有価証券報告書-第162期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)会社経営の基本方針
当社グループは、創業者である渋沢栄一が座右の銘の一つとしていた『順理則裕』を企業理念としています。『順理則裕』とは、「なすべきことをする、なすべからざることはしない。順理を貫くことで、世の中をゆたかにし、自らも成長する」ということを意味します。いわゆるCSV(Creating Shared Value:社会課題の解決に貢献するとともに、経済的価値の向上を図り、企業価値を高める)の考え方を、創業から約140年間、受け継いでまいりました。
1882年に綿紡績事業からスタートし、1960年代に合成繊維事業に進出し、さらに、蓄積した技術・ノウハウをフィルムなどのスペシャルティ事業に展開してきました。このように、世の中の変化に合わせ、社会課題の解決に貢献できる事業に経営資源を集中させることで、事業ポートフォリオを大きく変えてきました。
2019年、当社グループは、時代の変化に対応しながら、社会への貢献を通じて成長軌道を描きつづける会社となるために、あらためて渋沢栄一の精神の原点に立ち戻り、企業理念『順理則裕』を企業理念体系「TOYOBO PVVs」として再整理しました。
・理念(Principle)
『順理則裕』なすべきことをなし、ゆたかにする
・めざす姿(Vision)
私たちは、素材+サイエンスで、人と地球に求められるソリューションを提供しつ続けるグループになります
・大切にすること(Values)
私たちは、変化を恐れず、変化を楽しみ、変化をつくります。
・TOYOBO Spirit:挑戦、信頼、協働
企業理念体系を実現するために、2020年4月に、最終のお客様、マーケットを意識したソリューション型の組織体制に改編し、長期成長シナリオの立案とともに、マーケティング機能の強化を図ります。加えて、この企業理念体系が、グループのすべてのメンバーの判断、行動の拠り所となるよう、会社の組織風土・働き方改革を進める全社プロジェクトである「カエルプロジェクト」を通じて、浸透・定着を進めています。
(2)中長期的な経営戦略と課題、および、目標とする経営指標
①2018年中期経営計画(2018~2021年度)
2018年度から4年間の中期経営計画では、短期的な課題に取り組みつつ、中長期的な課題への取組みや、企業風土改革などの事業基盤づくりも進めていく「1/3思考」の考え方のもと、以下の3つの重点施策を実行しています。
②目標とする経営指標(2018年中期経営計画)
当社グループが特に重視する経営指標は、「営業利益」、「自己資本利益率(ROE)」、「総資本営業利益率(ROA)」です。2018年中期経営計画(2018~2021年度)において、営業利益300億円以上、ROE8%以上を目標としています。また、当社グループ内の業績管理指標としてROAを採用し、ROA7%以上を目標としております。
財務体質に関しては、債務格付けの維持向上と資金調達上の安定性確保の観点から、「有利子負債と純資産の比率(D/Eレシオ)」を重視し、D/Eレシオ1.0倍未満を目標にしています。ただし、将来の成長に向けた投資には時機を逸することなく実施することが肝要と考えており、引き続きD/Eレシオに留意しつつも1.0倍にこだわらず、収益力の強化に取組んでまいります。
下表に、2018年中期経営計画における主な経営指標と目標(2018年5月公表)、およびこれまでの実績を示します。なお、新型コロナウイルス感染症の影響が不透明であり、外部環境の前提が大きく変化しているため、2021年度目標の達成時期が遅れる可能性があります。
③マテリアリティの特定
2020年5月に、マテリアリティ(重要課題)を特定しました。GRIスタンダード、SASBスタンダード、国連グローバル・コンパクト、ISO26000、各種ESG調査などを参照してロングリストを作成したのち、当社役員・従業員へのアンケート、ヒアリングを経て、重要性を整理しました。そして、理念体系「TOYOBO PVVs」に沿って、マテリアリティ8項目を特定しました。
マテリアリティの前提として、「コーポレート・ガバナンス」「人権の尊重」「安全・防災・品質」の3項目を基本事項と捉えます。マテリアリティは、「ソリューション提供力(事業を通じた貢献)」、「サプライチェーンマネジメント」、「製品のライフサイクルマネジメント」、「人材マネジメント」、「温室効果ガス削減」、「環境負荷低減」、「データ・セキュリティ、プライバシー」、「コンプライアンス」の8項目です。このマテリアリティをもとに、各ステークホルダーとのコミュニケ―ションを拡充していきます。
