有価証券報告書-第74期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/07/17 10:10
【資料】
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【項目】
162項目

研究開発活動

1.香辛・調味加工食品事業、健康食品事業、海外食品事業
当社グループ(当社および当社の関係会社)は、“「食で健康」クオリティ企業への変革”というテーマを掲げております。国内市場で長年にわたりご愛顧をいただいている各製品ブランド力の維持・強化に努めると共に、成熟した市場の中で「食で健康」という領域にフォーカスし、お客さまの立場に立った新しい価値をご提供し続けることができるよう、研究開発活動を行っております。
当社グループにおきましては、研究開発本部、ハウス食品㈱の開発研究所(千葉県四街道市)、ハウスウェルネスフーズ㈱の開発研究所(千葉県四街道市、兵庫県伊丹市)の3部門が、研究開発活動を担っており、「新たな需要の創造」と「確かな設計」の両立を目指し、変化する社会にあって安心してご使用いただけ、ご満足をいただける食品を創出するために、広範な研究開発を実施しております。
(1)研究開発取組姿勢
① 製品開発・技術開発分野
製品開発・技術開発分野では、日本の成熟市場では潜在化しやすいお客さまニーズを掘り起こし、「新しい価値」を有した製品づくりに努めるとともに、お客さまの食生活と健康に貢献するべく、「よりおいしく、より簡便に、より健康に」にこだわりを持ち、品質の一層の向上に努め、独自性のある技術に裏打ちされた製品の開発に取り組んでおります。
香辛・調味加工食品事業におきましては、カレーのメニュー魅力のさらなる強化を目指し、お子様が独立されたご夫婦2人暮らしにちょうどよい量(2~3皿)の、炒めて作る新しいカレー、ハウス「ソテーカレー」を開発いたしました。ご夫婦2人でも「わざわざ作っても食べたい」と思っていただけるように、肉、野菜、果実の旨味と華やかなスパイスの香りが濃縮された、溶けやすいペーストタイプのカレールウに仕上げています。肉や旬の野菜などの具材をフライパンで炒め、ペーストルウと水を加えて加熱するとすぐにとろみがつくため、野菜の食感、彩りを損なうことなく、おいしいカレーが短時間で簡単に出来上がります。
健康食品事業におきましては、日常生活や運動後の疲労感が気になる方に向け、C1000 ビタミンレモンシリーズ初の機能性表示食品「C1000 ビタミンレモンクエン酸味」を開発いたしました。機能性関与成分のクエン酸3000mgが含まれており、継続摂取によってお客様の健康をサポート。また、レモン果汁とクエン酸の強い酸味に炭酸を組み合わせた爽快な味わいをお楽しみいただけます。
グループ横断の取り組みとして、乳酸菌L-137の加熱処理という素材加工技術による食品への加工や長期保存に強い特徴を活かし、マロニー株式会社の「プチプチ乾燥麺」シリーズの新たなラインナップとして「まもり高める乳酸菌L-137」が100億個入った「乳酸菌L-137 プチ!プチ!乾燥麺」を開発いたしました。
② 基礎研究分野
基礎研究分野では、食品科学のみならず、生化学、植物育種・栽培学、化学工学、生理学など多方面からの研究を行い、高水準の技術保有に努めております。当連結会計年度では、弘前大学大学院医学研究科の共同研究講座「食と健康 科学講座」において、健康寿命延伸につながる新たな食スタイルを提案することを目指して、青森県の岩木健康増進プロジェクト健診・いきいき健診や沖縄県のやんばる版プロジェクト健診での味覚感受性試験や食生活アンケートを行ない、味覚や食生活と様々な健康指標との関連性の解析を進めました。一方で、製品および使用原料の安全性確保の観点から、油脂中に含まれ健康リスクが懸念される3-MCPD脂肪酸エステルとグリシドール脂肪酸エステルなどの食の安全にかかわる分析技術の強化・研究にも注力しております。当連結会計年度においては、弊社が開発した油脂含有食品中の3-MCPD脂肪酸エステル及びグリシドール脂肪酸エステルの間接分析法については、国内だけでなく海外の学会においてもその有用性が認められ、日本油化学会と米国油化学会のJointの基準法ならびに推奨法として登録されました。また、タマネギ催涙因子に関する研究については、昨年度までの内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)を終了した後、引き続き農水省の戦略的プロジェクト研究推進事業に参画して、農研機構と連携して精力的に共同研究を進めました。タマネギ栽培研究におきましては、お客様にさらに高品質なスマイルボール(涙の出ないタマネギ)を安定的にお届けするだけでなく、生産者の方々にも最適な栽培方法を提供するため、栽培法の検討、品種改良を継続的に進めております。ハーブ栽培研究につきましては、植物工場事業を行うファームシップ株式会社と共同研究を行い、バジルなどのハーブ類の栽培、生産技術開発を進めております。
健康関連の分野では、健康維持に必要なビタミンや、さまざまな生理機能があるといわれるスパイスに加え、近年その健康維持への効果が期待されている乳酸菌につきまして、これらの効果を検証するための試験、ならびに、新しい作用を見出すための基礎研究を継続して精力的に取り組んでおります。当連結会計年度では、ウコンエキスについて「慢性炎症の改善」、乳酸菌L-137について「脂質代謝と炎症の改善」に関する研究成果を学術論文として発表いたしました。
(2)研究体制・しくみ
当社グループの3つの研究所は、基礎研究・機能性研究、製品開発、技術開発、容器包装開発、お客様生活研究、グループ技術連携、研究企画、運営の各部門で構成しており、それぞれの部門において専門的な研究開発活動に取り組む一方、昨年度から行っていた千葉研究センターのリノベーション工事が完成し、部門間の垣根を越え、お互いが有機的に連携して相乗効果を高める環境づくりも進んでいます。その成果は、昨年度から開始した One Day a Week(20%ルール)において、共創の中から生まれたアイデアがクラウドファンディングなどを利用して公開されるなど、少しずつ形となっています。また、海外事業における製品開発サポート体制も継続的に強化しております。
組織をフラットな小グループ制とし、柔軟性ある運用により市場の変化と商品の多様化にフレキシブルに対応するとともに、保有技術を目に見えるサービスにいかに具現化していくかというこだわりを持って運営にあたっております。
(3)研究開発費
当連結会計年度における研究開発費の総額は4,465百万円であります。
2.外食事業、その他食品関連事業
特に記載すべき事項はありません。