有価証券報告書-第154期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/16 12:00
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188項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社の経営理念は、次のとおりです。
1.企業価値の追求と、その最大化を通じた人々・社会・経済の発展への貢献
2.「おいしさ・健康・美」の追求をコアコンセプトとする創造性、発展性ある事業への飽くなき探求
3.社会の一員としての責任ある行動の徹底

ステークホルダーの皆様へお約束するコンセプトとして、「コアプロミス」を次のとおり定めています。
日清オイリオグループは、健康的で幸福な「美しい生活」(Well-being)を提案・創造いたします。そのために私たちは、無限の可能性をもつ植物資源と、最高の技術によって、あなたにとって、あったらいいなと思う商品・サービスを市場に先駆けて創り続け、社会に貢献することを約束いたします。

また、「日清オイリオグループビジョン2030」において「2030年に目指す姿」を次のとおり
定めております。
私たちは、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担います。そして多様な価値を創造し、“生きるエネルギー”をすべての人にお届けする企業グループになります。

当社グループは、従来以上に事業活動による価値創造を通じて社会の持続可能性に貢献してまいります。
「ビジョン2030」策定時に、当社グループが2030年に目指す姿に至るために、行動の基本とするValues
(「真摯な姿勢」「つながる」「究める」「切り拓く」「しなやかに強く」)を定めました。
また、理念を実践していくための行動指針である「日清オイリオグループ行動規範」のグループ内での
浸透を図っています。
日清オイリオグループ理念体系は次のとおりです。

(2) 中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
近年、当社グループを取り巻く環境は、大きな変化の渦中にあります。地球規模での環境課題の累積や気候変動に伴う植物資源の収量不安定化、国際紛争などの発生によるサプライチェーンの混乱、国内における人手不足の深刻化、物流課題への対応、物価高による消費の冷え込み等、事業を取り巻く環境は厳しさを増しています。
このような中、「ビジョン2030」で示した「2030年に目指す姿」と「戦略の指針」に沿って、当社グループは、社会課題の解決を通じた、多様な共有価値の創造(CSV)を成長のドライバーとすることで、将来にわたって持続的に成長し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
日清オイリオグループビジョン2030
当社グループは、2021年3月「日清オイリオグループ ビジョン2030」を策定しました。2030年の目指す姿として、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担うとともに、多様な価値を創造し、“生きるエネルギー”をすべての人にお届けする企業グループになることを掲げています。「これまでより“もっとお客さまの近く”でビジネスを展開する」ことを基本方針とし、グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業への飛躍に向けた取り組みを進めています。

〇生きるエネルギー
生きるために必要な根源的なエネルギー
おいしい食事で人を元気にするエネルギー
栄養機能で人を健康にするエネルギー
美を演出し活力を与えるエネルギー
油脂と相乗効果を発揮する素材・技術・事業から生み出されるエネルギー
価値創造モデル
当社グループの価値創造の源泉は、無限の可能性をもつ植物資源と磨かれた技術力、そして価値創造力を掛け合わせた“植物のチカラ®”です。“植物のチカラ®”と私たちの“コアコンピタンスである油脂”を究めた強みでお客さまとともに社会課題を解決する油脂ソリューションを実現します。当社グループの事業に求められるニーズや当社グループが取り組むべきという視点で定めた6つの重点領域(マテリアリティ)、「すべての人の健康」、「おいしさ・美のある豊かな生活」、「食のバリューチェーンへの貢献」、「信頼でつながるサプライチェーン」、「地球環境」、「人材マネジメント」の領域の中で多様な価値を持つ“生きるエネルギー”を生み出し、その価値をすべての人にお届けします。
“生きるエネルギー”は社会課題を解決する一方で、次なる成長のための植物資源の循環や技術の進化を可能とする資本を生み出します。再度投入された資本によって、さらに油脂を究め、社会課題を解決する“生きるエネルギー”を生み出します。このプロセスの循環を通じて、当社グループらしいサステナビリティを実現していきます。
また、「生きるエネルギー」をすべての人にお届けするためには、油脂を素材として提供するだけでなく、当社グループが持つ強みを活かして他の食品メーカーや素材メーカーなどと一緒に価値を共創することが非常に重要であると考えています。生活を支えるあらゆるチャネルでお客さまとの接点を持っている強みにより、社会課題解決のためのプラットフォームの役割を担うことで可能になると考えています。
そして、2030年度に達成を目指す経営指標としてROE10%、ROIC7%を目標値として設定しており、持続的な利益成長と資本効率の改善を通じて、企業価値の向上に取り組んでまいります。

