有価証券報告書-第145期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 15:11
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【項目】
133項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における日本経済は、雇用者数の増加などに伴い個人消費は一部に持ち直しの動きが見られ、緩やかな回復基調で推移しました。一方、海外経済については、中国の成長鈍化や新興国の減速に加え、米国の政策運営や欧州の政治リスクに伴う影響が懸念されるなど、先行きについては不透明な状況が続いております。
このような環境下において、当社グループでは、平成26年度からスタートした3ヵ年の中期経営計画に基づき、グループの基幹事業である油脂事業の収益改善を中心とする将来のゆるぎない収益基盤の構築を基本方針として取り組みを進めてまいりました。
当連結会計年度の業績としましては、売上高は前期比99.1%の3,249億9百万円となりましたが、利益面では、営業利益が102億34百万円と前期比143.6%、経常利益は過去最高益となる前期比140.2%の103億34百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益についても前期比150.8%の75億69百万円と、過去最高益を計上しました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
[油脂・油糧事業]
油脂・油糧事業につきましては、主要原材料である大豆の取引価格が、南米産の減産見通しなどを受けて6月頃にかけて1ブッシェルあたり11米ドル台後半まで高騰し、その後は産地の作柄や輸出需要の動向などを受けて10米ドルを挟むレンジで推移しました。また、菜種の取引価格についても6月頃にかけて高騰した後、豊作見通しを受けて下落しましたが、10月頃から天候不順による収穫遅れにより再び上昇し、その後は高値圏で推移しました。為替についても年初から円高傾向が続いたものの、11月以降はアメリカ大統領選におけるトランプ氏勝利後の米金利急上昇を背景に急激な円安が進行するなど、主要原材料の調達においては、年間を通じて値動きが激しい環境となりました。
家庭用食用油につきましては、BOSCO発売20周年を迎えたオリーブオイルやごま油の販売強化に取り組み、好調に推移するとともに、「日清ヘルシーオフ」をはじめとした機能性の高い油脂の拡販に努め、販売数量は前期を上回りました。売上高については、原材料価格の変動を受けた販売価格の低下に伴い前期を下回りましたが、付加価値品の拡販を通じて相場の影響に左右されにくい利益体質の強化に取り組みました。
贈答用詰合セットにつきましては、オリーブオイル系ギフトが好調を維持するとともに調味料系やアマニ油系ギフトが販売増加に寄与しましたが、ギフト市場全体が縮小する厳しい環境の中、販売数量、売上高ともに前期を下回りました。
業務用食用油につきましては、顧客と協働でニーズを発掘する営業展開により新規取引の開拓に努め、中食・外食向けの販売が好調に推移し、販売数量は前期を上回りましたが、販売価格は前期を下回り、売上高は前期並みとなりました。
加工用油脂につきましては、原材料価格の変動などに伴い販売価格は低下しましたが、既存取引の拡販や新規取引の開拓により販売数量は前期を上回り、売上高は前期並みとなりました。
油粕につきましては、大豆粕は為替の円高や国際相場の低下を受けて販売価格が低下しましたが、配合飼料生産量の回復にあわせた拡販により、販売数量については前期を上回りました。菜種粕については、大豆粕価格の低下や競合する他の飼料原料価格の下落により販売価格は低下し、販売数量も他の飼料原料の割安感から菜種粕の配合率が低下したことなどにより、前期を下回りました。これらの結果、油粕全体の売上高は前期を下回りました。
大豆たん白につきましては、輸入製品において採算性を重視する中で販売を縮小したものの、新規取引の拡大に努めた結果、販売数量は前期並みとなりましたが、原材料価格の変動を受けた販売価格の低下もあり、売上高は前期を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は前期比96.1%の2,094億77百万円となりましたが、コストに見合った適正な販売価格の維持・形成に努めるとともに、生産・物流最適化並びにコスト構造改革を進めたことによるコストダウン効果も寄与し、営業利益は51億49百万円と前期比165.2%となりました。
[加工油脂事業]
加工油脂製品につきましては、マーガリンの拡販やチョコレート用油脂の新規取引獲得などにより、販売数量、売上高ともに前期を上回りました。
チョコレート製品につきましては、国内子会社の大東カカオ㈱において、小売市場向けの販売が好調に推移しましたが、一部大手ユーザー向けの販売が低調であったため、販売数量、売上高とも前期を若干下回りました。
