有価証券報告書-第168期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/23 17:00
【資料】
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【項目】
186項目
文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)当社グループの企業理念
当社グループは、創立者である渋沢栄一が座右の銘の一つとしていた『順理則裕』を企業理念としています。『順理則裕』とは、「なすべきことをする、なすべからざることはしない。順理を貫くことで、世の中をゆたかにし、自らも成長する。」という会社の創業精神です。いわゆるCSV(Creating Shared Value:社会課題の解決に貢献するとともに、経済的価値の向上を図り、企業価値を高める)の考え方を、当社グループは創業当時から140年以上にわたり受け継いできました。
2019年、当社グループは、あらためて渋沢栄一の創業精神に立ち戻り、時代の変化に対応しながら、社会への貢献を通じて持続的に成長できる会社となることをめざして、企業理念体系「TOYOBO PVVs」として再整理しました。
■企業理念体系「TOYOBO PVVs」
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(2)サステナブル・ビジョン2030(2022年5月発表)
当社グループは、企業理念体系「TOYOBO PVVs」に基づいて、長期ビジョン「サステナブル・ビジョン2030」を発表しました。今後の事業環境の変化や社会トレンドを想定し、「人」と「地球」に関する5つの社会課題とサステナビリティ目標およびアクションプランを設定しています。当社のコア技術をベースにしたイノベーションにより5つの社会課題解決へ貢献していくことで、「安心してくらせる「ゆたか」な社会の実現と企業価値向上のスパイラルアップ」という当社グループのありたい姿を実現していきます。
■サステナブル・ビジョン2030の全体像
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(3)マテリアリティ
当社グループは、ステークホルダーの要請・期待に応え、めざす姿「人と地球に求められるソリューションを創造し続けるグループ」を実現するため、マテリアリティ(サステナブルな会社であるための重要課題)を特定しています。ステークホルダーにとっての影響度と当社グループにとっての影響度の2軸から、優先度の高い目標を明確にし、「事業を通じて社会課題解決に貢献する」「人的資本」「環境・モノづくり」「事業基盤」の4つの領域に整理しました。
■マテリアリティマップ
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(4)2025中期経営計画、および2026年度以降の取組み(2022~2025年度)(2022年5月発表)
① 基本方針
「2025中期経営計画(2022~2025年度)(以下、「2025中計」といいます。)」では、2025年を「サステナブル・ビジョン2030」で掲げる目標達成に向けた通過点としました。2025中計策定時点において、大規模な火災事故や品質不適切事案など、製造業としての信頼が揺らぐ事案を抱える一方、工業用フィルム事業を除く事業の成長が足踏みしていました。そこで、2022年度から2025年度までの期間を「つくりかえる・仕込む4年」と位置づけ、「安全・防災、品質の徹底」「事業ポートフォリオの組替え」「未来への仕込み」「土台の再構築」の4つの施策への取組みを通じて、「サステナブル・グロース」への変革を図りました。
■基本方針と4つの施策
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② 2025中計の進捗(2022~2025年度)
(イ)経営環境
2025中計期間における当社グループを取り巻く事業環境は、米国では、インフレ抑制を目的とした金融引締めや相互関税政策の影響がみられたものの、雇用環境の底堅さを背景に個人消費は概ね堅調に推移し、景気は総じて底堅く推移しました。中国では、不動産市場の低迷が長期化し、個人消費も力強さを欠いたことから、内需の回復は限定的にとどまり、景気停滞が継続しました。国内においては、賃上げの広がりを背景とした所得環境の改善や、企業の設備投資の持ち直しにより、景気は緩やかな回復基調で推移しました。
(ロ)業績
このような経営環境の中、2022年度から2025年度までの2025中計は、「サステナブル・ビジョン2030」の前半、「つくりかえる・仕込む4年」と位置づけ、4つの施策に取り組んできました。安全・防災、品質の徹底、事業ポートフォリオの組替え、未来への仕込み、そして土台の再構築など、積極的な設備投資、事業構造改革、組織風土改革を含めた基盤づくりと成長に向けた仕込みを進めました。
