有価証券報告書-第150期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

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2022/06/24 13:29
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156項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社の経営理念は、次のとおりです。
1.企業価値の追求と、その最大化を通じた人々・社会・経済の発展への貢献
2.「おいしさ・健康・美」の追求をコアコンセプトとする創造性、発展性ある事業への飽くなき探求
3.社会の一員としての責任ある行動の徹底

ステークホルダーの皆様へお約束するコンセプトとして、「コアプロミス」を次のとおり定めています。
日清オイリオグループは、健康的で幸福な「美しい生活」(Well-being)を提案・創造いたします。そのために私たちは、無限の可能性をもつ植物資源と、最高の技術によって、あなたにとって、あったらいいなと思う商品・サービスを市場に先駆けて創り続け、社会に貢献することを約束いたします。

また、今般作成した「日清オイリオグループビジョン2030」において「2030年に目指す姿」を次のとおり
定めております。
私たちは、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担います。そして多様な価値を創造し、“生きるエネルギー”をすべての人にお届けする企業グループになります。

当社グループは、従来以上に事業活動による価値創造を通じて社会の持続可能性に貢献してまいります。
「ビジョン2030」策定時に、当社グループが2030年に目指す姿に至るために、行動の基本とするValues
(「真摯な姿勢」「つながる」「究める」「切り拓く」「しなやかに強く」)を定めました。また、理念を
実践していくための行動指針である「日清オイリオグループ行動規範」を2022年4月1日付で改訂しています。

(2) 中長期的な会社の経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
<日清オイリオグループビジョン2030>昨今、地球規模では環境問題などの社会課題が累積しており、国内では急速な少子化と高齢化、本格的な人口減少など、既に大きな変化が始まっています。コロナ禍や食用油のバイオ燃料消費の拡大、ロシア・ウクライナ情勢の悪化などを背景とした穀物の需給環境の悪化など、まさにこうした不確実性の高まり、そしてこれらも反映した世界的な消費・生活行動の変容や一層の多様化の進展など、従来のビジネスのやり方やモノの考え方が大きく変化しています。さらに、企業市民として、今まで以上に持続可能な社会「サステナビリティ」に貢献していくことが求められています。
このようななか、2021年3月に策定した「ビジョン2030」で示した「2030年に目指す姿」と「戦略の指針」に沿って、当社グループは、社会課題の解決を通じた、多様な共有価値の創造(CSV)を成長のドライバーとすることで、将来にわたって持続的に成長し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
2030年に目指す事業規模は、事業規模、営業利益水準、資本効率性を重視し、売上高5,000億円、営業利益300億円、ROE 8.0%以上という目標を掲げ、グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業へと飛躍し、価値創造の領域を広げていきます。
日清オイリオグループビジョン2030の概要

