有価証券報告書-第79期(2022/01/01-2022/12/31)

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2023/03/10 14:53
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当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(重要な会計方針及び見積り)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況」における「3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
(1) CFO/CROメッセージ

厳しい経営局面だからこそ、財務戦略の重要性が高まっています。
企業価値向上のために適切な資金調達と投資を実行します。
① 2022年の振り返り
売上収益は、前年度比+8.4%となりました。国際事業において、コロナの鎮静化に伴いトマト加工品を中心とした需要が回復基調であったこと、コスト上昇分の販売価格への転嫁が進められたこと、円安により邦貨への換算額が増加したことなどによります。 事業利益は、前年度比△9.4%となりました。国内加工食品事業において、原材料やエネルギーの価格高騰は、当初の想定を上回るものでした。同事業の事業利益は悪化しましたが、国際事業の事業利益が売上収益同様増加しました。 CFOに就任してからの1年間、急激な事業環境の変化に対応するため、マネジメント・関連部門・国内外のグループ会社と連携し、各事業、子会社のタイムリーな経営成績と財政状態の把握及びその対応に努めました。増収減益という厳しい結果になりましたが、2022年度の配当は、公表した予想通り実施することができました。 財政状況は、信用格付の評価、財務指標などから、その健全性が保たれていると考えています。資本効率は、2021年度から経営指標にROICによる管理を導入し、その向上への取り組みを進めています。しかしながら、2022年度は、同指標は前年度比1.6point悪化しました。これは、利益の減少に加えて、棚卸資産が前年度末比+22.1%と大きく増加したことが主因です。棚卸資産の増加は、原材料価格の上昇と数量の確保によるものです。当社は、世界的に原材料需給が逼迫する中で、安定的な調達量を確保することを第一に考えました。ROICの指標には悪影響となりましたが、これは、当社が長年築いてきたグローバルな調達ネットワーク力により、安定的に原料を調達できていることの結果ともいえます。単に数値の良し悪しだけではなく、経営環境における優先順位とその合理性の検証、またそれらの説明責任を果たしていきます。
② 成長投資へのこだわりとそれを支える財務基盤
社長の山口のメッセージにもある通り、第3次中期経営計画における「ありたい姿」に変更はありません。定量目標値については、経営環境の激変を受けその見直しが必要ですが、事業成長には、これまで以上に、第3次中期経営計画の基本戦略を推し進めることが重要だと考えています。 特に事業利益率の改善は急務です。既存領域における利益率の回復に加えて、M&Aなどによるインオーガニック成長がより重要となります。2022年に発表した第3次中期経営計画期間中のインオーガニック成長のための投資は、300~500億円と従来にない規模でした。現時点にて、この投資枠の変更は予定していません。事業成長を加速するための積極的な投資は不可欠であることに加えて、それを支える財務基盤は毀損していないという認識によるためです。2022年度末の当社の自己資本比率は52.8%です。 なお、2022年度中にインオーガニック成長投資のための自社株買いも完了しており、2022年度末の自己株式は225億円となります。 厳しい事業環境だからこそ、将来の成長に向けた投資を進めていくことが重要だと考えています。同時に、それを支える財務基盤を維持していくことが重要であり、その実現に全力を尽くします。
③ 健全な事業成長のためのガバナンスの推進
健全な事業成長のためには、適切な財務経理ガバナンスが大切になります。これは、品質と並びカゴメの事業の礎となっています。こうしたことは、当社の企業理念の一つである「開かれた企業」をその根幹としています。良いことも悪いことも、ステークホルダーの皆様に対してタイムリーに分かりやすく発信するという企業風土は、当社の財務経理ガバナンスを強く支える基盤になっています。今後も財務経理ガバナンスの維持・向上に努めてまいります。
(2) 経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次の通りであります。
① 売上収益
売上収益は、2,056億18百万円となり、前連結会計年度の1,896億52百万円に比べ、159億65百万円の増加(8.4%増)となりました。
国内加工食品事業は、主力の野菜飲料が下期に好調だったことや、食品他カテゴリーにおける外食需要の回復などにより、増収となりました。国際事業においても、トマト一次加工の需要増や、米国のフードサービス企業向け販売が堅調に推移したほか、価格改定の効果や円安の影響もあり、増収となりました。
② 事業利益
事業利益は、128億8百万円となり、前連結会計年度の141億38百万円に比べ、13億29百万円の減少(9.4%減)となりました。
国際事業は前述のトマト一次加工の需要増などで増益となりましたが、国内加工食品事業において、価格改定を上回る原材料価格の高騰や販売促進費の増加などがあり、減益となりました。
③ 営業利益
営業利益は、127億57百万円となり、前連結会計年度の140億10百万円に比べ、12億53百万円の減少(8.9%減)となりました。
事業利益の減益に伴い減益となりました。
④ 親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、91億16百万円となり、前連結会計年度の97億63百万円に比べ6億47百万円の減少(6.6%減)となりました。
低税率の海外子会社の増益や各国税制優遇措置などにより実効税率が低下し、営業利益と比べて減益幅は縮小しました。
以上により、当連結会計年度の売上収益は、前期比8.4%増の2,056億18百万円、事業利益は前期比9.4%減の128億8百万円、営業利益は前期比8.9%減の127億57百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比6.6%減の91億16百万円となりました。

