四半期報告書-第94期第3四半期(平成29年10月1日-平成29年12月31日)

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2018/02/13 11:07
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31項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)当四半期の業績の状況
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、米国、中国で景気の拡大傾向が続き、堅調に推移しました。国内経済は、企業の収益や個人消費の改善が続く中で、緩やかな回復が続きました。
このような状況の中、当社グループの当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は、前年同四半期比5.0%増の1,103,464百万円であったものの、営業利益は、国内事業における原燃料価格の高騰等により、同9.3%減益の48,702百万円となりました。経常利益は、為替差損の減少等により前年同四半期比28.3%増益の46,481百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は、同18.0%増益の29,741百万円となりました。
各セグメントの状況は、次のとおりです。
○生活産業資材
当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期比6.3%増の486,767百万円、営業利益は、原燃料価格高騰により、同79.2%減益の3,122百万円となりました。
国内事業では、段ボール原紙・段ボールは、青果物・飲料・加工食品・通販向け等が堅調に推移し、販売量が前年に対し増加しました。白板紙は、国内販売及び東南アジア向け輸出が好調に推移し、販売量が前年に対し増加しました。包装用紙は、国内販売は販売量が前年に対し増加しましたが、輸出販売は減少しました。紙おむつは、子供用の国内販売は販売量がほぼ前年並みでした。大人用紙おむつは増加しました。家庭紙は、堅調に推移し、販売量が前年に対し増加しました。
海外事業では、東南アジアにおいて、段ボール原紙の販売が堅調に推移し、段ボールの販売も飲料・加工食品関連を中心に堅調に推移しました。紙おむつは、東南アジアにおける現地生産・販売の本格化、中国における現地販売組織立ち上げによる本格市場参入等により、販売量が前年に対し大幅に増加しました。
連結売上高: 486,767百万円(前年同四半期比 6.3%増)
連結営業利益: 3,122百万円(前年同四半期比 79.2%減)
○機能材
当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期比4.1%増の164,063百万円、営業利益は、コスト削減効果等により、同12.2%増益の14,099百万円となりました。
国内事業では、特殊紙の国内販売は、新製品開発・新規顧客開拓を進めたほか、スマホ製造工程用のフィルムや剥離紙、またインバウンド需要に伴いメディカル関連用途で当社品採用が進んだこと等により、販売量が前年に対し増加しました。輸出販売は、合成皮革製造工程用等の剥離紙等の拡販により、販売量が前年に対し増加しました。感熱紙の国内販売は、堅調に推移しました。
海外事業では、新たにグループ入りしたマレーシアのTele-Paper(M) Sdn.Bhd.が業績拡大に寄与したほか、感熱紙の販売が、南米で堅調に推移しました。
連結売上高: 164,063百万円(前年同四半期比 4.1%増)
連結営業利益: 14,099百万円(前年同四半期比 12.2%増)
○資源環境ビジネス
当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期比14.1%増の218,465百万円、営業利益は、パルプ市況の上昇等により、同96.2%増益の28,472百万円となりました。
国内事業では、パルプ事業は、溶解パルプが輸出向けを中心に販売好調であり、販売量が前年に対し増加しました。エネルギー事業は、堅調に推移し、売電量がほぼ前年並みでした。
海外事業では、パルプ事業は、Celulose Nipo-Brasileira S.A.の販売好調により、販売量が前年に対し増加しました。木材事業は、Pan Pac Forest Products Ltd.の販売好調により、販売量が前年に対し増加しました。
連結売上高: 218,465百万円(前年同四半期比 14.1%増)
連結営業利益: 28,472百万円(前年同四半期比 96.2%増)
○印刷情報メディア
当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同四半期比1.9%減の216,043百万円、営業損益は、コスト削減に努めたものの、原燃料価格高騰がコストダウン効果を上回り、同7,869百万円減益の3,389百万円の損失となりました。
国内事業では、新聞用紙は、発行部数減及び頁数減の影響等により、販売量が前年に対し減少しました。印刷・情報用紙は、販売量はほぼ前年並みでしたが、売上高は市況軟化の影響等により、前年に対し減少しました。
海外事業では、江蘇王子製紙有限公司が順調に印刷用紙の販売を伸ばし、販売量が前年に対し増加しました。
連結売上高: 216,043百万円(前年同四半期比 1.9%減)
連結営業損失(△): △3,389百万円(前年同四半期は4,480百万円の連結営業利益)
○その他
当第3四半期連結累計期間は、売上高は、商事等の増により前年同四半期比5.1%増の208,532百万円、営業利益は、同4.1%減益の6,411百万円となりました。
連結売上高: 208,532百万円(前年同四半期比 5.1%増)
連結営業利益: 6,411百万円(前年同四半期比 4.1%減)
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
①当面の対処すべき課題の内容等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更または新たに生じた課題はありません。
②会社の支配に関する基本方針について
当社は、「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下、「会社の支配に関する基本方針」といいます。)を下記(Ⅰ)のとおり定めています。また、2017年6月29日開催の第93回定時株主総会における株主の皆様のご承認に基づき、有効期限を当該定時株主総会終結から3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までとして、下記(Ⅲ)に定める特定株主グループ(注1)の議決権割合(注2)を20%以上とすることを目的とする当社株券等(注3)の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(注4)に関する対応方針(以下、「本方針」といいます。)を継続しています。
