35.4%、技術職27.2%となっています。また、当社及び主要国内子会社(㈱鴻池組を除く,注5)の女性正社員比率は30.4%となり、建設業界平均(注6)の約2倍の比率の女性正社員が活躍しています。「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」修了生192人のうち、146人が管理職となり、当社及び国内連結子会社の女性管理職数は475人まで増加しています(2026年1月31日現在)。
現在実行している女性活躍推進諸施策の継続の結果、女性正社員、女性管理職候補者数が増加しつつあり、今後も様々な取組みを強力に推進し、従業員の男女賃金格差の縮小にも努めていきます。
(注)3 2023年3月策定の第6次中期経営計画における人財戦略において、「DE&I」の推進と表記していましたが、「Equity」という概念の捉え方に国際的な違いが見られることを鑑み、かつ当社グループのマテリアリティである「ダイバーシティ&インクルージョン」との整合を図り、「D&I」と表記しています。
4 310人以上は計画策定時の目標。提出日現在の目標は380人以上。
5 集計対象会社は当社、積水ハウス不動産グループ各社、積水ハウス建設グループ各社、
積水ハウスリフォーム㈱、積水ハウスサポートプラス㈱。
6 出典:「令和6年度雇用均等基本調査 付属統計表 企業調査 第1表 男女及び職種別正社員・正職員割合」(厚生労働省)

※女性正社員比率の集計範囲は(注5)
ii)グローバル人財の活躍推進
国籍を問わない人財採用と能力適性を考慮した登用を進めています。海外子会社においては、人員体制強化の観点から、現地採用を積極的に行い、優秀な現地採用者の重要ポストへの登用を進めています。
iii)障がい者の活躍支援
2026年1月末時点での障がい者雇用率は、当社で2.83%、国内連結会社のうち障がい者法定雇用義務のある30社(当社を含む)で2.89%です。現法定雇用率2.50%(2026年7月改正2.70%)を上回る状況ですが、今後も当社は各本部単位で、グループは各社で法定雇用数の達成を目標に、積極的に雇用を促進します。活躍支援に向けた取組みとして、障がいのある従業員とその上司・同僚を対象に所属部署を超えたネットワークの構築、相互に発信・相談できる関係づくり、職場環境改善を図ることを目的として、2015年から毎年「ダイバーシティ交流会」を実施しており、2025年は大阪での対面開催に加え、後日オンライン形式でも実施しました。
また、障がい等により配慮を必要とされるお客様に対し、設備・応対の両面から取組みを進めています。設備面では、社内施設(住宅展示場・事務所等)の新築・改築時に、障がい等へ配慮した設計とする指針を定め、運用を通じて継続的な改善を図っています。応対面では、戸建事業部門の各支店にお客様からの配慮・調整のお申し出に対応できる社員(全国120名)を任命し、日本ユニバーサルマナー協会が実施する検定の受講と、理解促進を目的とした社内研修を通じてマインド醸成を進めています。
さらに、戸建事業部門の新入社員に対しては、障がい体験を含む研修を実施し、障がい理解の促進に取り組んでいます。ウェブサイトやテレビCMにおいても、「ウェブアクセシビリティ方針」に基づく公式サイトのアクセシビリティ向上や、クローズドキャプション方式によるテレビCMの字幕対応を実施しています。
iv)LGBTQの理解促進
社内のLGBTQ理解促進を図るため、2014年から毎年、ヒューマンリレーション研修にLGBTQのテーマを設け、学習、ディスカッションや情報提供を継続しています。セミナーやイベントも定期的に開催し、理解者・支援者である社内のアライが増えています。またアライ主導で、社会の理解促進を促す発信も継続し、PRIDE指標において、8年連続でゴールドの認定を受けました。また、「レインボー認定」も4年連続受賞しています。誰もが自分らしく安心して暮らせる社会の実現を目指しています。
3.多様な働き方の推進
従業員一人ひとりが働く場所や時間にとらわれず、柔軟かつ自律的に働きながら自分の個性や能力を最大限に活かすため、多様な働き方を推進しています。多様な働き方を推進するためには、まず、信頼関係に基づく安心安全な風土が職場に必要であり、全ての従業員が役職や雇用形態にかかわらず、少人数のグループで対話する機会を設け、心理的安全性の高い職場風土醸成に取り組んでいます。さらに、2024年から総務責任者及びマネージャー職を対象にしたラインケア研修、2025年から各部署単位の組織開発支援プログラムを導入しました。これらの取組みについては、当社が行う幸せ度調査の「職場の幸せ力」のスコアによりモニタリングをしています。
また、従業員が育児や介護、治療などによるキャリアロスなく安心して働けるよう、働く場所にとらわれないテレワーク制度や働く時間帯にとらわれないスライド勤務制度(時差通勤制度)、治療・介護・育児などの事情に応じて一定期間転居なく同一エリアでの勤務ができる勤務エリア継続制度(ケア型)などに代表される、両立を支援する制度の整備や情報提供を行っています。
4.幸せの基盤づくり
i)家族の幸せ支援
従業員と家族の幸せのため、2018年より「男性従業員1ヵ月以上の育児休業完全取得」(注7)を推進しています。社内全体の意識改革、制度整備、家族や職場とのコミュニケーションツールの開発などを行った結果、2019年2月の本格運用開始以降、期限を迎えた対象者全員(2026年1月末2,633人)が1ヵ月以上の育休取得を完了(2021年4月以降はグループ会社も全員取得)し、2025年度の育休取得者の配偶者満足度は97.8%と高く、家族の幸せづくりに貢献しています。社外に向けても「日本でも男性の育児休業取得が当たり前になる社会」を目指し、2019年より積極的に情報発信を行っています。2025年には174の賛同企業・団体様と共に発信し、男性育休取得促進の気運醸成に寄与しました。