※ 売上高は、2021年4月策定時のものです。2024年度の売上高目標は足元の歴史的な原材料価格の高騰を踏まえ、当初の4,000億円から5,400億円へと上方修正を加えておりますが、2030年度の売上高目標は事業環境の変化を予測することは難しいことから、現時点では策定時のままとしております。今後事業を取り巻く環境変化等を勘案し、適宜見直しを検討してまいります。
“植物のチカラ®”を価値創造の原点として私たちが生み出す商品・サービスを「生きるエネルギー」と定義し、2030年に向けて当社は、「生きるエネルギー」をすべての人にお届けする企業グループになることを目指します。
〇生きるエネルギー
生きるために必要な根源的なエネルギー
おいしい食事で人を元気にするエネルギー
栄養機能で人を健康にするエネルギー
美を演出し活力を与えるエネルギー
油脂と相乗効果を発揮する素材・技術・事業から生み出されるエネルギー
また、「生きるエネルギー」をすべての人にお届けするためには、油脂を素材として提供するだけでなく、当社グループが持つ強みを活かして他の食品メーカーや素材メーカーなどと一緒に価値を共創することが非常に重要であると考えています。生活を支えるあらゆるチャネルでお客さまとの接点を持っている強みにより、社会課題解決のためのプラットフォームの役割を担うことで可能になると考えております。
<共有価値を生み出す「6つの重点領域」>共有価値を生み出す領域として、「すべての人の健康」「おいしさ、美のある豊かな生活」「地球環境」「食のバリューチェーンへの貢献」「信頼でつながるサプライチェーン」「人材マネジメント」の6つを重点領域と定め、当社グループの強みを活かし、事業活動を通じて社会課題に対するソリューションを提供してまいります。
「6つの重点領域」におけるCSV目標とその進捗状況は、次のとおりです。2022年度においては、単年度のCSV目標を設定し、取り組みを着実に進めてまいります。
「すべての人の健康」においては、ヘルスサイエンス商品の伸長率130%、脂質の健康情報の提供で、2021年度からの累計1,500万人と設定します。
「おいしさ、美のある豊かな生活」においては、当社が日本で初めてサラダ油を発売して100周年となる2024年に向けて、お客さまに新たな価値を提供する商品を開発・上市していくこととし、また、新たなカテゴリー創出のために、味つけオイルの市場育成を図ります。
「地球環境」については、「環境目標2030」に基づきCO2の排出削減に向けて着実に取り組むとともに、環境にやさしい開発を推進し、プラスチック容器・包装の削減および資源循環を推進するため、環境配慮型の生産設備の導入を進めます。また、環境にポジティブインパクトを与える商品・サービスの開発も、件数を設定し、取り組みを進めてまいります。
「食のバリューチェーンへの貢献」については、ソリューションの基盤となるユーザーサポート件数が、2021年度は新型コロナウイルス感染症による行動制限の影響により減少しましたが、2022年度は、まずは2019年度並みに戻し、2030年度までの目標達成に向けた取り組みを行います。
「信頼でつながるサプライチェーン」については、パーム油、大豆油、カカオといった原材料で持続可能な調達に向け、特にパーム油について、農園までのトレーサビリティ80%、セグリゲーション(SG)認証油50%といった目標を設定します。
「人材マネジメント」については、エンゲージメント向上に向けた施策の実行や、女性管理職比率の目標を設定し、取り組んでまいります。

<2021年度~2024年度 中期経営計画「Value Up +」>「ビジョン2030」で目指す姿に向けた最初の4年間(2021年度から2024年度まで)を対象とした中期経営計画「Value Up +」の基本方針を「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」とし、マーケティング、テクノロジー、グローバリゼーションを基調として、CSVを成長ドライバーに据え、これまで以上に成長路線を加速してまいります。
中期経営計画「Value Up +」の位置づけ

<目標とする経営指標>当社グループを取り巻く大きな環境の変化と、中期経営計画「Value Up +」初年度にあたる2021年度(2022年3月期)決算を踏まえ、「Value Up +」最終年度である2024年度の経営目標の一部を変更することといたしました。
食用油の原材料は、構造的な需給要因により、昨年来、歴史的な高騰が続いております。この結果、原材料価格の大幅な上昇とそれに見合った販売価格改定の実現により当社グループの売上高は大幅に増加しております。一方で「Value Up +」の4年間で目指す価値創造による売上拡大の方針に変わりはなく、売上高目標を当初計画4,000億円から5,400億円に上方修正することといたしました。なお、営業利益については、非常に厳しいコスト環境のなかでもさらなる価格改定の実現と新たな価値創造を通じて当初計画どおりの170億円を目指します。また、ROEも当初計画どおり8%とします。
また、「Value Up +」においては資本効率性の改善を重要な目標にしており、新たにROICを経営目標に加え、2024年度の計画を4.6%とし、今まで以上に資本コストを意識したマネジメントを行ってまいります。
なお、営業キャッシュフローについては急激な原料コスト上昇に伴う運転資金の増加により、4年間の累計額を700億円から500億円に下方修正いたします。


※中期経営計画「Value Up +」の経営目標は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づい
て策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を
保証するものではありません。また実際の業績等も当中期経営計画とは大きく異なる結果となる可能性がありま
すので、当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。
2年目となる中期経営計画「Value Up +」については、成長性、積極投資、持続性、効率性の観点から、経営目標実現に向けたKPI・取り組みを推進するフレームワークとして構築した「達成チャート」のもと、様々な取り組みを推進してまいります。このなかには「ビジョン2030」のCSV目標も包含しています。