注1.特定株主グループとは、(ⅰ)当社の株券等(金融商品取引法第27条の23第1項に規定する株券等をいいます。)の保有者(同法第27条の23第1項に規定する保有者をいい、同条第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。)及びその共同保有者(同法第27条の23第5項に規定する共同保有者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。)、または(ⅱ)当社の株券等(同法第27条の2第1項に規定する株券等をいいます。)の買付け等(同法第27条の2第1項に規定する買付け等をいい、取引所金融商品市場において行われるものを含みます。)を行う者及びその特別関係者(同法第27条の2第7項に規定する特別関係者をいいます。)を意味します。
注2.議決権割合とは、(ⅰ)特定株主グループが、注1.の(ⅰ)の記載に該当する場合は、当該保有者の株券等保有割合(金融商品取引法第27条の23第4項に規定する株券等保有割合をいいます。この場合においては、当該保有者の共同保有者の保有株券等の数(同項に規定する保有株券等の数をいいます。)も計算上考慮されるものとします。)、または(ⅱ)特定株主グループが、注1.の(ⅱ)の記載に該当する場合は、当該買付者及びその特別関係者の株券等所有割合(同法第27条の2第8項に規定する株券等所有割合をいいます。)の合計をいいます。議決権割合の算出に当たっては、総議決権(同法第27条の2第8項に規定するものをいいます。)及び発行済株式の総数(同法第27条の23第4項に規定するものをいいます。)は、有価証券報告書、四半期報告書及び自己株券買付状況報告書のうち直近に提出されたものを参照することができるものとします。
注3.株券等とは、金融商品取引法第27条の23第1項または同法第27条の2第1項に規定する株券等を意味します。
注4.上記のいずれの買付行為についても、予め当社取締役会が同意したものを除きます。以下、このような買付行為を「大規模買付行為」、大規模買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。
(Ⅰ)会社の支配に関する基本方針の内容
上場会社である当社の株式は株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、大規模買付行為であっても、当社の企業価値・株主共同の利益に資する買付提案等に基づくものであれば、当社はこれを一概に否定するものではありません。かかる提案等については、買付けに応募するかどうかを通じ、最終的には株主の皆様にご判断いただくべきものと考えています。
他方、当社グループが企業価値・株主共同の利益の向上を図っていくためには、当社グループが展開する様々な事業分野において、グループ経営戦略の基本方針である「海外事業の拡大」、「国内事業の集中・進化」、「財務基盤の強化」を中長期的に推進していく必要があり、また、民間企業で国内最大の森林保有者である当社グループにとって、持続可能な森林経営を行い、中長期的に森林の公益的価値の維持・向上を図ることが、社会的責任の一つであると認識しています。したがって、当社への大規模買付行為に際し、株主の皆様が適切な判断を行うためには、当該買付者に関する適切な情報等の提供及び代替案の検討機会を含めた検討期間の確保がなされることが必要不可欠であると考えます。
しかし、当社株式の買付け等の提案においては、会社や株主に対して買付けに係る提案内容や代替案等を検討するための十分な時間や情報を与えないものも想定されます。また、買付目的や買付け後の経営方針等に鑑み、当社の企業価値・株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、買付けに応じることを株主に強要するような仕組みを有するもの、当社の社会的信用を含めた企業価値が著しく毀損しまたは当社の株主に著しい不利益を生じさせる客観的な蓋然性があるもの等、当社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
このような大規模買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えています。
(Ⅱ)会社の支配に関する基本方針の実現に資する取り組み
当社では、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させるための取り組みとして、以下の施策を実施しています。
これらの取り組みは、当社の企業価値・株主共同の利益を向上させるためのものであることから、上記
(Ⅰ)の会社の支配に関する基本方針に沿うとともに、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。
「企業価値向上への取組み」
当社グループは、「革新的価値の創造」、「未来と世界への貢献」、「環境・社会との共生」を経営理念とし、「領域をこえ 未来へ」向かって、中長期的な企業価値向上に取り組んでいきます。
この経営理念の下、「海外事業の拡大」、「国内事業の集中・進化」、「財務基盤の強化」をグループ経営戦略の基本方針に据え、下記の経営目標を掲げています。
2018年度経営目標
連結営業利益有利子負債残高
1,000億円7,000億円

これを実現するため、具体的には以下の取り組みを行っています。
(a)生活産業資材
・産業資材(段ボール原紙事業、段ボール加工事業、白板紙・包装用紙事業、紙器・製袋事業)
海外では、東南アジア・インド・オセアニアを中心に事業拡大を進めています。東南アジアでは、マレーシアの段ボール製造販売会社を2016年に買収したのに続き、ミャンマーでは2番目となる工場において段ボール事業の営業運転を開始しました。着実な需要の伸びが期待できるマレーシアでは、段ボール加工・原紙一貫での事業基盤をより強固なものとするため、GS Paper & Packaging Sdn.Bhd.において段ボール原紙マシン増設(2021年4月稼働予定)とエネルギー供給及び用排水設備更新を決定したのに続き、マレーシア中部地区で段ボールを製造する既存2工場において生産能力が倍増となる工場拡張(2018年12月稼働予定)を決定しました。さらに、ベトナムでは5箇所目の段ボール製造拠点となる新工場建設(2019年7月稼働予定)を、インドにおいても、チェンナイに段ボール工場(2018年12月稼働予定)を新たに建設することを決定しました。