2025年度~2028年度 新中期経営計画「Value UpX」
「ビジョン2030」で目指す姿の実現と、その先の次なる成長に向けて、2025年度~2028年度の4年間を対象期間とした、新中期経営計画「Value UpX」に取り組んでおります。「Value UpX」では、「ビジョン2030」の基本方針として掲げた「“Marketing”דTechnology”דGlobalization”」を結実、深化させ、当社らしい“勝ち筋”(無形資産の循環的創造によるイノベーションの体質化)により、加速的な成長を実現していきます。その実現に向けては、「将来の利益成長の柱となる成長戦略」、「Value UpXの成長ドライバーとなる基幹戦略」、「グループの安定的・持続的な成長を支える基盤戦略」の3階層からなる戦略を展開しています。また、それらの戦略を支える機能として「技術の深化・探索による価値創造」、「サプライチェーンの構築、強靭化」、「成長を加速させるデジタルイノベーション」、「地球環境・資源の保護・人権尊重」の取り組みを強化しています。そして、これらの戦略を強固でレジリエントな人材基盤の構築によって推進するとともに、ROICマネジメントを通じて、利益率の向上と投下資本の効率化による「資本収益性向上」に取り組み、更なる「成長投資」につながる好循環を生み出していきます。これらの取り組みを通じた、油脂ソリューションの創出力の最大化と、展開領域・エリアの拡大により、「グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業」への飛躍を果たし、最終年度の経営目標として、2028年度には、営業利益280億円(利益率5%以上)、ROE8%以上、ROIC6%以上の達成を目指してまいります。
※中期経営計画「Value UpX」の経営目標は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。
図1:中期経営計画「Value UpX」の位置付け