「達成チャート」の成長性においては、BtoC、BtoB、BtoBtoCの3つの領域で価値創造による売上拡大の目標を掲げております。
BtoCにおいては、2024年度の売上高プラス50億円に向けて、「油脂の価値向上」が不可欠であると考えており、まず研究面で脂肪燃焼体質や脳機能などの領域での健康エビデンスの確立や、油脂による加工食品へのおいしさの意図的創発の取り組みを推進してまいります。また、食用油における新しいカテゴリーとして味つけオイルの市場の育成を図ります。そのために、デジタルを活用した生活者への味つけオイルの認知拡大とともに、食用油棚での売り場づくりや専用什器を使ったサラダ、総菜など、関連商品と接点の高い売り場への進出などを進めます。さらにEC(電子商取引)や通販など、多様なチャネルによるお客さまの購買機会の拡大を進めてまいります。
BtoBにおいては、2024年度の売上高プラス550億円に向けて、国内外で販売を拡大してまいります。国内における業務用や加工用を中心とするフードサービス分野では、お客さまとの多様な接点のなかでの当社グループの提案力、開拓力、物流力、サポート力の強みを活かします。海外では、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.は、グローバルに事業を行っているチョコレートメーカーなどへのチョコレート用油脂を中心とするスペシャリティオイル&ファッツの販売を積極的に拡大してまいります。また、グローバルに事業を進めている化粧品油剤では、テクニカルサポート機能の拡充などを通じて、世界での市場シェアを一層高めてまいります。
BtoBtoCにおいては、2024年度の売上高プラス100億円に向けて、加工食品メーカー、流通と商品の共同開発を行うとともに、積極的にメディアを活用して認知度を高めるなど、共創への仕掛けを実践します。まずはMCTの脂肪燃焼機能を訴求し、食用油売り場での販売に加えて、加工食品など多様な売り場でMCT採用商品が発売されることで生活者との接点が広がりさらに認知度が高まる、といった形で成功事例を作り、さらにフレイル対策など他の機能へ訴求の対象を広げていきたいと考えております。
そして、「Value Up +」の経営目標を実現するために、積極的な投資を行ってまいります。2021年度に「インキュベーション機能の強化・実装」投資をすることを決定しました。この投資は、当社のコアコンピタンスである油脂を磨きあげ、油脂加工技術を究め、2024年度の設備の完成とともに、お客さまとの価値共創が開始できるよう、準備を進めております。また、マレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn.Bhd.においては2021年度に投資を決定したチョコレート用油脂を中心とするスペシャリティオイル&ファッツの拡販に向けた生産能力拡充投資を着実に進めてまいります。また、当社名古屋工場のスマートファクトリー化と堺工場のサステナビリティセンター化についても着実に進めてまいります。さらに、設備や情報システムなどの投資に加え、人材、研究開発、知的財産などの無形資産への投資も重要と考えており、特に組織能力の強化・開発を進めていく観点から人材への投資を積極的に実施してまいります。また、従業員の心身の健康、働きがい、生産性の向上を目的として、経営トップが最高責任者となり健康経営を強力に進めており、「健康経営優良法人2022~ホワイト500~」に認定されております。引き続き従業員の健康保持・増進に積極的に取り組んでまいります。
持続性の観点については、環境とサプライチェーンが大きなテーマです。「ビジョン2030」の「地球環境」や「信頼でつながるサプライチェーン」などで掲げたCSV目標にしっかり取り組んでまいります。2022年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づく情報開示を行いました。今後もTCFD提言に基づいた取り組みを進めてまいります。また、2022年3月に制定した日清オイリオグループ人権方針のもと、取引先の皆様などと協力して、サプライチェーン全体を対象として人権尊重の取り組みを進めてまいります。
