有価証券報告書-第70期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/30 9:53
【資料】
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【項目】
119項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における業績のご報告に先立ちまして、株主や投資家の皆様をはじめ、お客様や取引先などのステークホルダーの皆様におかれましては、当社グループの不適切な会計処理・取引並びにそれに伴う金融商品取引法に基づく過年度決算訂正により、当連結会計年度において多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしましたことを、心より深くお詫び申しあげます。
当社グループは、第三者委員会が認定した事実と原因分析に基づいた再発防止策の提言内容を真摯に受け止め、平成28年8月30日付で不適切な会計処理・取引に対する具体的な再発防止策(※)を策定いたしました。本再発防止策の策定方針である、「部門横断的な全社レベルでの管理・統制機能の再構築」、「法令に基づく原理原則に則った会社しくみへの移行」、「第三者の客観的な視点を意識した業務改革諸施策の実行と浸透」に基づき、二度とこのような不祥事が起こらないよう、全社一丸となって構造的変革・法令遵守に努め、社業に邁進しております。
当社グループの企業価値の向上のために、迅速かつ的確な対応に努めておりますので、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。
※当社グループにおける主な再発防止策
重 点 項 目主 な 再 発 防 止 策
コーポレート・ガバナンス機能の再構築外部有識者をトップとした諮問機関の設置
取締役会の実効性評価
本社組織の見直し
コンプライアンス意識の醸成行動規範の再徹底
外部通報窓口の設置
経営情報伝達の改善
役員・社員を対象とした教育プログラムの強化
透明性の高い業務プロセスの再構築社内規定、マニュアルの整備
人事施策の見直し
業務フローの見直し
情報システムによる統制機能強化

さて、当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善傾向が続く中、政府による各種政策効果により、緩やかな景気回復基調が継続したものの、為替や原油価格の動向に加え、中国を始めとするアジア新興国等の景気の下振れ、英国のEU離脱問題、米国の今後の経済・金融政策に関する影響等もあり、予断を許さない状況で推移いたしました。
当社グループの関連するプラント業界におきましては、お客様の生産設備の合理化や集約による統廃合が進展する中、材料費や人件費等の上昇による企業収益の圧迫等のリスクもあり、厳しい経営環境が継続いたしました。
このような状況下、当社グループといたしましては、不適切な会計処理・取引に対する具体的な再発防止策を推進することを最優先事項として対応していくとともに、平成27年度から平成29年度までを実施期間とする『中期経営計画』の2年目として、基本方針であります『「成長する産業分野での拡大」・「既存事業の維持・拡大」を軸に、付加価値・生産性の向上を図り、事業構造変革を強力に推進する』のもと、各事業(プラント事業・エンジニアリング事業・原子力事業・海外事業・装置事業)の重点施策等への取組みを推進してまいりました。
当連結会計年度における主要施策の進捗状況は、次のとおりであります。
<主要施策の内容>○事業の重点施策
◇ プラント事業
プラント事業につきましては、国内外の事業環境の変化及び当社グループの社員数の推移等を踏まえ、各拠点の特性や生産性のバランスを考慮した「施工体制の再構築」及び「生産体制の再構築」を推進してまいりました。
具体的には、前連結会計年度に引続き、技能社員の工事責任者登用制度「工事マネジメントコース」の運用を実施することにより、社員の育成を図り、生産性の向上を推進してまいりました。
また、近隣事業所間の連携強化、協力会社を含めた戦力の最適配置の観点から、一部事業所の統合(本社工場と黒崎事業所の統合:統合後の名称は本社工場)等の施策を実施してまいりました。
◇ エンジニアリング事業
エンジニアリング事業につきましては、「プロジェクト事業」、「電気計装事業」及び「診断サービス事業」の創出・拡大を推進してまいりました。
「プロジェクト事業」では、ファインケミカル分野等の新規分野におけるEPC案件(設計・調達・施工)に取組んでまいりました。
「電気計装事業」では、電気工事情報の収集・体制の強化を図ることにより、装置制御事業、電気計装事業、空調計装事業の拡大を推進してまいりました。
「診断サービス事業」では、三菱日立パワーシステムズ株式会社様と電流情報量診断システムの共同開発・ライセンス供与に関する契約を締結するなど、予兆診断の高度化に向けた取組み等を行ってまいりました。
◇ 原子力事業
原子力事業につきましては、設計・製作・施工まで一貫した対応が可能なエンジニアリングメーカーとして、各原子力発電所の再稼働関連を中心とした工事及び各種保全工事の対応を実施してまいりました。
