有価証券報告書-第65期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/22 10:22
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【項目】
117項目

業績等の概要

(1) 業績
① 業 績 全 般
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢および所得環境の改善などにより、景気は緩やかな回復基調をたどりましたが、海外経済の不確実性の高まりなどを受け、先行きは不透明な状況で推移しました。
このような状況の中で、当社グループは、事業の根幹であるプロバイオティクスの啓発・普及活動を展開し、商品の優位性を訴求してきました。また、販売組織の拡充、新商品の研究開発や生産設備の更新に加え、国際事業や医薬品事業にも積極的に取り組み、業績の向上に努めました。
一方で、国際事業においては、円高による為替換算の影響を受けました。
これらの結果、当連結会計年度の連結売上高は378,307百万円(前期比3.1%減)となりました。利益面においては、営業利益は37,281百万円(前期比6.9%減)、経常利益は49,370百万円(前期比2.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は30,154百万円(前期比4.5%増)となりました。
②セグメント別の状況
・飲料および食品製造販売事業部門(日本)
日本国内における乳製品については、当社独自の「乳酸菌 シロタ株」などの科学性を広く訴求するため、エビデンスを活用した「価値普及」活動を積極的に展開しました。
宅配チャネルにおいては、昨年5月末に価格改定およびデザインリニューアルを実施した乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト400」および「ヤクルト400LT」について、既存のお客さまへの継続飲用の促進および新規のお客さまづくりに努めました。また、宅配組織の強化を図るため、ヤクルトレディの働く環境整備をすすめるとともに、積極的な採用活動を継続して展開しました。
店頭チャネルにおいては、乳製品乳酸菌飲料「Newヤクルト」および昨年5月にリニューアルした「Newヤクルトカロリーハーフ」を中心に、プロモーションスタッフを活用したお客さまへの「価値普及」活動を展開しました。さらに、これらの商品を対象に、昨年10月に「2016スワローズ応援感謝フェア」を、本年1月から2月にかけて「続けて実感! 乳酸菌 シロタ株 キャンペーン」を実施し、ブランドの活性化を図りました。また、セブン-イレブンの地域限定で発売していた「毎日飲むヤクルト」については、昨年5月に販売エリアを全国に拡大しました。加えて、昨年11月にはイトーヨーカドーなどのセブン&アイグループのスーパー各店でも販売を開始し、売り上げの増大を図りました。
商品別では、のむヨーグルト「ジョア」について、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社とのライセンス契約に基づき、ディズニーキャラクターを用いたパッケージを引き続き展開しました。さらに、「ジョア ピーチ」「ジョア 贅沢オレンジ」などの期間限定アイテムを導入し、ブランドの活性化を図りました。
そのほか、当社の強みである「ヤクルト400」「ヤクルトレディ」および「研究開発・技術力」をPRするテレビCMを集中投下し、営業現場の活動を強力にバックアップしました。
このような取り組みを中心に販売強化に努めた結果、乳製品全体では前期を上回る実績となりました。
一方、ジュース・清涼飲料については、昨年5月に乳性飲料「ミルージュ」シリーズのリニューアルを実施しました。また、昨年6月に栄養ドリンク「タフマン」および「タフマンV」の東京ヤクルトスワローズデザインを導入し、7月にはテレビCMを中心とした広告施策を実施することにより、売り上げの増大を図りました。
しかしながら、健康機能性飲料の売り上げが伸び悩み、ジュース・清涼飲料全体では前期を下回る結果となりました。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(日本)の連結売上高は204,130百万円(前期比2.6%増)となりました。
・飲料および食品製造販売事業部門(海外)
海外については、昭和39年3月の台湾ヤクルト株式会社の営業開始をかわきりに、現在28の事業所および1つの研究所を中心に、37の国と地域で主として乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」の製造、販売を行っており、平成29年3月の一日当たり平均販売本数は約2,866万本(前年同月差204万本増)となっています。
ア.米 州 地 域
米州地域においては、ブラジル、メキシコおよび米国で乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などを製造、販売しています。
ブラジルにおいては、消費者の健康意識向上による低カロリー製品ニーズの高まりに応えるため、昨年7月から乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト40ライト」の販売を開始しました。
米国においては、昨年7月から米国中西部を中心に大手流通チェーンで「ヤクルト」の販売を順次開始しました。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(米州地域)の連結売上高は45,252百万円(前期比14.2%減)となりました。
イ.アジア・オセアニア地域
