有価証券報告書-第177期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 13:19
【資料】
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【項目】
146項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「信を万事の本と為す」と「時代への適合」を社是とし、「健康で豊かな生活づくりに貢献する」ことを企業理念として、事業を進め業容の拡大を図ってまいりました。また、グループ各社は「健康」を常に念頭においた製品やサービスの提供に努め、「信頼」を築き上げる決意をこめて「健康と信頼をお届けする」をコーポレートスローガンとしております。
これらの基本的な理念を踏まえて、当社グループは長期的な企業価値の極大化を経営の基本方針とし、コア事業と成長事業へ重点的に資源配分を行いつつ、グループ経営を展開しております。
また、内部統制システムへの取組み、コンプライアンスの徹底、食品安全、環境保全、社会貢献活動等の社会的責任を果たしつつ自己革新を進め、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、株主、顧客、取引先、社員、社会等の各ステークホルダーから積極的に支持され続けるグループであるべく努力を重ねております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、長期ビジョン「NNI“Compass for the Future”新しいステージに向けて ~ 総合力の発揮とモデルチェンジ」で掲げる目指す姿“未来に向かって、「健康」を支え「食のインフラ」を担うグローバル展開企業”の実現に向けて、ニュー・ニッシン・イノベーション活動を推進しております。当社グループの「総合力」を発揮する仕組みを構築するとともに「顧客志向」を改めて徹底し、「既存事業のモデルチェンジ」と「グループの事業ポートフォリオ強化」を柱とした成長戦略の推進、及びそれを支える経営機能の一層の強化等を図ってまいります。
また、「当社創業以来の価値観」を共有して下さる株主の皆様に長期的スタンスで安定的に利益還元を強化してまいります。連結ベースでの配当性向の基準を40%以上とし連続増配により配当の上積みを図り、自己株式取得等はキャッシュ・フローや戦略的な投資資金需要を勘案した上で機動的に行ってまいりたいと考えております。
当社グループは、長期ビジョン実現のために策定したこれらの戦略を遂行し、利益成長と資本政策の両面から更なる1株当たり当期純利益(EPS)の成長を図るとともに資本の効率性と財務の安定性のバランスを取りながら、資本コストを上回る自己資本利益率(ROE)の確保・向上に努めてまいります。
また、企業価値を高める規律としてのガバナンス(G)の強化、事業の持続可能性に関わる環境(E)・社会(S)への貢献を事業戦略と深く関連させ経営を推進していくことで、「企業理念の実現」と「企業価値の極大化」をより強く結び付け、あらゆるステークホルダーの皆様から積極的に支持され続ける企業グループとして発展を目指してまいります。
新型コロナウイルス感染症の影響により当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しておりますが、早期に販売力・収益力を回復させることを最優先課題として注力してまいります。なお、足元の事業環境を見極めることを優先し、新たな中期経営計画については策定を一旦見送っております。
(3) 経営環境及び対処すべき課題等
国内外の食品業界では、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に伴い人々の生活様式が大きく変化する中、外食需要が内食にシフトするなど消費構造も変化しております。加えて、為替相場や穀物・資源価格の変動等、事業環境にも大きく影響が及んでおります。当社グループにおきましても、各事業においてこれらの新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けております。現在、ワクチン接種が世界各国で始まっておりますが、未だ新型コロナウイルス感染症の収束見込みは不透明であり、先行きは見通しにくい状況が継続しております。また、国内では、国際貿易交渉の進展により自由化に向けた潮流が加速していくことが予想されます。
そのような中、当社グループでは、小麦粉をはじめとする「食」の安定供給を引き続き確保し、各事業におきまして安全・安心な製品をお届けするという使命を果たしていくことが、一層重要になっていると認識しており、また、その使命を支える従業員の安全確保に努めてまいります。各事業では、 事業環境の変化への適合による収益の回復と成長軌道への迅速な回帰を最優先課題として取り組んでまいります。併せて、事業競争力の強化に向け、デジタルトランスフォーメーションを推進し、業務の変革に取り組むとともに、国内・海外を含めた事業会社間の連携を強化し、グループとしての「総合力」をさらに発揮して、長期ビジョンの実現を目指してまいります。社会課題や技術革新がもたらす環境変化に向き合い、持続的な成長を実現するとともに、自らが創出する付加価値を通じて社会に貢献する循環を作り上げることで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。なお、システム環境の進化や多様化により、サイバー攻撃や不正アクセス等のシステム関連のリスクが増加しておりますが、適切な対策を実施することでリスク管理を強化しております。
① 国内事業戦略
製粉事業では、お客様のニーズを的確に捉えた製品の開発や価値営業の推進によりお客様との関係を一層強化し、引き続き安全・安心な製品の安定供給に努めてまいります。
加工食品事業では、生活者のニーズに対応すべく、「簡単・便利」「本格」「健康」をキーワードとした新製品の投入や積極的な販売促進施策等によるブランドロイヤリティの向上、及び成長分野である冷凍食品事業の一層の拡大を図るなど、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでまいります。
中食・惣菜事業では、当社グループの研究開発力を活かした美味しさの追求とこれまで培ってきた技術力による高い生産効率の実現を両立する高度に事業化されたビジネスモデルへの転換を図ってまいります。
酵母・バイオ、健康食品、エンジニアリング、メッシュクロス等の各事業では、製品開発・技術開発を進め、各業界において存在感のある事業群として成長を図ってまいります。