効率性の観点については、2022年度から新たにROICを経営目標として採用します。付加価値商品の構成比のアップやスペシャリティオイル&ファッツ、チョコレート、化粧品油剤など、付加価値型事業の構成比をアップするとともに、非効率または不稼働の固定資産圧縮や政策保有株式の売却、キャッシュコンバージョンサイクルの改善に努め、資本の効率化を進めてまいります。
(3) 経営環境、課題及び対応
世界経済については、新型コロナウイルス感染症による影響は引き続き残るものの、世界各国での感染拡大防止と社会経済活動を両立させる取り組みや、国境を越えた人の移動の拡大が進む中で、緩やかな回復が期待されています。一方で、地政学リスクの顕在化に伴う国際情勢の緊迫化による世界的な資源供給不安と価格高騰、サプライチェーン(供給網)の混乱に加え、消費者物価上昇や各国の金融引き締め政策への転換など、世界経済の下振れリスクが高まっています。特に、ロシア・ウクライナの情勢悪化に伴う穀物価格の高騰やサプライチェーン(供給網)の混乱は長期にわたり続く可能性があります。
国内においても、新型コロナウイルス感染症による影響については、感染の一時的な再拡大はあっても小規模にとどまり、まん延防止等重点措置などの適用も部分的にとどまるものと想定しております。また、イベントチケット割引等の需要喚起策により、景気は緩やかな回復基調となることが期待されています。一方で、資源価格高騰やサプライチェーン(供給網)の混乱に伴う原材料価格の上昇が企業収益を悪化させるとともに、物価上昇が個人消費の回復を抑制するなど、景気が下振れする可能性があります。
当社グループへの影響が大きい大豆、菜種、パーム油等の原料相場については、世界的なコロナ禍からの需要回復やバイオ燃料消費の拡大に加え、ロシア・ウクライナの情勢悪化による穀物の供給不安およびサプライチェーン(供給網)混乱の長期化懸念により、価格が高騰・高止まりするものと想定しております。また、生産面でも世界的な天候不順による生産量・品質への悪影響に加え、穀物の主要生産国の1つであるウクライナにおける減産が懸念されており、需給環境は大変厳しい状況が続くものと想定しております。
また、中長期的には地球規模での環境問題、サステナビリティなどの社会課題が累積するとともに、国内では急速な少子化と高齢化、本格的な人口減少が既に現実化するなど、国内外における大きな社会・環境変化や消費・生活行動の変容・多様化への対応が求められております。
このような厳しい事業環境下、当社グループは、将来にわたって持続的に成長し、持続可能な社会の実現に貢献するための目指すべき姿と戦略の指針として「ビジョン2030」を策定するとともに、その実現に向けた2021年度から2024年度の4か年の中期経営計画「Value Up+」に取り組んでおります。この中期経営計画では、基本方針である「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループに変革する」を着実に実行し、”植物のチカラ®”を価値創造の原点に、社会との多様な共有価値の創造を通じて、持続的な成長を目指してまいります。
喫緊の課題としては、上昇が続く原料コストに見合った適正な販売価格の形成とコロナ禍からの需要回復・消費者動向の変化への対応に加え、サプライチェーン(供給網)の混乱が続く中で、安定した原材料の調達と商品の供給であると考えており、全社を挙げて取り組んでまいります。
各事業の状況については、次のとおりです。
[油脂事業]
(油脂・油糧)
国内の油脂事業においては、主要原料相場、為替相場、物流費、資材費、エネルギーコスト、将来コスト・社会的コスト等を踏まえたうえで適正な販売価格を設定し、人々の暮らしや食品産業を支えるための安定供給が求められています。
ホームユースでは、キャノーラ油のほか、オリーブオイル、アマニ油などにおいて高い市場シェアを有しており、「かけるオイル」などの油脂の新しい使い方や油脂の栄養・健康機能を積極的に提案・紹介するなどして需要を喚起し、市場の拡大を牽引しています。コロナ禍以前の数年間、国内市場は拡大傾向であり、2020年度には新型コロナウイルス感染症による内食需要増の要因も加わり過去最大となりました。2021年度もその市場規模を維持し、年間で1,674億円(当社推計)と同程度の水準となっています。
業務用および加工用では、レストランなどの外食、コンビニエンスストア・量販店などの中食、製菓・製パンや加工食品業界などに向けた販売を行っております。競争の激しい市場環境ではありますが、ユーザーとのニーズ協働発掘型営業によるソリューション提案で需要を創造し、収益の獲得、拡大につなげております。
