訂正有価証券報告書-第72期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2019/07/31 11:43
【資料】
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【項目】
126項目

研究開発活動


1.香辛・調味加工食品事業、健康食品事業、海外食品事業
当社グループ(当社および当社の関係会社)は、“「食で健康」クオリティ企業への変革”というテーマを掲げております。国内市場で長年にわたりご愛顧をいただいている各製品ブランド力の維持・強化に努めると共に、成熟した市場の中で「食で健康」という領域にフォーカスし、お客さまの立場に立った新しい価値をご提供し続けることができるよう、研究開発活動を行っております。
当社グループにおきましては、当社の中央研究所をグループ研究戦略の推進機能の拡充および、グループR&D部門、技術関連部門、グループ企業との連携強化を狙いとして、研究開発本部(千葉県四街道市、東京都千代田区)と名称変更いたしました。研究開発本部、ハウス食品㈱の開発研究所(千葉県四街道市)、ハウスウェルネスフーズ㈱の開発研究所(兵庫県伊丹市、千葉県四街道市)の3部門が、研究開発活動を担っており、「新たな需要の創造」と「確かな設計」の両立を目指し、変化する社会にあって安心してご使用いただけ、ご満足をいただける食品を創出するために、広範な研究開発を実施しております。
(1) 研究開発取組姿勢
①製品開発・技術開発分野
製品開発・技術開発分野では、お客さまのニーズやウォンツにお応えできる「新しい価値」を有した製品づくりに努めるとともに、お客さまの食生活と健康に貢献するべく、「よりおいしく、より簡便に、より健康に」にこだわりを持ち、品質の一層の向上に努め、独自性のある技術に裏打ちされた製品の開発に取り組んでおります。
香辛・調味加工食品事業におきましては、お客様の根底にある時短・簡便ニーズにおける食卓のワンディッシュ化への対応として、ごはんにかける専用シチューの素「シチューオンライス」を開発いたしました。大人の男性にも食べざかりのお子様にも満足いただける、ごはんに合う食べごたえあるワンディッシュメニューをご家庭でお楽しみいただけます。また、外食を中心に盛り上がりを見せているエスニック料理は、今後は家庭内で作りたいというニーズが拡大すると予測しています。そこで全国約16万の加盟店を持つ飲食店情報サイト「ぐるなび」協力のもと、日本で人気のエスニック料理専門店のシェフから直接指導を受け、こだわりの調理技法や風味作りを生かした本格的な味わいをお届けするエスニック調味料シリーズ「エスニックガーデン」を開発いたしました。
健康食品事業におきましては、伸長著しいゼリー市場に対応し、「PERFECT VITAMIN 1日分のビタミンゼリー」シリーズの追加ラインナップとして、「ピーチ味」と「マスカット味」を開発いたしました。これにより「グレープフルーツ味」と合わせて3種類の味覚バラエティで、幅広いお客様のビタミン補給&小腹満たしニーズにお応えします。
②基礎研究分野
基礎研究分野では、食品科学のみならず、生化学、植物育種・栽培学、化学工学、生理学など多方面からの研究を行い、高水準の技術保有に努めております。特に、製品および使用原料の安全性確保の観点から、油脂中に含まれ健康リスクが懸念される3-MCPD脂肪酸エステルとグリシドール脂肪酸エステル、および食物アレルゲンを中心とした分析技術の強化・研究に注力しております。当連結会計年度は、平成29年度「安全な農林水産物安定供給のためのレギュラトリーサイエンス研究」委託事業において、「油脂を用いた加熱調理が、食材中の3-MCPD脂肪酸エステル類及びグリシドール脂肪酸エステル類の生成に及ぼす影響を把握するための分析法の開発」に取組み、当社で開発した方法がより簡便に欧州食品安全機関(EFSA)指定の方法と同等の分析結果を出すことを示すなどの成果を出しました。また、当社で開発した方法は日本油化学会の基準油脂分析試験法に収載されました。この他、胡椒の産地識別法や、加工食品中の虫異物同定法についての学会発表を行ない、虫異物同定法については日本食品衛生学会より優秀発表賞を受賞いたしました。
また、タマネギ催涙因子に関する研究についても、引き続き内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)において、千葉大学と連携して精力的に共同研究を進めています。タマネギ研究の成果といたしましては、涙の出ないタマネギ(スマイルボール)の販売は、数量限定ながら、販売地域をさらに拡大いたしました。今後もおいしさや機能性を保有した付加価値タマネギの研究開発・販売を進めてまいります。
健康維持に必要なビタミンや、さまざまな生理機能があるといわれるスパイスに加え、近年その健康維持への効果が期待されている乳酸菌につきまして、これらの効果を検証するための試験、ならびに、新しい作用を見出すための基礎研究を継続して精力的に取り組んでおります。当連結会計年度では、「飲料に配合する葉酸(ビタミンB9)の安定化に関する研究」「ウコンエキスの作用に関する研究」および「免疫賦活作用を有する乳酸菌L-137の畜産分野での応用研究」につきまして、科学的に確認した一連の研究として、学術誌に論文が掲載されました。
(2) 研究体制
当社グループの3つの研究所は、基礎研究・機能性研究、製品開発、技術開発、容器包装開発、お客様生活研究、海外技術拠点統括、研究企画、運営の各部門で構成しており、それぞれの部門において専門的な研究開発活動に取り組む一方、情報ネットワークを活用し、研究所間の垣根を越えて、お互いが有機的に連携して相乗効果を高めるよう努めております。また、海外事業における製品開発サポート体制も継続的に強化しております。
組織をフラットな小グループ制とし、柔軟性ある運用により市場の変化と商品の多様化にフレキシブルに対応するとともに、保有技術を目に見えるサービスにいかに具現化していくかというこだわりを持って運営にあたっております。
(3) 研究開発費
当連結会計年度における研究開発費の総額は3,955百万円であります。
2.外食事業、その他食品関連事業
特に記載すべき事項はありません。