その他、国内での人手不足問題にもロボットやAIの活用、自動化等の新技術による業務プロセス改善等により適切に対応してまいります。
また、国内産小麦をはじめとする国内農畜産物の安定的供給や商品原料の安定的調達等を目的として、昨年11月に全国農業協同組合連合会と業務提携契約を締結しました。
② 海外事業戦略
製粉事業では、当社グループの強みである製粉技術、提案力を活かした拡販に取り組み、現地市場での更なる成長を図るとともに、戦略投資を積極的に推進し、海外事業の基盤拡大に取り組んでまいります。
加工食品事業では、アジア市場で成長が見込まれる業務用プレミックス事業をさらに拡大してまいります。また、生産面ではグローバルな最適生産体制をベースにコスト競争力を強化するとともに、当社グループが長年培ってきた製造技術や高度な品質管理ノウハウを活かし、パスタ、パスタソース、冷凍食品等の更なる事業拡大に取り組んでまいります。
酵母・バイオ事業では、製パン用イーストの需要が高まっているインド市場に参入すべく、Oriental Yeast India Pvt. Ltd.がイースト工場の建設を進めており、高品質な製品を現地市場に供給することで、事業の拡大を目指してまいります。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により工事を中断したため、昨年夏頃を予定しておりました当該工場の稼働時期につきましては未定であります。
その他、製粉、食品、ベーカリー関連ビジネスを中心に、新たな領域での事業拡大を自社独自に又はM&A、アライアンスによりスピード感を持って推進してまいります。
③ 研究開発戦略、コスト戦略
当社グループはお客様の視点に立った新製品開発と新しい領域の基礎・基盤技術の創出に取り組んでおります。新製品開発につきましては、新規性、独自性があり、お客様にとって付加価値の高い新製品を継続的に開発してまいります。研究面におきましては、研究成果の実用化、事業化推進のため、重点研究領域を明確にするとともに、事業戦略に即した研究テーマを設定するなど効率化、スピード化を図ってまいります。さらに、自動化技術の活用による更なる効率化も検討し、人手不足問題等にも対応してまいります。
また、今後も大きな変動が想定される原料及び燃料相場への対応として、調達・生産コストの低減を進めるとともに、変動するコストに適切に対応できる事業基盤を構築してまいります。
④ 麦政策等の制度変更に向けた取組み
TPP11協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)、日EU・EPA、並びに日米貿易協定の発効により、米国産・カナダ産・豪州産小麦のマークアップ(政府が輸入する際に徴収している差益)の引き下げが開始されました。一方で、これらの協定の発効に加え、日英包括的経済連携協定の発効やRCEP(地域的な包括的経済連携)協定への署名等国際貿易協定は広がりを見せており、小麦関連製品の国境措置が低下し、関係国からの輸入製品との競争激化が想定されます。自由化に向けた潮流が加速していく中、情勢の変化を適切に見極めながら、引き続きグローバル競争で勝ち抜くべく国内外での強固な企業体質を構築してまいります。
⑤ 企業の社会的責任への取組み
当社グループは、従前より社会にとって真に必要な企業グループであり続けるべく、「日清製粉グループの企業行動規範及び社員行動指針」の実践並びにそのための取組みの促進を目的に社会委員会を設置し、企業活動全般におきまして企業の社会的責任(CSR)を果たしてきております。
ガバナンスの強化につきましては、監査等委員会設置会社として、健全で実効性のあるコーポレート・ガバナンス体制を構築、維持するとともに、コンプライアンスにつきましては、関連法規や社会規範及び社内規程・ルールを遵守し、公正かつ自由な競争の中で事業の発展を図っております。内部統制においても、金融商品取引法により求められる範囲を超え、当社グループ全体に広く内部統制システムの整備を行い、専任組織によるモニタリングにより、その維持、改善に努めております。
また、安全で健康的な食の提供、気候変動への対応、働きがいのある労働環境の確保等を内容とする「CSR重要課題(マテリアリティ)」を特定し、経営の最重要課題の一つと位置付けてグループ全社で取り組んでおります。
安全で健康的な食の提供につきましては、安全・安心な製品をお届けするために、食品安全に加え、食品防御(フードディフェンス)を強化しております。また、消費者の皆様の意識や社会の潮流を見極め、備えるべき事項や対策を適時、適切に指示する役割を担うCR(Consumer Relations)室が、消費者の皆様の声や消費者行政関連の情報を積極的に収集し、消費者の皆様への対応の充実を図っております。さらには、小麦粉をはじめとする安全・安心な「食」の安定供給を確保するために、BCP(事業継続計画)による災害や感染症等への備えの拡充にも努めており、新型コロナウイルス感染症への対応においても早期にBCPを発動し、感染対策を徹底し、事業活動の維持を図っております。
気候変動への対応につきましては、2030年度までのグループCO₂削減目標を設定し、工場での省エネ性能の高い機器の導入や他社との共同配送等により環境負荷の低減を目指しております。製品開発においても、調理段階まで想定したエネルギー低減やプラスチックの削減・減量化、リサイクル性の向上等、環境に配慮した製品の開発を行っております。さらには、現在の2030年度までのグループCO₂削減目標の政府方針に沿った見直しも含め、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組みについての検討を進めております。
働きがいのある労働環境の確保につきましては、リスクアセスメントによって従業員の労働災害の未然防止対策強化を図るとともに、「健康」で「活き活き」と働くことを実現するために、メンタルヘルスケアや健康増進にも力を入れ、社長をトップとして、健康経営を推進しております。2020年度には経済産業省が創設した認定制度である「健康経営優良法人2021(ホワイト500)」の認定を取得いたしました。また、柔軟な働き方を可能とする制度改正など、多様な働き方の実現に向けた取組みを進めております。
さらに、社会の一員として、広く社会貢献活動に取り組み、震災被災地の復興支援、「製粉ミュージアム」による地域観光資源や教育資産としての地域貢献等を行っております。
当社グループは、このような企業の社会的責任への取組みを、今後も継続してまいります。

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