今後は、本マテリアリティに従い、目標(KPI)設定、施策立案、進捗管理をすると同時に、マテリアリティを長・中期経営計画にも反映していきます。
④2025年度に向けた長期構想
企業理念体系、およびマテリアリティにある「ソリューション提供力(事業を通じた社会貢献)」を実現するため、2020年4月、従来の製品・技術を軸としたプロダクトアウト型の組織体制から、最終のお客様、マーケットを意識したソリューション型の組織体制に改編しました。「フィルム・機能マテリアル」「モビリティ」「生活・環境」「ライフサイエンス」を成長分野と位置づけて、社会をゆたかにする事業に積極投資し、長期的な成長を実現します。
具体的には、2025年度、連結売上高5,000億円をめざし、下表に示します各分野の「めざすべき姿」を設定し、ソリューション提供を加速していきます。
また、地球温暖化・気候変動を事業活動の継続に関わる大きなリスクの一つと認識し、生産および物流における温室効果ガスの排出量削減に取り組んでいます。天然ガスへの燃料転換、生産効率の向上、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入などを進め、温室効果ガスの排出量を2013年度比で2030年度までに30%、2050年度までに80%削減することをめざします。

当社グループは、ESGへの取り組みを強化する一環として、2020年1月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同を表明するとともに、「TCFDコンソーシアム」に参画しました。また、「国連グローバル・コンパクト」に署名し、「人権尊重」「労働」「環境」「贈収賄を含む腐敗防止」に留意した活動を進めていきます。
(3)経営環境及び各事業部門の取組み
当社グループを取り巻く事業環境については、足元においては新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界経済はリーマンショック以来の大幅な減速となっています。個人消費の落ち込みに加え、自動車産業の減産影響を受け、多くの企業活動が停滞しています。新型コロナウイルス感染の収束時期の見通しが立てにくいうえ、早期に収束した場合でも、経済活動の正常化までに相当時間がかかる状況です。
当社グループにおいては、世界的な自動車減産の動きは、エンジニアリングプラスチック、エアバッグ用基布事業など自動車関連製品に大きな影響を及ぼしています。また、個人消費の落ち込みは、衣料繊維事業などに影響が出ています。その対応策として、国内外の一部の工場休止などを実施し、機動的に在庫・生産調整を進めます。
事業運営においては、従業員の健康・安全を最優先にした運営を心がけています。工場では、感染予防対策、感染者発生時対策、BCP対応手順を策定した上で、生産・出荷活動を続けています。本支社等の従業員に対しては、在宅ワークを推奨し、緊急事態宣言中は出社率20%以下、緊急事態宣言解除後も50%以下を目安に、新たなワークスタイルを推進しています。
なお、不測の事態を想定し、手元資金を厚めに確保すると同時に、在庫の圧縮と不急の支出を見直すOC100(Overcome Corona 100)活動を進めています。
当社グループは足元の厳しい事業環境に対応しつつも、中長期の成長をめざし、下記の取り組みをすすめていきます。なお、以下の記載にあたっては、2020年4月からの組織改編後の組織区分に基づいて記載しています。
①フィルム・機能マテリアル ソリューション
「環境対応製品・ソリューションにおけるグローバルトップランナー」をめざします。
・液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”は、非吸湿性、耐久性に優れ、価格競争力もあり、外部環境が厳しい中、液晶TV用途に販売を着実に伸ばしています。さらなる需要増に応えるべく、新製造設備による増産体制を整えます。
・セラミックコンデンサ用離型フィルム“コスモピール”は、平滑性に優れており、ハイエンド品向けに販売を伸ばしています。新加工設備により、生産能力を2倍に拡大します。
・フィルム事業基盤をより強固にするため、2019年10月1日付で、帝人株式会社が保有する子会社2社の全株式を取得し、一体運営を開始しています。技術・生産の両面で連携を強化し、シナジー効果を発揮していきます。
