当社グループの事業は、原材料の大半が気候変動による物理的リスクの影響を大きく受ける農産物であること、また製造・加工・販売の過程において多くのエネルギーを消費しており気候変動による移行リスクの影響を大きく受けることから、気候変動を重要なリスクと認識しております。当社グループでは、気候変動にかかるリスクと機会を特定するにあたり、当社グループの中期経営計画との時期的整合性、またパリ協定、日本政府の掲げる目標年といった外部環境要素を踏まえ、短中期の時間的範囲を2031年3月期までの期間、および長期の時間的範囲を2051年3月期までの期間と定めました。
(重要リスクの特定)
気候変動にかかるリスクおよび機会については、当社グループの主力事業である国内製糖事業を対象に、網羅的なリストアップを行いました。次に、すべてのリスクおよび機会について公開資料等に基づき財務的影響を検討したうえ、当社グループの事業への影響等に鑑み以下のとおり項目を抽出および整理しました。
分類 | 項目 | 種別 | 想定されるリスク・機会 | 財務影響度 物理:4℃ 移行:1.5℃ | |
物理的リスク | 急性 | 自然災害の規模と頻度の増大 | リスク | 気象災害の激甚化による、当社グループ工場等の被害額増大 | 大 |
リスク | サプライチェーン上の取引先の操業停止等による、当社グループへの損失発生 | 中 | |||
慢性 | 海面上昇 | リスク | 耕作可能地減少による生産拠点の減少、および物流拠点の減少による、原材料および製品の供給能力低下 | 小 | |
長期的な気候(平均気温や降水パターンなど)の変化 | リスク/ 機会 | 平均気温などの変化による、原料(サトウキビ及びてん菜)供給量の増加や減少 | 大 | ||
リスク/ 機会 | 気温上昇による、砂糖消費行動の変化に伴う売上の増加や減少 | 小 | |||
リスク | 平均気温上昇による、主に生産部門での暑熱対策強化に伴う費用の増加 | 小 | |||
移行リスク | 政策・ 法制度 | 炭素価格の上昇 | リスク | 炭素税や排出権取引制度等の導入による、費用の増加 | 大 |
技術 進歩 | 新たな低・脱炭素型生産技術の開発 | リスク/ 機会 | 新たな技術開発のための研究開発費用の増大 エネルギーコスト削減による製造コストの削減 | 中 | |
リスク | 再エネ燃料として原料(サトウキビ)がバイオエタノールに使用されることによる、原材料調達コストの増加 | 小 | |||
低・脱炭素関連の技術革新 | 機会 | 当社グループのサプライチェーン上の取引先企業との共同配送、モーダルシフト、受発注の最適化等による事業コストの増大抑制 | 中 | ||
市場 変化 | 環境配慮製品への社会的要請 | リスク | 環境配慮製品購入への消費行動変化への費用の発生 | 小 | |
評判 | 脱炭素に消極的な企業姿勢に対するレピュテーションリスク | リスク | 脱炭素に消極的な企業姿勢に対する企業イメージの低下及び企業価値減少 | 中 |