訂正有価証券報告書-第92期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/07/06 14:33
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119項目

業績等の概要

(1) 業績
①事業を取り巻く環境
当連結会計年度の世界経済は、欧州連合(EU)の体制の変動による不安定要素や米国の新政権誕生など、先行き
不透明となりましたが、先進国を中心に年後半にかけて持ち直しの動きが広がりました。また、日本では、個人消費
の停滞が続きましたが、円安の進行などの影響もあり、企業収益や賃金、雇用にも改善がみられました。
自動車業界におきましては、米国では、ガソリン価格安や経済・雇用の順調な回復に支えられ、ピックアップト
ラックやSUVを中心として、販売台数は増加しました。また欧州では、EUの不安定要素はありますが、全体的に
経済の安定化により販売台数は堅調に推移いたしました。新興国では、石油価格の下落など、資源国の台数伸び悩み
がありましたが、その他の地域は、比較的堅調な台数で推移してまいりました。また、日本においては、新型車の投
入などにより普通車は堅調に推移し、販売台数も500万台を超え、3年ぶりの増加となり、前年比2.8%の増加となり
ました。
一方、IoT(Internet of Things)や人工知能などの技術革新が加速し、自動運転の進展など自動車を取り巻く
環境も大きく変貌した社会が、すぐそこまで来ているという期待が高まってまいりました。
②当期の事業概要
このような情勢の中で当社グループは、当連結会計年度までの2年間を体質強化の期間と定め、原点に立ち返っ
て、「開発力と生産技術力・生産力の徹底的な強化」「経営情報基盤構築の加速」「いきいき働き方改革」を重点と
して足許固め、構造改革を推進してまいりました。特に、米州の収益構造改革、欧州の不採算事業の見直しについて
は、これまでの徹底した取り組みが実を結び、当連結会計年度の収益の改善に大きく貢献しています。
こうした足許固めの取り組みに加え、将来を見据えた成長戦略の構築にも取り組みました。2030年の未来を予測
し、ありたい姿を明確にしたうえで、その実現のために必要な技術開発・能力構築の方向付けを行い、持続可能な成
長を目指した中期経営実行計画を策定しました。
技術開発・生産技術・生産
発売以来、幅広いユーザー層から人気を博しているトヨタ自動車㈱のコンパクトSUVに、シート、内装部品、エアフィルターが搭載されました。シートは、Toyota New Global Architecture(TNGA)の思想に基づいた標準
シート骨格の2車種目のモデルです。高いシートフレーム剛性に加え、最適なクッションパッド形状を追求したもの
で、しっかりとしたホールド感と包まれるような座り心地を実現しています。
また、LEXUSの新型クーペに、匠の技で先進的なデザインと機能性を両立したシートや内装品が採用されまし
た。内装システムサプライヤーとして、次世代のLEXUSを象徴するクーペにふさわしい手触りや質感を追求し、上質な車室空間を実現しました。
自動車以外では、映画館用シートのデザイン監修を初めて担当しました。2016年7月に愛知県名古屋駅前にオー
プンした「ミッドランドシネマ2」において、当社デザインのプレミアムシートが設置され、お客様に特別な時間を
提供する空間として多くのメディアで紹介されました。
また、2016年4月、米国のシリコンバレーに、トヨタ紡織アメリカ㈱シリコンバレーオフィスを新設しました。
当社の日本の基礎研究所や世界各地域における開発センターとも連携し、自動運転や移動空間に関する先進技術の情
報調査・分析活動をさらに強化してまいります。
事業展開
2017年3月、㈱タチエスと、自動車用シート事業におけるグローバル市場での競争力強化を目的として、業務提携
契約を締結いたしました。自動運転技術の急速な進歩など自動車を取り巻く環境が大きく変貌することが予測される
中、自動車のシートにおいても、求められる機能・価値が今までにないスピードで変化していこうとしています。将
来を見据えた新たな技術開発やモノづくり革新により、一層の競争力強化に取り組む両社は、この取り組みをさらに
推進するために業務提携を行い、今後、両社が保有する知見・ノウハウ・経営資源を相互活用し、さらなる競争力の
向上を目指してまいります。
また、2016年11月より、三井化学㈱と、高耐衝撃プラスチックの事業化に向けた業務提携を検討してきました。こ
れにより、「高耐衝撃プラスチック」を自動車用シートやドアトリムなど当社製品だけでなく、三井化学製の改質材
のひとつとして、自動車市場や産業財、消費財市場における他部品や自動車分野以外への採用拡大を期待しています。
CSR・環境活動の推進
持続可能な地球環境を目指し、当社グループが一体となって地球環境保全を推進していくため、2050年環境ビ