パーム加工品につきましては、海外子会社のIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.において、前期に続き、マレーシア国内補助金政策の転換を背景とする需要低迷の影響を受けましたが、欧州向けを中心とした付加価値品の販売が好調に推移し、販売数量、売上高ともに前期を上回りました。
製菓原料等(調製品)につきましては、海外子会社のT.&C. Manufacturing Co., Pte. Ltd.において、新規顧客の開拓などにより、販売数量は前期を上回りましたが、競争の激化や日本向け調製品の需給緩和などの影響により、売上高は前期を下回りました。
これらの結果、当セグメントの売上高は前期比105.3%の876億78百万円となり、営業利益は41億99百万円と前期比141.3%となりました。
[ファインケミカル事業]
化粧品原料につきましては、国内向けにおいてインバウンド需要が前期に比べて低調に転じたものの、既存取引が堅調に推移するとともに、海外向けにおいてもアジアや欧州向けの輸出取引が好調を維持したこともあり、売上高は前期を上回りました。
中鎖脂肪酸油につきましては、大手顧客向けの販売が堅調に推移するとともに、新規取引の獲得も寄与し、販売数量、売上高ともに前期を上回りました。
Industrial Quimica Lasem,S.A.U.につきましては、スペイン国内向けを中心とした販売確保に努め、売上高は前期を上回りましたが、原材料価格の高騰や不透明な欧州経済の影響もあり、依然として厳しい販売環境が続きました。
これらの結果、当セグメントの売上高は前期比108.4%の168億79百万円となり、営業利益は12億81百万円と前期比115.4%となりました。
[ヘルシーフーズ事業]
ドレッシング・マヨネーズ類につきましては、ドレッシングにおいて主力製品の販売が前期を下回りましたが、「日清マヨドレ」の販売数量が前期を上回るとともに新商品の「BOSCOオリーブマヨドレ」も販売増加に寄与し、販売数量、売上高ともに前期をやや上回りました。
治療食品、高齢者食品につきましては、中鎖脂肪酸(MCT)関連商品の販売が引き続き好調に推移し、販売数量、売上高ともに前期を上回りました。
豆腐類につきましては、子会社のもぎ豆腐店㈱において売上高は前期並みを確保したうえで、基幹商品の拡販など販売構成の見直しやコスト削減による収益性の改善に取り組みました。
これらの結果、当セグメントの売上高は前期並みの72億75百万円となり、通信販売への先行投資を実施したことも影響し、営業損失は3億31百万円となりました。
[その他]
情報システムをはじめその他の事業の売上高は、前期比94.0%の35億99百万円となり、営業利益は5億10百万円と前期比101.9%となりました。
[地域別売上高]
マレーシア、中国などのアジア向け売上高はIntercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.における売上増加により前期比117.4%の379億43百万円となりましたが、欧州、米国などのその他地域への売上高は、現地通貨ベースでは前期を上回ったものの、日本円ベースでは為替換算の影響から前期比95.7%の301億74百万円となりました。なお、連結売上高に占める海外売上高の割合につきましては、前期に比べ1.5ポイント増加し21.0%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ72億73百万円増加し、139億95百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動によるキャッシュ・フローは、136億97百万円の増加となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益110億75百万円、減価償却費61億52百万円、仕入債務の増加48億43百万円によるキャッシュの増加および売上債権の増加48億46百万円によるキャッシュの減少であります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動によるキャッシュ・フローは、56億97百万円の減少となりました。主な内訳は、有形固定資産の売却による収入17億11百万円によるキャッシュの増加および有形固定資産の取得による支出72億77百万円によるキャッシュの減少であります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動によるキャッシュ・フローは、4億5百万円の減少となりました。主な内訳は、長期借入金の借入による収入162億18百万円によるキャッシュの増加、短期借入金の純減37億30百万円、社債の償還による支出100億円、配当金の支払16億62百万円、長期借入金の返済による支出9億33百万円によるキャッシュの減少であります。
前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー6,80013,697
投資活動によるキャッシュ・フロー△7,947△5,697
財務活動によるキャッシュ・フロー1,078△405
現金及び現金同等物の増減額(△減少)△6817,273
現金及び現金同等物の期末残高6,72113,995