有価証券報告書-第142期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/25 14:12
【資料】
PDFをみる
【項目】
141項目

研究開発活動

当社グループの研究開発は、横須賀事業場に設置された中央研究所、ユーザーサポートセンター、横浜磯子事業場に設置されたファインケミカル事業部テクニカルセンター、生産技術部を中心に、互いに連携をとりながら進めております。また、平成25年11月、マレーシアにNisshin Global Research Center Sdn. Bhd.を設立し、現地の研究開発体制を強化いたしました。
中央研究所では、グループ全体の事業領域に関わる創造の拠点としての役割を果たすべく技術開発の体制を強化し、グローバルな展開を見据え研究開発を推進しております。平成26年4月に設置したユーザーサポートセンターは、技術面からの提案営業のサポートおよびアプリケーション開発を推進し、販売と一体となった総合的な技術営業の展開、事業の拡大を実現します。ファインケミカル事業部テクニカルセンターでは、化粧品領域、化学品領域、および食品領域におけるファインケミカル素材の開発とそれを活かした製剤の開発を行っております。また、平成23年に取得したスペインのエステル油剤メーカーIndustrial Quimica Lasem,S.A.U.とは、開発、品質管理、生産技術など多面的な技術連携関係の構築を進めております。生産技術部は、次世代を見据えた新規生産技術開発とそれに向けた技術面での基盤強化に取り組んでおります。Nisshin Global Research Center Sdn. Bhd.は、パーム事業に関わるR&Dのアジアにおける中心拠点として位置付けております。
なお、当連結会計年度における研究開発費の合計は19億40百万円であります。
[油脂・油糧事業]
家庭用食用油では、ナチュメイド製法(特許出願中)により、植物本来の天然ビタミンEを従来よりもたっぷり含み、揚げ物調理時のにおいを抑え、すっきりと油っこくないおいしさを実現した「日清やさしいキャノーラ油900gポリ」を平成26年3月に発売いたしました。また、オリーブオイル特有のくせがなく、すっきりとしたおいしさで毎日使える、コレステロールゼロの「日清さらっと軽~いオリーブオイル600gPET」を平成26年3月に発売いたしました。さらに、南イタリアの厳選したオリーブの実を使用し、イタリア品質協会に認められた、ポリフェノールが豊富でコレステロールゼロの「BOSCO プレミアムエキストラバージンオリーブオイル250ml、500ml瓶」を平成26年3月に発売いたしました。
業務用食用油では、油が持つおいしさの特長はそのままに、フライ時の酸価の上昇を抑制するSL製法(特許製法)により、長く使えて経済的なカラッとコシの強いフライ油「日清スーパーロングキャノーラ16.5kg缶および4kgピロー」を平成25年6月と7月、「日清スーパーロング大豆&キャノーラ16.5kg缶」を平成26年4月に発売いたしました。また、面倒な下ごしらえなしで、手軽にガーリックのフレッシュな風味と適度なロースト感を演出でき、さまざまなジャンルに使える「日清フレーバーリッチ ガーリックオイル1000gポリ」を平成26年4月に発売いたしました。
油脂・油糧事業に係わる研究開発費は10億57百万円であります。
[加工油脂事業]
粉末酵素エステル交換技術や分別技術といった独自の技術をベースに、パーム油類を有効利用することで、マーガリン・ショートニング類、クリーム用油脂、チョコレート用油脂及びチョコレート関連製品等の特徴ある製品群の開発を実現しています。
また、大東カカオ株式会社、Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.およびNisshin Global Research Center Sdn. Bhd.と技術連携をとりながらグローバルな製品展開に向け、油脂製造からアプリケーション開発にわたる領域でのユーザーニーズに応える研究開発を行っています。
当期は、ユーザーのニーズに応じた食感や呈味の機能性素材やノントランス非テンパリングタイプのチョコレートフィリング用油脂の開発及び用途開発を推進いたしました。
加工油脂事業に係わる研究開発費は3億1百万円であります。
[ヘルシーフーズ事業]