(注)7 3歳未満の子を持つ男性従業員が、1ヵ月以上の育児休業を取得すること。
ii)健康づくり支援
当社グループでは、従業員の幸せの源泉は健康の維持・増進であると考え、健康の維持・増進に向けた活動を重要な経営課題と位置づけ戦略的に取り組むため「幸せ健康経営」と名付けて推進しています。取締役会傘下のESG推進委員会で承認された年度目標や計画に基づき、関係部署横断で構成されたワーキンググループにて、健康保険組合や産業医などと連携して、課題の抽出、全社方針の策定、具体施策の立案をおこない、各事業所と連携しながら全従業員への周知・浸透を図っています。
AIによる健康診断結果活用サービスや従業員の課題別セミナー実施など「幸せ健康経営」に取り組んだ結果、健康経営優良法人に認定されています。(2020~2024年はホワイト500)
iii)幸せ度調査の継続
従業員一人ひとりの幸せの実現のために、2020年11月から、全従業員を対象とした「幸せ度調査」を実施し2025年10月で6回目を完了しました。幸福経営学の第一人者である武蔵野大学ウェルビーイング学部長・慶應義塾大学名誉教授の前野 隆司氏の監修により、日本企業で初めて従業員と職場の幸せを多面的に計測、相関性を分析し、幸せを「見える化」しました。この調査結果を振り返り、職場での幸せ対話などの具体策につなげています。
[ベクトルの一致に関する取組み]
・企業理念と戦略を浸透するリーダーの育成
当社グループとしてお客様と社会に幸せを届けるためには、自律した従業員に企業理念と事業戦略を浸透させ、組織力を生み出すリーダーの存在が不可欠であり、そのようなリーダーを計画的に育成することが企業の持続可能な成長には必要です。
組織成果創出力・人財育成力・組織活性化力などの強化のためのマネジメント対象の階層別研修を実施しています。また、支店長・本社部長・工場長などの組織リーダー候補の選抜と育成を目的に2018年から実施している経営塾、2019年にスタートした若手(35歳以下)リーダー候補者を育成する「SHINE! Challenge Program」によって、次世代のビジネスリーダーを計画的に生み出す土壌づくりを継続的に実施しています。2021年からは執行役員、業務役員及びキーポジションの後継者候補を挙げ、全社的かつ多様な視点で透明度の高い議論を行うサクセッションプラン会議を開始しました。候補者全員の個別育成計画を立案し、定期的な進捗確認により、リーダーパイプラインのさらなる充実に努め、後継者候補準備率(注8)をモニタリングしています。また、グループリーダー以上の全マネージャー職を対象に多面観察を実施しています。フィードバックされた結果を基に、マネジメント行動の変革に向けたアクションプランを作成し、定期的なコーチングによる内省を通じてマネジメント力の向上に取り組んでいます。

(注)8 後継者候補準備率:(後継者プールにいる人数÷リーダーのポジション数)×100
・戦略に応じた人員の確保と適正配置
既存事業の深化と新規事業への挑戦を担う人員確保に努めるとともに、各ビジネスユニットの事業戦略に基づく人財ニーズを把握し、適正配置を実現すべく、持続的成長に必要な人財の採用・育成を計画的に進めています。なかでも、多様性と専門性を強化する方針の下、採用全体に占めるキャリア採用に力を入れ、着実にその数を増やしています。特に、海外事業の拡大という大きな変化については、コーポレート部門を中心に人財獲得を強化すると共に、グローバル化に向けて必要な人員規模やスキルを今後さらに精査していく予定です。
また、2024年から「Welcome Home制度(アルムナイ制度、注9)」をスタートしています。これまでのリファラル採用(注10)なども含めて多様な手法やチャネルを活用し、採用力の強化を図っています。
2025年度はキャリア採用者を632名採用し、採用者全体に占めるキャリア採用者の割合は39.7%です(注11)。入社直後からの活躍を支援するオンボーディングプログラム(注12)を拡充し早期の活躍を支援しています。
(注)9 一度退職した従業員を再度、採用する制度。
10 自社で働いている従業員からの紹介、推薦による採用制度。
11 集計対象会社は当社、国内連結子会社。
12 新しく組織に加わった従業員が会社の文化や業務内容に馴染み、早期に活躍できるように支援する仕組み。
第7次中期経営計画(2026年度~2028年度) 人財戦略の概要
第7次中期経営計画においても、「人財価値向上=従業員の自律×ベクトルの一致」を基本方針とし、持続的な企業成長を目指します。「従業員の自律」では、考える力や分析力、AI/DX活用、英語学習支援などの学びを拡充しつつ、グループ間の人財異動やグローバル挑戦を後押しすることで、個々の成長をさらに促進します。また、働き方制度の拡充や多様な人財の活躍支援、価値創造を発揮するための組織文化の醸成、価値創造の場づくりにも取り組みます。「ベクトルの一致」では、人財マネジメントを強化し、戦略推進リーダーの育成、人財獲得・適正配置、リーダーパイプラインの高度化を推進します。また海外では、一体感醸成と人事インフラ強化、技術伝承の仕組み構築、現地人財への成長機会提供を通じてエンゲージメント向上を図り、理念・価値観の共有と国内外の人財融合を進める予定です。