訂正有価証券報告書-第69期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2018/06/18 10:45
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業績等の概要

(1)業績
業績のご報告に先立ちまして、株主や投資家の皆様をはじめ、お客様や取引先などのステークホルダーの皆様におかれましては、当社グループの不適切な会計処理・取引並びにそれに伴う平成23年3月期(第64期)から平成27年3月期(第68期)までの金融商品取引法に基づく過年度決算訂正により、多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしておりますことを、心より深くお詫び申しあげます。
当社グループといたしましては、二度とこのような不祥事が起こらないよう、内部管理体制を強化し、社会的信用・信頼の回復のために、全社をあげて再発防止の徹底に取組んでまいります。
さて、当連結会計年度におけるわが国経済は、各種政策効果のもと、雇用・所得環境の改善が続く中、個人消費も底固く、緩やかな回復基調が続きましたが、アメリカの金融政策の正常化が進む中、中国をはじめとするアジア新興国等の景気の下振れなど、景気を下押しする要因もあり、先行きに不透明な状況のもと推移いたしました。
当社グループの関連するプラント業界におきましては、石油精製・石油化学などの素材産業を中心に、国内需要の縮小と安価な海外製品の流入により、生産設備の統廃合や海外移転の動向が進展している中、厳しい経営環境が継続いたしました。
このような状況下、当社グループといたしましては、平成27年度から平成29年度までを実施期間とする『中期経営計画』の初年度として、基本方針であります『「成長する産業分野での拡大」・「既存事業の維持・拡大」を軸に、付加価値・生産性の向上を図り、事業構造変革を強力に推進する』のもと、各事業(プラント事業・エンジニアリング事業・原子力事業・海外事業・装置事業)の重点施策等への取組みを推進してまいりました。
当連結会計年度における主要施策の進捗状況は、次のとおりであります。
○事業戦略
◇ プラント事業
プラント事業につきましては、国内外の事業環境の変化に対応するために、「施工体制の再構築」を推進してまいりました。少子高齢化の進展等に伴い、社員数を増大させることが困難な状況下、当社グループといたしましては、社員の生産性向上を推進するために、技能社員の工事責任者登用制度「工事マネジメントコース」の運用を実施することにより、安全・品質のレベル維持・向上に努めてまいりました。
また、近隣事業所間の連携をより強化しながら、協力会社を含めた戦力の最適配置を行うことを目的として、一部事業所の統合(水島事業所と坂出事業所の統合:統合後の名称は中四国支社)を行うなどの施策を実施してまいりました。
◇ エンジニアリング事業
エンジニアリング事業につきましては、当社グループがこれまで蓄積してきた技術を更に強化し、業務範囲を拡大していくことで、お客様への付加価値向上を図ってまいりました。具体的には、EPC案件(設計・調達・施工)を中心とした「プロジェクト事業」及びプラントの電気計装やビルの空調計装の案件を中心とした「電気計装事業」の拡大を推進してまいりました。
また、当社グループが保有するメンテナンス技術のひとつである「回転機械の設備診断技術」につきましては、「診断サービス事業」として、新規分野のお客様向けにも販売拡大を図り、積極的に展開してまいりました。
◇ 原子力事業
原子力事業につきましては、原子力発電所に対する新規制基準に基づく安全性向上対策工事及び各種保全工事の対応を実施しながら、受注体制、施工体制の拡充及び技術継承に努めてまいりました。
また、お客様である電力会社及びプラントメーカーとの良好なパートナー関係を構築し、様々なサービスを提供してまいりました。
当社グループは、設計・製作・施工まで一貫した対応が可能なプラントエンジニアリングメーカーとしての評価を受けており、この評価を活用していくことにより、事業展開を推進してまいりました。
◇ 海外事業
海外事業につきましては、お客様の海外事業をサポートするグローバルパートナーとしての地位確立を目指し、積極的な経営資源の投入により、強化を図ってまいりました。
平成27年11月30日には、東南アジア地区(タイ、シンガポール、マレーシア)における更なる販路拡大を図るために、㈱菊池工業所より、キクチ・インダストリー(タイランド)・カンパニー・リミテッドの株式を取得し、子会社といたしました。
なお、現地法人であるタイ・タカダ・カンパニー・リミテッドにつきましては、今後、東南アジア地区における地域統括会社として、域内子会社のマネジメント及び業務支援(事業運営支援・営業支援・技術支援)等を中心とした活動をしていくために、移行準備を推進してまいりました。
