有価証券報告書-第142期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/25 14:12
【資料】
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【項目】
141項目

対処すべき課題

日本経済は、好転の兆しをみせているとはいえ、当社グループを取り巻く経営環境については、世界的な穀物需要の増加等による原料価格の高値推移や、日本国内の少子高齢化の進展、円安による輸入原料やエネルギーコストの上昇等、引き続き厳しい状況にあるといえます。
当社グループでは、平成19年度から10ヵ年経営基本構想「GROWTH 10」をスタートし、平成23年度から平成25年度までは、中期経営計画「GROWTH 10 フェーズⅡ」として、安定した収益基盤の確立と確かな成長の実現に向けて変革に取り組んでまいりました。
油脂・油糧事業については、「GROWTH 10」策定時から現在に至るまでの間、原料価格が2倍を超えるレベルまで上昇し、その水準が現在も継続していることに加え、電力等のエネルギーコストも上昇しており、製品コストは大幅に増加しております。一方で、市場においては、消費者の低価格志向が長期化しております。このため、基幹事業である油脂・油糧事業の収益を安定的に確保したうえで、成長事業に投資し、次代の柱を作り上げるという「GROWTH 10」の成長路線は、計画と現実との間にギャップが生じております。このような理由等により、「GROWTH 10」につきましては、平成25年度までの「フェーズⅡ」にて終了し、油脂・油糧事業における安定した収益確保に向けて、新たに3ヵ年の中期経営計画を平成26年度からスタートさせることといたしました。
この新たな3ヵ年の中期経営計画では、あるべき姿および目指すべき方向について、強力なブランド力と独創的でかつ優位性のある技術を武器に油脂と油脂から派生する事業をグローバルに展開する企業グループを掲げております。中でも、グループの基幹事業である油脂事業の収益改善を中心とする将来のゆるぎない収益基盤の構築を基本方針として取り組んでまいります。
油脂・油糧事業においては、継続的な商品開発の実施、販売数量の拡大によるブランド力の強化、生産・物流のコストダウンへの取組みにより、収益力の向上に努めてまいります。
加工油脂事業においては、社内外の連携と提案力強化による国内加工油脂事業の拡大、連結子会社であるIntercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.の収益改善等によるアジア戦略の推進を目指してまいります。
ファインケミカル事業、ヘルシーフーズ事業では、当社グループ独自の技術、強みを活かした展開によるグループ収益基盤の厚みを増す事業の拡大・伸張を目指してまいります。
さらに、中長期視野での成長戦略として、様々な可能性を持つ中鎖脂肪酸の新規事業化を推進いたします。
また、企業価値の最大化に向けたコーポレートブランド戦略の展開とともに、コンプライアンス体制の強化や内部統制システムの整備・運用をはじめ、コーポレートガバナンスの強化に向けた取組みについても継続して進めてまいります。
当社は「法的な責任を果たすこと」はもちろんのこと、安全で安心できる商品やサービスの安定的な提供、環境への取組み、社会貢献、適切な情報開示など、「あらゆるステークホルダーからの期待に応えること」がCSR(企業の社会的責任)であると考えております。CSRへの主体的な取組みにより、あらゆるステークホルダーからの信頼・共感の維持・向上を図り、企業の持続的発展、企業価値の向上を目指してまいります。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」といいます)並びに基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの一つとして、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(以下「本プラン」といいます)を導入し、継続しております。
「本プラン」の内容は、以下のとおりであります。
(当社株式の大規模買付行為に関する対応方針)
(1) 基本方針の内容
当社は、当社の企業価値の源泉が、食品からファインケミカルまでの幅広い事業を通じて得た広範な知識と豊富な経験、蓄積された高い技術力、株主の皆様をはじめとするあらゆるステークホルダーからの信頼とご支援など、明治40年の創立以来100年以上の永きに亘って培ってきた経営資源に存することに鑑み、特定の者又はグループが当社の議決権の20%以上の議決権を有する株式を取得することにより、このような当社グループの企業価値又は株主の皆様共同の利益が毀損されるおそれが存する場合には、かかる特定の者又はグループは当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であるとして、法令等及び定款によって許容される限度において当社グループの企業価値又は株主の皆様共同の利益の確保・向上のための相当な措置を講じることを、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針といたします。