セグメント別の業績は、次の通りであります。
当第1四半期連結累計期間より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「5.(5)連結財務諸表に関する注記事項」の(セグメント情報等)をご参照ください。
なお、前連結会計年度については、当該変更に基づき遡及して作成した数値となっております。
(単位:百万円)
セグメントの名称売上収益事業利益(△は損失)
前連結会計年度当連結会計年度増減前連結会計年度当連結会計年度増減
飲料75,48075,9074278,2476,798△1,449
通販13,51813,578601,4301,52898
食品他47,73048,4817503,4522,202△1,250
国内加工食品事業 計136,729137,9681,23813,13010,528△2,602
国内農事業9,5429,58240286449162
国際事業50,77967,83017,0512,3643,6081,244
その他1,9072,221314△64△91△26
調整額△9,306△11,984△2,678△1,578△1,686△107
合計189,652205,61815,96514,13812,808△1,329

各セグメントの概要及び成果については以下の通りです。
<国内加工食品事業>国内加工食品事業では、飲料や調味料等の製造・販売を手掛けております。
当事業における売上収益は、前期比0.9%増の1,379億68百万円、事業利益は、前期比19.8%減の105億28百万円となりました。
① 概要
トマト、にんじん、その他の多様な野菜を使用した野菜飲料や食品などの商品を展開しています。お子様からご高齢の方まで、幅広い世代の方々に、日常生活の様々な場面においてご利用いただくことで、野菜の摂取量を増やし、健康寿命の延伸に貢献します。
② 2022年度の概要(成果・課題)
成果課題
野菜摂取量を「あと60g増やす」ことを目指した「野菜をとろうキャンペーン」を推進し、積極的な販促活動を実施しました。飲料においては、「野菜生活100」シリーズのホームパックの需要が減少しましたが、トマトジュースや「野菜一日これ一本」シリーズは、好調に推移しました。食品は内食需要に対応したメニュープロモーションを強化しました。業務用は外食需要の回復に伴い、販売が好調でした。売上収益は増収となった一方、事業利益は原材料価格の高騰などの影響により、減益となりました。当社の主要原材料であるトマトをはじめとした農産物原材料の世界的な価格高騰に加え、資材費やエネルギー費などの上昇が続いています。このような状況を受け、2023年2月に価格改定を実施しました。価格改定影響による販売数量の減少を最小限に抑制し、新しい価格の定着に向けた需要創造を図ることが大きな課題です。また、縮小に転じた野菜飲料市場に対して、市場全体の活性化を図ること、同時に当社最大のブランドである「野菜生活100」シリーズの強化を図ることが急務であると捉えています。