ジョンと2020年環境取り組みプランを策定しました。2050年環境ビジョンは、気候変動などの環境問題に対し、CO2排出量ゼロを目指す取り組みなど、6つのチャレンジ目標を掲げたもので、未来の子どもたちが笑顔で暮らせ
る社会の実現のために、ステークホルダーの皆様と一致協力して取り組んでいきたいと考えております。
また、経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人2017 ~ホワイト500~」に認定されました。
これは、優良な健康経営を実践している企業を顕彰する制度で、当社が社員の健康づくりに積極的に取り組んでいる
ことが評価されたものです。
「多様な人材がいきいき活躍できる環境整備」を重点項目のひとつに掲げ、各職場で上司と部下のコミュニケー
ション活性化や、業務の効率化、高い意欲を持って挑戦できる仕組みづくりなど「いきいき働き方改革」に取り組ん
でいます。当社は今後も、一人ひとりが心身ともに健康で安心して働くことのできる職場づくりを目指していき
ます。
連結売上高につきましては、欧州地域などの増産はありましたが、為替の影響などにより、前連結会計年度に比べ
57,859百万円(△4.1%)減少の1,357,913百万円となりました。
利益につきましては、製品価格変動や為替の影響などによる減益要因はありましたが、商品力を向上させた新製品
の増産による影響や合理化などの増益要因により、連結営業利益は、前連結会計年度に比べ12,443百万円(20.9%)
増加の71,936百万円、連結経常利益は、前連結会計年度に比べ21,101百万円(37.6%)増加の77,224百万円となりま
した。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ41,459百万円増加の45,359百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 日本
当地域におきましては、製品構成の変化などにより、売上高は、前連結会計年度に比べ7,622百万円(△1.0%)減
少の718,642百万円となりました。営業利益につきましては、競争力強化のための先行投資の影響などにより、前連
結会計年度に比べ2,989百万円(△11.5%)減少の23,084百万円となりました。
② 北中南米
当地域におきましては、為替の影響などにより、売上高は、前連結会計年度に比べ21,002百万円(△6.6%)減少
の295,403百万円となりました。営業利益につきましては、北米での車種構成の変化や合理化などにより、前連結会
計年度に比べ9,053百万円(214.9%)増加の13,267百万円となりました。
③ アジア・オセアニア
当地域におきましては、中国などでの増産はありましたが、為替の影響などにより、売上高は、前連結会計年度に
比べ29,535百万円(△8.3%)減少の327,673百万円となりました。営業利益につきましては、車種構成の変化や主力
車種のモデルチェンジに伴う増産の影響などにより、前連結会計年度に比べ985百万円(3.1%)増加の33,145百万円
となりました。
④ 欧州・アフリカ
当地域におきましては、生産台数の増加はありましたが、欧州事業再編や為替の影響などにより、売上高は、前連
結会計年度に比べ5,869百万円(△6.1%)減少の90,694百万円となりました。営業利益につきましては、欧州事業再
編の影響や、新製品立上げに伴う増産の影響などにより、前連結会計年度に比べ5,140百万円増加の2,232百万円とな
りました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、144,889百万円と前連結会計年度末に比
べ16,014百万円(△10.0%)の減少となりました。
営業活動の結果増加した現金及び現金同等物は95,389百万円となりました。これは主に、法人税等の支払額19,666
百万円、売上債権の増加10,903百万円などによる資金の減少はありましたが、税金等調整前当期純利益79,079百万
円、減価償却費36,228百万円などにより資金が増加したことによるものです。
投資活動の結果減少した現金及び現金同等物は48,927百万円となりました。これは主に、有形固定資産の売却によ
る収入1,055百万円などによる資金の増加はありましたが、有形固定資産の取得による支出31,439百万円、事業整理
に伴う支出11,149百万円などにより資金が減少したことによるものです。
財務活動の結果減少した現金及び現金同等物は61,347百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入
1,083百万円などによる資金の増加はありましたが、長期借入金の返済による支出25,526百万円、短期借入金の純増
減額24,538百万円などにより資金が減少したことによるものです。