有価証券報告書-第97期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
5 重要な会計方針
連結財務諸表の作成にあたって採用した主要な会計方針は以下のとおりであります。これらの方針は、特に断りのない限り、表示されている全期間に一貫して適用されております。
(1)連結
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、投資先に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合には、当社グループは投資先を支配していると判断しております。
子会社の財務諸表は、支配開始日から支配終了日までの間、連結財務諸表に含まれております。子会社の財務諸表は、当社グループが適用する会計方針と整合させるため、必要に応じて調整しております。
グループ会社間の債権債務残高、取引、及びグループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表作成にあたり消去しております。
なお、決算日が異なる子会社の財務諸表は、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しております。
② 関連会社及び共同支配企業
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有している企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20パーセント以上を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定しております。共同支配企業とは、取決めに対する共同支配を有する当事者が当該取決めの純資産に対する権利を有している共同支配の取決めをいいます。
関連会社及び共同支配企業に対する持分は、持分法を用いて会計処理しております(持分法適用会社)。これらは、当初認識時に取得原価で認識し、それ以後、当社グループの重要な影響力又は共同支配が終了する日まで、持分法適用会社の純資産に対する当社グループの持分の変動を連結財務諸表に含めて認識しております。当社グループの投資には、取得時に認識したのれんが含まれております。
関連会社及び共同支配企業の会計方針が、当社グループが採用した方針と異なる場合には、一貫性を保つため必要に応じて調整しております。
(2)企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。
のれんは、移転した企業結合の対価、被取得企業の非支配持分の金額及び取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計額が、取得日における識別可能資産及び引受負債の正味価額を上回る場合に、その超過額として測定しております。下回る場合は、純損益として認識しております。当社グループは、非支配持分を公正価値で測定するか、又は識別可能な純資産の認識金額の比例持分で測定するかを個々の取引ごとに選択しております。発生した取得費用は費用として処理しております。なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として処理し、当該取引からのれんは認識しておりません。
また、共通支配下の企業又は事業が関わる企業結合(全ての結合企業又は結合事業が最終的に企業結合の前後で同じ当事者によって支配され、その支配が一時的でない企業結合)については、帳簿価額に基づき会計処理しております。
(3)外貨換算
① 機能通貨及び表示通貨
当社グループの各企業の財務諸表に含まれる項目は、その企業が業務を行う主要な経済環境における通貨(「機能通貨」)を用いて測定しております。連結財務諸表は日本円により表示されており、これは当社グループの表示通貨であります。
② 取引及び取引残高
外貨建取引は、取引日の為替レートを用いて、機能通貨に換算しております。取引の決済から生じる外国為替差額並びに外貨建の貨幣性資産及び負債を期末日の為替レートで換算することによって生じる外国為替差額は、純損益において認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定される金融資産及び適格キャッシュ・フロー・ヘッジ、在外営業活動体に対する純投資ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。
③ 在外営業活動体
表示通貨とは異なる機能通貨を使用している全ての在外営業活動体の業績及び財政状態は、以下の方法で表示通貨に換算しております。なお、在外営業活動体には、超インフレ経済の通貨を使用している会社は存在しません。
(ⅰ)資産及び負債は、期末日現在の決算日レートで換算
(ⅱ)収益及び費用は、平均レートで換算(ただし、当該平均レートが取引日における換算レートの累積的な影響の合理的な概算値とはいえない場合は除く。この場合は収益及び費用を取引日レートで換算)
(ⅲ)結果として生じる全ての為替差額はその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素である在外営業活動体の換算差額に累積
在外営業活動体の部分的処分又は売却時には、その他の包括利益に認識された為替差額は売却に伴う利得又は損失の一部分として純損益で認識しております。
(4)有形固定資産
建物及び構築物、機械装置及び運搬具、工具、器具及び備品並びに土地は、主に製造・加工設備、本店設備で構成されております。有形固定資産は、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。取得原価には、当該資産の取得に直接関連する費用、解体、除去及び設置していた場所の原状回復費用並びに資産計上すべき借入費用が含まれます。
取得後支出は、当該項目に関連する将来の経済的便益が当社グループに流入する可能性が高く、かつ、その費用を合理的に見積ることができる場合には、当該資産の帳簿価額に含めるか又は適切な場合には個別の資産として認識しております。取り替えられた部分についてはその帳簿価額の認識を中止しております。その他の修繕及び維持費は、発生した会計期間の純損益として認識しております。
土地は減価償却しておりません。他の資産の減価償却額は、各資産の取得原価を残存価額まで以下の主な見積耐用年数にわたって定額法で配分することにより算定しております。
建物及び構築物 3年から50年
機械装置及び運搬具 2年から15年
工具、器具及び備品 2年から20年
有形固定資産の残存価額、耐用年数及び減価償却方法は各期末日に見直し、必要があれば修正しております。処分に係る利得又は損失は、対価と帳簿価額を比較することで算定し、純損益として認識しております。
(5)借入費用
適格資産の取得、構築又は製造に直接関連する借入費用は、その資産が意図した使用又は売却することができるようになるまで、その資産の取得原価に加算されます。適格資産への支出までの特定の借入金の一時的な投資からの獲得投資収益は、資産計上可能な借入費用と相殺されます。
その他の借入費用は、発生した会計年度の純損益として認識されます。
(6)のれん及び無形資産
① のれん
のれんは、毎期減損テストを実施し、取得原価から減損損失累計額を控除した額が帳簿価額となります。のれんの減損損失は戻入れを行いません。事業の売却による損益には、その事業に関連するのれんの帳簿価額が含まれております。
のれんは企業結合から便益を受けることが期待される資金生成単位又は資金生成単位グループに配分されます。
② 商標権
個別に取得した商標権は、取得原価により表示しております。企業結合により取得した商標権は、取得日の公正価値により認識しております。商標権については、耐用年数が確定できないものを除き一定の耐用年数を定め、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上されます。償却額は、商標権の取得原価を主に20年から40年の見積耐用年数にわたって定額法で配分することにより算定しております。
③ ソフトウェア
ソフトウェアは、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した額を帳簿価額として認識しております。
