有価証券報告書-第202期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/23 16:00
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179項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは創業以来の製粉事業に食品事業を加えて基盤事業とし、冷凍食品や中食など事業の多角化を進めてまいりましたが、今後はヘルスケアや大豆・野菜事業などへも注力し、さらに新規事業も加えて事業領域を拡げ持続的成長を図っていくため、「人々のウェルビーイング(幸せ・健康・笑顔)を追求し、持続可能な社会の実現に貢献します」を経営理念としております。
当社を取り巻く環境は目まぐるしく変化しておりますが、創業以来の技術力と新しいデジタルトランスフォーメーション(DX)の融合を図り、イノベーションを起こすことで、変化を先取りした新しい時代の「食」を創造していきたいと考えております。
社内においては、社員一人ひとりが創業以来のパイオニア精神を忘れず、創造性・多様性を育み、何事にも積極的に取り組めるような職場環境を構築し、新たな事業領域にチャレンジしてまいります。
このような企業活動を通じて、気候変動等の環境問題、食資源の有効活用、生物多様性の保全、人権課題、人口問題、健康寿命の延伸等の社会的課題に対して真摯に向き合い、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。ESG経営を実践するレジリエント企業として、日本と世界の現実に目を向け、国内外のパートナーとともに「より良い社会」「より良い地球」の実現に力を注ぎます。
当社グループは、経営理念を実現するためにお客様、社員、株主、社会をはじめとするステークホルダーとともに、未来につながる価値を創出してまいります。
様々な場面で当社製品が愛用され、世の中の全ての人々に幸せ、心身の健康、そして笑顔をお届けする企業を目指します。
(2) 会社を取り巻く経営環境
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善等を背景に、緩やかな回復傾向で推移いたしました。しかしながら、アメリカの通商政策の動向や金融資本市場の変動に加え、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高騰やサプライチェーンの混乱等により、先行きは一段と不透明感を増しております。
食品業界においては、インバウンド需要の拡大や外食産業の持ち直しにより緩やかな回復基調が見られたものの、中東の地政学的リスクに伴う原油高や供給不安により、原材料価格・物流費の高騰に加え、石油由来の包装資材を始めとした原材料の調達リスクに直面しております。個人消費の更なる冷え込みも懸念される中、当社グループの経営環境に及ぼす影響について、最大限の注意を払う状況が続きました。
当社グループは持続的な成長を実現するため、ブランド力の強化や差別化した商品の展開に注力するほか、生産拠点の整備・拡充や事業の取得・提携を推進することにより、収益の向上に努めておりますが、国内外での消費行動の変化等が当社グループの業績に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
(3) 会社の対処すべき課題と中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標
① 長期ビジョン2030について
当社グループは、経営理念の達成に向けて、2024年5月に長期ビジョン2030「ニップングループは、総合食品企業として、食による社会課題の解決に挑み続けます」を策定しました。売上高5,000億円・営業利益250億円規模までの成長を目指す経済的価値の追求に加え、社会的価値の創造にも注力するため、当社のありたい姿と取り組みの方向性を整理し、2030年度までに達成することとしました。
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<長期ビジョン達成に向けた施策>長期ビジョン2030の実現に向け、事業戦略の実行を支える全社的な基盤整備を推進しております。
特に、生産性向上に直結するDXの推進と、価値創造の源泉となる人的資本の強化を全社共通の最重要施策と定め、業務の効率化と高度化の両立を図ってまいります。
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■DX推進による生産性向上
当社グループは、アナログデータのデジタル化や業務の自動化・見える化を段階的に推進してまいりましたが、より本質的なDXにシフトアップするため、「ニップンDX全体構想」を策定しました。既存事業の進化と新規事業の創出・ウェルビーイング実現に向けて、抜本的な業務の効率化・高度化により、挑戦する時間と人財を生み出すDXを推進しております。生成AIをはじめとする最新技術と全社的に蓄積されたデータをシームレスに連携して活用できる基盤を整え、現場主導で業務プロセスの最適化と改善を繰り返す企業文化を形成してまいります。
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■人的資本の強化
