有価証券報告書-第72期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 14:09
【資料】
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【項目】
92項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。リスクを含めて、不確定な要素が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。
(1) グループ経営理念
私たちの事業活動は、一人ひとりのお客さまの声に耳を傾け、謙虚に自らを変革し、人と人とが「互いに信頼し合う関係」を積み重ねることで成り立っております。こうした「相互信頼」と「人間尊重」の考え方こそが、すべての事業活動の原点であり、創業以来の経営理念です。当社グループは、「株主」「顧客」「従業員」「取引先」「地域社会」など、すべてのステークホルダーと「相互信頼」の関係を築くために、企業経営の透明性を高めることに努め、公正性、独立性を確保することを通じて、企業価値の持続的な向上を図ります。
■目標 Our Mission
世の女性に美しくなって貰う事によって
広く社会に寄与する事こそ
わが社の理想であり目標であります
■社是 Our Vision
わが社は 相互信頼を基調とした
格調の高い社風を確立し
一丸となって 世界のワコールを目指し
不断の前進を続けよう
■経営の基本方針 Our Value
1. 愛される商品を作ります
2. 時代の要求する新製品を開発します
3. 大いなる将来を考え正々堂々と営業します
4. より良きワコールはより良き社員によって造られます
5. 失敗を恐れず成功を自惚れません
(2) 中長期的な会社の成長戦略と目標とする経営指標
①環境認識
国内における市場環境は、台風など自然災害の度重なる発生や記録的な冷夏・暖冬など異常気象に起因する消費マインドの低下に加え、消費税増税後の節約志向の更なる高まりによって、先行きはさらに不透明な状況となっております。
海外の市場環境は、米中の貿易摩擦問題やヨーロッパの政情不安の影響、百貨店をはじめとする大型小売店事業の再編、デジタル技術の革新による新しい流通チャネル・マーケティングの台頭などによって、かつての安定さを欠きつつあります。
また、グローバルベースで消費者行動の変化が進行しており、「多様な価値観が一層拡がり、さまざまなネットワークで情報を入手し、自身の選択眼で消費を行う」といった動向が顕著になりつつあります。画一的な価値観の提案は受け入れられなくなる中、個々の消費者が求める自分らしい美しさの実現という期待に対して、どのように応えることができるのかといった、よりパーソナライズ化した対応が求められております。
こうした環境下においては、すべての活動をお客さま起点で見直し、変革に向けた行動を起こしていかなければならないと考えております。従って、一層のデジタル化が加速する市場環境の変化に遅れをとることなく、機敏に対応を図り成長のスピードを鈍化させないことが大きな課題であり、持続的な成長を支える多様な人材の育成とともに、未来に向けてチャレンジができる風土の醸成に取り組む必要があります。また、社会とともに持続的に成長し、グローバル化が進む世の中から信頼され、必要とされる企業であり続けるために、社会的な重要課題の解決に取り組み、地球環境や地域社会との共生を高めていくことが欠かせません。
事業を取り巻く環境変化(消費行動の変化・動向)
流通チャネルの変動
・百貨店/量販店の低迷
・ECやグローバルSPAの躍進
テクノロジー革新の加速
・全てのモノ・コトの消費時でのデジタル化の加速
・ダイレクトに生活者同士がつながる社会の拡大(SNSコミュニティ、C2C、D2C)
消費者の変化
・社会で活躍する女性の増加
・自分らしい美しさ(パーソナライズ化)の実現を求める層の増加
・装いのカジュアル化の進展
・日本国内は将来不安に伴う節約志向の持続
業界、産業構造の潮流
・高品質な下着を製造できる企業の消失
・販売員人材の不足
・社会性、倫理性のある事業活動
②長期ビジョン及び中期経営計画