オーストラリアでは、2017年9月にメルボルン近郊のCardboard Cartons Pty.Ltd.社より段ボール加工事業を買収しました。また、クイーンズランド州の新段ボール工場が、2017年10月に営業運転を開始しました。
今後も、インドネシア・フィリピンといった未進出国への展開も含め、拠点を拡大していくとともに、東南アジア・インド・オセアニア地域全体の連携を深めて製造・販売ネットワークを活性化し、収益力を強化していきます。
国内では、素材・加工一体型ビジネスをさらに推進するとともに、M&Aによる段ボール加工の事業拡大、生産性向上・競争力強化施策による全事業分野の基盤強化を推し進め、No.1総合パッケージングメーカーを目指します。また、中越パルプ工業株式会社との資本・業務提携施策の一つとして合弁で設立したO&Cアイボリーボード株式会社では、安定した需要が期待できる高級白板紙の営業生産を2017年10月に開始しました。
・生活消費財(家庭紙事業、紙おむつ事業)
家庭紙事業では、森林認証を取得した環境配慮型商品や「鼻セレブ」に代表される高品質商品をはじめとした商品展開により、一層の「ネピア」ブランドの価値向上を目指していきます。また、三菱製紙株式会社と合弁でエム・ピー・エム・王子ホームプロダクツ株式会社を設立し、三菱製紙株式会社八戸工場構内で家庭紙の製造事業を行うことについて、2017年4月に合意しました。東北地区で初めてとなる家庭紙事業の拠点獲得による物流コスト削減等を通じた家庭紙事業の競争力強化を進めるとともに、今後も安定した需要が期待される家庭紙事業の拡大を進めていきます。
紙おむつ事業の子供用分野では、国内外の統一ブランドとして展開する「Genki!(ゲンキ!)」に加え、王子史上最高品質のブランドである「Whito(ホワイト)」を2017年10月に全国一斉販売を開始しました。これまでにない「3時間用おむつ」と「12時間用おむつ」の使い分けの新提案や、独自技術「キルティングテクノロジー」等が高く評価され、2017年11月には「第10回ペアレンティングアワード」を受賞したのに続き、2018年1月には「日経優秀製品・サービス賞2017」において「日経MJ賞優秀賞」を受賞するなど、好評を博しています。今後も品質志向の高い顧客をターゲットに高価格市場を開拓していきます。また、2016年に増設したテープ型・パンツ型加工機の生産能力をフルに生かし、日本国内だけでなく、中国をはじめとする海外への輸出も一層の強化を図っていきます。東南アジアでは、マレーシア2拠点での製造販売、インドネシアの合弁会社における販売に加え、インドネシアでの生産準備も進めており、一層の拡大を図っていきます。大人用分野の「ネピアテンダー」においても、介護現場が抱える課題を解決する商品の開発を続けていきます。
(b)機能材(特殊紙事業、感熱紙事業、粘着事業、フィルム事業)
東南アジアでの機能材事業は、感熱紙・粘着紙などの川上事業を中心に展開してきましたが、2016年のマレーシアで粘着製品の印刷・加工・販売を行うHyper-Region Labels Sdn.Bhd.の買収に続き、同じくマレーシアで感熱紙・ノーカーボン紙の加工・販売を行うTele-Paper (M) Sdn.Bhd.の株式取得を2017年8月に完了しました。これらの拠点を基点にエンドユーザーのニーズを適時適確に把握し、川上・川中・川下事業が一体となって新規事業開拓及び新製品開発を強化していきます。また、ミャンマーでは食品等の消費財向けラベルの拡販とフィルム等消費財向け軟包装事業の営業生産を2017年9月に開始しました。さらに、ブラジルでは南米での感熱紙の旺盛な需要に対応するため、Oji Papéis Especiais Ltda.の生産能力を約10%増強しました。今後も東南アジア・南米・中東・アフリカ等の新興国市場の経済発展に伴って拡大する需要に応じた柔軟な対応を行い、新たな事業エリアの拡大を図っていきます。
国内については、事業の取捨選択を含めた生産体制再構築により競争力を高めることで既存事業継続を図るとともに、「複合材」「ナノインプリント」等の新技術との融合による熱可塑性複合繊維や光拡散部材等の脱「紙」製品の開発を進めます。また、製造拠点併設型の「アドバンストフィルム研究所(滋賀)」にて、EV・HEV用コンデンサフィルムや光学性機能フィルム等の高機能フィルム製品の開発をより効率的に行い、新たな事業領域への展開を進めていきます。
(c)資源環境ビジネス(木材事業、パルプ事業、エネルギー事業)
パルプ事業では、パルプ市況の変動に耐え得る事業基盤を強化するため、主要拠点にて戦略的収益対策を実施しています。2014年に買収したニュージーランドのOji Fibre Solutions (NZ) Ltd.では、当社グループのノウハウや操業管理手法等を導入・活用し、操業の安定化及び効率化対策に取り組み、ブラジルのCelulose Nipo-Brasileira S.A.では製造設備の最新鋭化等による継続的な収益対策を進めています。また、江蘇王子製紙有限公司では、増設したドライパルプマシンが2017年10月に営業運転を開始しました。その他、2014年に稼働した溶解パルプ製造設備ではレーヨン用途向け製品の生産に加えて、工業薬品原料や医療品材料等の高付加価値品の開発を鋭意進めています。
新規ビジネスであるエネルギー事業については、設置済みの3基のバイオマス発電設備が順調に稼働しており、既存の水力発電設備の更新工事も順調に進捗していることから、販売電力量は順調に伸長しています。さらに、三菱製紙株式会社と共同で行うバイオマス発電事業は2019年に開始する予定です。また、電力小売り事業の分野でも、伊藤忠エネクス株式会社との共同売電会社が業績を拡大させています。一方、エネルギー事業の拡大とともに、未利用の国内木材資源を活用した燃料用チップの生産設備の増強やインドネシアやマレーシアでのパーム椰子殻の調達拡大を進めるなど、バイオマス発電向け燃料事業の拡大も同時に進めています。
木材事業では、近年、インドネシア・ミャンマーで木材加工工場を稼働させ、ニュージーランドでも製材工場のリニューアルを行うなど、アジア・オセアニア地域を中心に生産能力の増強に取り組んでいます。
また、中国・インドネシア・ベトナムの販売会社を通じてパルプ、燃料、木材加工事業等の幅広い分野で商社機能の強化を推し進めています。
(d)印刷情報メディア(新聞用紙事業、印刷・出版・情報用紙事業)
事業環境を見極めつつ、適宜、生産体制再構築を実施しており、王子製紙株式会社では2016年の富岡工場7号抄紙機の停止に続き、2017年6月には春日井工場4号抄紙機を停止しました。需要に即した最適生産体制の構築等を通じてコスト構造を継続的に見直し、国際競争力の強化を進めるとともにキャッシュ・フローの増大を図っていきます。