しかしながら、急激な原燃料高騰など事業環境変化への対応遅れ、大型成長投資の立上げ遅れなどにより、営業利益、ROE、ROICなどの財務指標は当初計画に対し未達となりました。2025中計の最初の2年間は、収益が大きく低下しましたが、後半は、価値に見合ったプライシングの徹底、要改善事業への対策、全社プロジェクトによる経費削減などにより、収益の回復、改善を図りました。
■財務指標
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■稼ぐ力の低下と回復
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(ハ)4つの施策の進捗
2025中計の4つの施策のうち、「安全・防災、品質の徹底」「未来への仕込み」「土台の再構築」は着実に前進しましたが、「事業ポートフォリオの組替え」に遅れが生じました。
i)施策1:安全・防災、品質の徹底
安全・防災については、「ゼロ災」をめざして、「安全防災ロードマップ」に沿って、ハード面(安全基盤の整備)、ソフト面(安全文化の醸成)での取組みを進めてきました。2021年度以降、重大インシデント・ゼロを達成しました。具体的な取組みとして、ハード面においては、現場安全防災総点検を実施し、老朽化更新を含む安全・防災投資を進めました。また、労働環境のリスク低減のため、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の認証取得を進め、2026年3月末時点で、敦賀事業所、岩国事業所、宇都宮工場、犬山工場の4拠点が取得しています。ソフト面においては、安全ワークショップの推進や、安全意識調査の実施と結果の活用を進めました。
品質については、「品質保証体制再構築ロードマップ」に沿って、PL/QAアセスメントの徹底、品質データのオンライン化、品質の中核人材育成(Qaceセミナー)(※)を含む製品安全・品質保証教育の充実化や品質不正に関する研修などのコンプライアンス教育の強化、品質保証マニュアルの多言語化(海外拠点への共有)などを進めました。加えて、品質文化の醸成、その基盤となる組織風土改革、安全・安心を最優先するモノづくりを推進しました。過年度に発生した品質不適切事案への対応として、エンジニアリングプラスチック製品においてISO9001認証を2024年5月に再取得し、医薬品製造受託においてアメリカ食品医薬品局(FDA)より受領していたWarning Letterが2023年7月に解除されました。
(※) Qace:Qa_assurance Qc_control Qe_ensuranceの頭文字をとったもの
ii)施策2:事業ポートフォリオの組替え
「収益性」と「成長性」の2軸により、各事業を「重点拡大事業」「安定収益事業」「要改善事業」「新規育成事業」に層別し、それぞれの位置づけに応じた事業運営を行いました。「収益性」は営業利益を使用資本で除した使用資本利益率(ROCE)、「成長性」は年平均売上高成長率(CAGR)を指標としました。「収益性」は資本コストをベースにハードルレート6.5%、「成長性」は業界の年平均売上高成長率を参考にハードルレート4.5%を目安として設定しました。なお、当社グループ全体の資本効率性指標はROICとしましたが、各事業の層別においてはROCEを用いました。
■事業ポートフォリオ(位置づけの変化)
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a.重点拡大事業
フィルム事業およびライフサイエンス事業は、当社グループに優位性があり、市場の拡大が見込めるものとして「重点拡大事業」に位置づけ、中長期の成長拡大をめざして積極的な投資を計画どおりに実施してきました。一方で、技術難易度の高い新製品の製造設備を含め、大型投資が集中したことから、一部の新設備において立上げ遅れが生じ、収益に影響を与えました。
b.安定収益事業
環境・機能材事業は、安定収益事業に位置づけられていますが、各商材のもつ成長機会および潜在力を再評価し、第三の柱とすべく、2023年4月に、三菱商事株式会社との合弁会社である東洋紡エムシー株式会社による事業運営を開始しました。当社のモノづくりと三菱商事株式会社のグローバル経営力により、経営基盤の整備・強化、収益改善施策の実行を進めるなど、順調な立ち上がりを見せました。
c.要改善事業
2025中計策定当初、要改善事業に位置づけられた衣料繊維事業、エアバッグ用基布事業、医薬品製造受託事業の3事業は、黒字化ロードマップに従い、収益性は着実に改善しました。しかしながら、包装用フィルム事業と不織布マテリアル事業においては、原燃料価格高騰など事業環境の変化により収益性が低下しました。このことにより、当該2事業の位置づけを2024年度に要改善事業に変更し、それぞれに収益性改善に向けた対策を実行しました。