<長期ビジョン>当社グループは、引き続き「グループとして世界のワコールを目指す」という将来像の実現に向けた取り組みを進めていきます。経営資源やグループのネットワークを最大限に活用し、常に先駆的な商品を世界市場に提供するよう努めると同時に、下着文化の領域を開拓し続けることを通して、ワコールグループの商品やサービスに対して、また、社会的な課題への取り組みに対しても、世界のステークホルダーから高い信頼を獲得できるよう、尽力していきます。
さらに、世界市場における競争優位性の確立に向けて、新しい事業領域や成長領域へ投資を行い、非連続成長の実現に挑戦する一方で、経営基盤の継続的な改善に努め、より大きな成果を生み出すことによって、持続的な成長と企業価値の向上を図り、100年を超えて存続を期待され続ける企業に向けて、不断の前進を続けます。
「世界のワコール」の目指す姿
1. 世界中の市場で、ワコールグループの商品やサービス、また、社会的な課題への取り組みが、顧客をはじめとするすべてのステークホルダーから高い信頼を得ている
2. 事業を展開する国や地域が、増え続けている
3. グループネットワークのもと、世界的規模で連携がとれた事業展開を行っている
4. 常に先駆的な商品を世界の市場に提供し、下着文化の領域を開拓し続けている
5. グループの目標や経営理念が、全世界の従業員に浸透している
<中期経営計画(3ヵ年・2020年3月期~2022年3月期)>「グループとして世界のワコールを目指す」という将来像の実現に向けて、2020年3月期~2022年3月期までの3カ年を新たな中期経営計画として位置付け、現実を直視し、改革をスピーディーに進め、国内外ともに力強い成長を示すことに取り組んでおります。
基本方針
「現実を直視し、将来需要を見極め、果敢に改革を行い、成長にこだわる」
・国内外ともに力強い成長軌道を示す
・成果の乏しい事業やブランドの将来性を検証し、聖域なきグループ事業構造の見直しと改革を進める
・経済的価値と社会的価値の双方を向上し企業価値を高める
中期経営計画では、これらを軸にして、デジタル技術で進化させた顧客サービスの拡充をはじめ、競合が追随できないオムニチャネル政策の実行や、国内外の垣根を取り払った付加価値の高い新製品の導入、国や地域特性を見据えた主要なECサイトとの連携強化ないしは自社ECサイトの構築、小規模にとどまっている国や地域の事業拡大に向けた成長投資、制度疲労を起こしている事業モデルの改革、競争優位性あるサプライチェーン網の確立など、個々の事業課題への対応を、スピード感を持って進めます。
また、持続可能な社会の実現に向けて、製造委託先との協働によるCSR調達の進化、脱プラスチックへの取り組みや廃棄商品の削減による地球環境との共生、多様な人材を活かしたダイバーシティ&インクルージョン組織体制の整備に努めます。こうしたサステナブルな事業基盤から育まれる、新しい価値の創出にも責任を持って取り組んでいきます。
(重点戦略については、「(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」の項に記載しております)
事業活動を通した収益性の改善と資本効率の向上に併せて、安定的な配当と機動的な自己株式の取得を行い、有価証券・投資評価損益影響(米国会計基準では連結損益計算書のその他の収益・費用として認識される)を除く、実質ベースでの総還元性向100%の維持に努めます。このほか、事業の持続的成長を支える投資を最優先する一方、適宜、政策保有株式の縮減を進めることで、適正なキャッシュバランスを築いていきます。
こうした取り組みを通して、最終の会計年度となる2022年3月期に、売上高2,100億円、営業利益140億円(連結売上高営業利益率6.7%)、当社株主に帰属する当期純利益120億円、連結ROE6%超の達成を計画しております。
<中期経営計画2年目となる2021年3月期の計画>新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた店舗の営業停止や外出制限ないし自粛要請などの措置により、当社グループの事業活動は非常に大きな影響を受けており、感染症拡大防止策の当面の継続に加え、今後想定される雇用や所得環境の悪化による個人消費の低迷は、当社グループの経営や売上・利益に対して引き続きマイナス影響を与えることが考えられます。
