有価証券報告書-第121期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 16:00
【資料】
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【項目】
144項目

研究開発活動

当社グループの研究開発活動は、自動車安全部品事業、機能製品事業において、安全、安心、快適な製品、技術を生み出すことを目的としております。大半の研究開発活動は、当社が母体となっておりますが、「パルテム」は工法が主体となるため、子会社(芦森エンジニアリング株式会社)と共同で技術開発を行っております。
研究開発部門では、中長期で将来軸となるコモディティ化し難い商品もしくはシステムの技術開発に取り組んでおります。特に、新規事業の育成につなげるため、先進ユーザー、サプライヤー、大学等との外部機関と連携、協働を強化した新たな価値創造につなげる活動を実施しております。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであり、研究開発費の総額は988百万円であります。
(1)自動車安全部品事業
シートベルトは、品質及び市場競争力向上のための継続的改善とコア技術の革新、並びに多様な衝突モードに対応可能な先進デバイスの開発を進めております。
エアバッグは、ゼロディフェクトと生産性向上の両立を軸とした開発に取組み、リアルワールドにおける自動車事故死傷者ゼロを目指した様々な事故形態に対応可能なデバイス開発、商品化を進めております。
内装品は、各種シェード、トノカバー、並びにカーゴネット類の競争力向上に主眼を置いた各種製品の開発に取組み、新規市場開拓・顧客拡大に向けた提案型商品の開発を進めております。
当連結会計年度における自動車安全部品事業の研究開発費は363百万円であります。
(2)機能製品事業
パルテムHL工法は、更生材料の改良等による製造性及び施工性向上に注力するとともに、内圧管路へ施された更生管の耐震性能検証を継続実施しています。パルテムSZ工法は、高強度化により薄肉化した更生材料を本格的に市場投入し、着実に施工実績を伸ばしました。また、更生管の更なる品質向上を目的に、既設管内径の事前測定を推進しています。パルテム・フローリング工法は、外圧試験データを拡充して、構造設計における信頼度を高めるとともに、更生管厚みの薄肉化に取り組んでいます。更生管の検査診断システムとして、自治体と「超音波による更生管管内検査手法の開発」の第2期共同研究を実施し、品質管理方法の確立ならびに更なる管更生工法の普及に注力しています。
防災関連では、通水時の圧力損失が従来品より低い消防用ドルフィンシリーズの綾織ホース及び平織ホースでの口径拡充と量産体制構築が完了し、第122期より本格的に市場投入してまいります。消防団向け操法大会用ホースは、コロナ禍の影響で大会中止が相次ぎましたが、通水性と操作性の更なる改良を継続しております。大量送水用大口径ホースは、ホースと金具の口径拡充とともに、ホースの敷設から撤収までをシステムで提供する開発を進めております。防災資機材では、車両積載型のコンパクトな緊急排水システムと鉄道車両での緊急時避難器具の開発を進めました。
産業資材関連では、労働力不足、高齢化、女性の進出等を受け、トラック物流機器については、より省力化・自動化を進めた搬送装置の開発に取り組んでまいります。また、高所作業墜落防護分野については、装着性の改善や快適性のニーズを捉えて、新しい商品の開発に取り組んでまいります。ゴム資材用広幅織物については、高機能ベルト用帆布では、高機能繊維を用いた耐久性の高いベルトの開発を継続するとともに、今後のEV化を見据え自動車エンジン用途以外の用途に対しても開発を推進してまいります。合成繊維ロープについては、海洋用途での適用評価試験や実海試験を継続し、採用実績を増やしていきます。土木分野については、軟弱地盤改良用工法を、その特徴を生かした施工現場へ展開を進めてきた結果、採用実績が徐々に増加してまいりました。
当連結会計年度における機能製品事業の研究開発費は481百万円であります。
(3)その他
技術企画部では、将来の市場を見据えて、当社のコア技術を組み合わせた商品開発を行っています。
①新市場、新商品開発
環境負荷の少ない材料での減災商品開発、介護向けアシストスーツの開発を進めております。また、農業分野では、省エネルギーで収量を向上させるシステムの開発に取り組み展開を図っております。
②円筒織物活用製品、システムの開発
革新織機や押出成形の加工技術を用い、大量送水を可能にした大口径の高耐圧・軽量・低挙動ホースの開発と展張システムの構築を行っております。
③生産革新
大気圧プラズマを応用したホース生産技術の開発、環状織機の自動化等を進めています。
当連結会計年度におけるその他の研究開発費は143百万円であります。