バリューチェーン分析による本事業の強み・弱み
STRENGTH 強み
■ 原材料調達における、海外ネットワーク力と、品質保証力
■ 120年の歴史で培われたブランド力
■ 素材の力を活かした機能性研究、商品開発力
■ 多様な販路と、顧客に応じた商品提案力
WEAKNESS 弱み
■ 環境変化の臨機応変なバリューチェーンの柔軟性
■ 幅広いカテゴリー対応維持のための資源分散
■ コモディティ市場における価格競争力
■ 若年層への浸透
成長機会の取り込み
―持続的な成長に向けて―
リスクへの対応
―資本コストの低減―
■ 「カゴメファン」拡大に向けたコーポレートコミュニケーションの強化
■ 既存カテゴリーのバリューアップによる利益獲得力の維持・強化
■ 次代の成長因子形成に向けた展開領域の拡大
■ 上記活動を支えるDX、特にCDP活用の高度化
■ 為替、相場をはじめとする不安定な原料調達に対する、調達力・エリアのさらなる分散
■ 収益性、成長性の高い事業への重点的な取り組み強化、及び商品ポートフォリオの柔軟な組み替え
■ 抜本的な原価企画活動の推進、商品SKUの絞り込み

③ 足元の対応と、中期的成長の柱の育成
食品・業務用事業
急激な原材料価格の上昇を踏まえ、食品・業務用事業は、2022年に続き、2023年2月に価格改定を実施しました。価格改定後の需要創造に向けて、食品においては、4年に一度の大型プロモーション「オムライススタジアム2023®」を開催します。本企画は、取り組みを開始して10年を迎え、回を重ねるごとに注目度が高まっています。この企画を中心として、食品・業務用・農事業の垣根を越えた活動により、内食・中食・外食それぞれにおいて、年間を通じた洋食メニューの活性化に注力します。 また、株式会社TWOとの協業の進展などを通じ、プラントベースフードなど次代の成長に向けて活動を加速していきます。

「オムライススタジアム2023®」

飲料事業
飲料事業は、2023年2月に価格改定を実施しました。価格改定後の需要創造に向けて、特に野菜飲料市場の最大のブランドである「野菜生活100」シリーズをリニューアルします。野菜配合率を従来の60%から70%に高め、クセのないすっきりとした飲みやすい味わいへと仕上げました。また、野菜飲料の「色の価値」に焦点を当て、カロテノイドに代表される機能性とともに、
情緒性を両立した従来にない大きなプロモーションを展開します。キャンペーンワードである「GoVivid(あざやかに、生きよう。)」をテーマに、オンライン・オフラインそれぞれでの接点で多面的なアプローチを推し進め、現在のユーザーの飲用頻度の拡大とともに、新たな顧客層の獲得を目指します。

<国内農事業>農事業では、主に生鮮トマト、ベビーリーフ等の生産・販売を手掛けております。
当事業の売上収益は、前期比0.4%増の95億82百万円、事業利益は前期比56.9%増の4億49百万円となりました。
① 概要
生鮮トマトやベビーリーフなど生鮮野菜の生産・販売を中心に「野菜の会社」を体現すべく事業活動を進めています。生産から消費までのバリューチェーンの高度化を図り、安定的な収益を獲得するとともに、日本の「農業振興」と「健康寿命の延伸」の社会課題解決に貢献します。
② 2022年度の概要(成果・課題)
成果課題
売上収益は、天候や病害などの影響により生鮮トマトの取扱量が減少したものの、需要喚起策を積極的に行ったことや市況が2021年度を上回ったことにより、増収となりました。事業利益は、構造改革による固定費削減効果により、増益となりました。
営業面の取り組みでは、ディズニーキャラクターをデザインした商品により幅広い世代の需要喚起を図りました。また、「高リコピントマト」「高GABAトマト」などの高付加価値商品の販売構成を順調に上げることができました。家庭園芸への関心が高まっており、トマトの苗やトマトの土の販売も好調でした。生産性向上の取り組みでは、AI 人工知能による深層学習機能を活用した生鮮トマト収量予測システムを主要菜園に導入しました。
2022年度は、肥料及びLPガス価格の高騰など急激な資源高と最低賃金上昇などによる生産コスト圧迫、夏秋時期の不安定な天候(猛暑や豪雨など)による生鮮トマト調達量不足など、想定を超える外部環境悪化の影響を受けました。これらの環境変化の影響を受けにくい事業構造への転換を推し進めることが最大の課題と捉えています。効率的なエネルギーの使用や作業効率改善など生産性向上に注力するとともに、品種・作型・立地にあった調達戦略を推進していきます。また、新規顧客・チャネルでの販売拡大に向けて、安定
したQuality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)に向けた取り組みと新商品の提案を積極的に行っていきます。