現時点においては、新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響を見極め、合理的に業績の見通しを算定することは困難であるため、2021年3月期の連結業績予想については未定とさせていただき、詳細が明らかになり次第、速やかに公表いたします。
以上のような厳しい状況のもと、当社グループではお客さま・従業員・関係者の健康・安全を第一にしながらも、すべての事業活動を見直し、広告宣伝費等の経費削減を行う他、役員報酬の減額や新規投資の実施時期の見直しを行います。また、金融機関からの借入枠を拡大することで、グループ各社の手元流動性の確保に努めます。
施策や経費の大胆な見直しを進めるとともに、従前から進めるデジタル・トランスフォーメーションの取り組みをさらに加速させ、顧客データベースの効率的な活用、リアル店舗とECの連携・融合、CX(顧客体験)の向上への取り組みを強化することによって、事業の成長へ向けた再出発の道筋を整えていきます。また、消費者の価値観や流通の変化を冷静に見極めるとともに、グループ全体でより一層「事業の選択と集中」に取り組むことで、安定して利益を創出できる事業体制への変革を進めていきます。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
新中期経営計画では、以下の重点課題に対して取り組んでおります。
①事業施策
●㈱ワコールの持続的成長と収益力向上
・世界屈指のからだとこころ(嗜好)のデータを保有・活用する企業へ進化
-独自のオムニチャネル戦略店舗の全国展開、サービス基盤の強化
-パーソナルデータをもとにした新商品・サービスの創出
・卸売事業における商品・グループの縮減、主力チャネルにおける取引条件の見直し
・企業ブランド向上に向けたコミュニケーションの強化
・アウトプットを高める「働き方・休み方改革」の推進
・働きがいを高める人事施策の推進
●国内連結子会社の再生
・ピーチ・ジョン:若年層の消費行動と時流の変化を捉え、大胆なECフォーカスを実行
・Ai:大人の女性から支持を獲得できる、付加価値の高いブランドの確立
・ルシアン:事業領域の選択と集中を実行。量販店との協働による新しい事業モデルの開発
・七彩:付加価値のあるマネキン商品の開発と、工事事業における新規顧客の開拓
●海外事業の拡大・成長
・米国:新しい流通チャネルや事業機会の開発への着手と、コスト構造の変革
・ヨーロッパ:国や地域、チャネルの特性に応じたブランドポートフォリオ・マーケティングの拡充と新規市場の開拓
・中国:EC市場におけるブランディング・マーケティング強化を通した未開拓顧客層の獲得
●グループ生産・供給体制の再整備
・競争力ある製品・材料が供給できる体制の構築に向け、グループ規模での横断的な生産管理体制の確立
・将来の海外事業の成長を見据えた最適な供給体制の構築
●事業ポートフォリオ拡大・新規事業への挑戦
・事業領域の「選択と集中」を意識し、中長期の視点で、非連続成長を実現するための成長投資を実施する
②社会的価値の向上(ESG課題への取り組み)
●人権、倫理、多様性を基盤にした活力ある風土づくり
・CSR調達への取り組み強化(継続的改善と対象範囲拡大)
・多様な働き方を実現する環境の整備
・ダイバーシティ&インクルージョン推進による新しい価値創出
●地球環境や地域社会との共生
・包装材等での脱プラスチック対応の推進
・売れ残り商品廃棄の縮減
③資本コストを意識した経営
●将来成長への投資と株主還元の充実
・資本コストを上回るROE6%の達成
・総還元性向100%の維持
・政策保有株式の縮減(目標:3割縮減)
2021年3月期につきましても、上記の重点課題の取り組みを基本方針として、事業運営を進めてまいります。なお、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、中期経営計画で掲げる戦略に変更や見直しが生じる場合、もしくは当初計画に重大な影響が見込まれる場合には、速やかに情報を開示いたします。
(新型コロナウイルス感染症の影響、及び今後の方針については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載しております)

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