また、江蘇王子製紙有限公司では、中国では数少ない紙パルプ一貫生産体制の強みを最大限に生かしコストダウンを進めた結果、2016年度下期において紙事業とパルプ事業を合わせた同社全体で営業利益の黒字化を達成しました。2017年10月に営業運転を開始したドライパルプマシンによる増販や更なるコストダウン等により、2017年度通期では紙事業・パルプ事業ともに営業利益の大幅増益を見込んでいます。
(e)研究開発
次世代素材として幅広い産業に応用が期待されているセルロースナノファイバー(CNF)をはじめとして、薬用植物や水処理技術等、グループ内の関連部門と連携を密にとりながらイノベーション推進本部を中心に機動的かつ効率的な研究開発活動を実施し、革新的価値創造に取り組んでいます。
特にCNFについては、将来事業の柱として、最も精力的に取り組んでいます。2016年度に当社独自技術であるリン酸エステル化CNFスラリーの製造実証プラントが稼働し、2017年度後半には、当社独自の透明連続シート生産の設備を世界に先駆けて導入します。これらの設備導入により、製造エネルギー低減効果の検証や量産技術の確立に鋭意取り組むとともに、実用化段階のユーザーに対するサンプル提供を拡大していきます。また、CNF増粘剤「アウロ・ヴィスコ」は、国内の一般消費者向けカーケミカル用品の増粘剤として正式採用され、2017年5月より提供を開始しました。さらに、当社独自の技術開発により実現したCNF連続透明シート「アウロ・ヴェール」、2017年11月からサンプル提供を開始する耐水性能を向上させた「アウロ・ヴェールWP」、立体成形加工が可能な「アウロ・ヴェール3D」、多様な有機溶剤に分散可能なCNFパウダーを含めて積極的なサンプル提供を行うことで、さらに幅広い分野での用途開発を加速し、軽くて強く持続可能な天然素材であるCNF市場の活性化に貢献していきます。
また、薬用植物「甘草(かんぞう)」の栽培研究によって、第17改正日本薬局方に定める薬効成分含量を満たす短期栽培技術を日本で初めて開発しました。この当社栽培の「甘草」は株式会社アルビオンの化粧品原料として実用化される見通しがついています。今後、漢方薬等の医薬品原料としての販売を目指すとともに、医薬部外品や甘味料等の原料化も視野に、新規ビジネスの柱の一つとして注力していきます。
さらに、水処理技術の分野では、当社がこれまでの紙パルプ製造で培ったパルプへの薬品の定着技術及び用水製造・排水処理技術をコア技術として、独自の薬品定着処方と膜処理の技術を組み合わせることにより、競争力のある水処理システムを実用化しています。国内の排水カドミウム除去システムに続き、2017年2月に稼動したタイのシンサコン工業団地の淡水化処理システムでは、IoT技術を用いて、日本から遠隔監視を行うアフターサービスも開始しました。今後も、水処理システムの技術革新を進めながら普及拡大を目指し、日本国内だけでなく、東南アジアをはじめとした新興国の水環境発展に貢献していきます。
その他、新規開発分野として、独自技術によるナノレベルの微細構造体の開発を行っています。この微細構造体をDOWAエレクトロニクス㈱の開発する発光中心波長310nm帯の深紫外LEDに導入することで、世界トップクラスである90mWの出力を達成しました。
また、医療用雑貨として、病院や介護向けに温かさが長持ちする使い捨ての「身体清拭ほっとクロス」を開発し、サンプル提供を開始しました。これにより、より衛生的で快適な身体清拭が可能となります。引き続き医療や介護現場の改善要望に応えていきます。
(f)環境経営
民間企業で国内最大の森林保有者である当社グループは、環境経営の推進を掲げ、環境と調和した企業活動を展開しています。持続可能な森林経営を推進すると同時に、環境負荷ゼロに向けた取り組み、木材原料をはじめとする原材料についての責任ある調達を続けていきます。
当社は、2018年2月6日に三菱製紙株式会社との間で、資本業務提携に関する資本提携契約を締結しました。両社は情報用紙分野での業務提携を始めとして、共同バイオマス発電事業や家庭紙合弁事業を立ち上げるなど業務提携の範囲を拡大してきましたが、当資本提携によって、これまでの特定の事業における単発的な協業関係にとどまらない、複数の事業での協業関係をより強化することが可能となります。
なお、本提携の実施は、国内外の競争当局の許認可を得ること等を条件としています。
当社グループは、これらの諸施策を通じて、革新的価値を創造し続けるグローバルな企業グループを目指していきます。
(Ⅲ)会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
(a)本方針導入の目的
当社取締役会は、上記(Ⅰ)の基本方針に基づき、以下のとおり、当社株式の大規模買付行為に関するルール(以下、「大規模買付ルール」といいます。)を設定し、大規模買付者に対して大規模買付ルールの遵守を求めることとしています。大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会として一定の措置を講じる方針です。また、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や当社株主全体の利益を著しく損なう場合にも、当社取締役会として一定の措置を講じる方針です。
(b)大規模買付ルールの設定
当社株主全体の利益のため、大規模買付行為は、以下に定める大規模買付ルールに従って行われるものとします。この大規模買付ルールとは、(ⅰ)事前に大規模買付者から当社取締役会に対して十分な情報が提供され、(ⅱ)当社取締役会による一定の評価期間が経過した後(株主意思確認総会(後記(c)ホ.に定義します。以下同じ。)が開催される場合には、当該株主意思確認総会が終了した後)に大規模買付行為を開始する、というものです。
まず、大規模買付者には、当社取締役会に対して、当社株主の皆様の判断及び取締役会としての意見形成のために十分な情報(以下、「大規模買付情報」といいます。)を提供していただきます。その項目は別紙1記載のとおりです。
大規模買付情報の具体的内容は、大規模買付行為の内容によって異なることもあり得るため、大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合には、まず当社宛に、大規模買付ルールに従う旨の意向表明書をご提出いただくこととします。意向表明書には、大規模買付者の名称、住所、設立準拠法、代表者の氏名、国内連絡先及び提案する大規模買付行為の概要を明示していただきます。当社は、この意向表明書の受領後5営業日以内に、大規模買付者から提供していただくべき大規模買付情報のリストを大規模買付者に交付します。なお、当初提供していただいた情報だけでは大規模買付情報として不足していると考えられる場合、十分な大規模買付情報が揃うまで追加的に情報提供をしていただくことがあります。当社取締役会は、大規模買付行為の提案があった事実は、速やかに情報開示します。また、当社取締役会に提供された大規模買付情報は、当社株主の皆様の判断のために必要であると認められる場合には、適切と判断する時点で、その全部または一部を開示します。