当社グループ独自のソフトウェアの設計及びテストに直接関連する開発費は、信頼性をもって測定可能であり、技術的に実現可能であり、将来経済的便益を得られる可能性が高く、当社グループが開発を完成させ、当該資産を使用する意図及びそのための十分な資源を有している場合にのみ無形資産として認識しております。
これらの要件を満たさないその他の開発費は、発生時に費用として認識しております。過去に費用として認識された開発費は、その後の会計期間において資産として認識されることはありません。
ソフトウェアは、主として5年の見積耐用年数にわたり定額法により償却しております。
ソフトウェアの保守に関連する費用は、発生時に費用認識しております。
④ その他無形資産
その他無形資産は、取得原価に基づき認識しております。企業結合により取得し、のれんとは区別して識別された無形資産の取得原価は企業結合日の公正価値で測定しております。その他無形資産については一定の耐用年数を定め、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上されます。しかし、一部の無形資産(借地権等)は事業を継続する限り基本的に存続するため、耐用年数が確定できないと判断し、償却しておりません。償却額は、各その他無形資産の取得原価を見積耐用年数にわたって定額法で配分することにより算定しております。
無形資産の残存価額、耐用年数及び償却方法は各期末日に見直し、必要があれば修正しております。
(7)リース
① 借手としてのリース
当社グループは、リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識します。使用権資産は、取得原価で当初測定しています。この取得原価は、リース負債の当初測定額に、開始日又はそれ以前に支払ったリース料を調整し、発生した当初直接コストと原資産の解体及び除去、原資産又は原資産の設置された敷地の原状回復の際に生じるコストの見積りを加え、受領済みのリース・インセンティブを控除して算定します。当社グループは、連結財政状態計算書において、使用権資産を「有形固定資産」に、リース負債を「その他の金融負債」に含めて表示しています。
当初認識後、使用権資産は、開始日から使用権資産の耐用年数の終了時又はリース期間の終了時のいずれか早い方の日まで、定額法により減価償却します。使用権資産の見積耐用年数は、自己所有の有形固定資産と同様に決定します。さらに、使用権資産は、該当ある場合、減損損失によって減額され、特定のリース負債の再測定に際して調整されます。
リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率又は計算利子率を容易に算定できない場合には当社グループの追加借入利子率で割り引いた現在価値で当初測定しています。通常、当社グループは割引率として追加借入利子率を用いています。
また、当社グループは、短期リース及び少額資産のリースにつき、認識の免除規定を適用しております。さらに当社グループは、「COVID-19に関連した賃料減免(IFRS第16号の改訂)」を適用しております。実務上の便法を適用しており、これによってCOVID-19の感染拡大の直接的な結果として受けたレント・コンセッションが、リースの条件変更に該当するか否かを評価する必要がありません。当社グループは、類似の特性を有し、且つ類似の状況にある契約には、実務上の便法を一貫して適用します。当社グループが実務上の便法を適用しないことを選択するリースのレント・コンセッション、又は実務上の便法の適用対象にあたらないリースのレント・コンセッションについて、当社グループはリースの条件変更であるかどうか評価します。
② 貸手としてのリース
当社グループが貸手となるリースについては、リース契約時にそれぞれのリースをファイナンス・リース又はオペレーティング・リースに分類します。
それぞれのリースを分類するにあたり、当社グループは、原資産の所有に伴うリスクと経済価値が実質的に全て移転するか否かを総合的に評価しています。移転する場合はファイナンス・リースに、そうでない場合はオペレーティング・リースに分類します。この評価の一環として、当社グループは、リース期間が原資産の経済的耐用年数の大部分を占めているかなど、特定の指標を検討します。
当社グループが中間の貸手である場合、ヘッドリースとサブリースは別個に会計処理します。サブリースの分類は、原資産ではなくヘッドリースから生じる使用権資産を参照して判定します。ヘッドリースが上記の免除規定を適用して会計処理する短期リースである場合、サブリースはオペレーティング・リースとして分類します。当社グループは、連結財政状態計算書において、当該サブリースに係る貸手のファイナンス・リースを「営業債権及びその他の債権」及び「その他の非流動資産」に含めて表示しています。
(8)非金融資産の減損
のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却の対象ではなく、毎期減損テストを実施しております。その他の非金融資産は、事象の発生あるいは状況の変化により、その帳簿価額が回収できない可能性を示す兆候がある場合に、減損について検討しております。資産の帳簿価額が回収可能価額を超過する金額については減損損失を認識しております。回収可能価額とは、資産の処分コスト控除後の公正価値と、使用価値のいずれか高い金額であります。減損を評価するために、資産は個別に識別可能なキャッシュ・フローが存在する最小単位(資金生成単位)に分けられます。のれんを除く減損損失を認識した非金融資産については、減損損失が戻入れとなる可能性について、各期末日に再評価を行います。
(9)金融商品
① 金融資産
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、契約の当事者となった時点で金融資産を認識しております。通常の方法で売買される金融資産は取引日に認識しております。金融資産は事後に償却原価で測定される金融資産又は公正価値で測定される金融資産に分類しております。
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産は公正価値で当初認識しております。その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産及び償却原価で測定される金融資産は、取得に直接起因する取引コストを公正価値に加算した金額で当初認識しております。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権は取引価格で当初認識しております。
(a)償却原価で測定される金融資産
当社グループの事業モデルの目的が契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有すること、また、契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じるという条件がともに満たされる場合にのみ、償却原価で測定される金融資産に分類しております。
(b)公正価値で測定される金融資産
上記の2つの条件のいずれかが満たされない場合は公正価値で測定される金融資産に分類されます。
当社グループは、公正価値で測定される金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定しなければならない売買目的で保有する資本性金融商品を除き、個々の金融商品ごとに、その他の包括利益を通じて公正価値で測定するという取消不能の指定を行うかを決定しております。指定を行わなかった資本性金融商品は、純損益を通じて公正価値で測定しております。
デリバティブについては「⑤ デリバティブ及びヘッジ会計」に記載しております。
(ⅱ)事後測定
金融資産は、それぞれの分類に応じて以下のとおり事後測定しております。
(a)償却原価で測定される金融資産
実効金利法による償却原価で測定しております。
(b)公正価値で測定される金融資産
期末日における公正価値で測定しております。
公正価値の変動額は、金融資産の分類に応じて純損益又はその他の包括利益で認識しております。
なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定された資本性金融商品から生じる受取配当金については純損益で認識し、公正価値が著しく下落した場合又は処分を行った場合は、その他の包括利益累計額を利益剰余金に振り替えております。