■セグメント別 アクションプランの結果
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iii)施策3:未来への仕込み
4つのコア技術「高分子技術」「バイオ・メディカル技術」「環境技術」「分析・シミュレーション技術」を融合させ、リニューアブルポリマー100%を目標とする「新循環プラスチックソリューション」、水・空気などの環境浄化やCO2の回収・利用に貢献する「環境アクティブクリーンソリューション」、人々が健康に寿命を全うできる社会をめざす「Well-Beingソリューション」の3つの領域でイノベーションの創出を進めました。
また、気候変動対応として、カーボンニュートラルに向けて策定した「GHG排出量削減ロードマップ」に沿って、Scope1,2の2050年ネットゼロ達成に向けて取り組むと同時に、バリューチェーン全体のGHG排出量の削減を進めました。加えて、燃料電池や風力発電に使われる材料、良質な水域・大気の維持に貢献する海水淡水化膜やVOC(揮発性有機化合物)回収装置など環境分野での拡販を図りました。
さらに、DXの実現に向けて、IT環境を整備し、ビジネス・イノベーションを加速・推進するための基盤づくりを進めました。当社はこの取組みについて、経済産業省の認定基準を満たしていることが評価され、2024年2月に「DX認定事業者」の認定を取得しました。
また、TX(Toyobo-Transformation)活動として、デジタル活用にとどまらず、意識改革・組織風土改革までを含む「付加価値革命」を実践する取組みを進めました。
iv)施策4:土台の再構築
当社グループが持続的に成長していくために必要な基盤の再構築として、「人的資本」「人権の尊重」「モノづくり現場力の強化」「事業基盤の整備」「ガバナンス・コンプライアンス」「組織風土改革」を進めました。
「人的資本」については、「人」こそが最も重要な経営資本と位置づける「人材マネジメント方針」のもと各種施策を実行しました。具体的には、次世代経営人材やモノづくりを支える現場リーダーなどの人材育成、ダイバーシティの推進、健康経営の推進などの取組みを進めていくことで、従業員の幸せと当社グループの持続的成長、そして、従業員エンゲージメントの向上を図りました。
「人権の尊重」については、2020年10月に制定(2024年2月改定)した「東洋紡グループ人権方針」にのっとり、外国人技能実習生の就業状況を把握し、特に海外グループ会社において児童労働や強制労働がないことの確認を進めました。また、役員・従業員向けに「ビジネスと人権研修」を実施し、人権デュー・デリジェンスの啓発を進めました。
「モノづくり現場力の強化」については、技術者教育体系の整備や階層別教育の強化を行い、デジタル技術の活用(スマートファクトリーなど)、全社の知恵を結集するための現場交流や3Sの取組みなどにより、生産革新活動の全社展開を進めました。
「事業基盤の整備」については、全社・事業所拠点構想の検討、老朽化したインフラのリニューアル投資やレガシーシステムの更新などに取り組みました。
「ガバナンス・コンプライアンス」については、グループガバナンスの強化として、リスクマネジメント体制の整備を行いました。具体的には、リスクマネジメント部は、リスク内在部門(事業)、リスク主管部門(スタッフ)と連携しながら、リスクアセスメント(重大リスクの抽出、モニタリング)、リスク最小化のための資源配置を行い、グループ会社へも展開しました。内部監査部は、監査の結果および財務報告に係る内部統制評価の状況を取締役会および監査等委員会へ報告し、内部監査機能の実効性を確保しています。また、コンプライアンスについては、全従業員の理解促進とルールの周知徹底を行うため、「東洋紡グループ コンプライアンスマニュアル」を毎年発行・配布しています。また、研修や勉強会の充実や具体事例の共有等を推進するとともに、内部通報窓口の利用促進を図りました。
「組織風土改革」については、人事・労務総括部による企業理念体系「TOYOBO PVVs」の浸透活動を軸に、組織の垣根を越えて、気づきを改善・改革につなげる働きかけや「カエ続ける」ことを文化として定着させるための取組みを行いました。また、社長ほか経営幹部と従業員が対話する「まじめな雑談」など職場での対話機会を広げていくことで、心理的安全性の向上に努めました。
③ 2026年度以降の取組み(2030中期経営計画(2026~2030年度))