次に、大規模買付行為の評価等の難易度に応じ、大規模買付情報の提供が完了した後、60日間(対価を現金(円貨)のみとする公開買付けによる当社全株式の買付けの場合)または90日間(その他の大規模買付行為の場合)を、取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間(以下、「取締役会評価期間」といいます。)とします。当社取締役会は、大規模買付情報の提供が完了した事実及び取締役会評価期間については、速やかに開示します。大規模買付行為は、取締役会評価期間の経過後(株主意思確認総会が開催される場合には、当該株主意思確認総会が終了した後)にのみ開始されるものとします。
取締役会評価期間中、当社取締役会は外部専門家の助言を受けながら、提供された大規模買付情報を十分に評価・検討し、取締役会としての意見を開示します。必要に応じ、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件改善について交渉し、当社取締役会として株主の皆様へ代替案を提示することもあります。また、当社取締役会は、特別委員会に大規模買付情報を提供し、その評価・検討を依頼します。特別委員会は、独自に大規模買付情報の評価・検討を行い、本方針に従い当社取締役会がとるべき対応について勧告を行います。当社取締役会は、特別委員会の勧告を踏まえ、これを最大限尊重しつつ、本方針に従った対応を決定します。
(c)大規模買付行為がなされた場合の対応方針
イ.大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合
大規模買付者が意向表明書を提出しない場合、大規模買付者が取締役会評価期間の経過前に大規模買付行為を開始する場合、大規模買付者が大規模買付ルールに従った十分な情報提供を行わない場合、その他大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会は、当社株主全体の利益の保護を目的として、新株予約権の発行等、会社法その他の法律及び当社定款が取締役会の権限として認める措置をとり、大規模買付行為に対抗することがあります。当社取締役会は、対抗措置の発動を決定するに先立ち、特別委員会に対抗措置の発動の是非を諮問しその勧告を受けるものとします。特別委員会の勧告を最大限尊重しつつ、弁護士、財務アドバイザー等の外部専門家の意見も参考にした上で、当社取締役会は対抗措置の発動を決定します。
具体的な対抗措置については、その時点で相当と認められるものを選択することとなります。具体的対抗措置として株主割当てにより新株予約権を発行する場合の概要は、原則として別紙2記載のとおりとします。なお、新株予約権を発行する場合には、議決権割合が一定割合以上の特定株主グループに属さないことを新株予約権の行使条件や取得条件とする等、対抗措置としての効果を勘案した行使期間、行使条件及び取得条件を設けることがあります。
今回の大規模買付ルールの設定及びそのルールが遵守されなかった場合の対抗措置は、当社株主全体の正当な利益を保護するための相当かつ適切な対応であると考えていますが、他方、このような対抗措置により、結果的に、大規模買付ルールを遵守しない大規模買付者に経済的損害を含む何らかの不利益を発生させる可能性があります。大規模買付ルールを無視して大規模買付行為を開始することのないように予め注意を喚起します。
ロ.大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合
大規模買付ルールは、当社の経営に影響力を持ち得る規模の当社株式の買付行為について、当社株主全体の利益を保護するという観点から、株主の皆様に、このような買付行為を受け入れるかどうかの判断のために必要な情報や、現に経営を担っている当社取締役会の評価意見を提供し、さらには、代替案の提示を受ける機会を保証することを目的とするものです。大規模買付ルールが遵守されている場合、原則として、当社取締役会の判断のみで大規模買付行為を阻止しようとするものではありません。
しかしながら、例外的に、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守していても、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や当社株主全体の利益を著しく損なう場合であると、弁護士、財務アドバイザー等の外部専門家の意見も参考にし、特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、当社取締役会が判断したときには、上記(c)イ.で述べた大規模買付行為を抑止するための措置をとることがあります(ただし、株主意思確認総会が開催された場合には、当社取締役会は、当該株主意思確認総会の決議に従った決定を行うものとします。)。
対抗措置をとることを決定した場合には、適時適切な開示を行います。具体的には、以下の類型に該当すると認められる場合には、原則として、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や当社株主全体の利益を著しく損なう場合に該当するものと考えます。
(ⅰ)次の①から④までに掲げる行為等により株主全体の利益に対する明白な侵害をもたらすような買収行為を行う場合
①株式を買い占め、その株式について会社側に対して高値で買取りを要求する行為
②会社を一時的に支配して、会社の重要な資産等を廉価に取得する等会社の犠牲のもとに買収者の利益を実現する経営を行うような行為
③会社の資産を買収者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する行為
④会社経営を一時的に支配して会社の事業に当面関係していない高額資産等を処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるか、一時的高配当による株価の急上昇の機会をねらって高値で売り抜ける行為
(ⅱ)強圧的二段階買収(最初の買付条件よりも二段階目の買付条件を不利に設定し、あるいは二段階目の買付条件を明確にしないで、公開買付け等の株式買付けを行うことをいいます。)等株主に株式の売却を事実上強要する客観的な蓋然性のある買収行為を行う場合
(ⅲ)次の①から③までに該当する事由のいずれかが存在し、それにより、当社の社会的信用を含めた企業価値が著しく毀損しまたは当社の株主に著しい不利益を生じさせる客観的な蓋然性がある場合