・透明蒸着フィルム“エコシアール”は、インドネシアのPT.TOYOBO TRIAS ECOSYAR で生産を開始し、フードロス低減に貢献できるフィルムとして、本格的に国内外に展開していきます。
・PETボトルリサイクル樹脂を80%以上使用、厚みを1/2にした飲料ラベル用フィルム、さらには、植物由来樹脂を使用したフィルムなど、環境に配慮したフィルムの販売拡大に取り組みます。
なお、プラスチック廃棄問題はサプライチェーン全体で考えていくことが重要なため、海洋プラスチックごみ問題の解決に向け、プラスチック製品の持続可能な使用や代替素材の開発・導入を推進することを目的としたCLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)、欧州の軟包装分野の循環型経済の実現を推進するコンソーシアムCEFLEX(Circular Economy for Flexible Packaging)、そして、欧州のポリエステル関連企業のバリューチェーン全体を網羅するコンソーシアムPetcore Europeに参加しています。
②モビリティ ソリューション
「安全・安心・快適なモビリティ空間へのソリューションを提供するオンリーワンカンパニー」をめざします。
・エアバッグ用基布事業は、2018年の火災事故により原糸製造設備が焼失したため、原糸を外部から調達して事業を継続しています。原糸から基布まで一貫生産できるグローバルプレーヤーへの復活に向けて、原糸工場の再建を進めます。
・エンジニアリングプラスチックは、国内だけでなく海外の自動車メーカーへの拡大を図ります。
・当社グループにおけるモビリティ分野について、横断的なマーケティング活動を強化いたします。
③生活・環境 ソリューション
「快適・健康な生活環境づくりに貢献する事業群」をめざします。
・環境ソリューション事業においては、VOC処理装置および吸着エレメントの提供を通じて、国内外の顧客の環境対応の課題解決に引き続き支援するとともに、アクア膜事業は、FO膜など新技術を投入し、世界の水問題の解決にさらに貢献していきます。
・不織布事業においては、当社グループ内にある各種不織布、各種フィルター設計の技術、拠点を融合し、高機能不織布メーカーとして、自動車分野、空調、土木・環境分野に展開を進めます。
・繊維機能材事業においては、スーパー繊維は、自転車タイヤ用途、船舶用ロープ用途など、高強力、軽量などの特性を生かす用途に拡大しています。機能性クッション材“ブレスエアー”は、2018年の火災事故後、2019年9月に工場を再建し、製造・販売を再開しています。
④ライフサイエンス ソリューション
「健康社会の実現・高水準医療提供のために仕組みづくり」をめざします。
・バイオ事業では、1940年代に研究を始めた酵母培養技術を進化させ、自己血糖センサー用酵素、PCR酵素などに注力しています。新型コロナウイルス感染症に対しては、特殊酵素等により遺伝子抽出工程を短くし、増幅速度も速め、最短60分強で新型コロナウイルスを検出・測定するキット(研究用試薬)を開発しました。2020年5月に咽頭拭い液検査、同6月に唾液検査において公的医療保険適用の対象となり、検査機関に出荷しています。
・医用膜事業においては、国内外の人工透析患者の増加に対応するとともに、新製品の開発、事業化を進めてまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症に関して、当社は、PCR検査キットのみならず、医療用フェイスシールドに用いるフィルム、医療現場の防護服に活用されるエアバッグ用基布、マスク用材料などを提供しております。
当社グループは、今後は、企業理念実現をめざし、社会課題の解決へのお役立ちを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
(1)会社経営の基本方針
当社グループは、創業者である渋沢栄一が座右の銘の一つとしていた『順理則裕』を企業理念としています。『順理則裕』とは、「なすべきことをする、なすべからざることはしない。順理を貫くことで、世の中をゆたかにし、自らも成長する」ということを意味します。いわゆるCSV(Creating Shared Value:社会課題の解決に貢献するとともに、経済的価値の向上を図り、企業価値を高める)の考え方を、創業から約140年間、受け継いでまいりました。
1882年に綿紡績事業からスタートし、1960年代に合成繊維事業に進出し、さらに、蓄積した技術・ノウハウをフィルムなどのスペシャルティ事業に展開してきました。このように、世の中の変化に合わせ、社会課題の解決に貢献できる事業に経営資源を集中させることで、事業ポートフォリオを大きく変えてきました。