また、お客様である各電力会社及びプラントメーカーの多様なニーズに沿った対応ができるよう、受注体制、施工体制の拡充及び技術継承に努めてまいりました。
◇ 海外事業
海外事業につきましては、経済成長が見込まれるアジア地域を中心として、お客様の海外展開をサポートする体制を維持・強化していくとともに、各種建設工事及び保全工事の対応を実施してまいりました。
なお、タイの現地法人であるタイ・タカダ・カンパニー・リミテッドは、タカダ・コーポレーション・アジア・リミテッドとして、アジア地域における地域統括会社へと移行し、平成29年2月1日より運営を開始いたしました。本地域統括会社が、域内子会社のマネジメント及び業務支援等を行っていく体制となり、当社グループの海外事業の更なる発展に向けた整備を推進いたしました。
◇ 装置事業
装置事業につきましては、「超音波カッティング装置」及び「枚葉式ウェット処理装置」を軸とした付加価値の高い装置の製造・販売を、海外展開を含めて行ってまいりました。
「超音波カッティング装置」につきましては、SiCやセラミック等の量産用途や電子部品の解析用途で販売実績をあげるとともに、今後の競争力維持を図るためのコア部品の開発・強化に取組んでまいりました。
また、「枚葉式ウェット処理装置」につきましては、量産用途から開発用途までラインアップを広げ、販売実績をあげてまいりました。
○投資・財務方針
投資・財務方針につきましては、キャッシュ・フロー管理を徹底していく中で、事業継続のための維持・更新投資と成長戦略投資とのバランスを考慮しながら、投資の実行及び財務体質の強化を図ってまいりました。
また、不適切な会計処理・取引に対する再発防止策に基づき、完成工事高の計上ルール等の業務プロセスの見直しを実施するとともに、財務報告に係る全社的な内部統制の再構築を推進してまいりました。
なお、優先株式の処理につきましては、当連結会計年度に具体的な処理はありませんでした。
○人材育成その他
不適切な会計処理・取引に対する再発防止策の重点項目が、「コーポレート・ガバナンス機能の再構築」、「コンプライアンス意識の醸成」、「透明性の高い業務プロセスの再構築」であることを踏まえ、本重点項目に基づく諸施策を、人材育成に繋げてまいりました。具体的には、取締役会の諮問機関であるガバナンス委員会や業務改革委員会からの提言内容の全社展開、意識改革のための階層別教育等を通して、役職員一人ひとりに対する周知徹底を推進してまいりました。
なお、事業面における人材育成につきましては、次世代のリーダーとなる中堅層社員の職務レベルの向上を目的としたマネジメント教育をはじめ、各事業分野の事業戦略に基づく人材の最適配置等の諸施策を実施してまいりました。
このような諸施策を推進することにより、売上面につきましては、電力設備、エレクトロニクス関連設備、社会インフラ設備等の建設工事が減少したものの、化学プラント分野が大幅に増加したことにより、連結売上高は、472億7千9百万円(前連結会計年度比46億7百万円増収、10.8%増)となりました。
また、損益面につきましては、売上高の増加に加え、コストダウンの推進に努めてまいりました結果、連結営業利益は17億3千5百万円(前連結会計年度比4億5百万円増益、30.4%増)、連結経常利益は17億3千1百万円(前連結会計年度比4億7千1百万円増益、37.4%増)となりましたが、過年度決算訂正関連費用として特別損失が生じたことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は6億9千8百万円(前連結会計年度比1億4千5百万円減益、17.3%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ3千9百万円増加し、23億9千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動による資金収支は25億5千5百万円の支出(前連結会計年度は32億6千1百万円の収入)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益11億3千2百万円、仕入債務の増加額8億2千5百万円の収入と、売上債権の増加額46億2千4百万円の支出によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金収支は5億1千5百万円の支出(前連結会計年度比20.4%減少)となりました。
これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出2億8千万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金収支は31億9千7百万円の収入(前連結会計年度は21億4千3百万円の支出)となりました。
これは主に、短期借入金の純増加額35億1千万円の収入と長期借入金の返済による支出1億7千万円の支出によるものです。
(注)「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等を含んでいません。