◇ 装置事業
装置事業につきましては、付加価値の高い装置の販売を推進し、海外販売を含めた事業拡大の基盤整備を図ってまいりました。
「超音波カッティング装置」につきましては、SiCパワーデバイス量産用装置において実績を伸ばしており、また、断面観察工程に寄与する装置においても販売実績を上げてまいりました。
また、「枚葉式ウェット処理装置」につきましては、従来からのMEMSやLED向けの実績に加え、IoT等の成長市場を狙い新規顧客の獲得を図ってまいりました。その中でスマートフォンで多数利用される「SAWフィルター」の製造工程で実績を上げ、ビジネストレンドと成長分野への販路を広げてまいりました。
○財務・経営資源戦略
◇ 投資・財務計画
投資・財務方針につきましては、フリーキャッシュフローを安定的に確保し、事業継続のための維持・更新投資とのバランスを考慮しながら、投資の実行及び財務体質の強化を図ってまいりました。
優先株式の処理につきましては、優先株主である㈱福岡銀行が、平成27年7月17日付で、当社定款規定に基づき、当社に対し、B種株式の一部(425千株)の取得請求権を行使されましたため、当社は本B種株式の一部を取得するのと引換えに、D種株式(340千株)・E種株式(85千株)を交付いたしました。その後、当社は、平成27年7月30日付で、優先株主に交付した本D種株式・E種株式を取得するとともに、平成27年8月28日付で、本B種株式・D種株式・E種株式を消却いたしました。
◇ 人材育成
人材育成につきましては、熟練技能社員が減少していく中で、次世代のリーダーとなる中堅層社員の職務レベルの向上が喫緊の課題であります。そのため、経営資源である人材の最適配置を実施していくとともに、「技能社員の工事マネジメント教育」、「管理・監督能力向上のための教育」を推進するとともに、「女性社員の活躍のための教育」に関する企画・検討を実施してまいりました。
また、海外事業において、東南アジア地区の地域統括会社の設置準備を進めている中、若年層社員の海外研修派遣、中堅層社員の海外育成派遣等による人材育成面の再検討を進めてまいりました。
このような諸施策を推進することにより、売上面につきましては、エレクトロニクス関連設備や社会インフラ設備の建設工事は増加したものの、化学プラントの定修工事、製鉄プラントの建設工事が減少いたしました結果、連結売上高は、49億6千5百万円減の426億7千2百万円(前期比10.4%減)となりました。
また、損益面につきましては、コストダウンの推進による原価率の低減に努めてまいりましたが、連結営業利益は5億7千1百万円減の13億3千万円(前期比30.0%減)、連結経常利益は5億8千2百万円減の12億5千9百万円(前期比31.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6千9百万円減の8億4千4百万円(前期比7.7%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ3億8千1百万円増加し、23億5千万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動による資金収支は32億6千1百万円の収入(前連結会計年度比208.3%増加)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益13億3百万円、減価償却費3億7千4百万円、売上債権の減少額34億1千万円、未成工事受入金の増加額4億3千5百万円の収入と、仕入債務の減少額11億1千2百万円、法人税等の支払額8億2百万円の支出によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金収支は6億4千8百万円の支出(前連結会計年度比293.8%増加)となりました。
これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出5億1千1百万円と、投資有価証券の取得による支出2億7百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金収支は21億4千3百万円の支出(前連結会計年度比137.2%増加)となりました。
これは主に、短期借入金の純減少額11億8千万円の支出と長期借入金の返済による支出3億4千万円、自己株式の取得による支出4億1千5百万円、配当金の支払額1億7千万円の支出によるものです。
(注)「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等を含んでいません。