訂正有価証券報告書-第115期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2016/02/09 14:46
【資料】
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【項目】
116項目

研究開発活動

当社グループ(当社及び連結子会社)における研究開発活動は、自動車安全部品事業、機能製品事業各関連において、より安全、安心、快適な複合材や製品、技術を生み出す事を目的としている。
大半の研究開発活動については、当社(芦森工業(株))が母体となっているが、工事を主体とする『パルテム』に関わる工事関連の研究開発については、子会社(芦森エンジニアリング(株))と共同開発を行っている。
当社では創業140年(2018年)のあるべき姿「Ashimori 2018 Vision」を具現化、達成することを目指し(1)ATP(Ashimori Technology Platform:当社のコア技術プラットフォーム)の構築、(2)LT(Launched Technology:ATPからの発進技術)の企画化及びその実行の仕組みづくりの構築を推進している。
具体的には、この活動を通じ、当社が関連する市場の中から伸びる市場を洗い出し、そこに「コア技術」を強化・進化させた新技術・新商品を発進する活動である。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであり、研究開発費の総額は9億52百万円である。
(1)自動車安全部品事業
シートベルトは、各国法規・アセスメント対応に向けた新高性能デバイス開発、及びその信頼性向上、並びにグローバル生産に適したデバイスの開発、商品化を進めている。
エアバッグは、前面衝突、側面衝突それぞれの各国法規・アセスメント対応に向けた新高性能モジュール開発、軽量、小型化の追求、信頼性向上、並びにグローバル生産に適した開発、商品化を進めている。
内装部品は、各種シェード、トノカバー、並びにカーゴネット類の商品ラインナップ拡充、高機能製品開発、新素材開発、デザイン性向上などに取り組み、海外市場展開・顧客拡大に向けた商品化を進めている。
当連結会計年度における自動車安全部品事業の研究開発費は5億41百万円である。
(2)機能製品事業
パルテム関連では、パルテムフローリング工法は、表面部材の接合部の水密性の更なる改良により品質向上し、顧客満足度の向上に努めた。パルテムSZ工法は、下水道協会の工場認定制度の認定を取得し、下水分野での販売支援を行った。スーパーHL工法は、ガラスクロスを使用した高耐圧ライナーで上水・農水分野をターゲットとして市場導入を行った。耐震性理論構築を行い、分岐部処理方法の開発を進め、上水分野でのシェア向上に注力する。また、繊維補強した熱可塑性樹脂ライナーを用いるパルテムフレップ工法は、下水道小口径への展開のため改良を進め、目標としていた施工の短時間化ができ、本格的に市場導入を行う。水ビジネスでは、開発品である緊急給水システムは、各種展示会への出展やデモンストレーションを実施し販売支援を行う。
産業資材関連では、ゴム資材用広幅織物のタイでの生産はユーザーの認証取得手続きを終え、量産準備段階に入っており、順次量産に移行する。今後は為替リスクの分散はもとより、現地ニーズに即した現地マーケット向けについても開発を進める。合成繊維製ロープ分野では、新構造のロープが、その特性から海洋構造物等の浮体係留にも適していると考えられ、その検証実験を今期より開始し、その要求特性等を把握したうえで浮体係留用途について開発を進める。また、船舶係留用途としては、日本海事協会の認定取得を完了したので今後は販売活動に移行する。墜落防護機器分野では、リトラクタ式墜落阻止器具において旺盛な建築需要に応じワイヤタイプについてラインナップを充実させるため長さのバリエーションを追加することとし、開発に着手した。トラック搬送機器分野では、顧客満足を獲得するためラインナップ、アフターフォローの充実に努め、高い占有シェアの維持に努める。
防災関連では、通水時の圧力損失の低い消防ホースとしてドルフィンエースαを開発した。市場導入のためデモンストレーションを各消防本部向けに始めるところである。現状は口径65A使用圧1.6MPaの1アイテムであるが、ラインナップを進める。消防団の操法大会用ホースについては、2015年モデルとして操作性と通水性の更なる改良を施したものを市場に導入する。また、開発を進めてきた大口径ホースについては、原子力発電所向けとして、口径150A~300Aの型式取得が済み、市場導入を行う。
当連結会計年度における機能製品事業の研究開発費は3億18百万円である。
(3)その他
当社の研究開発活動において、新商品の開発を管轄している技術企画部があり、各事業部門が独自に行う商品開発とは別に技術戦略な観点で将来に向けた横断的な基盤技術の研究開発を行っている。長期的な競合優位性がコアコンピタンスによることを認識し、ATPとして「織る」「被覆する」「固定する」「膨らませる」を定めた。さらに、その強みを最大限に発揮できかつ、大きな変化をもたらす「もの」と「場」を見出し、多角化発進技術(LT)の創造、新規ビジネスモデルを構築することで事業拡大や新規事業の創出とそれに伴うリスクを減らす活動を進めている。
① 次の世代を担う管路更生材料の開発
年々増加する「下水道管更生市場」が要求する
[1]省エネ・環境対応 [2]効率性(短時間施工)を満足する新しい管路更生材料の開発を進めている。
② 円筒織物活用製品の開発
当社の保有する革新織機や押出成形の加工技術を最大限に活かした、「長尺」「大口径」かつ「高耐圧」な織物構造を具備した製品開発、システム化に取組んでいる。具体的には「管路更生材料」の他「建設土木資材」「水輸送用資材」「防災資材」等である。
当連結会計年度におけるその他の研究開発費は93百万円である。