バリューチェーン分析による本事業の強み・弱み
STRENGTH 強み
■ 生鮮トマトでのナショナルブランドの確立
■ トマトの高度な品種開発力、生産調達力、マーケティング力
■ 自社営業網・物流網による周年供給力と販売網
■ 機能性成分や残留農薬の分析による品質保証体

■ 農事業に関する専門スキル(知識・技術)を持った人材
WEAKNESS 弱み
■ 生鮮トマト特有の市況影響による収益ボラティリティ
■ 生鮮トマトのコモディティ市場における価格競争力の低下
■ 労働集約型の施設園芸分野における生産自動化の遅れ
■ トマト、ベビーリーフ以外の野菜の品種、産地、流通などの生産基盤の不足
成長機会の取り込み
―持続的な成長に向けて―
リスクへの対応
―資本コストの低減―
■ 政府による「みどりの食料システム戦略」において、農業の削減など当社が培ってきたノウハウを活用する機会の獲得
■ ロボット・AI・IoTを活用したスマート農業や環境制御技術の開発進展
■ 生鮮野菜の販売チャネルの多点化と健康志向の高まり
■ 農業分野でのESG投資やSDGsなど農業分野での関心の高まり
■ 大型温室の増加による競争激化への対応
■ 人件費、エネルギー費、資材費、物流費などのコスト上昇への対応
■ 気候変動による栽培適地の減少や新たな病害虫の発生への対応

③ 足元の対応と、中期的成長の柱の育成
中期経営計画における環境変化と対応策
急激な資源高に対して、販売単価の引き上げと原価上昇の抑制および固定費の削減の両輪により、利益確保に取り組みます。関連部門との連携を強化し、「KAGOMEトマトブランド」の認知率向上と、顧客接点拡大に取り組むとともに、「高リコピントマト」「高GABAトマト」などの高付加価値商品の構成比66%以上を目指し(2022年実績54%)、市況の影響

ベビーリーフ菜園
を受けにくい構造へ確実にシフトします。また、原価上昇抑制と併せて、継続生産が可能な取引価格(調達価格)の設定、収益力強化に向けた販売施策と業務プロセス改革などに取り組み、低市況でも利益を確保できるコスト構造を実現します。新たな成長領域の開発としては、トマトやベビーリーフに次ぐ生鮮野菜(紫たまねぎなど)の開発・育成に取り組みます。
家庭園芸事業では、トマト苗で業界トップを目指し、新たにトマト以外の野菜苗の販売も拡大していきます。

中長期的な価値創造に向けて
「先進的で持続可能な農ビジネスを構築し、日本の農業をアグレッシブにリフレッシュする!」ことを目指して価値創造を進めます。そのために、品種開発力×技術力×調達力×営業力を、社内外との業務連携により高め、生鮮野菜の生産から消費までのバリューチェーンの高度化を推進します。
具体的には、研究開発部門と連携した新たな高機能性野菜の開発、最新テクノロジーを活用した植物体モニタリング技術や収穫ロボットなどの研究・開発、先進的なバリューチェーンへの変革に取り組みます。サプライチェーンの高度化を通して、高付加価値化した生鮮野菜や関連商品を拡充することにより、消費者の多様化する健康ニーズに応えます。