2019年、当社グループは、時代の変化に対応しながら、社会への貢献を通じて成長軌道を描きつづける会社となるために、あらためて渋沢栄一の精神の原点に立ち戻り、企業理念『順理則裕』を企業理念体系「TOYOBO PVVs」として再整理しました。
『順理則裕』なすべきことをなし、ゆたかにする
・めざす姿(Vision)
私たちは、素材+サイエンスで、人と地球に求められるソリューションを提供しつ続けるグループになります
・大切にすること(Values)
私たちは、変化を恐れず、変化を楽しみ、変化をつくります。
・TOYOBO Spirit:挑戦、信頼、協働
企業理念体系を実現するために、2020年4月に、最終のお客様、マーケットを意識したソリューション型の組織体制に改編し、長期成長シナリオの立案とともに、マーケティング機能の強化を図ります。加えて、この企業理念体系が、グループのすべてのメンバーの判断、行動の拠り所となるよう、会社の組織風土・働き方改革を進める全社プロジェクトである「カエルプロジェクト」を通じて、浸透・定着を進めています。
(2)中長期的な経営戦略と課題、および、目標とする経営指標
①2018年中期経営計画(2018~2021年度)
2018年度から4年間の中期経営計画では、短期的な課題に取り組みつつ、中長期的な課題への取組みや、企業風土改革などの事業基盤づくりも進めていく「1/3思考」の考え方のもと、以下の3つの重点施策を実行しています。
| ・各事業に適した事業運営の徹底(中短期) 当社グループには、事業環境の異なる多くの事業が存在しているため、それぞれの事業に適したKPI(重要業績評価指標)を設定し、メリハリのある事業運営を推進します。成長分野の事業には、経営資源を集中的に投下し成長速度を高めます。 ・中長期新商品・新事業開発の強化 持続的な成長を実現するため、中長期的な成長分野に経営資源を戦略的に投下するとともに、外部との協業も含めた新事業開発の強化を図ります。 ・事業基盤の強化 「安全」「防災」「品質」は事業活動を支える重要な基盤であり、重要課題として引き続き対策を進めます。加えて、全社プロジェクト「カエルプロジェクト」を通じて、組織風土・働き方の改革を進め、「従業員ひとり一人が安心して生き生きとして働き続けられる職場づくり」をめざします。 | ![]() |
②目標とする経営指標(2018年中期経営計画)
当社グループが特に重視する経営指標は、「営業利益」、「自己資本利益率(ROE)」、「総資本営業利益率(ROA)」です。2018年中期経営計画(2018~2021年度)において、営業利益300億円以上、ROE8%以上を目標としています。また、当社グループ内の業績管理指標としてROAを採用し、ROA7%以上を目標としております。
財務体質に関しては、債務格付けの維持向上と資金調達上の安定性確保の観点から、「有利子負債と純資産の比率(D/Eレシオ)」を重視し、D/Eレシオ1.0倍未満を目標にしています。ただし、将来の成長に向けた投資には時機を逸することなく実施することが肝要と考えており、引き続きD/Eレシオに留意しつつも1.0倍にこだわらず、収益力の強化に取組んでまいります。
下表に、2018年中期経営計画における主な経営指標と目標(2018年5月公表)、およびこれまでの実績を示します。なお、新型コロナウイルス感染症の影響が不透明であり、外部環境の前提が大きく変化しているため、2021年度目標の達成時期が遅れる可能性があります。
| 2018年度実績 | 2019年度実績 | 2021年度目標 | ||
| 売上高 | (億円) | 3,367 | 3,396 | 3,750 |
| 海外売上高比率 | (%) | 30.5 | 32.3 | 35.0 |
| 営業利益 | (億円) | 217 | 228 | 300 |
| 営業利益率 | (%) | 6.5 | 6.7 | 8.0 |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益又は親会社株主に 帰属する当期純損失(△) | (億円) | △6 | 138 | 160 |
| ROE | (%) | - | 7.8 | ≧8.0 |
| ROA | (%) | 4.7 | 4.7 | ≧7.0 |
| D/Eレシオ | (倍) | 0.93 | 0.98 | <1.0 |
③マテリアリティの特定