アジア・オセアニア地域においては、香港、シンガポール、インドネシア、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、インドおよび中国などで乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などを製造、販売しています。
中国においては、昨年6月から雲南省昆明市および広西チワン族自治区南寧市での販売を開始しました。さらに、太原支店、ハルビン支店および嘉興支店を設立し、本年1月から「ヤクルト」および「ヤクルトライト」の販売を開始しました。これらにより、中国の販売拠点は36か所となり、さらなる販売体制の強化を図っています。
中東の湾岸諸国においては、本年3月から、アラブ首長国連邦(UAE)、オマーン、バーレーン王国、カタールおよびクウェートで「ヤクルト」の輸入販売を開始しました。これにより、海外進出数については、37の国と地域に販売網が拡大しました。
ミャンマーにおいては、平成30年の「ヤクルト」の製造、販売開始に向けて準備を進めています。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(アジア・オセアニア地域)の連結売上高は93,364百万円(前期比3.9%減)となりました。
ウ.ヨーロッパ地域
ヨーロッパ地域においては、乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などをオランダで製造し、同国を含め、ベルギー、イギリス、ドイツ、オーストリアおよびイタリアなどで販売しています。
ヨーロッパのプロバイオティクス市場は依然として厳しい現地経済の影響を受けており、また競合他社との競争が続いています。
これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(ヨーロッパ地域)の連結売上高は7,800百万円(前期比9.5%減)となりました。
・医薬品製造販売事業部門
医薬品については、がんおよびその周辺領域に特化した当社製品の啓発活動や適正使用を推奨する活動を推進しました。
当社の主力製品である抗悪性腫瘍剤「エルプラット」は、平成27年に「胃がん」が効能・効果に加わったことから、既存の効能・効果に加え、胃がん領域での浸透を図るため、医療関係者を対象に講演会などを積極的に開催し、シェアの拡大に努めました。「エルプラット」の後発医薬品が上市されて以降、後発医薬品へ切り替える医療機関が増加しつつあるものの、先発医薬品を開発した当社の強みである情報提供力により、引き続き「エルプラット」を選択してもらうよう活動を展開しました。そのほか、代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤「ゲムシタビンヤクルト」、骨吸収抑制剤「ゾレドロン酸ヤクルト」およびタキソイド系抗悪性腫瘍剤「ドセタキセルヤクルト」などの販路拡大に努め、売り上げの増大を図りました。
しかしながら、昨年4月の薬価改定により、当社製品の薬価が大きく引き下げられており、苦戦を強いられました。
一方、研究開発においては、4SC AG社から導入しているHDAC阻害剤「レスミノスタット」、エテルナゼンタリス社から導入しているPI3K/Akt阻害剤「ペリフォシン」および日産化学工業株式会社と共同開発を進めている血小板増加薬「YHI-1501」などの開発パイプラインの開発を推進しました。これらにより、今後、がんおよびその周辺領域において、さらなる強固な地位の確立を目指します。
これらの結果、医薬品製造販売事業部門の連結売上高は27,836百万円(前期比20.0%減)となりました。
・その他事業部門
その他事業部門には、化粧品の製造販売およびプロ野球興行などがあります。
化粧品については、当社が創業以来培ってきた乳酸菌研究から生まれたオリジナル保湿成分「S.E.(シロタエッセンス)」の「価値普及」に重点をおき、基礎化粧品の主力ブランドである「パラビオ」「リベシィ」および「リベシィホワイト」を中心としたカウンセリング型訪問販売活動を継続して展開しました。
具体的には、四半期ごとにテーマと重点商品を設定した営業施策の徹底により、お客さまづくりに取り組みました。
また、「パラビオ」において、昨年6月に「パラビオ ベースメイク」を、11月には「パラビオ ACクリーム サイ」を発売し、一昨年に発売したスキンケアシリーズとあわせてブランドのフルリニューアルを図ることで、お客さま満足度の向上と売り上げの増大に努めました。
これらにより、化粧品全体としては、ほぼ前期並みの実績となりました。
一方、プロ野球興行については、神宮球場において各種イベントやさまざまな情報発信を行うなど、積極的なファンサービスに取り組んだ結果、入場者数が増加しました。
これらの結果、その他事業部門の連結売上高は19,951百万円(前期比1.8%減)となりました。
なお、セグメント別売上高には消費税等は含まれていません。
(注)各セグメントの連結売上高には、セグメント間売上高が含まれています。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ6,668百万円減少し、95,130百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、 税金等調整前当期純利益48,681百万円、減価償却費22,660百万円があった一方、法人税等の支払額が11,856百万円あったこと等により、59,998百万円(前期比2,150百万円の収入減)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に定期預金の預入や生産設備の増設等による固定資産の取得があったことにより△ 44,986百万円(前期比7,547百万円の支出増)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入の返済や配当金の支払い等があったことにより△ 13,749百万円(前期比1,275百万円の支出減)となりました。