(ⅲ)認識の中止
金融資産は、投資からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利が消滅したとき又は当該投資が譲渡され、当社グループが所有に係るリスクと経済価値のほとんど全てを移転したときに認識を中止します。
② 金融資産の減損
当社グループは、償却原価で測定される金融資産の回収可能性に関し、期末日ごとに予想信用損失の見積りを行っております。
当初認識後に信用リスクが著しく増大していない金融商品については、12ヶ月以内の予想信用損失を損失評価引当金として認識しております。当初認識後に信用リスクが著しく増大している金融商品については、全期間の予想信用損失を損失評価引当金として認識しております。ただし、営業債権については、常に全期間の予想信用損失で損失評価引当金を測定しております。
信用リスクが著しく増大している金融資産のうち、減損している客観的証拠がある金融資産については、帳簿価額から損失評価引当金を控除した純額に実効金利を乗じて利息収益を測定しております。
金融資産の全部又は一部について回収ができず、又は回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行と判断しております。
減損の客観的な証拠が存在するかどうかを判断する場合に当社グループが用いる要件には以下のものがあります。
・発行体又は債務者の重大な財政的困難
・利息又は元本の支払不履行又は延滞などの契約違反
・借手の財政的困難に関連した経済的又は法的な理由による、そうでなければ当社グループが考えないような、借手への譲歩の供与
・借手が破産又は他の財務的再編成に陥る可能性が高くなったこと
・当該金融資産についての活発な市場が財政的困難により消滅したこと
金融資産の全体又は一部を回収するという合理的な予想を有していない場合は、当該金額を金融資産の帳簿価額から直接減額しております。以後の期間において損失評価引当金の変動は、減損利得又は減損損失として純損益に認識します。
③ 金融負債
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、契約の当事者となった時点で金融負債を認識しております。金融負債は純損益を通じて公正価値で測定される金融負債と償却原価で測定される金融負債に分類しております。純損益を通じて公正価値で測定される金融負債は公正価値で当初測定しておりますが、償却原価で測定される金融負債は取得に直接起因する取引コストを公正価値から減算した金額で当初測定しております。
(ⅱ)事後測定
金融負債は、それぞれの分類に応じて以下のとおり事後測定しております。
(a)純損益を通じて公正価値で測定される金融負債
期末日における公正価値で測定しております。
(b)償却原価で測定される金融負債
実効金利法による償却原価で測定しております。
(ⅲ)認識の中止
金融負債は、契約上の義務が免責、取消し又は失効した場合に認識を中止しております。
④ 金融商品の相殺
金融資産及び金融負債は、認識された金額を相殺する法的に強制力のある権利を有しており、かつ、純額で決済するか、資産の実現と負債の決済を同時に実行する意図を有する場合にのみ相殺し、連結財政状態計算書において純額で表示しております。
⑤ デリバティブ及びヘッジ会計
デリバティブはデリバティブ契約を締結した日の公正価値で当初認識を行い、当初認識後は期末日ごとに公正価値で再測定を行っております。再測定の結果生じる利得又は損失の認識方法は、デリバティブがヘッジ手段として指定されているかどうか、また、ヘッジ手段として指定された場合にはヘッジ対象の性質によって決まります。
当社グループは一部のデリバティブについてキャッシュ・フロー・ヘッジ(認識されている資産もしくは負債に関連する特定のリスク又は可能性の非常に高い予定取引のヘッジ)のヘッジ手段として指定を行っており、一部の外貨建借入金及び外貨建社債については、在外営業活動体に対する純投資のヘッジ手段として指定を行っております。
当社グループは、取引開始時に、ヘッジ手段とヘッジ対象との関係並びにこれらのヘッジ取引の実施についてのリスク管理目的及び戦略について文書化しております。また、当社グループはヘッジ開始時及び継続的に、ヘッジ取引に利用したデリバティブ又はデリバティブ以外のヘッジ手段がヘッジ対象のキャッシュ・フロー又は在外営業活動体に対する純投資の為替の変動を相殺するために有効であるかどうかについての評価も文書化しております。
ヘッジの有効性は継続的に評価しており、ヘッジ対象とヘッジ手段との間に経済的関係があること、信用リスクの影響が経済的関係から生じる価値変動に著しく優越するものではないこと並びにヘッジ関係のヘッジ比率が実際にヘッジしているヘッジ対象及びヘッジ手段の数量から生じる比率と同じであることの全てを満たす場合に有効と判定しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段として指定され、かつ、その要件を満たすデリバティブの公正価値の変動のうち有効部分は、その他の包括利益で認識しております。非有効部分に関する利得又は損失は、直ちに純損益として認識しております。
その他の包括利益を通じて認識された利得又は損失の累積額は、ヘッジ対象から生じるキャッシュ・フローが純損益に影響を与える期に純損益に振り替えております。しかし、ヘッジ対象である予定取引が非金融資産(例えば、棚卸資産又は有形固定資産)の認識を生じさせるものである場合には、それまでその他の包括利益に繰り延べていた利得又は損失を振り替え、当該資産の当初の取得原価の測定に含めております。繰り延べていた金額は最終的には、棚卸資産の場合には売上原価として、また、有形固定資産の場合には減価償却費として認識されます。
ヘッジ手段の失効又は売却等によりヘッジ会計の要件をもはや満たさなくなった場合には、将来に向かってヘッジ会計の適用を中止しております。ヘッジされた将来キャッシュ・フローがまだ発生すると見込まれる場合は、その他の包括利益に認識されている利得又は損失の累積額を引き続きその他の包括利益累計額として認識しております。予定取引の発生がもはや見込まれなくなった場合等は、その他の包括利益に認識していた利得又は損失の累積額を直ちに純損益に振り替えております。
在外営業活動体に対する純投資の為替変動リスクをヘッジする目的で保有するデリバティブ及び借入金等のデリバティブ以外のヘッジ手段は、在外営業活動体に対する純投資のヘッジとして、為替変動額をヘッジ効果が認められる範囲内でその他の包括利益として認識しております。デリバティブ及びデリバティブ以外のヘッジ手段に係る為替変動額のうち、ヘッジの非有効部分及びヘッジ有効性評価の対象外の部分については純損益として認識しております。
純投資ヘッジにより、その他の包括利益として認識した利得又は損失の累積額は、在外営業活動体の処分時に純損益に振り替えております。
(10)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(11)棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で認識しております。原価は、商品、製品及び半製品については主として総平均法、原材料及び貯蔵品については主として移動平均法を用いて算定しております。商品、製品及び半製品の取得原価は、原材料費、直接労務費、その他の直接費及び関連する製造間接費(正常生産能力に基づいている)から構成されます。正味実現可能価額は、通常の事業の過程における予想売価から関連する見積販売費を控除した額であります。
(12)売却目的で保有する資産又は処分グループ
継続的な使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産又は処分グループのうち、売却する可能性が非常に高く、かつ現在の状態で即時に売却可能である場合には、売却目的で保有する資産又は処分グループとして分類しております。売却目的で保有する資産又は処分グループの一部である資産は減価償却又は償却は行いません。売却目的で保有する資産又は処分グループは、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定しております。
(13)従業員給付
① 退職後給付
