有価証券報告書-第160期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 13:17
【資料】
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【項目】
160項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、『日東紡グループは「健康・快適な生活文化を創造する」企業集団として社会的存在価値を高め、豊かな社会の実現に貢献し続けます。』との経営理念に基づいて、時代の要請に即応し、社会の役に立つ新しい価値を創造し提供し続けることで、株主・投資家・行政・地域社会等すべてのステークホルダーと共に喜びを分かち合い、企業価値を高めていくことを目指しております。
(2) 中長期的な経営戦略
2021年2月、長期ビジョン101の2nd.ステージであると同時に、2030年にありたい姿『Big VISION 2030』の実現に向けた長期戦略の1st.ステージと位置付ける『新中期経営計画(2021~2023年度)』を策定しました。
『新中期経営計画』を着実に遂行し、持続的な社会の実現に向けた「環境・エネルギー」「デジタル化社会」「健康・安心・安全」に貢献する製品やサービスを提供することにより、全てのステークホルダーから「日東紡でよかった」と思われる企業グループを目指してまいります。
日東紡グループが目指す姿『Big VISION 2030』
日東紡グループが変化の速い環境下で生き残りを図ると同時に、次の100年も持続的な成長を図るためには、中長期的な社会・経済の環境変化を踏まえて社会的課題に取り組んでいく必要があります。
この度の『新中期経営計画』策定に併せ、健康・快適な生活文化を創造する企業集団として豊かな社会の実現に貢献していくために、私たち日東紡グループが2030年にありたい姿を『Big VISION 2030』として再定義いたしました。
2030年にありたい姿『Big VISION 2030』
持続可能な社会実現のために、
「環境・エネルギー」「デジタル化社会」「健康・安心・安全」に貢献する
グローバル・ニッチ№1を創造し続ける企業グループ


日東紡の目指すグルーバル・ニッチ№1
市場の声を“聴き・捉え・フットワークよく対応する“「高感度№1企業」、そして
独自の技術を磨き鍛えマーケット・ニーズにマッチした商品を提供する
「高付加価値商品№1企業」を目指します。


グラスファイバー・ 超スマート社会を支える電子材料分野では、技術・商品力に磨きをかけ、超極細・超極薄・スペシャルガラス分野にて世界№1企業になる
・ 複合材・産業資材分野では、提案力・対応力(スピード)・品質によりお客様の価値創造に貢献し、お客様満足度№1企業となる
ライフサイエンス・ 抗血清から試薬製造・販売を行うグローバル垂直統合事業で、免疫系血漿たんぱく診断薬分野における世界№1企業になる
繊維・ 接着技術を活用した高機能資材の分野で世界№1企業になる

新中期経営計画の概要
<成長戦略の実践>スペシャルガラスによる収益拡大、体外診断薬分野の販路拡大、新規商品の開発力強化、顧客価値を高めるソリューション営業力の強化
<経営基盤の強化>景気変動に負けない筋肉質経営、事業ポートフォリオの最適化、不採算事業の見直し、IT/DX導入による技術開発・生産技術の変革
<環境課題への取組み強化>CO2排出量の削減、リサイクル・リユースの推進、環境配慮型新商品の開発
<変革を起こす人財の育成>イノベーション人財の育成、ダイバーシティ&インクルージョンの推進、働き方改革と業務改革(デジタル・ITの活用)、従業員エンゲージメントの向上

(3) 目標とする経営指標
財務目標
2023年度
売上高1,000億円
営業利益140億円
ROE10%
自己資本比率55%

環境目標
当社グループでは、「環境に関する全社方針」を定め環境目標に取り組んでおります。
また、一元的に環境課題を把握し、課題解決への取組みを推進するため、社長直轄の「サステナビリティ推進委員会」を設けております。
2030年目標(2013年度比):連結売上高原単位▲30%、総排出量▲8%(注)
(注)パリ協定を踏まえた日本政府目標の産業部門割り当てを超える削減に取り組んでまいります。
<廃棄ガラス削減>2030年目標:廃棄ガラス量の実質ゼロ達成