①大規模買付者による支配権取得後の経営方針や事業計画等が著しく不合理または不適当であること
②大規模買付者による支配権取得後の経営方針や事業計画等について環境保全・コンプライアンスやガバナンスの透明性の点で重要な問題を生じる客観的な蓋然性があること
③大規模買付者に関する情報開示が当社の株主保護の観点から見て十分かつ適切になされない客観的な蓋然性があること
ハ.対抗措置発動後の停止
当社取締役会は、本方針に従い対抗措置をとることを決定した後でも、(ⅰ)大規模買付者が大規模買付行為を中止した場合や、(ⅱ)対抗措置をとる旨の決定の前提となった事実関係等に変動が生じ、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらさず、かつ当社株主全体の利益を著しく損なわないと判断される場合には、特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、対抗措置の発動の停止を決定することがあります(ただし、株主意思確認総会が開催されて、対抗措置の発動の停止についても決議がなされている場合には、当社取締役会は、当該株主意思確認総会の決議に従った決定を行うものとします。)。対抗措置として、例えば新株予約権を無償割当てする場合において、権利の割当てを受けるべき株主が確定した後に、大規模買付者が大規模買付行為の撤回を行う等の事情が生じ、特別委員会の勧告を踏まえ、対抗措置の発動が適切でないと取締役会が判断したときには、新株予約権の効力発生日までの間は新株予約権の無償割当てを中止し、また新株予約権の無償割当て後、行使期間の開始までの間においては当社が無償で新株予約権を取得して、対抗措置の発動を停止することができるものとします。
このような対抗措置の発動の停止を行う場合には、特別委員会が必要と認める事項とともに速やかな情報開示を行います。
ニ.特別委員会の設置及び検討
本方針において、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したか否か、大規模買付行為が当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や当社株主全体の利益を著しく損なう場合に該当するかどうか、そして大規模買付行為に対し対抗措置をとるべきか否か、その判断にあたり株主意思確認総会を開催するか否か、及び発動を停止するべきか否かの判断に当たっては、取締役会の判断の客観性、公正性及び合理性を担保するため、当社は、取締役会から独立した組織として、特別委員会を設置し、当社取締役会はその勧告を最大限尊重するものとします。特別委員会の委員は3名とし、社外取締役、社外監査役、経営経験豊富な企業経営者、投資銀行業務に精通する者、弁護士、公認会計士、税理士、学識経験者、またはこれらに準ずる者を対象として選任するものとします。
取締役会は、対抗措置の発動、株主意思確認総会の開催もしくは不開催または発動の停止を決定するときは、必ず特別委員会に対して詰問し、その勧告を受けるものとします。特別委員会は、当社の費用で、当社経営陣から独立した第三者(財務アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含む。)の助言を得たり、当社の取締役、監査役、従業員等に特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求めたりしながら、審議・決議し、その決議の内容に基づいて、当社取締役会に対し勧告を行います。取締役会は、対抗措置を発動するか否か、その判断にあたり株主意思確認総会を開催するか否か、及び発動の停止を行うか否かの判断に当たっては、特別委員会の勧告を最大限尊重するものとします。なお、特別委員会規程の概要、特別委員会委員の氏名及び略歴は、それぞれ別紙3、4のとおりです。
ホ.株主意思の確認手続き
当社取締役会が、特別委員会の勧告を最大限尊重した上で、対抗措置を発動するか否かの判断にあたり、株主意思の確認手続きを経るべきであると判断した場合、当社取締役会は、株主の意思を確認するための株主総会(以下、「株主意思確認総会」といいます。)を開催することがあり、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守し、かつ、大規模買付行為が上記(c)ロ.(ⅲ)の類型に該当することのみを理由として対抗措置を発動する場合には、株主意思確認総会の開催が著しく困難な場合を除き、必ず株主意思確認総会を開催し、対抗措置を発動するか否かについての株主意思の確認を行います。また、株主意思確認総会の開催にあたり、当社の企業価値・株主共同の利益が損なわれないようにするため、当社株主に対し、当該株主意思確認総会における議決権行使に関する勧誘を行うことがあります。株主意思確認総会の招集手続き及び議決権行使方法は、法令及び当社定款に基づく定時株主総会または臨時株主総会の招集手続き及び議決権行使方法に準ずるものとし、当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かに関する株主意思確認総会の決議に従うものとします。
(d)当社株主の皆様・投資家の皆様に与える影響等
本方針に基づく対抗措置の発動によって、当社株主の皆様(大規模買付者を除きます。)が経済面や権利面で損失を被るような事態は想定していませんが、当社取締役会が具体的対抗措置をとることを決定した場合には、法令及び金融商品取引所規則に従って、適時適切な開示を行います。
対抗措置として考えられるもののうち、新株予約権の無償割当てを行う場合には、当社取締役会で別途定めて公告する基準日における最終の株主名簿に記録された株主に対し、その所有株式数に応じて新株予約権が割り当てられますので、当該基準日における最終の株主名簿に記録される必要があります。また、新株予約権を行使して株式を取得するためには、所定の期間内に一定の金額の払込みを完了していただく必要があります。ただし、当社が新株予約権を当社株式と引き換えに取得できる旨の取得条項に従い新株予約権の取得を行う場合には、当社取締役会が当該取得の対象とした新株予約権を保有する株主の皆様は、金銭の払込みを要することなく、当社による新株予約権取得の対価として、当社株式の交付を受けることができます。これらの手続きの詳細については、実際に新株予約権を発行または取得することとなった際に、法令及び金融商品取引所規則に基づき別途お知らせします。