グループ会社は、さまざまな年金制度を有しております。当社グループは確定給付制度を採用し、一部の連結子会社において退職給付信託を設定しております。当該制度に加えて、一部の連結子会社は確定拠出制度及び退職金前払制度を導入しております。
確定給付制度は、確定拠出制度以外の退職後給付制度であります。確定拠出制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度であります。
確定給付制度においては、制度ごとに、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を割り引くことによって確定給付制度債務の現在価値を算定しております。確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額を確定給付負債(資産)として認識しております。確定給付制度債務は予測単位積増方式により算定しております。割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき決定しております。制度への拠出金は、定期的な数理計算により算定し、通常、保険会社又は信託会社が管理する基金へ支払を行っております。
計算の結果、当社グループにとって確定給付制度が積立超過である場合は、制度からの将来の払戻額又は制度への将来拠出額の減額の形で享受可能な経済的便益の現在価値を限度として確定給付資産を測定しております。経済的便益の現在価値の算定に際しては、当社グループの制度に対して適用されている最低積立要件を考慮しております。経済的便益については、それが制度存続期間内又は年金負債の決済時に実現可能である場合に、当社グループは当該経済的便益を享受することが可能であるとしております。
当社グループは、確定給付制度から生じる確定給付負債(資産)の純額の再測定をその他の包括利益に認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。
なお、確定拠出制度への拠出は、従業員がサービスを提供した期間に、従業員給付費用として純損益で認識しております。
② 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として認識しております。賞与については、当社グループが従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的又は推定的債務を負っており、かつ、その金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
(14)株式報酬
従業員に付与される持分決済型の株式報酬の付与日における公正価値は、通常、その権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。ただし、付与した持分決済型の株式報酬の権利が直ちに確定する場合は、付与日に全額を費用及び資本の増加として認識しております。
現金決済型の株式報酬の公正価値は、その権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を負債の増加として認識しております。なお、報告日及び決済日において当該負債の公正価値を再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しております。
(15)引当金
当社グループは過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために資源の流出が必要となる可能性が高く、その金額について信頼性をもって見積ることができる場合に引当金を認識しております。
同種の債務が多数ある場合、決済に要するであろう資源の流出の可能性は同種の債務全体を考慮して決定しております。同種の債務のうちある一つの項目について流出の可能性が低いとしても、引当金は認識されます。
引当金は、現時点の貨幣の時間価値の市場評価と当該債務に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いて、債務の決済に必要とされると見込まれる支出の現在価値として測定しております。時の経過による引当金の増加は利息費用として認識しております。
(16)資本
普通株式は資本に分類しております。
新株(普通株式)又はストック・オプションの発行に直接関連する増分費用は資本から控除しております。
当社グループ内の会社が当社の株式を買い入れる場合(自己株式)、当該株式が消却され又は再発行されるまで、支払われた対価は直接関連する増分費用(税引後)も含めて、当社の株主に帰属する資本から控除しております。その後、当該普通株式が再発行される場合、直接関連する増分費用及び関連する法人所得税の税効果を考慮した後の受入対価を当社の株主に帰属する資本に認識します。
(17)収益
当社グループは、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する
当社グループは、物品の販売については、通常は物品の引渡時点において顧客が当該物品に対する支配を獲得することから、履行義務が充足されると判断しており、当該物品の引渡時点で収益を認識しております。また、収益は、返品、リベート及び割引額を差し引いた純額で測定しております。
取引の対価は履行義務を充足してから主に1年以内に受領しているため、実務上の便法を使用し、重要な金融要素の調整は行っておりません。
顧客に約束した財を移転する前に、当社グループがその財を支配している場合には本人として取引を行っているものと考え、移転する特定された財と交換に権利を得ると見込んでいる取引の総額を収益として認識しております。
(18)政府補助金
政府補助金は、補助金が交付されるための付帯条件が満たされ、かつ、補助金を受領することについて合理的な保証が得られた場合に認識されます。政府補助金は、補助金で補償することが意図されている関連コストが費用として認識される期間にわたって、規則的に純損益として認識されます。資産に関する政府補助金の場合には、繰延収益として認識され、関連資産の見積耐用年数にわたって均等に純損益に認識されます。公正価値により測定される非貨幣性資産による補助金も同様に処理されます。収益に関する補助金の場合には、関連する費用を認識した期に、その他の営業収益に含めて処理されます。
(19)配当金
当社の株主に対する配当のうち、期末配当は当社の株主総会により承認された日、中間配当は取締役会により承認された日の属する期間の負債として認識しております。
(20)法人所得税
法人所得税は当期税金及び繰延税金から構成されております。法人所得税は、収益又は費用として認識し当期の純損益に含めております。ただし、法人所得税が、その他の包括利益で認識される項目あるいは資本に直接認識される項目に関連する場合を除きます。この場合は、その税金もまた、その他の包括利益で認識あるいは資本において直接認識しております。
当期税金は、税務当局から還付もしくは税務当局に対する納付が予想される金額で測定され、税額の算定に使用する税率及び税法は、期末日で施行又は実質的に施行されている税法に基づき算定しております。
繰延税金は、資産及び負債の税務基準額と連結財政状態計算書上の帳簿価額との間に生じる一時差異に対して認識しております。ただし、のれんの当初認識により生じる一時差異については繰延税金負債を認識しておりません。また、企業結合ではなく、取引日に会計上の純損益にも課税所得(欠損金)にも影響を与えない取引における、資産又は負債の当初認識から生じる一時差異についても、繰延税金資産・負債を認識しません。繰延税金の算定には、期末日までに施行又は実質的に施行されており、関連する繰延税金資産が実現する期又は繰延税金負債が決済される期において適用されると予想される法定(及び税法)税率を使用しております。
繰延税金資産は、一時差異を利用できるだけの課税所得が生じる可能性が高い範囲内においてのみ認識しております。
子会社、関連会社に対する投資から生じる一時差異に対して繰延税金資産・負債を認識しておりますが、繰延税金負債については、当社グループが一時差異を解消する時期をコントロールしており、かつ、予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合は繰延税金負債を認識しておりません。