当社グループは、「サステナブル・ビジョン2030」の後半に位置づける「2030中期経営計画」(以下、「2030中計」といいます。)を策定しました。2030中計では、財務体質の改善と利益成長を両立させ、事業ポートフォリオ改革と投資効果により2030年度までにROE8%超をめざします。具体的には、「安全・防災、品質、コンプライアンスの徹底」を大前提とし、「事業ポートフォリオ改革」「未来への布石」「基盤づくり・強化」の3つの施策を進めます。
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(イ)安全・防災、品質、コンプライアンスの徹底(大前提)
安全・防災については、「安全防災ロードマップ」に沿って、安全文化の醸成と安全基盤の整備を活動の両輪とし、全ての階層への教育の充実や安全防災投資によるリスク低減に取り組み、「ゼロ災」をめざします。品質については、「品質保証体制再構築ロードマップ」に沿って、PL/QAアセスメントの徹底、品質データのオンライン化などを推進することで、安全・安心な製品・サービスをお届けします。コンプライアンスについては、引き続き、研修の充実や具体事例の共有、内部通報窓口の利用促進施策などを進め、問題の早期発見と是正に努めます。
(ロ)事業ポートフォリオ改革
主な事業を、収益性(事業別ROA)と将来性(今後の市場成長率、市場シェアなど)の軸で評価し、「重点」「維持改善」「育成」「課題」に層別しました。2030年度に向けて、「重点事業」には、収益拡大のため積極的に資源を投下し、「維持改善事業」は、投資を抑制しつつ、収益を最大化していきます。「育成事業」は、競争力を強化し、収益力を高めていきます。一方、「課題事業」は、収益性と資産効率の改善に取り組みます。これら層別に基づく取組みを進めることで、2028年度には、主要事業の使用資本全体に占める重点事業の比率を2025年度時点の27%から50%超に引き上げる計画です。
■事業ポートフォリオ改革
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(ハ)未来への布石
当社グループの価値創造ストーリー(※1)に基づき、「先端材料」「ヘルスケア」「環境・エネルギー」の3つの領域を、価値提供領域と再設定しました。当該3領域に開発資源をシフトすることにより、技術・製品開発と事業化を加速していきます。また、当社グループの技術や製品を社会の課題解決(ソリューション)、社会実装につなげるために、技術開発と市場・顧客の開発の融合などマーケティング機能を強化します。
一方、当社グループは、気候変動リスクへの対応として策定した「カーボンニュートラルに向けたロードマップ」に沿って、2050年までにGHG(※2)排出量(Scope1,Scope2)ネットゼロ達成に向けて取り組みます。併せて、当社グループの活動に関連するバリューチェーン全体のGHG排出量の削減を進めます。
※1 )価値創造ストーリー
・『順理則裕』(なすべきことをなし、ゆたかにする)のもと
・高分子、バイオのコア技術をベースに、柔軟性と変革のDNA、粘り強さ、真摯さの企業文化により、社会課題の解決に貢献し続ける
・お客様との共創、およびパートナーとの協業を通じて、多様な素材を目的性能に最適化することで、顧客価値を創造し、人々の暮らしと地球環境を「ゆたか」にする。そして、私たち(人・企業)も成長・発展し続ける
※2)GHG:Greenhouse Gas(温室効果ガス)
■未来への布石(価値提供領域)
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■未来への布石(重点3領域)
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(ニ)基盤づくり・強化
人的資本においては、価値創造ストーリー、中期計画と連動した人材開発、組織開発に取り組みます。TX(Toyobo-Transformation、東洋紡が変わる)の推進においては、「ヤメル、まとめる、つなぐ」の基本方針を通じて、デジタル技術も活用し、業務改革、ものづくり改革など生産性改革と付加価値の創出を図ります。
安全・防災、品質については、これまでの取組み成果を踏まえ、新たなロードマップに沿って活動を推進します。加えて、リスクマネジメント体制の整備など、経営基盤の整備・強化を図ります。
■基盤づくり(TXの推進)
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■基盤づくり(安全・防災、品質)
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④ 財務指標
当社は、2025中期経営計画において、「売上高」「営業利益」「営業利益率」「EBITDA」「当期純利益」「自己資本利益率(ROE)」「投下資本利益率(ROIC)」「D/Eレシオ」「Net Debt/EBITDA倍率」を重要な財務指標として設定し、持続的な成長と企業価値の向上に取り組んできました。持続的な成長を実現する観点からは、積極的な投資マインドを社内に醸成するため、営業利益に減価償却費を加えた「EBITDA」を活用するとともに、資本効率を重視した経営を推進する目的で「投下資本利益率(ROIC)」を重視し、成長性と効率性の両面から経営資源の適切な配分に努めてきました。