2020年5月に、マテリアリティ(重要課題)を特定しました。GRIスタンダード、SASBスタンダード、国連グローバル・コンパクト、ISO26000、各種ESG調査などを参照してロングリストを作成したのち、当社役員・従業員へのアンケート、ヒアリングを経て、重要性を整理しました。そして、理念体系「TOYOBO PVVs」に沿って、マテリアリティ8項目を特定しました。
マテリアリティの前提として、「コーポレート・ガバナンス」「人権の尊重」「安全・防災・品質」の3項目を基本事項と捉えます。マテリアリティは、「ソリューション提供力(事業を通じた貢献)」、「サプライチェーンマネジメント」、「製品のライフサイクルマネジメント」、「人材マネジメント」、「温室効果ガス削減」、「環境負荷低減」、「データ・セキュリティ、プライバシー」、「コンプライアンス」の8項目です。このマテリアリティをもとに、各ステークホルダーとのコミュニケ―ションを拡充していきます。
今後は、本マテリアリティに従い、目標(KPI)設定、施策立案、進捗管理をすると同時に、マテリアリティを長・中期経営計画にも反映していきます。
④2025年度に向けた長期構想
企業理念体系、およびマテリアリティにある「ソリューション提供力(事業を通じた社会貢献)」を実現するため、2020年4月、従来の製品・技術を軸としたプロダクトアウト型の組織体制から、最終のお客様、マーケットを意識したソリューション型の組織体制に改編しました。「フィルム・機能マテリアル」「モビリティ」「生活・環境」「ライフサイエンス」を成長分野と位置づけて、社会をゆたかにする事業に積極投資し、長期的な成長を実現します。
具体的には、2025年度、連結売上高5,000億円をめざし、下表に示します各分野の「めざすべき姿」を設定し、ソリューション提供を加速していきます。
また、地球温暖化・気候変動を事業活動の継続に関わる大きなリスクの一つと認識し、生産および物流における温室効果ガスの排出量削減に取り組んでいます。天然ガスへの燃料転換、生産効率の向上、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入などを進め、温室効果ガスの排出量を2013年度比で2030年度までに30%、2050年度までに80%削減することをめざします。
当社グループは、ESGへの取り組みを強化する一環として、2020年1月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に賛同を表明するとともに、「TCFDコンソーシアム」に参画しました。また、「国連グローバル・コンパクト」に署名し、「人権尊重」「労働」「環境」「贈収賄を含む腐敗防止」に留意した活動を進めていきます。
(3)経営環境及び各事業部門の取組み
当社グループを取り巻く事業環境については、足元においては新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界経済はリーマンショック以来の大幅な減速となっています。個人消費の落ち込みに加え、自動車産業の減産影響を受け、多くの企業活動が停滞しています。新型コロナウイルス感染の収束時期の見通しが立てにくいうえ、早期に収束した場合でも、経済活動の正常化までに相当時間がかかる状況です。
当社グループにおいては、世界的な自動車減産の動きは、エンジニアリングプラスチック、エアバッグ用基布事業など自動車関連製品に大きな影響を及ぼしています。また、個人消費の落ち込みは、衣料繊維事業などに影響が出ています。その対応策として、国内外の一部の工場休止などを実施し、機動的に在庫・生産調整を進めます。
事業運営においては、従業員の健康・安全を最優先にした運営を心がけています。工場では、感染予防対策、感染者発生時対策、BCP対応手順を策定した上で、生産・出荷活動を続けています。本支社等の従業員に対しては、在宅ワークを推奨し、緊急事態宣言中は出社率20%以下、緊急事態宣言解除後も50%以下を目安に、新たなワークスタイルを推進しています。
なお、不測の事態を想定し、手元資金を厚めに確保すると同時に、在庫の圧縮と不急の支出を見直すOC100(Overcome Corona 100)活動を進めています。
当社グループは足元の厳しい事業環境に対応しつつも、中長期の成長をめざし、下記の取り組みをすすめていきます。なお、以下の記載にあたっては、2020年4月からの組織改編後の組織区分に基づいて記載しています。
①フィルム・機能マテリアル ソリューション
「環境対応製品・ソリューションにおけるグローバルトップランナー」をめざします。