当期税金資産と当期税金負債を相殺する法的に強制力のある権利が存在し、かつ、繰延税金資産及び負債が、同一の納税事業体に対して、同一の税務当局によって課されている法人所得税に関連するものである場合には、繰延税金資産及び負債は相殺されます。
(21)消費税等の会計処理
顧客から預かり、税務当局に納付される消費税は、連結損益計算書上で売上収益、売上原価及び費用から除外しております。
連結財務諸表の作成にあたって採用した主要な会計方針は以下のとおりであります。これらの方針は、特に断りのない限り、表示されている全期間に一貫して適用されております。
(1)連結
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいいます。投資先への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、投資先に対するパワーにより当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合には、当社グループは投資先を支配していると判断しております。
子会社の財務諸表は、支配開始日から支配終了日までの間、連結財務諸表に含まれております。子会社の財務諸表は、当社グループが適用する会計方針と整合させるため、必要に応じて調整しております。
グループ会社間の債権債務残高、取引、及びグループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表作成にあたり消去しております。
なお、決算日が異なる子会社の財務諸表は、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しております。
② 関連会社及び共同支配企業
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営方針に対して重要な影響力を有している企業をいいます。当社グループが他の企業の議決権の20パーセント以上を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定しております。共同支配企業とは、取決めに対する共同支配を有する当事者が当該取決めの純資産に対する権利を有している共同支配の取決めをいいます。
関連会社及び共同支配企業に対する持分は、持分法を用いて会計処理しております(持分法適用会社)。これらは、当初認識時に取得原価で認識し、それ以後、当社グループの重要な影響力又は共同支配が終了する日まで、持分法適用会社の純資産に対する当社グループの持分の変動を連結財務諸表に含めて認識しております。当社グループの投資には、取得時に認識したのれんが含まれております。
関連会社及び共同支配企業の会計方針が、当社グループが採用した方針と異なる場合には、一貫性を保つため必要に応じて調整しております。
(2)企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。
のれんは、移転した企業結合の対価、被取得企業の非支配持分の金額及び取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計額が、取得日における識別可能資産及び引受負債の正味価額を上回る場合に、その超過額として測定しております。下回る場合は、純損益として認識しております。当社グループは、非支配持分を公正価値で測定するか、又は識別可能な純資産の認識金額の比例持分で測定するかを個々の取引ごとに選択しております。発生した取得費用は費用として処理しております。なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として処理し、当該取引からのれんは認識しておりません。
また、共通支配下の企業又は事業が関わる企業結合(全ての結合企業又は結合事業が最終的に企業結合の前後で同じ当事者によって支配され、その支配が一時的でない企業結合)については、帳簿価額に基づき会計処理しております。
(3)外貨換算
① 機能通貨及び表示通貨
当社グループの各企業の財務諸表に含まれる項目は、その企業が業務を行う主要な経済環境における通貨(「機能通貨」)を用いて測定しております。連結財務諸表は日本円により表示されており、これは当社グループの表示通貨であります。
② 取引及び取引残高
外貨建取引は、取引日の為替レートを用いて、機能通貨に換算しております。取引の決済から生じる外国為替差額並びに外貨建の貨幣性資産及び負債を期末日の為替レートで換算することによって生じる外国為替差額は、純損益において認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定される金融資産及び適格キャッシュ・フロー・ヘッジ、在外営業活動体に対する純投資ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。
③ 在外営業活動体
表示通貨とは異なる機能通貨を使用している全ての在外営業活動体の業績及び財政状態は、以下の方法で表示通貨に換算しております。なお、在外営業活動体には、超インフレ経済の通貨を使用している会社は存在しません。
(ⅰ)資産及び負債は、期末日現在の決算日レートで換算
(ⅱ)収益及び費用は、平均レートで換算(ただし、当該平均レートが取引日における換算レートの累積的な影響の合理的な概算値とはいえない場合は除く。この場合は収益及び費用を取引日レートで換算)
(ⅲ)結果として生じる全ての為替差額はその他の包括利益で認識し、その他の資本の構成要素である在外営業活動体の換算差額に累積
在外営業活動体の部分的処分又は売却時には、その他の包括利益に認識された為替差額は売却に伴う利得又は損失の一部分として純損益で認識しております。
(4)有形固定資産
建物及び構築物、機械装置及び運搬具、工具、器具及び備品並びに土地は、主に製造・加工設備、本店設備で構成されております。有形固定資産は、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しております。取得原価には、当該資産の取得に直接関連する費用、解体、除去及び設置していた場所の原状回復費用並びに資産計上すべき借入費用が含まれます。
取得後支出は、当該項目に関連する将来の経済的便益が当社グループに流入する可能性が高く、かつ、その費用を合理的に見積ることができる場合には、当該資産の帳簿価額に含めるか又は適切な場合には個別の資産として認識しております。取り替えられた部分についてはその帳簿価額の認識を中止しております。その他の修繕及び維持費は、発生した会計期間の純損益として認識しております。
土地は減価償却しておりません。他の資産の減価償却額は、各資産の取得原価を残存価額まで以下の主な見積耐用年数にわたって定額法で配分することにより算定しております。
建物及び構築物 3年から50年
機械装置及び運搬具 2年から15年
工具、器具及び備品 2年から20年
有形固定資産の残存価額、耐用年数及び減価償却方法は各期末日に見直し、必要があれば修正しております。処分に係る利得又は損失は、対価と帳簿価額を比較することで算定し、純損益として認識しております。
(5)借入費用
適格資産の取得、構築又は製造に直接関連する借入費用は、その資産が意図した使用又は売却することができるようになるまで、その資産の取得原価に加算されます。適格資産への支出までの特定の借入金の一時的な投資からの獲得投資収益は、資産計上可能な借入費用と相殺されます。
その他の借入費用は、発生した会計年度の純損益として認識されます。
(6)のれん及び無形資産
① のれん
のれんは、毎期減損テストを実施し、取得原価から減損損失累計額を控除した額が帳簿価額となります。のれんの減損損失は戻入れを行いません。事業の売却による損益には、その事業に関連するのれんの帳簿価額が含まれております。
のれんは企業結合から便益を受けることが期待される資金生成単位又は資金生成単位グループに配分されます。
② 商標権
個別に取得した商標権は、取得原価により表示しております。企業結合により取得した商標権は、取得日の公正価値により認識しております。商標権については、耐用年数が確定できないものを除き一定の耐用年数を定め、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上されます。償却額は、商標権の取得原価を主に20年から40年の見積耐用年数にわたって定額法で配分することにより算定しております。
③ ソフトウェア