(4) 経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大による景気の急激な悪化があり、下期以降一部に回復の動きが見られましたが勢いを欠きました。世界経済についても、同ウイルス感染拡大に加え米中貿易摩擦の深刻化等もあり、下期はグローバルで需要の回復が見られたものの全般的には停滞しました。セグメントごとの事業環境は以下のとおりです。
繊維事業
繊維事業では芯地や多層構造糸等、衣料の副資材や原糸の製造販売を行っています。芯地製品は、高級レディース向け市場で大きなシェアを持ち、薄物芯地の接着技術に独自性を有しています。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、日本国内の衣料品市況は、外出自粛や店舗休業等による厳しい事業環境が継続するものと思われます。
グラスファイバー事業 [原繊材事業、機能材事業、設備材事業]
当社は、1938年に日本で初めてグラスファイバーの工業化に成功して以来、業界のリーディングカンパニーとして、グラスファイバーの可能性を追求してまいりました。グラスファイバーを製造する原繊工程と、グラスファイバー加工工程の双方を備え、組成開発、原繊製造、クロス加工、複合材料開発に至る一貫した生産・開発体制を保有しております。当社独自の技術を活用した商品群を展開し、高付加価値品分野でのリーダーとして地位を築いております。
グラスファイバー事業部門に属する原繊材事業、機能材事業、設備材事業では、前年度に実施したスペシャルガラス生産設備増強の投資効果が発現しておりますが、当社グループの注力するハイエンド高速大容量通信向け市場の成長ペースが鈍化しました。
原繊材事業
原繊材事業においては、電子材料用途で、世界で最も細い水準にある極細ヤーンや、低誘電特性あるいは低熱膨張特性を備えた特殊な機能を持つスペシャルガラス・ヤーンを製造できる独自技術を保有しております。また、複合材用途においては、独自技術によりグラスファイバーの断面を通常の円形でなく長円形にすることで成型品の反り・ねじれを抑えるフラット・ファイバーを展開しています。
当社はこれらの独自技術により高い競争力を有しておりますが、今後、国内外の企業の技術的キャッチアップも想定されるため、研究開発体制の一層の強化と高付加価値製品の製造能力向上を行ってまいります。
原繊材セグメントのスペシャルガラス・ヤーンの需要は拡大しております。また、原繊材セグメントの強化プラスチック用途の複合材は、自動車、PC、家電等で需要が復調し、新型コロナウイルス感染拡大前の水準への回復が見込まれます。
機能材事業
機能材事業では電子材料用途のガラスクロスを展開しています。ガラスクロスは絶縁性・耐熱性・寸法安定性に優れ、電子基板の基材として利用されており、当社の極薄ガラスクロスはその薄さと均一な繊維分布により、電子機器の小型・高機能化に寄与しています。また、当社独自の組成によるスペシャルガラス・クロスは、高速大容量通信に求められる低誘電率、低誘電正接、低熱膨張等の特性を持ち、データセンターや携帯基地局の高周波部材、サーバーやスマートフォンなどの半導体パッケージ基板に使用されています。
5G基地局設置工事の遅延やデータセンター投資サイクルの影響により成長スピードは鈍化しておりますが、スペシャルガラスが用いられるハイエンド機器のベース需要は拡大が続いており、スペシャルガラス・クロスの需要も拡大しております。
設備材事業
設備材事業では産業資材用途グラスファイバー製品とグラスウール製品を展開しています。産業資材用途グラスファイバーは、当社の技術力が評価され大型建造物用の膜材から自動車用の制振材まで幅広い用途で採用されております。取引先が多岐にわたるため個別業界の市況変動が分散され安定的な収益計上が見込める一方で、他素材との競合もあり競争環境は厳しい状況にあります。
グラスウールは、その高い断熱性能により住宅・ビルなどの断熱材として使用されて省エネルギーに貢献するとともに、空き瓶や使用済みの窓ガラス等のリサイクルガラスを原料としているため資源の再利用にも貢献しています。当社グループはグラスウールを1949年に日本で初めて製造を開始し、現在も断熱材のパイオニアとして独自技術を保有しております。グラスウールの細繊維化を進めて断熱性能を向上させることで、環境負荷の低減に貢献しています。また、ノンホルムアルデヒドのグラスウールを開発し、安全・快適な生活の実現に寄与しています。当社グループは北海道および福島県にグラスウールの製造拠点を有する為、特に北海道・東北地区で高い販売シェアを確保しております。グラスウールは嵩比重が小さく、重量当たりの運搬コストが相対的に高いため、運搬コストの増加が業績に影響いたします。
設備・建設資材向けガラスクロス、住宅向け断熱材ともに厳しい状況が続きますが、独自技術を更に発展させ、より一層の省エネ社会の実現に貢献して参ります。
ライフサイエンス事業
ライフサイエンス事業では体外診断用医薬品、スペシャリティケミカルス製品及び清涼飲料水の製造販売を行っています。
体外診断用医薬品事業は、原料から最終製品をグループ内で一貫製造することにより高品質と安定供給を両立させ、特に免疫系の診断薬に強みを保有しています。国内市場では、高齢化の進展や医療費抑制に向けた治療から未病へのシフト等により診断薬の高機能化が求められています。また、海外市場において、先進国では高付加価値医療(高感度の免疫系試薬や感染症、遺伝子検査等)の需要増加、新興国では社会保険制度の整備に伴う診断機会の増加があり体外診断用医薬品の需要が拡大しております。当社グループは、国内において100種類以上の検査項目に対応した診断薬を販売しており、炎症マーカーや骨粗鬆症マーカー等で大きな販売シェアを確保しております。