ホームユース、業務用および加工用とも、世界的に旺盛な油脂需要が続くとともに、バイオ燃料需要などを背景に、主要原料である穀物相場が歴史的高値圏で推移していることに加え、円安ドル高の進行や資源価格の高騰などにより、大豆、菜種等を主原料とする商品については2021年度に4回の価格改定を行う厳しい経営環境でした。加えて、2022年度も、ロシア・ウクライナ情勢の悪化に起因した穀物需給の逼迫、ブラジル産大豆の生産量見通しの引き下げ、インドネシアのパーム油輸出禁止による影響、円安ドル高の大幅な進行等もあって、4月と7月からの2回の価格改定の発表を行っており、コスト環境は過去にない厳しい状況が続いております。また、オリーブオイル、ごま油、こめ油等についても、需給逼迫や物流費、ユーティリティコストの高止まり等により、7月から価格改定を行います。
ミールについては、国内の需給などの影響もありますが、国内の販売価格が国際価格と連動した販売を行っています。
中長期的には、国内の人口減少による油脂消費量の減少が見込まれることもあり、一層の合理化、効率化が必要と考えております。また、脂質栄養の知見を活かした幅広い商品の開発や情報発信により、油脂を通じた価値創造を推進してまいります。
(加工油脂)
パーム油を活用したチョコレート用油脂を中心とするスペシャリティオイル&ファッツをグローバルに販売するマレーシアのIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.(以下、ISF社)と日本国内での製菓・製パン向けにショートニングやマーガリンなどを製造販売する事業から構成されます。ISF社はパーム油の分別・精製における高度な技術を有しており、欧州などの高い品質基準を要求する顧客を中心に付加価値品の拡販に努めています。
チョコレート用油脂については、ロシア・ウクライナ情勢悪化の長期化による原料相場の高騰や将来的なチョコレート用油脂原料の調達への懸念はありますが、複数の手段を組み合わせて、必要な数量を適正価格で調達できるよう努めてまいります。
短期的にはチョコレート市場の成長鈍化などの影響を受けると考えていますが、中長期的にはチョコレートの需要およびチョコレート用油脂の需要は堅調に増加すると考えております。
[加工食品・素材事業]
チョコレート関連事業、ドレッシングなどの調味料、MCTを中心とした機能素材・食品、大豆素材・食品から構成されます。
チョコレートについては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けるものの土産物需要も徐々に回復しつつあり、中長期的にはアジアの中間所得層の増加などにより、市場の拡大を見込んでいます。
調味料においては、おいしさの追求やアマニ油などの健康訴求油脂への関心の高まりなどを背景に油脂の機能を活かした商品開発および販売を展開してまいります。
機能素材・食品においてはMCTの脂肪燃焼やフレイル対策など、健康機能の高さを引き続き啓発し、機能性素材マーケティングによる売上拡大を目指してまいります。
大豆素材・食品においてはプラントベースドフードの市場拡大も見据え、大豆たんぱくの供給にとどまらず、油脂の活用による食感、おいしさなどのソリューションを提供してまいります。
[ファインケミカル事業]
化粧品用の原料である油剤を主力商品としており、多くの国内化粧品メーカーや、欧米の大手化粧品メーカーと長期にわたり取引を行っております。足元では上海のロックダウンの影響はあるものの、昨年の中国はコロナ禍前を超えて需要が大幅に回復し、米国もクレンジング等の新規需要やスキンケア向けの需要が伸長しています。日本国内につきましては、引き続きコロナ禍前の需要回復に時間を要しております。世界の化粧品市場は、中長期的にはアジアを中心に中間所得層の拡大が見込まれるエリアでの成長を見込み、横浜磯子事業場内に建設した新工場を活用し拡販に取り組んでまいります。なお、油脂原料の高騰やコロナ禍によるサプライチェーンへの影響により、原料や生産委託品および物流コストが大幅に上昇しているため、適正価格での販売に努めてまいります。
環境・衛生においては食の環境を中心とする衛生管理事業や植物資源を活用して環境に好影響を与える商品・サービスの開発を進めてまいります。