一般のたまねぎの約1.5倍のケルセチンを含む紫色があざやかなたまねぎ「高ケルセチン紫たまねぎ」


<国際事業>国際事業では、種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売まで垂直統合型ビジネスを展開しております。
当事業における売上収益は、前期比33.6%増の678億30百万円、事業利益は、前期比52.7%増の36億8百万円となりました。
① 概要
国際事業は、種子開発から農業生産、加工、販売事業などを展開しています。加工はトマトペーストなどを製造する一次加工と、トマトペーストを原材料としてトマトソース、ピザソースなどを製造する二次加工に大別されます。国際事業の主な顧客は調味料メーカーや外食企業などで、米国、欧州、豪州などでBtoBビジネスを展開しています。
② 2022年度の概要(成果・課題)
成果課題
米国を中心に展開するKagome Inc.は、堅調な米国の外食需要を背景に、新規顧客を含むフードサービス企業向けの販売が好調に推移しました。Kagome Inc.の売上収益はコロナ禍以前の2019年度を大きく上回る水準となり、国際事業の成長を牽引しています。また、ポルトガルのHITをはじめとしたトマト一次加工も、世界のトマトペーストの市況高の影響もあり、増収に大きく寄与しました。事業利益は、原材料やエネルギー価格の急激な高騰があったものの、各社で価格改定を実施したほか、円安の影響もあり、増益となりました。直近の課題は、世界的なインフレへの対応です。これには、生産性向上や固定費削減を進めるほか、価格改定を実施して利益を確保していきます。一次加工のように川上に近い事業はコスト上昇分を価格に順調に転嫁できており、二次加工においても随時価格改定を行っています。これらの取り組みにより、2023年度の事業利益率は前年度比+0.4ポイント改善の5.7%を見込んでいます。中長期的には、米国を中心とした成長戦略の検討と実行、一次加工を中心としたサプライチェーンの強化などが課題です。


バリューチェーン分析による本事業の強み・弱み
STRENGTH 強み
■ フードチェーンに向けたメニュー提案によるソリューション力
■ グローバルに展開するトマトの一次加工会社によるトマトペーストの安定確保
■ グループ会社共通の品質管理基準の展開による品質力とESG課題の推進
WEAKNESS 弱み
■ 一次加工など川上ビジネスにおける収益ボラティリティ
■ 購入額の大きい特定顧客への依存度の高さ
■ B to Cにおけるブランド認知の不足
成長機会の取り込み
―持続的な成長に向けて―
リスクへの対応
―資本コストの低減―
■ 米国の外食産業でのQSR(Quick Service Restaurant)及びファストカジュアル業態への提案強化
■ テイクアウト・デリバリーニーズや店舗運営効率に対応した容器商品などの開発
■ 生活者の健康意識が高まるアジアでの野菜飲料の拡大
■ 当社リソースの活用による安定したサプライチェーンの確保
■ 一次加工でのトマト以外の野菜や果実加工品の
生産可能性の検討
■ インオーガニック成長も含めた新規顧客の開拓と
高付加価値商品へのシフト
■ 野菜飲料の価値伝達や独自素材の使用による差別化とブランド確立

③ 足元の対応と、中期的成長の柱の育成
中期経営計画における環境変化と対応策
コロナ禍からの規制緩和により米国の外食需要は大きく回復しており、今後も継続的な成長が見込まれます。外食企業では原材料コストの上昇や店舗の人員不足が課題であり、環境対応にも積極的なことから、今後は店舗運営効率を考慮した新しい容器の商品開発やグループを挙げたESG課題への取り組みを強化していきます。
また、コロナ禍やウクライナ情勢を経て、内食需要の増加やトマトから競合作物への転作が起きたほか、水不足などの影響でトマトペーストの世界在庫は一転して低水準となりました。当面は安定したサプライチェーンを確保できることが重要であり、グループ会社のリソースを活用して高品質のトマトペーストを一定量確保し、競争力を高めていきます。