ソフトウェアは、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した額を帳簿価額として認識しております。
当社グループ独自のソフトウェアの設計及びテストに直接関連する開発費は、信頼性をもって測定可能であり、技術的に実現可能であり、将来経済的便益を得られる可能性が高く、当社グループが開発を完成させ、当該資産を使用する意図及びそのための十分な資源を有している場合にのみ無形資産として認識しております。
これらの要件を満たさないその他の開発費は、発生時に費用として認識しております。過去に費用として認識された開発費は、その後の会計期間において資産として認識されることはありません。
ソフトウェアは、主として5年の見積耐用年数にわたり定額法により償却しております。
ソフトウェアの保守に関連する費用は、発生時に費用認識しております。
④ その他無形資産
その他無形資産は、取得原価に基づき認識しております。企業結合により取得し、のれんとは区別して識別された無形資産の取得原価は企業結合日の公正価値で測定しております。その他無形資産については一定の耐用年数を定め、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上されます。しかし、一部の無形資産(借地権等)は事業を継続する限り基本的に存続するため、耐用年数が確定できないと判断し、償却しておりません。償却額は、各その他無形資産の取得原価を見積耐用年数にわたって定額法で配分することにより算定しております。
無形資産の残存価額、耐用年数及び償却方法は各期末日に見直し、必要があれば修正しております。
(7)リース
① 借手としてのリース
当社グループは、リースの開始日に使用権資産とリース負債を認識します。使用権資産は、取得原価で当初測定しています。この取得原価は、リース負債の当初測定額に、開始日又はそれ以前に支払ったリース料を調整し、発生した当初直接コストと原資産の解体及び除去、原資産又は原資産の設置された敷地の原状回復の際に生じるコストの見積りを加え、受領済みのリース・インセンティブを控除して算定します。当社グループは、連結財政状態計算書において、使用権資産を「有形固定資産」に、リース負債を「その他の金融負債」に含めて表示しています。
当初認識後、使用権資産は、開始日から使用権資産の耐用年数の終了時又はリース期間の終了時のいずれか早い方の日まで、定額法により減価償却します。使用権資産の見積耐用年数は、自己所有の有形固定資産と同様に決定します。さらに、使用権資産は、該当ある場合、減損損失によって減額され、特定のリース負債の再測定に際して調整されます。
リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率又は計算利子率を容易に算定できない場合には当社グループの追加借入利子率で割り引いた現在価値で当初測定しています。通常、当社グループは割引率として追加借入利子率を用いています。
また、当社グループは、短期リース及び少額資産のリースにつき、認識の免除規定を適用しております。さらに当社グループは、「COVID-19に関連した賃料減免(IFRS第16号の改訂)」を適用しております。実務上の便法を適用しており、これによってCOVID-19の感染拡大の直接的な結果として受けたレント・コンセッションが、リースの条件変更に該当するか否かを評価する必要がありません。当社グループは、類似の特性を有し、且つ類似の状況にある契約には、実務上の便法を一貫して適用します。当社グループが実務上の便法を適用しないことを選択するリースのレント・コンセッション、又は実務上の便法の適用対象にあたらないリースのレント・コンセッションについて、当社グループはリースの条件変更であるかどうか評価します。
② 貸手としてのリース
当社グループが貸手となるリースについては、リース契約時にそれぞれのリースをファイナンス・リース又はオペレーティング・リースに分類します。
それぞれのリースを分類するにあたり、当社グループは、原資産の所有に伴うリスクと経済価値が実質的に全て移転するか否かを総合的に評価しています。移転する場合はファイナンス・リースに、そうでない場合はオペレーティング・リースに分類します。この評価の一環として、当社グループは、リース期間が原資産の経済的耐用年数の大部分を占めているかなど、特定の指標を検討します。
当社グループが中間の貸手である場合、ヘッドリースとサブリースは別個に会計処理します。サブリースの分類は、原資産ではなくヘッドリースから生じる使用権資産を参照して判定します。ヘッドリースが上記の免除規定を適用して会計処理する短期リースである場合、サブリースはオペレーティング・リースとして分類します。当社グループは、連結財政状態計算書において、当該サブリースに係る貸手のファイナンス・リースを「営業債権及びその他の債権」及び「その他の非流動資産」に含めて表示しています。
(8)非金融資産の減損
のれん及び耐用年数が確定できない無形資産は償却の対象ではなく、毎期減損テストを実施しております。その他の非金融資産は、事象の発生あるいは状況の変化により、その帳簿価額が回収できない可能性を示す兆候がある場合に、減損について検討しております。資産の帳簿価額が回収可能価額を超過する金額については減損損失を認識しております。回収可能価額とは、資産の処分コスト控除後の公正価値と、使用価値のいずれか高い金額であります。減損を評価するために、資産は個別に識別可能なキャッシュ・フローが存在する最小単位(資金生成単位)に分けられます。のれんを除く減損損失を認識した非金融資産については、減損損失が戻入れとなる可能性について、各期末日に再評価を行います。
(9)金融商品
① 金融資産
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、契約の当事者となった時点で金融資産を認識しております。通常の方法で売買される金融資産は取引日に認識しております。金融資産は事後に償却原価で測定される金融資産又は公正価値で測定される金融資産に分類しております。
純損益を通じて公正価値で測定される金融資産は公正価値で当初認識しております。その他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産及び償却原価で測定される金融資産は、取得に直接起因する取引コストを公正価値に加算した金額で当初認識しております。ただし、重大な金融要素を含んでいない営業債権は取引価格で当初認識しております。
(a)償却原価で測定される金融資産
当社グループの事業モデルの目的が契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有すること、また、契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じるという条件がともに満たされる場合にのみ、償却原価で測定される金融資産に分類しております。
(b)公正価値で測定される金融資産
上記の2つの条件のいずれかが満たされない場合は公正価値で測定される金融資産に分類されます。
当社グループは、公正価値で測定される金融資産については、純損益を通じて公正価値で測定しなければならない売買目的で保有する資本性金融商品を除き、個々の金融商品ごとに、その他の包括利益を通じて公正価値で測定するという取消不能の指定を行うかを決定しております。指定を行わなかった資本性金融商品は、純損益を通じて公正価値で測定しております。
デリバティブについては「⑤ デリバティブ及びヘッジ会計」に記載しております。
(ⅱ)事後測定
金融資産は、それぞれの分類に応じて以下のとおり事後測定しております。
(a)償却原価で測定される金融資産
実効金利法による償却原価で測定しております。
(b)公正価値で測定される金融資産
期末日における公正価値で測定しております。
公正価値の変動額は、金融資産の分類に応じて純損益又はその他の包括利益で認識しております。
なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定された資本性金融商品から生じる受取配当金については純損益で認識し、公正価値が著しく下落した場合又は処分を行った場合は、その他の包括利益累計額を利益剰余金に振り替えております。
(ⅲ)認識の中止