また、社債の発行体格付の維持・向上等を通じて資金調達の安定性を確保する観点から、有利子負債と自己資本の比率を示すD/Eレシオを重視し、財務規律の維持に取り組んできました。2018年度から2021年度までの中期経営計画においては、D/Eレシオ1.0倍未満を目標として掲げ、当該目標を達成しました。これを踏まえ、2025中期経営計画では、将来の成長に向けた先行投資を機動的に実行する観点から、D/Eレシオの目標を1.2倍未満とし、併せて、キャッシュ・フロー創出力と有利子負債とのバランスを適切に管理するため、Net Debt/EBITDA倍率を指標に加え、4倍台を目安として財務運営を行ってきました。
しかしながら、経営環境の大きな変化に加え、事業ポートフォリオの組替えの遅れによる営業キャッシュ・フローの減少や、フィルム事業、ライフサイエンス分野をはじめとする成長事業への大型投資を優先的に実行した結果、有利子負債が増加しました。この結果、2025年3月末において、D/Eレシオは1.37倍、Net Debt/EBITDA倍率は6.1倍となり、財務指標は一時的に悪化する状況となりました。
このような状況を踏まえ、成長投資の継続と財務健全性の両立を図ることを目的として、2024年9月に、劣後特約付ローンおよび公募劣後特約付社債により、総額400億円の資金調達を実施しました。これらの資金調達は、資本性を考慮した財務基盤の強化に寄与するとともに、信用力を維持しながら中長期的な成長に必要な投資余力を確保するための施策として位置づけています。
2025年度においては、要改善事業の正常化および構造改革の進展を通じて、事業の稼ぐ力を回復させるための取組みを進めてきました。その結果、営業利益およびEBITDAは改善基調に転じ、ROE、ROICといった資本効率指標についても回復に向けた動きが見られるようになりました。あわせて、D/EレシオおよびNet Debt/EBITDA倍率についても、改善に向けた道筋を示すことができたものと認識しています。
一方で、持続的な企業価値向上に向けては、収益力の回復を確実なものとしつつ、事業ポートフォリオ改革を一層推し進め、営業キャッシュ・フロー創出力を大幅に向上させることが重要であると認識しています。
こうした2025年度までの実績および課題認識を踏まえ、当社は2026年度以降を対象とする新たな中期経営計画(2030中計)を策定しました。2030中計においては、収益力の回復と事業ポートフォリオ改革の進展を通じ、営業キャッシュ・フロー創出力の大幅な向上を図る方針としています。こうしたキャッシュ・フローの改善を基盤として、成長分野をはじめ、安全・防災・環境に関する投資を継続的に実行するとともに、財務規律を維持しながら、D/EレシオおよびNet Debt/EBITDA倍率の改善、ならびに資本効率の段階的な向上をめざす方針としています。
当社は、2025年度経営方針として掲げた「未来をつくるために稼ぐ力を取り戻す」のもとで進めてきた取組みを確実に成果につなげるとともに、2026年度以降は、2030中計に基づく成長ステージへと移行することで、持続的な企業価値の向上を図っていきます。
中東情勢の緊迫化による影響については、2030中計には織り込んでいません。
■2030中期経営計画における財務指標
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■2030中期経営計画における財務戦略
(キャッシュ・フロー・アロケーション)(設備投資)
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⑤ 資本コストや株価を意識した経営
当社グループでは、PBRが1.0倍を下回る状態にあることを重く受け止め、引き続き資本コストと株価を意識した経営を推進します。
2030中計では、「事業ポートフォリオ改革」「未来への布石」「基盤づくり・強化」の三つの施策を着実に実行し、財務体質の改善と利益成長を両立させます。これによりROE8%超をめざすとともに、持続的な企業価値の向上を通じて、PBR1.0倍超の実現および株主価値の向上を図ります。
■企業価値向上へ向けて ~成長投資・仕込みの成果を実現する~
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⑥ 株主還元方針
「第4提出会社の状況 3配当政策」に記載のとおりです。

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