・液晶偏光子保護フィルム“コスモシャインSRF”は、非吸湿性、耐久性に優れ、価格競争力もあり、外部環境が厳しい中、液晶TV用途に販売を着実に伸ばしています。さらなる需要増に応えるべく、新製造設備による増産体制を整えます。
・セラミックコンデンサ用離型フィルム“コスモピール”は、平滑性に優れており、ハイエンド品向けに販売を伸ばしています。新加工設備により、生産能力を2倍に拡大します。
・フィルム事業基盤をより強固にするため、2019年10月1日付で、帝人株式会社が保有する子会社2社の全株式を取得し、一体運営を開始しています。技術・生産の両面で連携を強化し、シナジー効果を発揮していきます。
・透明蒸着フィルム“エコシアール”は、インドネシアのPT.TOYOBO TRIAS ECOSYAR で生産を開始し、フードロス低減に貢献できるフィルムとして、本格的に国内外に展開していきます。
・PETボトルリサイクル樹脂を80%以上使用、厚みを1/2にした飲料ラベル用フィルム、さらには、植物由来樹脂を使用したフィルムなど、環境に配慮したフィルムの販売拡大に取り組みます。
なお、プラスチック廃棄問題はサプライチェーン全体で考えていくことが重要なため、海洋プラスチックごみ問題の解決に向け、プラスチック製品の持続可能な使用や代替素材の開発・導入を推進することを目的としたCLOMA(クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス)、欧州の軟包装分野の循環型経済の実現を推進するコンソーシアムCEFLEX(Circular Economy for Flexible Packaging)、そして、欧州のポリエステル関連企業のバリューチェーン全体を網羅するコンソーシアムPetcore Europeに参加しています。
②モビリティ ソリューション
「安全・安心・快適なモビリティ空間へのソリューションを提供するオンリーワンカンパニー」をめざします。
・エアバッグ用基布事業は、2018年の火災事故により原糸製造設備が焼失したため、原糸を外部から調達して事業を継続しています。原糸から基布まで一貫生産できるグローバルプレーヤーへの復活に向けて、原糸工場の再建を進めます。
・エンジニアリングプラスチックは、国内だけでなく海外の自動車メーカーへの拡大を図ります。
・当社グループにおけるモビリティ分野について、横断的なマーケティング活動を強化いたします。
③生活・環境 ソリューション
「快適・健康な生活環境づくりに貢献する事業群」をめざします。
・環境ソリューション事業においては、VOC処理装置および吸着エレメントの提供を通じて、国内外の顧客の環境対応の課題解決に引き続き支援するとともに、アクア膜事業は、FO膜など新技術を投入し、世界の水問題の解決にさらに貢献していきます。
・不織布事業においては、当社グループ内にある各種不織布、各種フィルター設計の技術、拠点を融合し、高機能不織布メーカーとして、自動車分野、空調、土木・環境分野に展開を進めます。
・繊維機能材事業においては、スーパー繊維は、自転車タイヤ用途、船舶用ロープ用途など、高強力、軽量などの特性を生かす用途に拡大しています。機能性クッション材“ブレスエアー”は、2018年の火災事故後、2019年9月に工場を再建し、製造・販売を再開しています。
④ライフサイエンス ソリューション
「健康社会の実現・高水準医療提供のために仕組みづくり」をめざします。
・バイオ事業では、1940年代に研究を始めた酵母培養技術を進化させ、自己血糖センサー用酵素、PCR酵素などに注力しています。新型コロナウイルス感染症に対しては、特殊酵素等により遺伝子抽出工程を短くし、増幅速度も速め、最短60分強で新型コロナウイルスを検出・測定するキット(研究用試薬)を開発しました。2020年5月に咽頭拭い液検査、同6月に唾液検査において公的医療保険適用の対象となり、検査機関に出荷しています。
・医用膜事業においては、国内外の人工透析患者の増加に対応するとともに、新製品の開発、事業化を進めてまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症に関して、当社は、PCR検査キットのみならず、医療用フェイスシールドに用いるフィルム、医療現場の防護服に活用されるエアバッグ用基布、マスク用材料などを提供しております。
当社グループは、今後は、企業理念実現をめざし、社会課題の解決へのお役立ちを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきます。