Kagome Inc.の商品を使用した外食メニュー

中長期的な価値創造に向けて
今後の国際事業は、米国を中心とした成長戦略と一次加工を中心としたサプライチェーンの強化に取り組みます。
第3次中期経営計画では、「オーガニック・インオーガニック、両面での成長追求」を4つのアクションの一つに掲げており、米国における既存グループ会社とのシナジーを活かし、他企業との協業やM&Aなども視野に入れた成長戦略を描いています。2021年に設置した「米国成長戦略プロジェクト室」を中心に、展開エリアや商品形態の拡大など、様々な面から検討を進めています。

カゴメオーストラリアの真空濃縮機
また、世界的なサプライチェーンの混乱が起きつつある中、トマトペーストの安定生産、安定確保は国際事業のみならず、トマトペーストを主力原料とする国内加工食品事業の継続にとっても、極めて重要です。一次加工のグループ会社を持つことを強みとして、安定したサプライチェーンを構築することに注力していきます。

なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。
また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りであります。
(3)財政状態の分析
当連結会計年度末は、資産合計につきましては、前期末に比べ101億63百万円増加いたしました。
流動資産につきましては、前期末に比べ56億77百万円増加いたしました。
これは、主に「現金及び現金同等物」が、固定資産の取得や、自己株式の取得などにより98億40百万円減少したものの、原材料価格の高騰に備えた在庫の積み増しにより「棚卸資産」が104億15百万円、「営業債権及びその他の債権」が38億29百万円増加したことによります。
非流動資産につきましては、前期末に比べ44億86百万円増加いたしました。
これは主に、海外子会社における製造設備の更新などにより「有形固定資産」が15億85百万円増加、当社子会社であるKAGOME INC.(米国)の持分法適用会社であるIngomar Packing Company, LLCの利益が増加したことなどにより「持分法で会計処理されている投資」が12億67百万円増加、主に円安によるデリバティブ資産の時価増加や、プラントベースフードのスタートアップ企業である株式会社TWOへの出資などにより「その他の金融資産」が9億90百万円増加したことによります。
負債につきましては、前期末に比べ79億13百万円増加いたしました。
これは、主に運転資金の増加に伴い「借入金」が81億68百万円増加したことによります。
資本につきましては、前期末に比べ22億49百万円増加いたしました。これは、主に「自己株式」の取得及び処分により77億32百万円減少、「利益剰余金」が配当により32億77百万円減少した一方で、「親会社の所有者に帰属する当期利益」により91億16百万円増加、「その他の資本の構成要素」が主に主要通貨に対する円安が進行したことにより27億28百万円増加したことによります。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は52.8%、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,383円50銭となりました。
(4)連結キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、213億90百万円となり、前期末に比べ98億40百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、46億35百万円の純収入(前期は147億96百万円の純収入)となりました。この主要因は、税引前利益が125億57百万円となったこと、減価償却費及び償却費が82億82百万円となったこと(以上、キャッシュの純収入)、棚卸資産の増加により75億75百万円、法人所得税等の支払いにより42億60百万円支出したこと(以上、キャッシュの純支出)によります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、94億57百万円の純支出(前期は141億62百万円の純支出)となりました。この主要因は、前述の製造設備の更新などによる、有形固定資産及び無形資産の取得(投資不動産含む)により98億78百万円支出(前期は148億23百万円支出)したことによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、55億12百万円の純支出(前期は276億52百万円の純支出)となりました。この主要因は、先述の通り短期借入金の増加により63億19百万円の収入がありましたが、自己株式の純増加により77億86百万円、配当金の支払いにより32億78百万円、それぞれ支出があったことによります。
(資本の財源及び資金の流動性)
① 財務戦略の基本方針
目的指標2021年度実績2022年度実績第3次中計方針
財務基盤の安定自己資本比率
信用格付
54.6%
シングルA
52.8%
シングルA
50%以上
シングルAの維持
資本効率を重視した成長ROE8.5%7.7%9%以上
安定的な利益還元総還元性向※33.6%38.9%40%以上