ドレッシング類では、オイルの持つ力おいしさを追求したシリーズ「日清サラドレ 170mlPET」から、風味特徴が明確なオイルを使用した「オリーブフレンチ」「あじわいバルサミコ」の2種を平成25年9月に発売いたしました。低油分タイプのドレッシングシリーズ「日清ドレッシングダイエット 200mlPET」からは、色々な料理を手軽にカレー風味に味付けできる「色々使えるカレー味」を平成25年9月に発売いたしました。
また、当社後援により「中鎖脂肪酸(MCT)シンポジウム」を平成25年12月に開催いたしました。脳神経疾患、特にアルツハイマー病における中鎖脂肪酸の利用に関する生理機能の紹介や、有識者によるパネルディスカッションにおいて活発な議論を行い、その様子がいくつかのメディアに取り上げられました。
ヘルシーフーズ事業に係わる研究開発費は79百万円であります。
[ファインケミカル事業]
化粧品領域における開発活動としては、グローバルな視野で化粧品業界に広く展開できる高機能素材の開発に取り組んでおり、近年は、環境に優しい植物由来成分から成る新製品を複数発売してきております。
化学品領域における開発活動としては、情報関連分野・潤滑用途の素材を中心に顧客と直結した開発を積極的に推進すると共に、海外での顧客獲得に向けた開発にも注力しております。
食品領域においては、主力である中鎖脂肪酸油の品質向上を図ると共に、新たな機能性素材の開発に取り組んでおります。さらに、中鎖脂肪酸油やレシチン、トコフェロールなどの素材を用い、顧客のニーズに合わせた製剤開発にも取り組んでおります。
平成22年に発売した食品機械用潤滑油「エステローラF」は、翌年に「エステローラF スプレー」を加え、平成25年には「エステローラF グリースタイプスプレー」を発売するなど、市場ニーズに基づいた新アイテムの開発に注力し、ラインナップの充実を図ってきました。その結果、採用される顧客数を順調に伸ばしています。
平成23年に子会社化したスペインの油剤メーカーIndustrial Quimica Lasem,S.A.U.との間では、技術的な相乗作用を得るために、製品のみならず原材料評価、品質管理、製品開発、および生産技術など多岐にわたる連携関係の構築を行っております。平成25年には、中鎖脂肪酸油製造設備の建設が終了し、高品質な中鎖脂肪酸油の製造を開始しました。
連結子会社である攝津製油株式会社において、清潔で快適な暮らしに欠かせない製品やレストランの厨房、食品工場などの衛生管理に役立つ多様な製品づくりに積極的に取り組んでおり、顧客のニーズを確実に製品化するための研究開発活動を展開しております。
化成品の業務品分野では、食品加工工場の菌汚染の実態調査の実践と、設備機器の洗浄や除菌を効果的に行うためのサニテーション用商品の開発に注力しております。
OEM事業関連では、家庭で使用する洗浄剤や化粧品、医薬部外品等の香粧品の分野で顧客のニーズに対応し差別化された機能を持った製品の改良や開発を行っております。また、業務用用途で使用する各種洗浄剤やクリーニング分野で使用される洗剤(液状・粉末)の高機能化技術の開発研究を行っております。
工業用分野では、次代の中核事業として洗浄剤と金属エッチング剤の基盤確立に注力しております。前者では太陽電池用シリコンウエハーや新素材ウエハー用の洗浄剤を重点に開発進めており、国内・海外への拡販にも注力中であります。後者のエッチング剤開発では太陽電池用に注力しました。この技術は大手顧客にて実機試験を行う段階にあり、早期の実績化を目指しております。
ファインケミカル事業に係わる研究開発費は、3億96百万円であります。
[大豆食品素材事業]
高い栄養を持ちながらも普段の食生活で不足しがちな大豆を、手軽に美味しく摂れる食品群を開発しております。当期は、前年度上市して以来販売が拡大中である、大豆粉を主原料にしたポタージュの品揃えを更に強化しました。
大豆食品素材では、繊維食感を高めた粒状大豆たん白を「ニューソイミーF」シリーズとして開発し、食品加工メーカーへの導入を開始しました。
また、全脂大豆粉から豆腐を簡便に作る技術については、ユーザーへの大豆粉および製造技術の導入拡大として順調に進行しております。
大豆食品素材事業に係わる研究開発費は1億4百万円であります。
今後とも技術力の一層の充実を図り、新製品・新技術開発、新分野開拓に積極的に取り組んでいく方針であります。