有価証券報告書-第52期(平成28年5月1日-平成29年4月30日)

【提出】
2017/07/26 9:31
【資料】
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【項目】
133項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度(平成28年5月1日から平成29年4月30日まで)における世界経済は、アメリカや中国等のアジア新興国の経済の先行きや政策に関する不確実性、世界的な地政学リスクの影響を受けながらも、緩やかな回復基調で推移しました。
わが国の経済においては、政府の経済対策や金融政策の効果もあり、企業の輸出および雇用・所得環境の改善、外国人観光客の増加などを背景に個人消費が底堅く推移し、緩やかな回復基調が続いております。
飲料業界におきましては、消費者マインドに回復の兆しが見られるものの、各社の販売競争が激化する中で、経営環境は更に厳しさを増しております。
このような状況の中、当グループは経営理念であります「お客様第一主義」のもと、当グループを取り巻く全てのお客様に対し「お客様が今でもなお何を不満に思っていらっしゃるか」を常に考え、グループ一丸となって積極的な事業活動を行ってまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高4,758億66百万円(前期比2.2%増)、営業利益217億74百万円(前期比26.3%増)、経常利益215億24百万円(前期比42.8%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益136億93百万円(前期比58.9%増)となりました。セグメント別の業績を示すと次のとおりであります。
<リーフ・ドリンク関連事業>国内においては、茶葉(リーフ)製品につきまして、プレミアムティーバッグシリーズをはじめとして、パウダータイプのインスタント緑茶などの手軽にご賞味いただける簡便性商品が引き続きご好評をいただいております。また、「ティーテイスター資格」を保有する社員自ら、急須で入れたお茶の実演販売や試飲会などの活動を通して、高価格帯のパック茶販売を強化しております。これまで社内資格制度として運営してきた「ティーテイスター制度」は、平成29年3月24日に「伊藤園ティーテイスター社内検定」として、厚生労働省に認定されました。
飲料(ドリンク)製品につきましては、主力製品であります「お~いお茶」においては、季節感豊かな食生活や、緑茶の新しい楽しみ方をご提案することで、国内茶系飲料No.1ブランドとしての価値向上を図りました。「お~いお茶 緑茶」の製品パッケージに、春は「桜」、秋には「紅葉(もみじ)」をデザインして日本特有の季節感を演出し、「氷水出し」で日差しの強い夏の暑さを和らげ、「甘み」で至福のひと時を演出する「氷水出し京都宇治抹茶入りお~いお茶」を発売するなど、緑茶の新しい楽しみ方をご提案しました。
また、当グループでは「茶産地育成事業」を推進しております。主に九州地区において、耕作放棄地を積極活用するとともに、生産性と環境保全を両立した大規模茶園経営のもと高品質で安定した原料調達を実現しております。この「茶産地育成事業」によって香りにこだわって育てられた「お~いお茶専用茶葉」の使用量を増やし、急須で入れたお茶本来の香りとおいしさを追求するとともに、今後も更なるブランド価値向上を図ってまいります。
この「茶産地育成事業」等が評価され、ビジネス誌「フォーチュン」にて平成28年9月に「世界を変える企業50社」のうち、日本企業では最高位の18位に選ばれました。
日本茶・健康茶・中国茶飲料におきましては、ノンカフェイン茶系飲料No.1である「健康ミネラルむぎ茶」が、夏の暑さ対策はもちろんのこと、1年を通して、おいしくミネラルと水分補給ができる商品として、好調に推移しております。
コーヒー飲料におきましては、「TULLY'S COFFEE」ブランドシリーズが更に販売数量を伸ばすなど、ボトル缶コーヒー市場を牽引する存在として、引き続きご好評をいただいております。
販売活動を取り巻く厳しい経営環境において、前述の各種政策に加えて、小型容器を中心とした主力ブランド強化、更なる原価低減、費用対効果を意識した販売促進費の更なる管理強化、各エリア毎の業績管理強化を行い、引き続き収益性の改善に努めてまいります。
チチヤス㈱においては、広島県を中心とした乳類および発酵乳等の積極的な販売に加え、当社との共同開発によるブランドシナジーを拡大しております。また、ネオス㈱は、西日本に強い販売チャネルを持っており、当グループの自動販売機事業に関して、継続的に収益性を高める基盤づくりを行っております。
海外においては、茶葉(リーフ)製品につきまして、「グローバルブランド」で展開する「MATCHA GREEN TEA」の販売により、米国、豪州、東南アジアを中心に積極的な海外展開を行ってまいりました。
飲料(ドリンク)製品につきましては、ITO EN(North America)INC. において、和食や抹茶の世界的ブームや健康志向の高まりを背景に、「お~いお茶」などの無糖茶飲料が順調に売上を伸ばしております。また、米国を中心にコーヒー豆の栽培から販売までを行うDistant Lands Trading Company, Inc. においては、主要顧客であるフードサービスチェーンへの当グループ製品の販売など、引き続きシナジー効果を追求してまいります。
この結果、リーフ・ドリンク関連事業の売上高は4,396億98百万円(前期比1.8%増)となり、営業利益は190億93百万円(前期比28.1%増)となりました。
<飲食関連事業>タリーズコーヒージャパン㈱におきましては、創業20周年記念コーヒー豆「タリーズ ブラジルファゼンダバウ ピーベリー レッドブルボン/イエローブルボン」や、抹茶系はじめドリンク類が好調なことに加え、パスタなどのデリカ類やサンドイッチ類につきましても、ご好評をいただいております。また、新規出店も順調に進み、総店舗数は671店舗になりました。
引き続き積極的な投資とあわせて既存店舗の改装などによる活性化を図り、店舗競争力を強化することで、スペシャルティコーヒーショップとしての更なるブランド強化を図ってまいります。
この結果、飲食関連事業の売上高は302億52百万円(前期比9.9%増)となり、営業利益は31億30百万円(前期比8.7%増)となりました。
<その他>Mason Distributors,Inc. におきましては、サプリメントの販売が好調に推移しておりますが、為替変動の影響を受けております。
この結果、売上高は59億15百万円(前期比2.2%減)となり、営業利益は8億1百万円(前期比3.4%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、270億98百万円の収入(前期は300億85百万円の収入)となりました。主な要因といたしましては、増加要因として税金等調整前当期純利益207億23百万円、減価償却費124億69百万円、のれん償却額17億65百万円であるのに対し、減少要因として法人税等の支払額68億50百万円、たな卸資産の増加額28億16百万円であったことによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、82億43百万円の支出(前期は81億50百万円の支出)となりました。これは主に設備投資による支出82億94百万円があったことによるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは、80億12百万円の支出(前期は180億18百万円の支出)となりました。主な要因といたしましては、増加要因として長期借入による収入200億円、社債の発行による収入99億51百万円であるのに対し、減少要因としてファイナンス・リース債務の返済による支出103億61百万円、社債の償還による支出200億円、配当金の支払52億45百万円があったことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して109億42百万円増加し、642億2百万円となりました。