長期ビジョンの達成や従業員のウェルビーイング実現に向け、経営戦略と人財戦略の連動を図るため「人財ビジョン」を策定しております。人財ビジョンを主軸として、求められる人財創出につながる人財育成・人事制度改定・組織風土づくり等に取り組むことで、従業員の創造性と多様性を育み、何事にも積極的に取り組める職場環境の構築を進めながら個人と組織双方の持続的な成長を目指します。
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<成長領域における戦略と課題>■冷凍食品事業において、2030年までに売上高900億円/年を目指します。
家庭用冷凍食品において、「オーマイプレミアム」をはじめとする冷凍パスタに加えて、市場の伸長が続くワンプレート商品を軸として売上拡大を図ります。
業務用冷凍食品において、好調な外食需要やインバウンド需要に対応するため、ユーザーのニーズに即した商材の売上拡大を図ります。
売上拡大を実現するために、2025年4月に連結子会社化した株式会社畑中食品の新冷凍食品工場建設や自動化技術の導入を進め、供給能力の増強に取り組んでまいります。
■海外事業において、2030年までに売上高600億円/年を目指します。
既存進出国における事業拡大を図る他、新規需要地域への販売拡大に取り組んでまいります。
また、海外事業の拡大に貢献できるグローバル人財の育成に注力する他、日本製品の輸出拡大も進めてまいります。
冷凍食品事業業績推移と目標
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海外事業業績推移と目標
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②中期目標
当社グループは、長期ビジョンに掲げる売上高5,000億円・営業利益250億円の実現に向けて、「2026年度までに売上高4,000億円・営業利益150億円の達成」を中期目標として2022年5月に設定しました。その後、2023年度実績がこれを前倒しで達成したことから、2024年5月に中期目標を上方修正して、新たに「2026年度までに売上高4,500億円・営業利益210億円、ROE8%以上、ROIC5%以上」を掲げております。
中東の地政学的リスクに伴う物流費や原材料の高騰、供給不安など先行きの不透明感は増していますが、当社グループは基盤領域の収益力強化、成長領域及び新規事業領域への戦略投資、M&Aや事業提携の機会追求、DX推進による企業競争力の強靭化、サステナビリティ経営の推進の5つを戦略の基本方針とし、基本方針に沿った戦略を着実に実行することによって、2026年度中期目標の達成に努めてまいります。
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<各事業の戦略と施策>製粉事業では、知多工場が2026年2月に稼働を開始し、省エネ・環境を含めサステナビリティに配慮しながら、最新の自動化技術等により高い生産性を実現しております。また、やわら小麦など当社ならではの価値訴求型商品を開発・拡販していくことで差別化を図ってまいります。加えて、DXを駆使した生産性の高い営業活動の実践と無駄の排除、物流改善、各工場における生産効率向上を図り、安定的なキャッシュの創出に努めてまいります。
食品事業では、プレミックスやシーズニングにおいて、当社ノウハウを活用した商品の差別化やDXを通じた採算管理の徹底により、更なる収益性の向上を図ってまいります。家庭用分野においては、冷凍・常温いずれの温度帯でもマスターブランドである「オーマイプレミアム」の商品開発を継続することに加え、広告宣伝活動と連動した販促を実施することで、ブランド認知の向上とさらなる価値訴求を図ってまいります。さらに株式会社畑中食品の新工場新設等を通じて供給体制の増強を推進してまいります。
海外事業では、拠点内外における市場開拓と海外事業拡大へ向けた取り組みを加速させてまいります。2025年9月よりUtah Flour Milling, LLCの新工場が本格稼働しており、事業拡大へ向けた取り組みの検討を継続するだけでなく、各国拠点の近隣諸国の販路拡大に向けた活動や、NIPPN Vietnam Company Limitedの新工場稼働に向けた体制整備にも取り組んでまいります。
<中期目標達成へ向けた成長戦略>当社グループは、中期目標達成をより確実なものとする具体的施策として、「生産拠点の新設・再配置」、「付加価値商品の開発・提供」及び「マーケティング戦略の推進」に取り組んでおります。
■生産拠点の新設・再配置
国内では、2026年2月に製粉拠点として知多工場が稼働を開始いたしました。臨海部に立地し大型穀物船が接岸できる知多埠頭の原料サイロに隣接しており、原料小麦の直接搬入による原材料調達コストの削減を実現しております。加えて、流量や製品分析などを自動測定するシステムを導入することにより、製粉工程の精度向上と効率化を図る等、スマートファクトリー化を推進しております。さらには、大地震の際の津波の影響を考慮し、建物1階床レベルの嵩上げを行う等、自然災害への強靭性を高めております。同工場は、太陽光発電設備の導入や非化石証書の活用により、実質100%再生可能エネルギーを実現した当社初のカーボンニュートラル工場となります。