金融資産は、投資からのキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利が消滅したとき又は当該投資が譲渡され、当社グループが所有に係るリスクと経済価値のほとんど全てを移転したときに認識を中止します。
② 金融資産の減損
当社グループは、償却原価で測定される金融資産の回収可能性に関し、期末日ごとに予想信用損失の見積りを行っております。
当初認識後に信用リスクが著しく増大していない金融商品については、12ヶ月以内の予想信用損失を損失評価引当金として認識しております。当初認識後に信用リスクが著しく増大している金融商品については、全期間の予想信用損失を損失評価引当金として認識しております。ただし、営業債権については、常に全期間の予想信用損失で損失評価引当金を測定しております。
信用リスクが著しく増大している金融資産のうち、減損している客観的証拠がある金融資産については、帳簿価額から損失評価引当金を控除した純額に実効金利を乗じて利息収益を測定しております。
金融資産の全部又は一部について回収ができず、又は回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行と判断しております。
減損の客観的な証拠が存在するかどうかを判断する場合に当社グループが用いる要件には以下のものがあります。
・発行体又は債務者の重大な財政的困難
・利息又は元本の支払不履行又は延滞などの契約違反
・借手の財政的困難に関連した経済的又は法的な理由による、そうでなければ当社グループが考えないような、借手への譲歩の供与
・借手が破産又は他の財務的再編成に陥る可能性が高くなったこと
・当該金融資産についての活発な市場が財政的困難により消滅したこと
金融資産の全体又は一部を回収するという合理的な予想を有していない場合は、当該金額を金融資産の帳簿価額から直接減額しております。以後の期間において損失評価引当金の変動は、減損利得又は減損損失として純損益に認識します。
③ 金融負債
(ⅰ)当初認識及び測定
当社グループは、契約の当事者となった時点で金融負債を認識しております。金融負債は純損益を通じて公正価値で測定される金融負債と償却原価で測定される金融負債に分類しております。純損益を通じて公正価値で測定される金融負債は公正価値で当初測定しておりますが、償却原価で測定される金融負債は取得に直接起因する取引コストを公正価値から減算した金額で当初測定しております。
(ⅱ)事後測定
金融負債は、それぞれの分類に応じて以下のとおり事後測定しております。
(a)純損益を通じて公正価値で測定される金融負債
期末日における公正価値で測定しております。
(b)償却原価で測定される金融負債
実効金利法による償却原価で測定しております。
(ⅲ)認識の中止
金融負債は、契約上の義務が免責、取消し又は失効した場合に認識を中止しております。
④ 金融商品の相殺
金融資産及び金融負債は、認識された金額を相殺する法的に強制力のある権利を有しており、かつ、純額で決済するか、資産の実現と負債の決済を同時に実行する意図を有する場合にのみ相殺し、連結財政状態計算書において純額で表示しております。
⑤ デリバティブ及びヘッジ会計
デリバティブはデリバティブ契約を締結した日の公正価値で当初認識を行い、当初認識後は期末日ごとに公正価値で再測定を行っております。再測定の結果生じる利得又は損失の認識方法は、デリバティブがヘッジ手段として指定されているかどうか、また、ヘッジ手段として指定された場合にはヘッジ対象の性質によって決まります。
当社グループは一部のデリバティブについてキャッシュ・フロー・ヘッジ(認識されている資産もしくは負債に関連する特定のリスク又は可能性の非常に高い予定取引のヘッジ)のヘッジ手段として指定を行っており、一部の外貨建借入金及び外貨建社債については、在外営業活動体に対する純投資のヘッジ手段として指定を行っております。
当社グループは、取引開始時に、ヘッジ手段とヘッジ対象との関係並びにこれらのヘッジ取引の実施についてのリスク管理目的及び戦略について文書化しております。また、当社グループはヘッジ開始時及び継続的に、ヘッジ取引に利用したデリバティブ又はデリバティブ以外のヘッジ手段がヘッジ対象のキャッシュ・フロー又は在外営業活動体に対する純投資の為替の変動を相殺するために有効であるかどうかについての評価も文書化しております。
ヘッジの有効性は継続的に評価しており、ヘッジ対象とヘッジ手段との間に経済的関係があること、信用リスクの影響が経済的関係から生じる価値変動に著しく優越するものではないこと並びにヘッジ関係のヘッジ比率が実際にヘッジしているヘッジ対象及びヘッジ手段の数量から生じる比率と同じであることの全てを満たす場合に有効と判定しております。
キャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ手段として指定され、かつ、その要件を満たすデリバティブの公正価値の変動のうち有効部分は、その他の包括利益で認識しております。非有効部分に関する利得又は損失は、直ちに純損益として認識しております。
その他の包括利益を通じて認識された利得又は損失の累積額は、ヘッジ対象から生じるキャッシュ・フローが純損益に影響を与える期に純損益に振り替えております。しかし、ヘッジ対象である予定取引が非金融資産(例えば、棚卸資産又は有形固定資産)の認識を生じさせるものである場合には、それまでその他の包括利益に繰り延べていた利得又は損失を振り替え、当該資産の当初の取得原価の測定に含めております。繰り延べていた金額は最終的には、棚卸資産の場合には売上原価として、また、有形固定資産の場合には減価償却費として認識されます。
ヘッジ手段の失効又は売却等によりヘッジ会計の要件をもはや満たさなくなった場合には、将来に向かってヘッジ会計の適用を中止しております。ヘッジされた将来キャッシュ・フローがまだ発生すると見込まれる場合は、その他の包括利益に認識されている利得又は損失の累積額を引き続きその他の包括利益累計額として認識しております。予定取引の発生がもはや見込まれなくなった場合等は、その他の包括利益に認識していた利得又は損失の累積額を直ちに純損益に振り替えております。
在外営業活動体に対する純投資の為替変動リスクをヘッジする目的で保有するデリバティブ及び借入金等のデリバティブ以外のヘッジ手段は、在外営業活動体に対する純投資のヘッジとして、為替変動額をヘッジ効果が認められる範囲内でその他の包括利益として認識しております。デリバティブ及びデリバティブ以外のヘッジ手段に係る為替変動額のうち、ヘッジの非有効部分及びヘッジ有効性評価の対象外の部分については純損益として認識しております。
純投資ヘッジにより、その他の包括利益として認識した利得又は損失の累積額は、在外営業活動体の処分時に純損益に振り替えております。
(10)現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資から構成されております。
(11)棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で認識しております。原価は、商品、製品及び半製品については主として総平均法、原材料及び貯蔵品については主として移動平均法を用いて算定しております。商品、製品及び半製品の取得原価は、原材料費、直接労務費、その他の直接費及び関連する製造間接費(正常生産能力に基づいている)から構成されます。正味実現可能価額は、通常の事業の過程における予想売価から関連する見積販売費を控除した額であります。
(12)売却目的で保有する資産又は処分グループ
継続的な使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産又は処分グループのうち、売却する可能性が非常に高く、かつ現在の状態で即時に売却可能である場合には、売却目的で保有する資産又は処分グループとして分類しております。売却目的で保有する資産又は処分グループの一部である資産は減価償却又は償却は行いません。売却目的で保有する資産又は処分グループは、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定しております。
(13)従業員給付
① 退職後給付
グループ会社は、さまざまな年金制度を有しております。当社グループは確定給付制度を採用し、一部の連結子会社において退職給付信託を設定しております。当該制度に加えて、一部の連結子会社は確定拠出制度及び退職金前払制度を導入しております。