※総還元性向は、2021年10月29日に取締役会で決議した自己株式100億円を含みません。
当社グループは、安定した財務体質のもと、成長投資と利益還元を両立することを財務戦略の基本方針としています。持続的な成長を支え、大きな変化に耐えうるには、財務基盤の安定維持が前提となります。2022年度末の自己資本比率は52.8%、信用格付はシングルAを維持しており、財務基盤は安定しています。しかしながら、世界的なトマト原材料不足や原材料費をはじめとする各種コストの高騰など、当社グループを取り巻く事業環境は厳しさを増しています。
足元の環境下、当社はお客様へ商品を安定供給するための戦略的な原材料在庫の積み増し、コスト抑制や販売価格の見直しなどの取り組みを進めています。この過程において、今後、一時的な業績の落ち込みや在庫を含めた必要運転資本の増加による資金需要への対応は、基本的に金融機関からの借入金で賄いつつ、「デジタル特典付き社債」などの新しい資金調達手法も取り入れます。
そのため、第3次中期経営計画期間においては、当社グループにおける財務基盤の安定性の目安である自己資本比率50%以上、信用格付シングルAの維持が難しい局面が一時的に発生することも予想されます。当社は、直面している厳しい環境を打開するために収益性の早期回復はもちろん、M&Aを含むインオーガニック成長を実現していくことが極めて重要と考えています。
第3次中期経営計画期間のインオーガニック成長投資は、300~500億円を想定していますが、自己株式や金融機関のコミットメントライン・当座貸越枠によりその準備資金を確保しています。オーガニック領域における収益性回復とインオーガニック成長の達成により、一時的に落ち込む財務基盤をより安定した盤石なものとし、中長期的な成長につなげていきます。なお、財務基盤の安定とともに、グループ全社でのROIC管理や投資管理の徹底など、資本効率を重視した成長を図っていきます。
加えて、第3次中期経営計画においては、配当及び自社株買いを含め総還元性向が40%以上となるよう安定的・継続的に株主還元を行う予定です。また、第3次中期経営計画期間における配当計画については、38円以上を安定的に配当することとしています。
② 効率的な投資を実行するための体制
設備や事業への投資においては、社内専門部署の選抜メンバーで構成される投資委員会により、各部署から起案された投資について採算性やリスク評価を踏まえた審査を経て決定されており、投資後のモニタリングを実施し、その効果を確認しています。同委員会の確認を受けた議案が経営会議や取締役会へ上程され、正式な審議を受けています。
投資判断基準
対象指標基本要求水準
事業投資IRR(内部収益率)※110%+α※2
設備投資PBP(回収期間)※34年

※1 Internal Rate of Return:事業計画から得られるフリー・キャッシュ・フローの現在価値から初期投資額を差引いた金額がゼロとなる割引率
※2 αは国や地域に応じたカントリーリスク※3 Payback Period:投資金額が回収されるのに要する期間
投資のモニタリング体制
●執行後5年間を対象
●年1回の取締役会・経営会議にて報告
③ 資本効率を高める取り組み
当社は、利益を獲得するだけではなく、投下した資本の適切性や効率性を測定するため、2021年度よりカゴメROIC※による管理を導入しています。カゴメROICは、獲得したEBITDAに対して投下した資本の効率性を測定し、貸借対照表項目を各要素に分解することで、改善すべき課題を明確にすることを目的としています。
2022年度の目標と実績については、以下の表の通りです。 2022年度は、国際事業の売上収益が大幅に増加した一方、原料・エネルギー価格等の高騰により国内加工食品事業の利益が減少した結果、EBITDAマージンが減少しました。また、棚卸資産が大幅に増加したことにより、投下資本回転日数が増加しました。これは、原材料の高騰など外部環境の変化とそれに伴う対策として在庫確保を戦略的に進めたことによります。その結果、2022年度のROICは、目標から1.1point悪化し、11.5%となりました。
※ カゴメROIC:EBITDA÷投下資本
(ROICツリー展開) 当社においては、ROICツリーを資本効率向上のためのコントロールドライバーとして活用しています。ROICツリーの展開により、ROICからブレイクダウンしたBS指標を各部門のKPIに落とし込むことで、これに基づくアクションプランを各社・各部門にて設定し、自律的にPDCAを回すことで指標の改善を図っています。その上で、各社・各部門にて効率を意識した改善活動を行い、最適なサプライチェーン体制の構築をはじめとした取り組みを進めます。
2021年度実績2022年度目標2022年度実績2023年度目標
ROIC(%)13.112.611.57.5
EBITDAマージン(%)11.410.710.37.0
EBITDA (百万円)21,63321,20021,09214,900
売上収益 (百万円)189,652199,000205,618213,000
投下資本回転日数 (日)317309327338