(2) 取組みの内容
① 企業価値・株主の皆様共同の利益の確保・向上に向けた取組み
当社グループは中長期的な視野に立ち、企業収益及び企業の社会的価値の向上を目指し、総合的に企業価値を高め、株主の皆様の期待にお応えできるよう努めてまいります。
(a) 2014年度~2016年度 中期経営計画
当社グループは2014年度から2016年度までの3ヵ年の中期経営計画を策定し、企業収益拡大に向けた中長期の戦略、施策を実行してまいります。
当社グループのあるべき姿、目指すべき方向として掲げているのは
「強力なブランド力と独創的でかつ優位性のある技術を武器に油脂と油脂から派生する事業をグローバルに展開する企業グループ」であり、創業から現在まで培ってきたブランド、技術力によって食品からファインケミカルまでの油脂関連事業を、世界に向けて展開する企業グループを目指してまいります。
本中期経営計画の基本方針は
「グループの基幹事業である油脂事業の収益改善を中心とする
将来のゆるぎない収益基盤の構築」
であり、具体的には、
・国内油脂事業は、継続的な商品開発と適正価格を前提とした販売量拡大による、売上総利益の増大と安定的な収益計上を目指します。
・加工油脂事業は国内油脂事業に次ぐ柱として、国内加工油脂事業の拡大、アジア戦略を推進し、確実な収益拡大を目指します。
・ファインケミカル事業・ヘルシーフーズ事業・中鎖脂肪酸事業は、当社グループ独自の技術、強みを活かした事業展開によるグループ収益基盤の厚みを増す事業の拡大・伸張を目指します。
・生産・物流コスト改革を実行し、環境にフレキシブルに対応するための生産・物流最適化計画実行により、コストダウンの実現を目指します。
(b) コーポレートガバナンスの強化
当社は、社会の皆様から一層の期待と信頼をいただくために、健全で透明性の高い経営を目指し、コーポレートガバナンスの強化を経営上の最も重要な課題の一つとして位置付けております。
取締役会は、取締役9名(うち社外取締役2名)で構成し、法令で定められた事項及び経営上の重要事項を審議し、決定しております。また、取締役会は、当社の経営に関して豊富な経験を持つ取締役と経営に関する深い知識を持ち独立性の高い社外取締役により構成され、経営及び業務執行についての監督責任を負っております。
当社は、環境変化に即応した迅速な意思決定を実践するため、執行役員制度を導入しており、執行役員は取締役会から業務執行権限を委譲され、経営計画や取締役会の方針に則り、職務領域を担当する取締役の監督のもとで業務執行に携わっております。
監査役会は、監査役4名(うち社外監査役2名)で構成しており、監査役は、監査役会で策定された監査方針、監査計画及び業務分担に基づき、取締役会やその他重要な会議への出席、業務及び財産の状況調査等を通して、取締役の職務執行、執行役員の業務執行を監査しております。
こうした経営体制のもとで、内部統制システムの整備、リスクマネジメント委員会やコーポレートガバナンス協議会の設置及び企業倫理ホットラインの設置等の具体的な施策を推進しております。
② 不適切な者によって支配されることを防止する取組み
当社は、当社株式の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを明確にし、株主の皆様に適切な判断を行っていただくために必要かつ十分な情報及び時間、並びに大規模買付行為を行おうとする者との交渉の機会を確保するために、本プランを導入し、継続しております。また、当社が対抗措置を発動することによって大規模買付行為を行おうとする者に損害が発生する可能性があることを明らかにし、これらを適切に開示することにより、当社の企業価値又は株主の皆様共同の利益に資さない当社株式の大規模買付行為を行おうとする者に対して警告を行うものであります。
③ 取締役会の判断及びその判断に係わる理由
前記「企業価値・株主の皆様共同の利益の確保・向上に向けた取組み」は、当社の企業価値又は株主の皆様共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるものとして策定されています。従って、(1)の基本方針に沿っており、株主の皆様共同の利益を損なうものではなく、かつ当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
また、前記「不適切な者によって支配されることを防止する取組み」は、大規模買付行為に関する情報提供を求めるとともに、大規模買付行為が当社の企業価値を毀損する場合に限って対抗措置を発動することを定めるものであります。さらに取締役会によって恣意的判断がなされることを防止するために独立委員会を設置し、取締役会は独立委員会の勧告を最大限尊重したうえで対抗措置の発動を決議します。その判断の概要については、適時適切に開示することとしているため、その運営は透明性をもって行われます。従って、当社取締役会は、当該取組みは株主の皆様共同の利益を損なうものではなく、かつ当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。