新型コロナウイルス感染拡大により一時的に体外診断薬の需要が低下しましたが、2022年3月期は国内市場、海外市場ともに需要の回復を見込んでいます。
スペシャリティケミカルス事業では、機能性ポリマーの製造販売を行っております。販売先の業種・分野はトイレタリー、製紙、金属、電子材料、ジェネリック医薬品と多岐にわたっており、競合の参入が難しい独自性の高い製品の研究開発・製造販売に取り組んでおります。
清涼飲料水事業では、プライベートブランドのOEM生産を通じて個々のブランドホルダーのニーズにお応えすべく少量多品種製造を特徴としております。新型コロナウイルス感染拡大前の水準に需要が回復することは厳しいですが、通販市場の拡大など消費者行動の変化が見込まれます。
(5) 対処すべき課題
中期経営計画の課題
前中期経営計画で実施した高付加価値化のための成長投資は一定の成果を発現していますが、投資の回収は新中期経営計画の最重要課題です。新型コロナウイルス感染拡大による事業環境の激変もあり、将来の成長のために進めてきた基盤強化がもたらす収益への貢献スピードが、当初の計画より遅れております。2020年度の売上高、営業利益はいずれも、中期経営計画前を大きく下回る水準となり、研究開発や設備投資は計画通り進めてきたことから、自己資本比率など財務体質面でも、目標としていた数値を達成することができませんでした。
また、既述のような事業環境の大きな変化もあり、収益性が十分ではない事業分野について、構造改革が必要であることが明らかになりました。さらに、グローバル化が急速に進むサプライチェーンや自然災害等の事業経営における様々なリスクに対する強靭性を高めることがますます重要であり、中長期の課題として認識することとなりました。
また、新型コロナウイルス感染拡大への対応が課題となりますが、当社グループの取り組み・財務状況は以下のとおりです。
新型コロナウイルスに対する取り組み
当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大を受け、従業員並びにお取引先の安全確保を最優先とし、早期より対応を取ってまいりました。2020年3月から東京本部・大阪支店・都市部の営業所等に勤務する者は、新型コロナウイルス感染症の状況に応じて在宅勤務を活用し、全国の工場、子会社においてもマスク着用やアルコール消毒を徹底し、感染防止に注力してまいりました。また、2020年4月1日より代表執行役社長を本部長とする「新型コロナウイルスに関する対策本部」を設置し、グループ全体の感染予防体制の一層の強化を図ってまいりました。現時点で、日東紡グループ各工場の操業、デリバリーの状況は新型コロナウイルス発生前と変更ありません。
優先的に対処すべき課題は以下のとおりです。
ポスト・コロナへの対応
今般の新型コロナウイルス感染拡大は、人々の行動様式や社会構造に大きな変動をもたらし、感染拡大が収束した後も変革が加速していくものと思われます。
在宅勤務・テレワークの浸透や移動の制限は、次世代高速通信規格である5Gの進展を加速させ、通信インフラやPC・スマートフォン等のデバイスの一層の高度化・高速化が進行することが予測され、日東紡グループの独自製品であるスペシャルガラスは高速大容量通信に資する電子材料用基材であり、今後とも需要の拡大が見込まれます。
また、「治療から未病へ」という病気に罹る前に予防・診断を強化する流れに対しても、日東紡グループが提供する体外診断用医薬品がその一助となります。
日東紡グループの経営理念である『健康・快適な生活文化を創造する企業集団として、豊かな社会の実現に貢献する』を実践し、企業としての社会的責任を果たすべく事業継続に取り組んでまいります。
繊維事業
収益性の改善を喫緊の課題と捉え、事業構造改革を進めるとともに、芯地事業において、衣料品のみならず生活資材・産業資材への展開を加速させます。
グラスファイバー事業 [原繊材事業、機能材事業、設備材事業]
拡大が見込まれるスペシャルガラスの需要に応えるべく、新溶融炉の稼働による供給能力の増強を着実に実行するとともに、日本・台湾におけるスペシャルガラス・ヤーンの製造設備の増強計画を推し進め、各拠点における原繊工程、加工工程の最適な生産体制を構築して参ります。需要が拡大するスペシャルガラスの増産、拡販および高付加価値品のプロダクトミックス改善により、収益性の向上を図ります。厳しい事業環境が続く原繊材セグメントの複合材事業については、事業構造改革やコストダウン活動、高付加価値品の拡販を進めてまいります。
ライフサイエンス事業
体外診断薬事業においては、国内外拠点の基盤強化費用が増加しますが、国内市場・海外市場ともに新型コロナウイルス感染拡大前の水準に販売を回復するよう努めます。また、郡山市、カリフォルニア州の新工場稼働計画を推し進めるとともに、商品企画開発力、国内外の営業体制の強化や、生産性の改善と製造・販売・品質管理システムの導入を引き続き遂行いたします。飲料事業においては、販売が新型コロナウイルス感染拡大前の水準に回復することは難しいですが、通販を強化することでお客様の変化に対応し、収益性の向上に努めます。

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