なお、いったん新株予約権の無償割当てを決議した場合であっても、当社は、上記(c)ハ.に従い、新株予約権の無償割当ての効力発生日までに新株予約権の無償割当てを中止し、または新株予約権の無償割当ての効力発生日後新株予約権の行使期間の初日の前日までに新株予約権を無償にて取得する場合があります。これらの場合には、当社株式の株価に相応の変動が生じる可能性があります。例えば、新株予約権の無償割当てを受けるべき株主が確定した後(権利落ち日以降)において、当社が新株予約権を無償取得して新株を交付しない場合には、1株当たりの株式の価値の希釈化は生じませんので、当社株式の価値の希釈化が生じることを前提にして売買を行った投資家は、株価の変動により損害を被るおそれがあります。
(e)大規模買付ルールの有効期限
2017年6月29日開催の第93回定時株主総会において、本方針の継続について株主の皆様のご承認が得られたため、本方針の有効期間は、当該定時株主総会の日から3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までとし、以後も同様とします。なお、当社取締役会は、本方針を継続することを決定した場合、その旨を速やかにお知らせします。また、当社取締役会は、株主全体の利益保護の観点から、会社法及び金融商品取引法を含めた関係法令の整備・改正等を踏まえ、本方針を随時見直していく所存です。
本方針は、その有効期間中であっても、株主総会において本方針を廃止する旨の決議が行われた場合または当社取締役会により本方針を廃止する旨の決議が行われた場合は、その時点で廃止されるものとします。また、当社取締役会は、本方針の有効期間中であっても、株主総会での承認の趣旨の範囲内で本方針を修正する場合があります。
(Ⅳ)本方針が会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについての取締役会の判断及びその判断に係る理由
以下の理由により、本方針は、上記(Ⅰ)の会社の支配に関する基本方針に沿うとともに、当社の株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。
(a)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本方針は、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性の原則)を充足しています。
(b)株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本方針は、上記(Ⅲ)(a)「本方針導入の目的」にて記載したとおり、当社株券等に対する買付け等がなされた際に、当該買付け等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
(c)合理的な客観的発動要件の設定
本方針は、上記(Ⅲ)(c)「大規模買付行為がなされた場合の対応方針」にて記載したとおり、大規模買付行為が大規模買付ルールを遵守していない、あるいは大規模買付ルールを遵守していても株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらす買収である場合や株主に株式の売却を事実上強要するおそれがある買収である場合等、予め定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ対抗措置が発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえます。
(d)株主意思を重視するものであること
当社は、本方針の継続について株主の皆様のご意思をご確認させていただくため、株主総会において、議案としてお諮りしています。株主総会において、本方針の継続の決議がなされなかった場合には、速やかに廃止されることになり、その意味で、本方針の消長及び内容は、当社株主の合理的意思に依拠したものとなっています。
(e)デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと
上記(Ⅲ)(e)「大規模買付ルールの有効期限」にて記載したとおり、本方針は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により廃止することができるものとされており、当社の株券等を大量に買付けた者が、当社株主総会で取締役を指名し、かかる取締役で構成される取締役会により、本方針を廃止することが可能です。従って、本方針は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社の取締役任期は1年間であり、本方針はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
(別紙1)
大規模買付情報
1.大規模買付者及びそのグループ(ファンドの場合は組合員その他の構成員を含む。)の情報。
(1)名称、資本関係、財務内容
(2)(大規模買付者が個人である場合は)国籍、職歴、当該買収提案者が経営、運営または勤務していた会社またはその他の団体(以下、「法人」という。)の名称、主要な事業、住所、経営、運営または勤務の始期及び終期
(3)(大規模買付者が法人である場合は)当該法人及び重要な子会社等について、主要な事業、設立国、ガバナンスの状況、過去3年間の資本及び長期借入の財務内容、当該法人またはその財産に係る主な係争中の法的手続き、これまでに行った事業の概要、取締役、執行役等の役員の氏名
(4)(もしあれば)過去5年間の犯罪履歴(交通違反や同様の軽微な犯罪を除く。)、過去5年間の金融商品取引法、会社法(これらに類似する外国法を含む。)に関する違反等、その他コンプライアンス上の重要な問題点の有無
2.大規模買付行為の目的、方法及びその内容(取得の対価の価額・種類、取得の時期、関連する取引の仕組み、取得の方法の適法性、取得の実現可能性を含む。)。
3.当社株式の取得の対価の算定根拠(算定の前提となる事実・仮定、算定方法、算定に用いた数値情報並びに取得に係る一連の取引により生じることが予想されるシナジー及びその算定根拠を含む。)。
4.大規模買付行為の資金の裏付け(資金の提供者(実質的提供者を含む。)の具体的名称、調達方法、関連する取引の内容を含む。)。
5.大規模買付行為後の当社の経営方針、事業計画、資本政策及び配当政策。
6.大規模買付行為後における当社の従業員、取引先、顧客、地域社会その他の当社に係る利害関係者(ステークホルダー)に関する方針。
7.必要な政府当局の承認、第三者の同意等、大規模買付行為の実行に当たり必要な手続きの内容及び見込み。大規模買付行為に対する、独占禁止法その他の競争法並びにその他大規模買付者または当社が事業活動を行っているか製品を販売している国または地域の重要な法律の適用可能性や、これらの法律が大規模買付行為の実行に当たり支障となるかどうかについての考え及びその根拠。
8.その他当社取締役会または特別委員会が合理的に必要と判断して要請する情報。
(別紙2)
新株予約権の概要