図2:「Value UpX」における戦略の全体像

(3) 経営環境、課題及び対応
[事業環境及び課題]
世界経済については、緊迫化する中東情勢がエネルギー価格や海上物流に多大な影響を及ぼしたことに加え、各国の金融・通商政策の転換による影響も重なり、全体として先行き不透明かつ不確実性の高い状況で推移しております。
国内経済におきましては、企業の継続的な賃上げの動きなどを背景に雇用・所得環境の改善が進み、実質GDP(国内総生産)につきましても底堅く推移し、緩やかな景気回復の兆しが見られました。しかしながら、海外要因に起因するエネルギー価格の高止まりや、生活必需品を中心とした継続的な物価上昇が実質所得を圧迫しており、個人消費は依然として力強さを欠く状況が続いております。先行きにつきましても、円安進行の懸念、日銀の追加利上げに伴う国内金利の上昇、海外景気の減速懸念や物価高による消費の下振れリスクに対し、引き続き警戒が必要な状況にあります。
当社グループへの影響が大きい大豆、菜種、パーム油などの原材料につきましては、世界的な油脂需要の変動に加え、地政学リスクに起因するサプライチェーンの混乱などによる調達価格の高騰や安定調達に支障が生じる懸念があります。また、製造に関わるエネルギーコスト、物流費、包装資材費等の高騰も継続しており、当社を取り巻く事業環境は依然として不透明かつ厳しい状況にあります。
喫緊・最優先の課題としては、資本収益性(ROIC)の向上が挙げられます。この解決に向け、利益率の向上と投下資本の効率化を通じた「成長投資」への好循環を生み出してまいります。国内油脂・油糧事業における収益力の抜本的な強化、グローバル市場における利益成長の加速と事業投資の実行、そしてこれらを支える機能強化投資を実行するとともに、効率化の視点から、投下資本の圧縮などに全社を挙げて取り組むことが重要となります。
[2026年度の経営目標と取り組み]
「Value UpX」の初年度である2025年度は、国内油脂・油糧事業において、想定を超えるスピードで市場環境・消費行動が変化したことに加え、コストに見合った価格形成の遅れ等も重なり、当初描いていた収益シナリオの修正を余儀なくされました。この結果を厳しく受け止め、2026年度は、国内油脂・油糧事業の持続性・成長性の観点から環境変化を的確に捉え直し、短期的な収益改善に留まらず、将来に渡る資本収益性の向上を目指した構造改革に着手いたします。また、グローバルでの成長を加速する戦略・施策の着実な実行により、「Value UpX」実現へ向けた再始動の年といたします。2026年度の経営目標につきましては、売上高5,900億円、営業利益190億円、ROE5.7%、ROIC4.2%とし、全社を挙げて、目標達成に向けて取り組んでまいります。
具体的には、次の取り組みを強力に推進します。
国内においては、国内油脂・油糧事業における営業スタイル変革を起点とした生産・物流プロセスの変革に取り組みます。また、商品アイテムの適正化や在庫日数の管理強化を通じた投下資本の圧縮、および物流費の低減や一般管理費のコントロール等を通じたコスト削減・効率化を進めるとともに、適正な販売価格の形成および販売量の回復による収益改善と今後に向けた収益力の強化に取り組みます。
グローバルにおいては、Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd. (以下、ISF社)やファインケミカル事業を中心とした利益成長の加速を図るとともに、ファインケミカル事業における化粧品油剤の世界シェア拡大に向けた展開や、北米における事業基盤構築に向けた取り組みを着実に実行します。
また、これらの事業成長を支える経営基盤の強化として、「技術の深化・探索」「サプライチェーンの構築・強靭化」「デジタルイノベーション」「サステナビリティ」に関わる機能強化の投資を実行するとともに、強固でレジリエントな人材基盤の構築および実効性の高いグループ・ガバナンスの確立などに全社を挙げて取り組んでまいります。
各事業の状況については、次のとおりです。
[グローバル油脂・加工油脂事業]
マレーシアのISF社を中心に、パーム油を活用したチョコレート用油脂をはじめとする事業を展開しております。ISF社とそのグループ会社は、パーム油の分別・精製における高度な技術を有しており、欧州などの高い品質基準を求めるお客様を中心に付加価値品の拡販に努めています。また、北米ではNisshin OilliO America Inc.を中心に、加工用・業務用油脂事業を展開しております。
チョコレート用油脂を取り巻く環境は、過去の歴史的なカカオ相場の高騰から一転し、足元では生産国の供給回復により相場が落ち着きを見せているものの、構造的な供給不安を背景に依然として平時を上回る価格水準にあり、こうしたコスト変動リスクの回避や、メーカーのコスト最適化ニーズを背景に、代替品としての需要は継続的な拡大が見込まれます。加えて、欧州における森林破壊防止規則(EUDR)の適用に向けた動きなど、持続可能でトレーサブルな原材料調達への要求が世界的に高まっております。