2022年実績及び2023年目標値の主なポイント・KPI
2022年実績 ●EBITDAマージン(悪化)
○国際事業売上増及び原材料価格の高騰に伴う原価増
●投下資本回転日数(悪化)
〇原材料高騰及び戦略的な在庫の積み増しによる棚卸資産増加など
2023年目標 ●EBITDAマージン(悪化)
○原材料価格の高騰に伴う原価増及び価格改定に伴う販売数量減による利益減など
●投下資本回転日数(悪化)
〇原材料高騰及び戦略的な在庫の積み増しによる棚卸資産増加など
主なKPI 売上債権回転日数(営業本部)、原材料在庫高(調達部)、社内加工材在庫高(生産部)、製品在庫日数(SCM本部)、海外子会社の在庫回転日数(国際事業本部)

資金調達×成長 双方の実現
2023年は新しい資金調達手法に挑戦し、デジタル特典付き社債「愛称:カゴメ日本の野菜で健康応援債」を10億円発行しました。このデジタル特典付き社債は、ブロックチェーン技術によるみずほフィナンシャルホールディングスのデジタルエンゲージメントプラットフォームを通して売買され、従来の社債とは異なる特徴を有しています。一口当たりの購入単価が低いこと、社債発行者様の情報についてご本人同意の元に発行体が入手できること、カゴメ商品を特典として提供できることなどが特徴です。 現在、当社は約19万人の“ファン株主”の皆様に支えていただいており、本社債購入者様にも“ファン貸主”になって頂きたいと考えています。金融商品を通じて当社商品のご理解を深めていただき、商品を手に取っていただく、そういった関係を作っていきたいと考えています。

(生産、受注及び販売の状況)
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。
セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)
飲料36,03812.1
通販724△1.0
食品他18,1475.9
国内加工食品事業 計54,9109.8
国内農事業2,8322.0
国際事業57,55240.7
その他24833.5
合計115,54323.1

(注) 1 金額は製造原価によっております。
2 金額は消費税等を含めておりません。
b. 受注状況
主要製品の受注生産は行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。
セグメントの名称金額(百万円)構成比(%)前期比(%)

飲料外部顧客に対するもの75,9070.6
セグメント間取引--
75,90736.90.6
通販外部顧客に対するもの13,5780.4
セグメント間取引--
13,5786.60.4
食品他外部顧客に対するもの48,4811.6
セグメント間取引--
48,48123.51.6
国内加工食品事業 計外部顧客に対するもの137,9680.9
セグメント間取引--
137,96867.10.9
国内農事業外部顧客に対するもの9,5700.3
セグメント間取引11164.6
9,5824.60.4
その他外部顧客に対するもの2,03618.0
セグメント間取引1852.2
2,2211.016.5
国際事業外部顧客に対するもの56,04334.5
セグメント間取引11,78729.2
67,83032.933.6
調整額△11,984△5.828.8
連結売上収益205,618100.08.4

(注) 1 各セグメント間のセグメント売上収益を消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
株式会社日本アクセス34,08518.032,37515.7

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