1.新株予約権付与の対象となる株主及びその発行条件
取締役会で定める基準日における最終の株主名簿に記録された株主に対し、その所有株式(ただし、当社の有する当社普通株式を除く。)1株につき1個の割合で新株予約権を割当てる。なお、株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えて募集新株予約権を引き受ける者の募集を行う場合と、新株予約権の無償割当てを行う場合とがある。
2.新株予約権の目的である株式の種類及び数
新株予約権の目的である株式の種類は当社普通株式とし、新株予約権の目的となる株式の総数は、当社取締役会が基準日として定める日における当社発行可能株式総数から当社普通株式の発行済株式(当社の所有する当社普通株式を除く。)の総数を減じた株式数を上限とする。新株予約権1個当たりの目的である株式の数は1株とする。ただし、当社が株式分割または株式併合を行う場合は、所要の調整を行うものとする。
3.発行する新株予約権の総数
新株予約権の割当総数は、当社取締役会が基準日として定める日における当社発行可能株式総数から当社普通株式の発行済株式(当社の所有する当社普通株式を除く。)の総数を減じた株式の数を上限として、取締役会が定める数とする。取締役会は、割当総数がこの上限を超えない範囲で複数回にわたり新株予約権の割当てを行うことがある。
4.各新株予約権の払込金額
無償(金額の払込みを要しない。)
5.各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額
各新株予約権の行使に際して出資される財産の価額は1円以上で取締役会が定める額とする。
6.新株予約権の譲渡制限
譲渡による新株予約権の取得については、取締役会の承認を要することとする。
7.新株予約権の行使条件
議決権割合が20%以上の特定株主グループに属する者(当社の株券等を取得または保有することが当社株主全体の利益に反しないと当社取締役会が認めたものを除く。)等に行使を認めないこと等を新株予約権行使の条件として定めることがある。詳細については、当社取締役会において別途定めるものとする。
8.新株予約権の行使期間等
新株予約権の行使期間、取得条項その他必要な事項については、取締役会にて別途定めるものとする。なお、取得条項については、上記7.の行使条件のため新株予約権の行使が認められない者以外の者が有する新株予約権を当社が取得し、新株予約権1個につき1株を交付することができる旨の条項を定めることがある。
(別紙3)
特別委員会規程の概要
1.特別委員会は、大規模買付行為に対する対抗措置の発動等に関する取締役会の恣意的判断を排し、取締役会の判断の客観性、公正性及び合理性を担保することを目的として設置される。
2.特別委員会の委員は3名とし、当社の業務執行を行う経営陣から独立している、(ⅰ)当社社外取締役、(ⅱ)当社社外監査役、または(ⅲ)社外の有識者のいずれかに該当する者の中から、当社取締役会が選任する。ただし、社外の有識者は、経営経験豊富な企業経営者、投資銀行業務に精通する者、弁護士、公認会計士、税理士、学識経験者、またはこれらに準ずる者とし、別途当社取締役会が定める善管注意義務条項等を含む契約を当社との間で締結した者でなければならない。
3.特別委員会委員の任期は、選任後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。ただし、当社取締役会の決議により別段の定めをした場合はこの限りではない。
4.特別委員会は、取締役会の諮問を受けて、以下の各号に記載される事項について審議・決議し、その決議の内容に基づいて、当社取締役会に対し勧告する。なお、特別委員会の各委員は、こうした審議・決議にあたっては、当社の企業価値・株主共同の利益に資するか否かの観点からこれを行うものとし、自己または当社の経営陣の個人的利益を図ることを目的としてはならない。
①大規模買付行為に対する対抗措置の発動の是非
②大規模買付行為に対する対抗措置発動の停止
③株主意思確認総会の開催の要否
④その他当社取締役会が判断すべき事項のうち、当社取締役会が特別委員会に諮問した事項
5.特別委員会は、当社の費用で、当社経営陣から独立した第三者(財務アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含む。)の助言を得ることができる。
6.特別委員会は、必要な情報収集を行うため、当社の取締役、監査役、従業員その他特別委員会委員が必要と認める者の出席を求め、特別委員会が求める事項に関する説明を要求することができる。
7.特別委員会の決議は、原則として、特別委員会の委員全員が出席し、その過半数をもってこれを行う。ただし、やむを得ない事由があるときは、特別委員会委員の過半数が出席し、その議決権の過半数をもってこれを行う。
(別紙4)
特別委員会委員の氏名及び略歴
特別委員会の委員は、以下の3名です。
奈良 道博(なら みちひろ)
略歴
1946年5月17日生まれ
1974年4月 弁護士登録
2014年6月 当社取締役
現在に至る。
※奈良道博氏は、会社法第2条第15号に定める社外取締役です。
寺坂 信昭(てらさか のぶあき)
略歴
1953年4月9日生まれ
1976年4月 通商産業省入省
2009年7月 原子力安全・保安院院長
2011年8月 退官
2015年6月 当社取締役
現在に至る。
※寺坂信昭氏は、会社法第2条第15号に定める社外取締役です。
北田 幹直(きただ みきなお)
略歴
1952年1月29日生まれ
1976年4月 検事任官
2012年1月 大阪高等検察庁検事長
2014年1月 退官
2014年3月 弁護士登録
2014年6月 当社監査役
現在に至る。
※北田幹直氏は、会社法第2条第16号に定める社外監査役です。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、7,085百万円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4)主要な設備
第3四半期連結累計期間中において、新たに計画された重要な設備の新設については、以下のとおりです。
会社名
事業所名
(所在地)
セグメント
の名称
工事件名投資予定金額資金調達
方法
着手年月完了(予定)年月摘要
総額既支払額
Oji Fibre Solutions(QLD)
Pty. Ltd.
(豪州クイーンズランド州)
生活
産業資材
新規段ボール
工場建設
百万AU$
66
百万AU$
65
自己資金2016年12月2017年10月収益向上
GS Paper & Packaging Sdn. Bhd.
(マレーシアセランゴール州)
生活
産業資材
段ボール
原紙マシン増設
百万MYR
1,400
百万MYR
-
未定未定2021年4月能力増強