ISF社においてはチョコレート用油脂を中心とする加工油脂の生産能力や販売機能を強化する投資も積極的に実施しております。成長市場において、EUDR等の環境規制にも対応するトレーサブルで高機能なチョコレート用油脂の提供を強化することで、収益を拡大させていきます。
[油脂・油糧および加工食品・素材事業]
(油脂・油糧)
国内の油脂事業においては、主要原料相場、為替相場、物流費、資材費、エネルギーコスト、将来コスト・社会的コスト等を踏まえたうえで適正な販売価格を設定し、人々の暮らしや食品産業を支えるための安定供給が求められています。
業務用および加工用では、レストランなどの外食、コンビニエンスストア・量販店などの中食、製菓・製パンや加工食品業界などに向けた販売を行っており、ユーザーベネフィットの追求を起点とした、機能性やソリューションを提供する商品の販売や提案を実施しています。また、新たな研究開発拠点である横浜磯子事業場内の「インキュベーションスクエア」を活用し、お客さまとの共創を一層深めることで、価値創造力のさらなる強化に取り組んでおります。
ホームユースにおいては、当社はキャノーラ油をはじめとしたクッキングオイルや、オリーブオイル、アマニ油などの健康価値の高い商品などにおいて高い市場シェアを有しています。さらに「味つけオイル」等の油脂の新しいカテゴリーの創出、こめ油シリーズのラインアップ拡充、環境に配慮した紙パック商品の展開を進めることで、油脂の栄養・健康機能、手軽さ・簡便さや環境意識の高まりといった消費者ニーズに応える新たな価値の提案し、需要の喚起と市場拡大を牽引しています。
大豆、菜種、パームなどを主原料とする商品については、中東情勢の悪化に伴うエネルギーコスト・物流費・包装資材費の高騰やサプライチェーンの混乱、各国の金融、通商政策に起因する市況の混乱、さらには円安の進行などにより、不透明かつ厳しいコスト環境が継続することが予想されますが、原料調達先の複線化や生産技術・油脂加工技術の向上、生産・物流機能の最適化等により、強靭なサプライチェーンを構築し、持続的・安定的な供給に努めてまいります。また、ミールについては国内の需給などの影響もありますが、油脂・油糧事業における安定的な収益獲得を目的に、買付コストの低減および市況の動向に応じた適正価格での販売に取り組んでいます。
中長期的には、国内の人口減少による油脂消費量の減少が見込まれることもあり、一層の合理化・効率化が必要と考えております。こうした環境が見込まれる中、2023年10月に株式会社J-オイルミルズとの共同出資により、製油パートナーズジャパン株式会社を設立し、国内搾油業の国際競争力強化と安定供給を長期にわたって確保する共同運営体制の構築を目指した取り組みを進めています。また、国内の生産拠点では、AIやIoTを活用した生産性向上に取り組んでおります。そして、脱炭素・循環型社会の実現に向けて、環境・社会課題への解決にも繋がる「次世代型搾油工場」の構築に向けた取り組みを推進していきます。
(加工食品・素材)
チョコレート関連事業、ドレッシングなどの調味料、MCTを中心とした機能素材・食品、大豆素材・食品から構成されます。
チョコレートについては、カカオ相場の平時を上回る価格水準に伴う調達コストの変動リスク等の懸念はありますが、原料調達国の複線化や希少カカオ豆の生産性向上等に取り組むことでサプライチェーンの強靭化を図っています。また、市場動向については、中長期的にはチョコレートの需要は堅調に推移するものと考えておりますが、当面は国内・グローバル共に価格高騰に伴う短期的なチョコレート消費量の低下リスクを注視し、持続的な成長に努めてまいります。
調味料においては、おいしさの追求やアマニ油、MCTオイルなどの健康価値を訴求する油脂への関心の高まりなどを背景に油脂の機能を活かした商品開発および販売を展開しています。
機能素材・食品においては、MCTの脂肪燃焼やフレイル対策における栄養状態の改善など、健康機能の高さを引き続き啓発するとともに、マーケティングを強化し、売上拡大に向けた取り組みを進めています。
大豆素材・食品においてはプラントベースドフードの市場拡大も見据え、油脂の活用による食感、おいしさなどのソリューションの提供に力を入れています。
[ファインケミカル事業]
化粧品用の原料である油剤を主力商品としており、国内外の多くの化粧品メーカーと取引を行っております。世界の化粧品市場は、中長期的にはアジアを中心に中間所得層の増加が見込まれるエリアでの継続的な拡大が見込まれます。当社は、特に高付加価値なスペシャリティオイルを中核とする市場成長を取り込み、テクニカルサポート機能の発揮により、ソリューション提供を拡大することで、グローバル市場でのプレゼンスを更に高め、市場シェアを獲得するとともに利益率を高めてまいります。

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