このほか、2026年度末に株式会社畑中食品の新冷凍食品工場が竣工予定、また、研究開発拠点を新たに設置する「ニップンR&Dセンター」へ移転予定です。さらに海外では2027年にNIPPN Vietnam Company Limitedのプレミックス新工場が稼働予定となっております。今後も投資効果を慎重に見極めながら、拠点の新設・再配置を検討してまいります。
■付加価値商品の開発・提供
当社は、でんぷんの老化が遅く(硬くならない)、作りたてのような食感を長持ちさせる特性を持つ国内産小麦を、農研機構と共同研究し、「やわら小麦®」として商標を取得しております。その開発と実用化が評価され、令和7年度民間部門農林水産研究開発功績者表彰において、「農林水産省農林水産技術会議会長賞」を受賞しました。2026年3月には、「焼きたてはもちろん翌日以降もやわらかな食感が楽しめる」という新たな消費者価値を提供する家庭用新商品として、「ニップンつぎの日もやわらか強力小麦粉」を発売しております。今後も「やわら小麦®」を広くご活用いただけるよう、各種商品開発に向け取り組んでまいります。
■マーケティング戦略の推進
消費者起点の取り組みにより成熟市場においても拡大・成長を実現するべく、2023年10月よりマーケティング戦略を推進してまいりました。具体的には「オーマイプレミアム」ブランドに注力し、常温・冷凍いずれの温度帯でもおいしさを実感していただける商品を展開することで、消費者に選ばれる商品・ブランドづくりを進めてまいります。
また、2025年4月にはマーケティング本部を新設し、商品開発と営業支援機能を組み込むことで、統一した戦略立案と迅速な意思決定が図れる体制を整えました。今後は、徹底した「消費者起点のマーケティング」を業務用領域においても展開し、ブランド認知の更なる向上と収益拡大につなげてまいります。
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<政策保有株式の縮減>当社グループは、政策保有株式の保有にあたり、資本コストを意識した上で銘柄ごとに保有意義を検証し、保有合理性が薄れたと判断した株式の縮減を進めることにより、資本効率の向上を目指しております。2025年度においては、保有先との対話を進め、59億円相当の政策保有株式を売却いたしました。中期目標の最終年度となる2026年度においては、保有額を連結純資産比20%未満にするという目標達成のため、引き続き縮減に注力してまいります。
当社グループの経営理念である「人々のウェルビーイング(幸せ・健康・笑顔)を追求し、持続可能な社会の実現に貢献」するため、経済的価値を追求する事業成長戦略と社会価値創造戦略に経営資源を投入し、長期ビジョン及び中期目標の達成を目指してまいります。
③サステナビリティ経営の取り組み
当社グループは、多くの地球の恵みの恩恵を受け、事業を展開しています。これらの素材の調達から製造・物流・加工等のサプライチェーン全体の事業活動が環境に大きな影響を与えていることを認識しています。サステナブルな食料システムの維持のため、「気候変動対応」「生物多様性の保全」「循環型社会の実現」を通じ、食の持続可能性に対する負のインパクトを軽減することは、当社グループの事業継続において、喫緊の課題であることを認識しています。
また、企業価値創造の源泉となる「従業員」のウェルビーイング実現に向け経営戦略と人財戦略の連動を図るため「人財ビジョン」を策定しました。人財ビジョンを主軸とし、求められる人財創出につながる人財育成、人事制度改定、組織風土づくりなどに取り組んでいます。
<気候変動>当社グループは、気候変動への対応を企業理念の実現における重要な課題と捉えております。GHG排出量削減の重要性を認識し、2030年度までにスコープ1+2のGHG排出量を2021年度比で42%削減する目標を設定しました。2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、具体的な取り組みを進めております。
2026年2月に稼働を開始した知多工場では、当社国内工場で4例目となる太陽光発電設備を導入しました。また、使用電力の100%を実質再生可能エネルギーとし、ZEB Readyの取得など、高い省エネ性能を実現しました。
今後も省エネ設備の導入、再生可能エネルギー設備の導入、及び再エネ電力の調達等に関するロードマップを的確に見直しながら、着実なGHG排出量削減に努めてまいります。
<持続可能な調達>当社グループは総合食品企業として、製粉やプレミックスなどの食品素材から、冷凍食品などの川上から川下まで幅広い事業を展開しています。その中で多様な原材料を扱うことから、サプライチェーンの拡大に伴い「人権」「生物多様性」「気候変動」など、社会・環境面への影響がより大きくなると認識しています。
こうした状況を踏まえ、当社グループは「人権方針」および「調達基本方針」を改定し、新たに「生物多様性方針」を策定しました。これらの方針に基づき、人権デュー・ディリジェンスの実施や、TNFDのLEAPアプローチを通じたリスクと機会の特定など、持続可能な調達に向けた取り組みを進めています。
<人的資本>人財ビジョンを主軸に、求められる人財創出につながる人事制度改定や人財パイプラインづくりとしての人財育成、イノベーション創出基盤としての組織風土醸成に取り組んでまいります。
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