確定給付制度は、確定拠出制度以外の退職後給付制度であります。確定拠出制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度であります。
確定給付制度においては、制度ごとに、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を割り引くことによって確定給付制度債務の現在価値を算定しております。確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額を確定給付負債(資産)として認識しております。確定給付制度債務は予測単位積増方式により算定しております。割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき決定しております。制度への拠出金は、定期的な数理計算により算定し、通常、保険会社又は信託会社が管理する基金へ支払を行っております。
計算の結果、当社グループにとって確定給付制度が積立超過である場合は、制度からの将来の払戻額又は制度への将来拠出額の減額の形で享受可能な経済的便益の現在価値を限度として確定給付資産を測定しております。経済的便益の現在価値の算定に際しては、当社グループの制度に対して適用されている最低積立要件を考慮しております。経済的便益については、それが制度存続期間内又は年金負債の決済時に実現可能である場合に、当社グループは当該経済的便益を享受することが可能であるとしております。
当社グループは、確定給付制度から生じる確定給付負債(資産)の純額の再測定をその他の包括利益に認識し、直ちに利益剰余金に振り替えております。
なお、確定拠出制度への拠出は、従業員がサービスを提供した期間に、従業員給付費用として純損益で認識しております。
② 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として認識しております。賞与については、当社グループが従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的又は推定的債務を負っており、かつ、その金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しております。
(14)株式報酬
従業員に付与される持分決済型の株式報酬の付与日における公正価値は、通常、その権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。ただし、付与した持分決済型の株式報酬の権利が直ちに確定する場合は、付与日に全額を費用及び資本の増加として認識しております。
現金決済型の株式報酬の公正価値は、その権利確定期間にわたり費用として認識し、同額を負債の増加として認識しております。なお、報告日及び決済日において当該負債の公正価値を再測定し、公正価値の変動を純損益として認識しております。
(15)引当金
当社グループは過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために資源の流出が必要となる可能性が高く、その金額について信頼性をもって見積ることができる場合に引当金を認識しております。
同種の債務が多数ある場合、決済に要するであろう資源の流出の可能性は同種の債務全体を考慮して決定しております。同種の債務のうちある一つの項目について流出の可能性が低いとしても、引当金は認識されます。
引当金は、現時点の貨幣の時間価値の市場評価と当該債務に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いて、債務の決済に必要とされると見込まれる支出の現在価値として測定しております。時の経過による引当金の増加は利息費用として認識しております。
(16)資本
普通株式は資本に分類しております。
新株(普通株式)又はストック・オプションの発行に直接関連する増分費用は資本から控除しております。
当社グループ内の会社が当社の株式を買い入れる場合(自己株式)、当該株式が消却され又は再発行されるまで、支払われた対価は直接関連する増分費用(税引後)も含めて、当社の株主に帰属する資本から控除しております。その後、当該普通株式が再発行される場合、直接関連する増分費用及び関連する法人所得税の税効果を考慮した後の受入対価を当社の株主に帰属する資本に認識します。
(17)収益
当社グループは、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に収益を認識する
当社グループは、物品の販売については、通常は物品の引渡時点において顧客が当該物品に対する支配を獲得することから、履行義務が充足されると判断しており、当該物品の引渡時点で収益を認識しております。また、収益は、返品、リベート及び割引額を差し引いた純額で測定しております。
取引の対価は履行義務を充足してから主に1年以内に受領しているため、実務上の便法を使用し、重要な金融要素の調整は行っておりません。
顧客に約束した財を移転する前に、当社グループがその財を支配している場合には本人として取引を行っているものと考え、移転する特定された財と交換に権利を得ると見込んでいる取引の総額を収益として認識しております。
(18)政府補助金
政府補助金は、補助金が交付されるための付帯条件が満たされ、かつ、補助金を受領することについて合理的な保証が得られた場合に認識されます。政府補助金は、補助金で補償することが意図されている関連コストが費用として認識される期間にわたって、規則的に純損益として認識されます。資産に関する政府補助金の場合には、繰延収益として認識され、関連資産の見積耐用年数にわたって均等に純損益に認識されます。公正価値により測定される非貨幣性資産による補助金も同様に処理されます。収益に関する補助金の場合には、関連する費用を認識した期に、その他の営業収益に含めて処理されます。
(19)配当金
当社の株主に対する配当のうち、期末配当は当社の株主総会により承認された日、中間配当は取締役会により承認された日の属する期間の負債として認識しております。
(20)法人所得税
法人所得税は当期税金及び繰延税金から構成されております。法人所得税は、収益又は費用として認識し当期の純損益に含めております。ただし、法人所得税が、その他の包括利益で認識される項目あるいは資本に直接認識される項目に関連する場合を除きます。この場合は、その税金もまた、その他の包括利益で認識あるいは資本において直接認識しております。
当期税金は、税務当局から還付もしくは税務当局に対する納付が予想される金額で測定され、税額の算定に使用する税率及び税法は、期末日で施行又は実質的に施行されている税法に基づき算定しております。
繰延税金は、資産及び負債の税務基準額と連結財政状態計算書上の帳簿価額との間に生じる一時差異に対して認識しております。ただし、のれんの当初認識により生じる一時差異については繰延税金負債を認識しておりません。また、企業結合ではなく、取引日に会計上の純損益にも課税所得(欠損金)にも影響を与えない取引における、資産又は負債の当初認識から生じる一時差異についても、繰延税金資産・負債を認識しません。繰延税金の算定には、期末日までに施行又は実質的に施行されており、関連する繰延税金資産が実現する期又は繰延税金負債が決済される期において適用されると予想される法定(及び税法)税率を使用しております。
繰延税金資産は、一時差異を利用できるだけの課税所得が生じる可能性が高い範囲内においてのみ認識しております。
子会社、関連会社に対する投資から生じる一時差異に対して繰延税金資産・負債を認識しておりますが、繰延税金負債については、当社グループが一時差異を解消する時期をコントロールしており、かつ、予測可能な期間内に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合は繰延税金負債を認識しておりません。
当期税金資産と当期税金負債を相殺する法的に強制力のある権利が存在し、かつ、繰延税金資産及び負債が、同一の納税事業体に対して、同一の税務当局によって課されている法人所得税に関連するものである場合には、繰延税金資産及び負債は相殺されます。
(21)消費税等の会計処理
顧客から預かり、税務当局に納付される消費税は、連結損益計算書上で売上収益、売上原価及び費用から除外しております。